月例経済報告等に関する関係閣僚会議
令和6年9月18日、岸田総理は、総理大臣官邸で月例経済報告等に関する関係閣僚会議に出席しました。
9月の我が国経済の基調判断として、現状については「景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している。」としています。また、先行きについては「雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。」としています。
総理は、本日の議論を踏まえて次のように述べました。
「本日、直近の経済情勢を報告していただきましたが、3年前、岸田内閣発足時の2021年10月は、日本経済は、新型コロナの渦中にありました。2022年2月には、ロシアによるウクライナ侵略が始まり、エネルギーや食糧などの輸入物価が急激に上昇いたしました。為替が急速に円安方向に進む場面もありました。今年の元日に起きた能登半島地震を始め、多くの災害にも見舞われました。
この3年間、こうした様々な外的要因が経済の下押しとなりかねない中、日本経済の積年の課題であるデフレ脱却、経済の正常化に向けて、ひたむきに取り組んでまいりました。
コストプッシュ型の物価上昇に対し、価格転嫁と賃上げの取組をこれまでになく強力に推進し、物価を上回る賃金上昇を目指すとともに、社会課題の解決に向けた国内投資の促進に努めてきました。その際、医療・介護を始め公的な分野で働く方々の賃上げも進め、賃上げ促進税制の強化など税制面でも対応を講じてきました。
こうした官民連携の取組もあって、33年ぶりの高い水準の賃上げと実質賃金のプラス転換、過去最高となる106兆円の設備投資、史上初めて600兆円を超える名目GDP(国内総生産)が実現いたしました。
四半世紀にわたり続いた、賃金も物価も据え置きで動かないという凍りついた状況が変化し、賃金と物価の好循環が回り始め、デフレ脱却に向けた歩みが着実に進んでいます。
日本経済は、価格や賃金をシグナルとして、労働や資本が動くという、市場経済が本来持っているダイナミズムを取り戻しつつあり、このダイナミズムをいかして、賃上げと投資がけん引する成長型の経済を実現させなければなりません。
デフレ脱却が視野に入っている今だからこそ、正念場であると言えます。世界経済の変動の中にあっても、賃金を起点とした所得の増加と経済全体の生産性の向上により、日本経済を新たなステージに移行させていく。それに向け、引き続き経済情勢を正確なデータに基づいて分析し、的確な経済政策運営につなげていただくことを期待して、私の締めくくりの言葉といたします。」