物価・賃金・生活総合対策本部
令和4年6月21日、岸田総理は、総理大臣官邸で物価・賃金・生活総合対策本部を開催しました。
会議では、物価動向に関するヒアリングに続き、物価上昇による影響と課題について議論が行われました。
総理は、物価動向に関するヒアリングの挨拶で次のように述べました。
「本日は大変お忙しい中、物価動向に関するヒアリングに御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
ロシアによるウクライナ侵略を受けて、世界的に物価が上昇しており、日本でも、エネルギーや食料品を中心に物価が上昇しています。
そうした中、本日は、小売や食料品、農業者あるいは消費者といった現場の皆様から、現下の物価動向に関し、どのように実感しておられるのか、また、各分野における対応策の方向性について、直接お話を伺えればと思って、こうした場をお願いした次第でございます。
皆様から忌憚(きたん)のない御意見を頂ければと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。」
最後に、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。
「本日は、先ほど現下の物価上昇の影響と課題について、主に食品関係や農業関係、消費者団体の方々から体感されている現場の生の声を、直接、お聴きいたしました。その上で、物価・賃金・生活総合対策本部の初会合を行いました。
頂いた御意見をしっかり受け止め、まずは、小麦等の食品原材料や肥料・飼料等の価格高騰対策、エネルギー価格の抑制策を含む事業規模13兆円の総合緊急対策を着実かつ迅速に実行し、物価高騰等の影響から国民生活や事業を守ってまいります。
その上で、価格高騰が顕著な品目や地域ごとの価格高騰の状況に応じて、きめ細かな対応を更に講じてまいります。
食料品については、輸入小麦価格や飼料コストの抑制策に加え、農産品全般の生産コスト1割削減を目指して、2008年の対策も参考に、グリーン農業と肥料高騰への大胆な支援を組み合わせた、新しい支援金の仕組みを創設し、実施していきます。
また、エネルギー価格については、これまでのガソリン価格の激変緩和策に加え、電気料金については、消費者向けに、一定の定額部分とともに、利用効率化に応じて、幅広く利用できるポイントを付与する制度をつくるとともに、事業者がもう一段の節電をした場合に、電力会社が節電分を買い取る制度を導入することで、実質的に電気代負担を軽減いたします。
さらに、これから夏を迎える中で、旅行代金等の上昇に対応する観点からも、コロナの感染状況の改善が確認されれば、7月前半にも、いわゆる全国旅行支援を起動してまいります。
物価上昇の状況やその影響は地域によって異なります。
国から1兆円の地方創生臨時交付金を交付し、地方公共団体による、地域に根ざした自主的な取組を強力に支援いたします。これまで、生活者には、生活困窮者への1万円から5万円の給付金、水道など公共料金の引下げ、給食費支援など、また、事業者には、中小企業への原材料費支援、事業継続支援、省エネ設備等の導入、運輸・交通・観光事業者への助成金などの支援、農林水産業者への経営支援や肥料購入支援など、地域の事情に応じた様々な物価高騰対策が講じられており、これらが実行に移されます。
政府として、こうした地域の事情に応じた様々な取組をフォローし、地方自治体の御協力を得て一層強化するとともに、効果的な対応については全国に横展開していきます。このため、今後、必要に応じ、5.5兆円の予備費も活用して、地方創生臨時交付金の更なる増額を行います。
あわせて、継続的な賃上げを目指します。春闘の結果、過去20年間で2番目の高い引き上げ率となる2.09パーセントの賃上げ、そして夏のボーナスの増加が実現する見込みです。さらに、今年度の最低賃金について、早期に全国平均1,000円以上とすることを目指し、物価が上昇する中で、官民が連携して、しっかりとした引上げが行われるよう、議論を進めてまいります。
中小企業の価格転嫁の円滑化に向けた施策を進めてまいります。他方で、国民生活を守るためにも、便乗値上げには厳正に対処してまいります。
今後とも、国民の声に耳を傾け、生活に直結する食料品価格や穀物価格、エネルギー価格等の物価動向やその経済に及ぼす影響を注視し、きめ細かく、そして切れ目なく対応してまいります。
関係閣僚におかれては、最大限の警戒感を持って引き続き対応いただくようお願いいたします。」