新しい資本主義実現会議
令和6年3月26日、岸田総理は、総理大臣官邸で第25回新しい資本主義実現会議を開催しました。
会議では、デフレ状況の変化・金融環境変化に伴う新たな成長型経済を見据えた、需要制約経済から供給制約経済への移行に伴う課題と方向性について議論が行われました。
総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。
「本日も、この春の実行計画改訂に向けて、賃金と物価の好循環が持続する、新たな成長型経済を定着させる方策について議論を行いました。
今、我が国は、30年間続いたコストカット型経済から脱却し、新たな成長型経済に移行するチャンスを迎えています。現在進行中の春季労使交渉は、日本経済がデフレに後戻りするか、デフレ完全脱却の道に向かうかの、正に、正念場です。
岸田政権では、昨年を上回る水準の賃上げを目指してきました。現在のところ、連合の第2回の集計結果では、昨年の同時期の賃上げ率3.76パーセントに対して5.25パーセント、中小企業についても、これまでのところ、昨年の同時期の3.39パーセントに対して4.50パーセントと、昨年を大きく上回る力強い賃上げの流れができてきています。
今年にとどまらず、来年も、再来年も、持続的な構造的賃上げを実現していくために、労務費の価格転嫁に加え、人手不足の中で御苦労をされている中小・小規模企業の皆さんの労働生産性の引上げのため、省力化投資に官民で全力で取り組みます。
リ・スキリングについては、最先端のICT(情報通信技術)のエンジニアもさることながら、基本的なICT技術を用いることができる、産業の現場の労働者の育成に向けて、取組を行います。特に、人手不足感の強い、運輸業、宿泊業、飲食業については、重点的に利用促進を図ります。基本的なマネジメント・スキルの取得についても、重点対象としていきます。
事業承継については、同族承継に加え、企業内部からの昇格や、M&A(買収と合併)による外部からの就任が増加していることに鑑み、承継支援の多様化を図ります。
事業再構築については、リーマンショック以降の大きな変化として、債権者との合意により債務整理を行う私的整理が増加してきています。経営者の実情に応じた対応を可能とするため、更なる環境整備を図ります。諸外国並みに、多数決によって金融負債の整理を進めることができる法案の早期提出を目指します。
加えて、従業員一人当たり売上高を伸ばすM&Aについては、売り手側・買い手側が円滑に相談できるよう、仲介事業者の手数料体系の開示を求めるとともに、中小・小規模企業への支援を進めます。
さらに、M&Aなどの事業再構築の支障とならないよう、事業再構築に当たって、経営者保証を見直す枠組みを検討します。
民間の側でも、地方銀行などの金融機関が、M&Aの事業統合作業を含めて、その仲介サービス業務を強化していただくことを要請いたします。
人手不足が目立つ、観光、物流、建設といった職種については、業界団体に御協力を頂き、官民を挙げてスキルの評価制度を作り上げるとともに、スキル取得のための講座受講支援を実施してまいります。
この春の実行計画の改訂に向けて、引き続き御協力お願い申し上げます。」