物価・賃金・生活総合対策本部
令和4年7月15日、岸田総理は、総理大臣官邸で第2回物価・賃金・生活総合対策本部を開催しました。
会議では、経済・物価の現状と対応策について議論が行われました。
総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。
「本日、第2回物価・賃金・生活総合対策本部を開催し、経済・物価の現状と対応策について、議論を行いました。
今回の物価高騰は、ロシアのウクライナ侵略がもたらした世界的な問題であり、各国とも大幅な物価高に直面しています。
そうした中で、先般のG7サミットにおいては、G7が団結してこの困難を乗り越えていく決意を共有し、ロシア産原油を一定の上限価格以上では買わない、買わせないための仕組みを作ることや、世界の食糧庫と言われるウクライナの小麦輸出を再開させる様々な支援措置などについて合意いたしました。
こうした国際社会の動きは、例えば、足元、小麦の先物価格がウクライナ侵略後のピーク時より約4割下落するなど、国際商品市場に好影響をもたらしつつあります。
国内においても、物価上昇が国民生活に大きな影響を与えていることを重く受け止め、地域の実情に応じたきめ細かな支援や、物価上昇のほとんどを占めるエネルギーや食料に集中して対策を講じています。
引き続き、世界レベルから地域レベルの取組まで、切れ目なく、しっかりとした対策を実施し、国民生活を守り抜く決意です。
まず、地域の実情に応じたきめ細やかな支援については、本日の説明にもあったように、6月の地方議会を経て、1兆円の地方創生臨時交付金を活用した様々な支援策が前進しています。
個人向けに、低所得者への給付金の上乗せ、給食費支援、ヤングケアラーに対する配給支援など、事業者向けに、電気料金等の高騰に対応するための地場産業支援や、水産・施設園芸・畜産の経営支援など、様々な対策を講じていきます。
政府として、引き続き、こうした様々な取組をフォローし、効果的な対応を全国に横展開してまいります。その上で、自治体の実施状況を踏まえつつ、必要に応じて地方創生臨時交付金を更に増額し、対策を一層強化していきます。
また、エネルギー、食料品に関して、前回の本部で具体化を指示した対策を、早急に実行に移します。
まず、実質的な電気代負担の軽減です。地方創生交付金を活用した、地域の実情を踏まえた電力料金対策に加え、電力需給ひっ迫と電気料金高騰の両方に対応する新たな枠組みとして、電力会社の節電プログラムへの登録に対するポイント付与を実施いたします。
そして、食料品価格の上昇抑制策です。化学肥料2割低減の取組を行う農業者に対し、肥料コスト上昇分の7割を補填することで、全体として生産コスト1割削減を目指す新しい支援金の仕組みを設けます。秋の肥料に十分に対応できるよう、6月に遡って支援していきます。
これらについて、今月中にも予備費を措置し、迅速にお届けします。
賃金については、昨年来、官民が連携した取組の結果、本年の春闘では、賃上げは過去20年間で2番目に高い引上げ率となりました。
さらに、今年度の最低賃金については、早期に全国平均1,000円以上とすることを目指し、今般の物価上昇を踏まえ、官民が連携してしっかりとした引上げが行われるよう議論を進めてまいります。
物価上昇が続く中において、賃上げを持続させていくことが重要です。賃上げの流れが、よりしっかりとした、そして継続的なものとなるよう、新しい資本主義の実現に向けた動きを本格化させ、総合的な取組を進めてまいります。
世界的な物価高騰は、依然として予断を許さない状況です。
今後とも、私が本部長を務めるこの本部において、緊張感を持って、物価・景気の状況を把握し、5.5兆円の予備費を機動的に活用しながら、状況に応じた迅速かつ総合的な対応に切れ目なく取り組んでまいります。
関係閣僚におかれましては、最大限の警戒感を持って引き続き対応していただきますよう、よろしくお願いいたします。」