日本経済団体連合会定時総会

更新日:令和6年5月31日 総理の一日

 令和6年5月31日、岸田総理は、都内で開催された日本経済団体連合会定時総会に出席しました。

 岸田総理は、挨拶で次のように述べました。

「御紹介いただきました、内閣総理大臣の岸田文雄です。第13回日本経済団体連合会の定時総会にお招きいただき、誠にありがとうございます。
 総理就任以来、新しい資本主義を掲げてきました。気候変動やデジタル経済移行など、新時代の課題克服のために、新しい官民連携を進め、それによって新しい投資を引き出し、それを更に持続的な賃上げにつなげていく。こうした大きな方針に沿って、十倉会長を始め、経団連の皆様と共に政策を進めています。
 春闘の賃上げ、攻めの設備投資など、日本経済の力強い動きは、世界を刮目(かつもく)させるものとなっています。経済界の皆様のビジョンとリーダーシップに、改めて敬意を表し申し上げます。
 また、来年度の開催が迫る大阪・関西万博についても、共に汗をかいていただいています。一時は危ぶむ声も出たパビリオン等、会場建設も各社の協力で進んでいます。みなさんの御尽力に重ねて御礼を申し上げます。
 さて、本日は外交安保、経済政策、そして政治改革の3点について、簡潔に申し上げます。
 第1は外交安保です。緊迫する国際情勢の底流にあるのは、法の支配による国際秩序そのものを作り替えようとする一部の動きです。どの国でも守らなければならない原則やベーシックな価値を、次の世代に我々は引き継げるのか、そうした緊張感を持って外交、安保政策に取り組んでいます。
 防衛力強化や反撃能力の保持、日米同盟の現代化、新時代の日韓・日米韓、昨年の広島G7サミットでは、経済安保に向き合い、核の実相を各国の首脳に示しました。
 さらに、先の訪米では、未来志向の日米同盟の大切さを党派を超えて強く訴えました。
 4年半ぶりの日中韓サミットでは、未来志向の日中韓FTA(自由貿易協定)の在り方について議論を始め、幅広い分野での三国協力を再確認いたしました。
 第2は経済です。30年越しのデフレ経済から抜け出し、熱量あふれる新たな経済ステージへ移行できるかどうかの正念場にあって、これを必ず成し遂げること、何よりも優先して政策を講じていきます。
 今年の力強い賃上げ、過去最高の設備投資、海外からの評価の高いコーポレートガバナンス改革、好循環はスタートしています。今年の5パーセント半ばを超える力強い賃上げ、その勢いを来年以降に必ずつなげていくため、政府としてできることは全てやってまいります。
 医療・福祉や、建設・物流の現場に賃上げが必ず行きわたるよう、様々な措置を講じています。独禁法、下請法などもフルに動かして、中小企業における賃上げの価格転嫁を促していきます。
 来月からは、この正念場において、後戻りすることを何としても避けるため、極めて異例でありますが、一人4万円の減税を実施いたします。
 一方、経済の成長エンジンの強化のために、新たな発想を大胆に取り入れていきます。
 例えばGX(グリーン・トランスフォーメーション)については、来年の法改正を視野にGX2040ビジョンをまとめます。エネルギー基本計画と産業構造、産業立地など、国全体の競争力を総合的に検討し、AI(人工知能)やサプライチェーンなど、大きな変化に即応できる柔構造をどう備えていくかとの問題意識を持って進めてまいります。
 利用者起点で公共サービスの維持と地方の活性化を実現するデジタル行財政改革。注目を集めるライドシェア事業については、地域や時間帯を限った形で先行実施を開始し、さらに法整備について論点整理を行って議論を進めてまいります。
 人への投資やスタートアップについて、大企業や中小企業が自社の枠を超えて、自らのエコ・システムの強化拡大のために進めることを促すべく、官民の連携基盤を検討していきます。
 設備投資や賃上げ支援のための税制支援も行っていきます。好循環の目詰まりを起こさないためにも、人手不足の問題に正面から取り組みます。
 デフレマインドを払拭し、社会全体の意識を一気呵成(いっきかせい)に変えるには、3年くらいの変革期間が必要です。
 官と民が力を合わせ、賃上げと設備投資の力強い動きを続け、日本経済の新たなステージへの移行をしっかりと成し遂げていきたいと考えています。経済界の引き続きの御理解と御協力を切にお願い申し上げます。
 そして、最後に政治改革について申し上げます。
 政治資金の問題に端を発して、自民党に対して極めて厳しい声が寄せられ、結党以来の深刻な状況にあるとの危機感を持って取り組んでいます。
 自民党は長年の政権運営で政策立案力・実現力を培い、先送りのできない様々な重要課題に一つ一つ着実に取り組み、答えを出してきました。
 他方で、その政治姿勢におごりはなかったのか。今一度真摯に振り返り、襟を正す必要があると考えています。二度と今回のような事案が起こらないよう、厳格な責任体制の確立と、政治資金規正法の改正に向けて、全力を挙げています。今国会での改正を必ず実現するべく、真摯に対応してまいります。
 本日昼前には、公明党山口代表と与党党首会談を行うとともに、日本維新の会馬場代表とも3項目の合意をいたしました。
 以上、対外政策、経済、政治改革の3点について、今後の取組について簡潔に申し上げました。
 経団連の皆様方におかれましては、どうか引き続きましての御支援と御協力をお願い申し上げます。
 お集まりの皆様の御活躍、御健勝お祈り申し上げて、私の御挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。」

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