全国証券大会
令和5年9月25日、岸田総理は、都内で開催された全国証券大会に出席しました。
総理は、挨拶で次のように述べました。
「内閣総理大臣の岸田文雄です。本日は、全国証券大会にお招きいただき、誠にありがとうございます。本会の御盛会をお慶(よろこ)び申し上げますとともに、開催に当たりまして、御挨拶を申し上げます。
先日、国際金融センターであるニューヨークを訪れ、多くの海外投資家との対話を行いましたが、新たな成長軌道に乗りつつある日本に対する関心の高まり、これを強く実感してまいりました。ニューヨークでは、新しい資本主義に基づく経済政策が着実に結果を出していること、これを説明するとともに、持続的な成長につなげていくため、日本の取組が遅れていると指摘されてきた構造改革の断行について強調してまいりました。その一環として、昨年の資産所得倍増プランの策定、NISA(少額投資非課税制度)の抜本的拡充・恒久化に続き、資産運用業とアセットオーナーシップの改革や、資産運用セクターへの新規参入の促進、また、日米を基軸とした資産運用フォーラムの立ち上げ等の政策、これを表明いたしました。
まず、本年を資産所得倍増元年と位置づけ、貯蓄から投資へのシフトを大胆かつ抜本的に進めてまいります。貯蓄から投資へのシフトを実現するためには、皆様方のお力、欠かすことはできません。NISAの抜本的拡充などの政策対応も進めてまいりますが、何よりも、家計を始めとする顧客から信頼される真のパートナーとなることが大切です。顧客ニーズに応じた良質な商品を提供し、顧客を第一に考えた業務を徹底していただきたいと考えております。
同時に、投資先となる日本企業の魅力を高めることも重要です。このため、コーポレートガバナンス改革を実効的なものとし、企業価値の向上を後押ししてまいります。この改革の目標は、企業において継続的な経営改革が実現し、企業部門に蓄積された現金・預金を、人への投資を含め、重要分野への投資につなげていくということです。ここでも資産運用に関わる皆様の役割、極めて重要であり、企業価値の向上に向けた企業との積極的な対話を進めていただきたいと思います。
さらには、成長と分配の好循環を実現していく上で、家計の資産を預かり運用する役割を担う、資産運用業の高度化が不可欠です。資産運用に関わる皆様方におかれては、慣習や業務を見直し、運用力の向上やガバナンスの強化に取り組んでいただきたいと思います。また、スタートアップ投資を含むオルタナティブ投資やサステナブル投資など、運用対象の多様化も進めていただきたいと思います。これは、厚みのある資本市場の構築や、皆様の運用力の向上にも資すると同時に、成長と社会課題の解決の主役となる有望なスタートアップ企業の育成にも貢献する、重要な取組です。
私は、国内外の優れた金融機関や人材が日本に集まり、互いに切磋琢磨(せっさたくま)することで運用能力を高め、より良い商品やサービスを提供する金融資本市場を実現したいと考えています。新規参入支援の拡充等を通じた競争の促進など、資産運用業の改革に向けた具体的な政策プランを、年末までに策定してまいります。皆様におかれましては、ここで変わらなければ取り残されるこういった強い危機感を持って、抜本的な取組を行っていただくことを期待しております。
そして本日から、初めての試みとして2週間のジャパン・ウィークスが始まります。この期間には、多くの海外投資家が日本を訪れ、資産運用立国の実現に向けた意見交換が行われます。皆様におかれてましても、この機会に海外の方々と直に触れ合い、日本の金融資本市場の活性化に向けて考えを深めるとともに、日本市場の魅力を発信する好機としていただければと思っております。最後になりますが、皆様のますますの御活躍と御発展を祈念するとともに、成長と分配の好循環の実現に向けて皆様のお力添えを賜(たまわ)りますこと、心からお願い申し上げて、私の御挨拶とさせていただきます。本日は誠におめでとうございます。」