地方における知財活用促進タスクフォース 議事要旨(第3回)
【日 時】 | 平成27年4月9日(木)13:00〜15:00 |
【場 所】 | 中央合同庁舎4号館1階108会議室 |
【出 席 者 】 | 吾妻委員、久貝委員、窪田委員、坂井委員、鮫島委員、西村委員、土生委員、前田委員、渡部座長、三木オブザーバー、落合参考人、鈴木参考人 |
【政 務】 | 平副大臣、松本大臣政務官 |
【事 務 局 】 | 横尾局長、増田次長、磯谷次長、田川参事官、北村参事官 |
【関係府省】 | 内閣府総合科学技術・イノベーション会議事務局、特許庁、中小企業庁 |
平副大臣による挨拶、知財事務局による「地方における知財活用促進に関する有識者の主な意見」に関する説明の後、鮫島委員、落合参考人及び鈴木参考人からそれぞれ配付資料に沿って説明、その後、委員等の間で意見交換を実施。意見交換の概要は以下のとおり。
- 知財ビジネス評価書があれば中小企業への融資にプラスになることは間違いない。
- 人の作った評価書で「良い」と言われても、金融機関はお金を出さない。金融機関自身が評価書を書けるようにならなければならない。「こういう知財を使ったらこういうビジネスが出来るのではないか」ということを中小企業と金融機関とが一緒に考えていくようにしないといけない。
- 信用金庫は「特許」と言う言葉を出すと引いてしまうが、「特許を活用するビジネスを作る」と置き換えるとかなり動いてくれる。
- 知財に対する金融機関の理解を深めるためには、コミュニケーションツールとしての少し気軽な知財の見方を金融機関に伝えていくことが重要である。
- 知財を持つメリットがあまり中小企業に実感されていない。特許で収益をあげられればメリットが実感されると思われるので、大企業の知財部のノウハウを中小企業に提供するような仕組みができないか。
- 「開発には自信があって商品は作ったが売れない」と固まっている中小会社が多い。成果が出ている中小企業は、事業を推進していく中で上手に知財を使っている。そういうことをアドバイスできる人を育成していくしかない。
- 地域で頑張っている企業は、特許を目標にしながら新しい製品を開発して、それを国が世界で初めてだと認めてくれたことで自信を持つ。営業マンも、「この製品は特許を取っている」、「他の会社とは違う」、「中小企業でもすごい」という誇りをもって仕事をしている。そうしたことが力になって、周りも面白い会社だといって興味を示してくれる。
- 「侵害されても裁判で勝てないから特許を取っても意味がない」という考え方に囚われているが故に上手くいかないというケースが中小企業には多い。権利行使以外の知財の効果について伝えていかなければならない。
- 訴訟は権利保護の最後の砦であるので、中小企業に対しては、誰かが訴訟の支援をしてあげなくてはならない。ただ、知財総合支援窓口ではさすがに無理であろうから、民間(弁護士)が半分は思い入れと気合で支援するしかない。
- 中小企業支援については中小企業のレイヤーをきっちり分けて検討すべきである。例えば、技術系ベンチャー企業にとっては特許が極めて重要である。中小企業のレイヤーを分けて支援策を考えなければいけないと言うのはその通りだが、レイヤーを分けてそれぞれに施策を用意することは現実的ではなく、その隙間を埋めるのは「人」しかない。その中小企業に合わせて対応できる「人」が大事で、そのような「人」を育てるにはフィールドワークしかない。
- 知財から入るようなやり方で事業を作ることはできない。事業を作り出す上で大事なのは、事業化に結び付けるための人であり、その人のモチベーションをどう上げるかである。
- 大企業で要らなくなった特許を使って何かをやろうとするにしても、10億円、20億円の事業を作る場合と、数千万円、数億円で売れる製品を作るという場合とで分けた方がよい。
- 中小企業は自身の専門分野には強いが、その分野から外れると素人同然である。他方、大企業のOBは他分野の技術もよく知っており、上手くコーディネートして事業化できる。また、良い製品が完成すれば、元の企業に連絡して販路開拓まで行える。大企業のOBの活用を検討すべきである。
- 大企業の開放特許のデータベースがあれば、専門家の力を借りてビジネスモデルを作ることができる。このようなビジネスモデルを組み立てることができる体制整備を行うべきである。
- 大学と中小企業との共同研究については、中小企業が単独で特許をしっかり取るのは難しいので、大学側が知財マネジメントを行う体制を作っていくべきではないか。
- ライセンス料を下げるか無償として代わりにライセンス件数を数多く稼ぐこととし、大学の特許の中小企業への移転を促進して事業化に結び付けることで、大学は地方貢献をすべきではないか。
- TLOで成功しているところは、知財を活用したビジネスを行うことを持ち掛けて、結果として、知財があるのでライセンス料をいただく、ということを行っている。
以 上
|