GX実行会議
令和6年5月13日、岸田総理は、総理大臣官邸で第11回GX(グリーン・トランスフォーメーション)実行会議を開催しました。
会議では、我が国のグリーン・トランスフォーメーションの加速に向けてについて議論が行われました。
総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。
「この会議では、これまで10回にわたり、エネルギー政策を大きく転換していくための新しい仕組みを議論してきました。
成長志向型カーボン・プライシング、150兆円の官民GX投資、脱炭素電源の拡大を始め多くの提言を頂き、法律、予算、税制、市場、国際認証などの形で一つ一つ答えとして、現実に動く仕組みを示してきました。
本日から、議論を再開し、GX2.0の検討を始めることといたします。GX1.0として形にしたいろいろな仕組みを発展させて、2050年カーボンニュートラルに至る最大の難所を、一歩一歩登っていく。そのために、官民で共有する脱炭素への現実的なルートを示す。これがGX2.0の目的です。
政府は、3年おきに、一定の前提を置いて、エネルギーの総供給と総需要を突き合わせたエネルギー基本計画と地球温暖化対策計画を策定し、脱炭素への道筋としてきました。来春には、この二つの計画を改定することになっています。
しかしながら、政治・経済・社会・技術、あらゆる面で、世界が安定期から激動期へと入りつつある中で、単一の前提ありきでエネルギーミックスの数字を示す手法には限界があります。
前提自体を自らが有利な方向にどう変えていくか、そして、前提の急変に即応する柔構造をどう備えていくかが、より一層重要になっています。
具体例を二つあげます。
AI(人工知能)技術をあらゆる産業で活用していくため、一か所数千億円の投資と、原発数基分の脱炭素電力を必要とするAIデータセンター構想が今年になって次々と発表されています。経済安全保障の重みが増す中で、AIデータセンターの国内立地の成否は、産業全体の競争力や雇用構造を左右いたします。局所的に、短期間で、高品質の脱炭素電源を供給するというミクロの電力供給能力がマクロの経済の成長力に大きな影響を与えるこれまでに例がない事態です。
そして、石油や石炭の新規開発からのダイベストメントの加速。専門家による10年後の原油価格の見通しも60ドルから150ドルまで様々です。中東情勢などによるエネルギー価格の激しい変動から、産業や消費者の生活をどう守るか。激変緩和補助金は緊急避難にすぎません。激しい価格変動が常態化する中で、過度な化石燃料依存から脱却するためのカーボン・プライシングの活用、あるいは、長期の脱炭素電源への投資促進、そしてトランジション期における戦略的な予備電源の確保などの検討が必要です。
このように、GX2.0では、産業構造、産業立地、技術革新、消費者行動といった経済社会全体の大変革と脱炭素への取組を一体的に検討し、2040年を見据えたGX国家戦略として統合していく中で、官民が共有する脱炭素への現実的なルートを示すものにしたいと考えています。
齋藤GX担当大臣におかれては、まず各界の幅広い有識者の意見を伺うために、GX2040リーダーズ・パネルを設置しGX国家戦略のための論点整理を進めるところから始めてください。
本会議の皆様におかれても、引き続き御指導、御協力をお願い申し上げます。」