こども未来戦略会議
令和5年6月1日、岸田総理は、総理大臣官邸で第5回こども未来戦略会議を開催しました。
会議では、こども・子育て政策の強化について議論が行われました。
総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。
「本日は、こども未来戦略方針案について御議論いただきました。若年人口が急激に減少する2030年代に入るまでが、少子化トレンドを反転することができるラストチャンスです。今回の戦略の基本的考え方として、2つの重要なポイントがあります。
第1に、経済成長実現との両立を図り、若者・子育て世代の所得を伸ばすことです。このため、新しい資本主義の下、力強い成果が出始めている賃上げと人への投資、民間投資の増加の流れを加速化することで、安定的な経済成長の実現に先行して取り組みます。そして、経済成長の果実が若者・子育て世代にもしっかりと分配されるよう、最低賃金の引上げや三位一体の労働市場改革を通じて、持続的かつ構造的な賃上げを実現してまいります。第2に、スピード感です。児童手当やこども誰でも通園制度の取組を始め必要な施策は、来年度から速やかに実施をしていきます。
次元の異なる少子化対策としては、3つの理念、すなわち、構造的賃上げ等と併せて経済的支援を充実させ、若い世代の所得を増やすこと、2番目として社会全体の構造や意識を変えるということ、3つ目、全てのこども・子育て世帯をライフステージに応じて切れ目なく支援すること。この3つを基本理念として抜本的に政策を強化いたします。
これまでの議論を踏まえて、試案における加速化プランの内容を具体化することに加え、高等教育費の更なる支援拡充策、今後こども大綱の中で具体化する貧困、虐待防止、障害児・医療的ケア児に関する支援策についても、前倒しして実行することとし、全体として3兆円半ばの充実を図ります。
これらにより、我が国のこども・子育て関係予算は、子供一人当たりの家族関係支出で見て、OECD(経済協力開発機構)トップ水準のスウェーデンに達する水準となり、画期的に前進することとなります。
財源の在り方についても御議論いただきました。次元の異なる少子化対策と、若者・子育て世代の所得向上とを、いわば車の両輪として進めていくことが重要であり、少子化対策の財源を確保するために、経済成長を阻害し、若者・子育て世代の所得を減らすことがあってはなりません。少子化対策の財源は、まずは徹底した歳出改革等によって確保することを原則といたします。全世代型社会保障を構築する観点から歳出改革の取組を徹底するほか、既定予算を最大限活用いたします。
このことによって、実質的に追加負担を生じさせないことを目指します。経済成長の実現に先行して取り組みつつ、歳出改革等を複数年にわたって積み上げていくことで安定財源を確保してまいりますが、2030年の節目に遅れることがないように、少子化対策は前倒しで速やかに実施することとし、その間の財源不足にはこども特例公債を発行いたします。経済を成長させ、国民の所得が向上することで、経済基盤及び財政基盤を確固たるものとするとともに、歳出改革等による公費と社会保険負担軽減等の効果を活用することによって、国民に実質的な追加負担を求めることなく、少子化対策を進めてまいります。
これまでの御議論を踏まえて、試案を具体化し、更に拡充させることができました。今後、与党とも十分に連携しつつ、骨太の方針に向けて、こども未来戦略方針を取りまとめてまいります。皆様方におかれてましては、引き続き、御協力を頂きますようお願い申し上げます。」