日本取引所グループ大納会

更新日:令和4年12月30日 総理の一日

 令和4年12月30日、岸田総理は、都内で開催された日本取引所グループ大納会に出席しました。

 総理は、挨拶で次のように述べました。

「内閣総理大臣の岸田文雄です。
 本日は、日本取引所グループ大納会にお招きいただきまして、誠にありがとうございます。
 本年の締めくくりとして、この1年間私も毎週放送を楽しみにして見させていただきました、大河ドラマ鎌倉殿の13人の脚本を書かれた、三谷幸喜(みたに こうき)さんと御一緒させて頂くことができ、大変嬉しく思っております。
 岸田政権が掲げる新しい資本主義は、様々な社会課題を成長のエンジンに転換し、官民連携して、力強い成長を実現することで、持続可能で、そして包摂的な経済・社会を創り上げていくための包括的な政策パッケージです。中でも、本年11月に決定いたしましたスタートアップ育成計画と資産所得倍増プランは重要な柱であり、その実行には、資本市場、そして市場に関わる皆様の力が欠かせないと思っています。
 私は、日本経済の持続的成長、そして、日本が直面する様々な社会課題の解決を担う主役は、スタートアップであると考えており、来年は、その育成に一段と力を入れていきたいと思っています。
 近年、卒業後にスタートアップを起業する大学生や、社会的課題の解決に強い志を持つ若い起業家たちが増えてきており、こうした前向きな変化を後押しするため、スタートアップ育成に向けた1兆円の予算措置を講じました。あわせて、スタートアップへの投資額を5年間で10倍、約10兆円規模に増やすことを視野に、5か年計画を策定いたしました。また、保有する株式を売却してスタートアップに再投資する場合の優遇税制を創設いたします。
 スタートアップにとって、東証は、上場により成長資金を広く集め、市場の中で更に成長する機会を提供してくれる重要な場であると思います。日本からユニコーン企業が次々と輩出されていくよう、新規上場プロセスや上場審査のあり方を見直すなど、政府とともに市場改革を進めていただきたいと期待をしております。
 こうした取組により、スタートアップに資金が円滑に供給される資本市場、そして若者が躊躇(ちゅうちょ)なくスタートアップに飛び込んでいけるスタートアップ・エコシステムを皆さんと共に作り上げていきたいと思っています。
 同時に、来年は資産所得倍増プラン元年として、貯蓄から投資へのシフトを大胆・抜本的に進めていきます。
 日本の家計金融資産2,000兆円の半分以上が預金・現金で保有されています。この結果、この20年間で米国では家計金融資産が3倍、英国では2.3倍になった一方、日本では1.4倍にとどまっています。ここに、私は日本の家計金融資産が大きく拡大することができるポテンシャルがあると考えており、資産から投資への動きを幅広い層に拡げることが重要であると考えています。
 このため、NISA(少額投資非課税制度)の抜本的拡充・恒久化と、iDeCo(個人型確定拠出年金)制度の改革を行うとともに、顧客本位の業務運営、金融経済教育の充実、消費者が信頼できるアドバイスの提供の推進といった総合的な取組を進めていきます。
 このうち、特にNISAについては、長年の課題であった制度の恒久化を実現し、金融商品から得た利益が非課税となる期間を無期限とするほか、年間投資額や非課税保有限度額の上限を大幅に拡大いたします。これによって、より多くの国民の、より多くの投資が、より長期間、非課税となります。
 現在、NISAの口座数は1,700万口座、累計の買付額は28兆円です。政府はこれを5年間で倍増させることを目指していきます。その実現の上でも、東証の果たす役割は重要だと思います。東証が国民から信頼され、投資家にとって魅力ある市場となるよう、市場改革やコーポレートガバナンスの向上、開示の充実、上場商品の多様化といった取組をしっかりと進めて頂きたいと思っております。官民一体となって、個人の証券投資を盛り上げていきましょう。
 来年は新しい資本主義を本格起動させていく年です。北条義時が新しい武士の時代を切り開いたごとく、多くの政策課題がありますが、一つ一つ乗り越えて、成長と分配の好循環を実現し、新しい日本を切り開いていく決意です。
 新しい年が日本経済、そして国民の皆様にとって良い年となるよう、全力で政策課題に取り組んでまいります。
 皆様、そして三谷さん。今日は誠にありがとうございました。」

これまでの総理の一日