物価・賃金・生活総合対策本部
令和4年9月9日、岸田総理は、総理大臣官邸で第4回物価・賃金・生活総合対策本部を開催しました。
会議では、経済・物価の現状と対応策について議論が行われました。
総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。
「世界的な物価高騰の中で、国民生活や事業活動を守り抜くことは岸田政権の最優先課題の1つです。足元の物価・景気の状況に速やかに対応するため、前回の本部で取りまとめを指示した追加策について、早急に実行に移します。
第1に、食料品です。輸入小麦の政府売渡価格の据え置きに加え、配合飼料について、10-12月期の飼料コストを現在の実負担水準まで抑制する緊急対策を実施します。あわせて、食品ロスの削減を図るため、厳しい納品期限の商習慣の見直しを食品業界に要請するなど取組を抜本的に強化します。それでも発生する賞味期限内食品のフードバンク等への寄付を促進し、生活困窮者支援につなげます。
以上の措置に加えて、本日の食料安定供給・農林水産業基盤強化本部において、今後の取組として、下水汚泥・堆肥等の未利用資源の利用拡大による肥料の国産化、小麦・大豆・飼料作物の国産化、食品ロス削減対策の更なる強化と社会的弱者への対応の充実を柱として、来年に結果を出せるよう、緊急パッケージを策定することを農林水産大臣に指示しました。関係大臣と連携して早急に取りまとめてください。
第2に、エネルギーです。ガソリン等の燃料油価格については、リッター当たり200円を超えていたガソリン価格を約170円に抑制してきました。足元の原油価格の水準を踏まえつつ、燃料油価格抑制のため措置を引き続き年内実施いたします。
また、エネルギーの供給力確保については、この冬に最大9基の原子力発電所の稼働を確保するとともに、その後を見据えて、設置許可済みの原発の再稼働に向け、国が前面に立って対応いたします。
更に、経済産業大臣においては、不測の事態に備えた追加的な燃料を確保する取組を進めるとともに、電力会社とガス事業者間でLNG(液化天然ガス)を融通できる枠組の創設、アジアLNGセキュリティ強化策に早急に着手してください。
第3に、生活者・事業者支援です。地方創生臨時交付金等に基づく地域の物価高騰対策が進展していることを確認しました。例えば、給食費については、99パーセントの自治体において値上げされずに留め置かれており、こうした取組を更に重点的に強化する必要があります。このため、重点強化策をメニュー化した6,000億円規模の電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金を新たに創設します。
第4に、低所得世帯への支援です。電力・ガス・食料品等の生活必需品の物価上昇によって、特に低所得世帯で大きな影響が出ている状況に緊急に対応する必要があります。このため、電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金を新たに創設し、住民税非課税世帯に対して1世帯当たり5万円をプッシュ型で給付し、各家庭に迅速にお届けすることといたします。
こうした物価高騰対策と同時に、物価上昇に負けない持続的な賃上げ実現に向けた総合的な取組が重要です。この一環として、価格転嫁対策の取組を更に進めます。今月9月の価格交渉促進月間を契機とし、私からもメッセージを発したところであり、下請事業者15万社への調査に基づき、親事業者の代表者に指導・助言を行うことで、トップから現場までの意識を変え、価格交渉と価格転嫁の取引慣行を定着させます。
また、過去最大となる31円の最低賃金の引上げを踏まえ、事業場内で最も低い賃金を引き上げる事業者への支援や、最低賃金引上げの影響を強く受ける事業者への支援を強化いたします。
これらの支援を迅速にお届けするため、今月下旬に、新型コロナ対策とあわせて、3兆円半ばのコロナ・物価予備費を措置いたします。
その上で、経済は生き物であり、国際商品市況の動向や世界的な金融引締め等が海外経済に与える影響などを注視しつつ、物価・景気の状況に応じて、切れ目なく大胆な対策を講じてまいります。このため、この秋に、総合経済対策を策定いたします。関係閣僚におかれては、最大限の警戒感を持って引き続き対応していただくようお願いいたします。」