GEA国際会議2022開会式
令和4年10月27日、天皇皇后両陛下御臨席の下、岸田総理は、都内で開催されたGEA(地球環境行動会議)国際会議2022開会式に出席しました。
開会式では、GEA会長による主催者挨拶の後、天皇陛下がおことばを述べられ、続いて、総理が挨拶を行いました。
総理は、挨拶で次のように述べました。
「天皇皇后両陛下の御臨席を賜り、13回目となる地球環境行動会議が開会されるに当たり、一言御挨拶を申し上げます。
近年、我が国を含め、世界各地で、大雨、台風、干ばつなどの自然災害や異常気象が相次いでいます。気候変動は、気候危機と呼ぶべき人類共通の待ったなしの課題です。私も参加した昨年のCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)でのグラスゴー気候合意により、世界は排出削減の実施のフェーズに入りました。パリ協定の実現に向け、全ての国による実効性のある行動が不可欠です。
こうした中、ロシアによるウクライナ侵略によって、エネルギー安全保障をめぐる状況は一変しました。我が国経済と国民の暮らしを守る上での大前提である、エネルギーの安定供給を確保しながら、2050年カーボンニュートラルを実現しなくてはなりません。
グリーン・トランスフォメーション、いわゆるGXは、そのための切り札です。年内に、GX推進のための今後10年間のロードマップを策定し、官民一体で脱炭素投資を促進します。気候変動問題を成長のエンジンとして、エネルギー供給構造だけでなく、産業構造、国民の暮らし、地域の在り方全般にわたる大変革に取り組んでまいります。
そして、経済成長に伴いエネルギー需要の拡大が見込まれるアジアにおいて、カーボンニュートラルを実現するには、膨大な投資が必要です。アジア・ゼロエミッション共同体構想などの国際戦略も具体化させ、アジア、そして世界の脱炭素化と成長を牽(けん)引してまいります。
生物多様性の保全や、海洋プラスチックごみ対策は、気候変動対策と並ぶ地球規模での重要な課題です。
本年は、この分野での新たな国際枠組みに向けた節目の年と言えます。我が国は、本年4月、プラスチック資源循環促進法を施行し、また2030年までに陸と海の30パーセント以上の生態系を保全する、サーティー・バイ・サーティー目標の達成に向けたロードマップを公表しました。こうした先進的な取組を発信し、世界の議論をリードしてまいります。
また、ウクライナ情勢は、生産資材や穀物の国際価格の高騰にもつながっています。食料安全保障上のリスクは高まっており、食料安定供給の基盤強化に向けた取組も急務です。
こうした状況の中、今回の会議において、気候変動、エネルギー、食料の安全保障を中心に、持続可能な社会を実現するため、実りある活発な議論が行われることを大いに期待しております。
来年は我が国がG7の議長国です。複雑に絡み合う地球規模の諸課題に立ち向かい、地球の未来を切り拓(ひら)くため、国際社会を主導してまいります。最後になりますが、本日御出席の皆様の御健康とますますの御活躍を祈念し、私の御挨拶とさせていただきます。」