廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議、ALPS処理水の処分に関する基本方針の着実な実行に向けた関係閣僚等会議
令和6年8月30日、岸田総理は、総理大臣官邸で第7回廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議、第7回ALPS(多核種除去設備)処理水の処分に関する基本方針の着実な実行に向けた関係閣僚等会議に出席しました。
会議では、ALPS処理水の処分に関する基本方針の実施状況と今後の対策の方向性等について議論が行われました。
総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。
「東京電力福島第一原子力発電所の廃炉を進め、福島の復興を実現するために、ALPS処理水の処分は、決して先送りできない課題です。昨年8月22日の本関係閣僚等会議で、具体的な放出開始時期の見込みを示し、8月24日に放出を開始いたしました。
ALPS処理水の海洋放出については、IAEA(国際原子力機関)による評価を含め、引き続き、安全に実施されています。私自身、ちょうど1年に当たる先週8月24日に福島に赴き、魚市場で現状を確認し、漁業関係者の方々と意見交換してまいりました。
本日の会議において、ALPS処理水の処分に関する基本方針の実施状況を確認し、昨年の本会議において示した、政府としてALPS処理水の処分が完了するまで全責任を持って取り組むという方針について、何ら変わりなく堅持することを確認いたしました。
他方で、一部の国・地域による科学的根拠に基づかない輸入規制措置が継続しており、引き続き、あらゆる機会を捉えて即時撤廃を強く求めるとともに、科学に基づく専門家同士の対話を通じ正しい理解を得る努力を行います。
なお、中国による輸入規制措置の影響が大きかったホタテについては、昨年9月に措置した水産業を守る政策パッケージにより、従来の対中国輸出量の約半分について代替販路を開拓するなど、その効果は着実に出ています。ただし、対中国輸出量の全てを置きかえるには至っておらず、三陸・常磐(じょうばん)ものの魅力発信を含む国内消費拡大・ビジネスマッチング支援等の海外販路開拓等の必要な対策を実施していきます。
また、長期にわたるALPS処理水の放出による、漁業の将来への不安・懸念を払拭するため、引き続き、我が国水産業のなりわい・事業を、活力ある形で、子や孫の世代まで持続的に引き継いでいけるよう、国内生産持続対策等を含め必要な対策を実施していきます。
秋に策定を目指す経済対策も含め、こうした対策を着実に実施し、全国の水産業支援に万全を期すことといたします。
また、福島第一原子力発電所における廃炉作業について、全体として着実に進捗していることを確認しました。こうした中、先日、2号機において開始した、燃料デブリの試験的取り出しに向けた準備作業が、作業の初日に中断したことは、重く受け止めています。
今後、具体的な取り出し作業に着手したあかつきには、中長期ロードマップにおける、廃止措置終了までの期間に当たる第3期に移行し、廃炉の根幹となる最も困難な作業段階に入っていくこととなります。東京電力には、これまで以上の緊張感を持って必要な対策に万全を尽くしてもらいたいと思います。
国も引き続き前面に立って、福島復興の前提となる福島第一原子力発電所の安全かつ着実な廃炉に取り組んでまいります。」