エネルギーと気候に関する主要経済国フォーラム(MEF)に際しての岸田総理ビデオメッセージ

更新日:令和4年6月17日 総理の指示・談話など

 バイデン大統領、御出席の皆様、ロシアによるウクライナ侵略は、国際社会全体の秩序の根幹を揺るがしています。またエネルギーや穀物の価格の高騰を引き起こし、我々に、エネルギー安全保障と食料安全保障の重要性を改めて認識させています。ウクライナ危機によるエネルギー価格の高騰という困難に直面する中でも、国際社会は、引き続き、炭素中立型社会に向けた経済・社会及び産業構造変革の実現という課題を解決していく必要があります。

 日本は、私の進める「新しい資本主義」の下、2050年のカーボンニュートラル、また、2030年度に温室効果ガス排出を46パーセント削減し、更に50パーセントの高みを目指すという目標達成のため、単に、エネルギー供給構造の変革だけでなく、産業構造、国民の暮らし、そして地域の在り方全般にわたる、経済社会全体の大変革に取り組み、クリーンエネルギーを大胆に導入するための「成長志向型カーボンプライシング」を集中的に検討していきます。そのために、我が国は、今後10年間で、官民協調により150兆円の新たな関連投資を実現いたします。

 さらに、日本は、国際社会、特にインド太平洋の脱炭素化・強靱化に向け主導的な役割を果たす覚悟です。先進国の年間1000億ドルの気候資金目標の早期達成に向けた取組を継続するとともに、持てる技術、経験、ノウハウ、資金力を総動員していきます。私が掲げる「アジア・ゼロエミッション共同体構想」の下、アジア各国の様々な実情を直視しつつ、その持続的な経済成長を実現しながら脱炭素化・強靱化に取り組んでいきます。

 我々が取り組むべき分野は多岐にわたります。日本は、米国が主導してきたファースト・ムーバーズ・コアリションに参画しました。重要技術の初期需要創出に向けて協力していきます。また、グローバル・メタン・プレッジ及びメタン対策における世界規模の迅速な行動の重要性を改めて強調します。多様な選択肢を通じた自動車の脱炭素化や、国際海運の脱炭素化、都市を含む地域の脱炭素化でも、引き続き国際社会と連携していきます。食料安全保障については、日本としても、肥料使用の削減を含め、農業分野の様々な取組を進めていきます。

 日本は、COP27の成功、その先に向け、各国や国際機関と協力しながら、リーダーシップを発揮していく決意です。

 ありがとうございました。