全拉致被害者の即時一括帰国を求める国民大集会
令和5年11月26日、岸田総理は、都内で全拉致被害者の即時一括帰国を求める国民大集会に出席しました。
総理は、挨拶で次のように述べました。
「内閣総理大臣の岸田文雄です。本日、国民大集会の開催に当たりまして、御挨拶を申し上げさせていただきます。
本日も冒頭、横田さん、曽我さんから、切実な思い、そして痛切な声を聞かせていただきました。2002年以来、一人の拉致被害者の方の帰国も実現していないこと、これは私にとりましても痛恨の極みであり、政府としても改めて重く受け止めております。
北朝鮮については、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算し、日朝国交正常化の実現を目指しますが、とりわけ、拉致被害者御家族の皆様方も高齢となる中、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにすることができない人道問題ですと私が発言してから1年が過ぎました。日本国内では、御家族はもとより国民の間に差し迫った思いが一層強まっています。
こうした差し迫った思いをしっかりと共有しながら、全ての拉致被害者の方々の一日も早い御帰国を実現するべく、全力で、そして果断に取り組んでまいります。
北朝鮮は、21日、衛星打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射を強行し、日本列島上空を通過させました。国民の安全に関わる重大な問題であり、極めて遺憾であり、我が国として断じて容認することはできません。
他方で、北朝鮮をめぐる情勢がこのように厳しい状況にある中でも、拉致問題の一日も早い解決が必要であること、これには変わりはありません。
本年8月に行われた日米韓首脳会合では、私から、拉致問題の即時解決に向けた引き続きの理解と協力を求め、バイデン大統領及び尹(ユン)大統領から、改めて全面的な支持を得ました。
こうした国際社会への働き掛けと同時に、我が国は主体的に行動することが求められます。
日朝間の実りある関係を樹立することは、日朝双方の利益に合致するとともに、地域の平和と安定に大きく寄与します。しかしながら、現在の状況が長引けば長引くほど、日朝が新しい関係を築こうとしても、その実現は困難なものになってしまいかねません。一瞬たりとも無駄にせず、今こそ大胆に現状を変えていかなければなりません。
そのためには、我が国自身が主体的に動き、トップ同士の関係を構築していくことが極めて重要であると考えております。
私自身、条件を付けずにいつでも金正恩(キム・ジョンウン)委員長と直接向き合う決意であると申し上げているゆえんでありますし、全力で行動してまいります。
日朝間の懸案を解決し、両者が共に新しい時代を切り拓(ひら)いていくという観点からの私の決意を、あらゆる機会を逃さず金正恩委員長に伝え続けるとともに、首脳会談を早期に実現すべく、私直轄のハイレベルでの協議を行っていきたいと申し上げております。
そのために様々なルートを通じて様々な働き掛けを絶えず行い続けていますが、早期の首脳会談実現に向け、働き掛けを一層強めてまいります。
お互いが大局観に基づき、あらゆる障害を乗り越え、地域や国際社会の平和と安定、日朝双方のため、共に決断していくことを呼び掛けたいと思います。
本日、この集会を通じて、日本国民の一致団結した強い思いが示されることは、拉致問題の解決に向けた力強い後押しとなります。その声こそが、国際社会を動かし、北朝鮮を動かすことに繋(つな)がっていくと信じております。
こうした多くの皆様方の力強い後押しに心から感謝を申し上げ、皆様と心を一つに、総理大臣として自らが先頭に立ち、政府を挙げて、全力で取り組んでまいります。このことを、本日の国民大集会に当たって、今一度お誓い申し上げ、私の御挨拶とさせていただきます。」