○阿部会長 それでは、お集まりのようでございますので、知的創造サイクル専門調査会第10回会合を開催させていただきます。座ったまま進行させていただきます。
本日は、先生方お忙しいところを御参集いただきまして誠にありがとうございます。
最初に本日、参考人として御発言をいただく方を御紹介させていただきます。経済産業省特許庁の山本雅史総務課長でございます。
○山本参考人 山本でございます。よろしくお願いいたします。
○阿部会長 後ほど「イノベーション促進のための特許審査改革加速プラン2007」という特許庁の取り組みについて御紹介をいただく予定でございます。
それでは早速ですが、知的創造サイクルの推進方策についての議題に入らせていただきます。前回の御議論を踏まえながら、事務局において委員の皆様方及び関係省庁と調整をして報告書案を取りまとめました。この報告書案につきまして、藤田次長から説明をしてください。
○藤田次長 お手元の資料の1をごらんいただきたいと思います。
前回お示しした案について、いただいた御意見、それから各省と協議をしていただいた御意見などを踏まえまして調整した結果が資料1でございます。前回の資料からの変更点についてはアンダーラインが引いてございます。前回からの変更点のうち主なものについて簡単に御説明を申し上げます。
最初に8ページをごらんいただきたいと思います。「大学等やTLOの知財関連活動を強化する」というところでございますけれども、(1)で「特に知財本部等が未整備の大学については」、前回はここで「知財本部等の整備のみならず」ということが入っておりませんでしたけれども、知財本部の整備も含めて体制を構築することを促すということでこの部分を加えてございます。
それから(2)ですが、アンダーラインのところで「各大学の主体的な判断により、知財関連活動にも適切な資源配分を行う」ということを加えております。
それから(3)ですが、「産学官連携の現場に生じている課題に適切に対応する」ということで、ここは前回の案に比べて少し具体的に書き込んでおります。「学生等による発明の権利の帰属や秘密保持等の取扱いに関する規定の整備、大学発ベンチャー等のストックオプションの大学等による取得の促進、知的財産の取扱いに関する大学等と企業との相互理解の促進」と少し詳しく書いてございます。
次に9ページで(3)ですが、「イノベーションの妨げとなる仕組みを改革する」ということで、ここもアンダーラインのところを少し具体的に書き込んでございます。「知財の取得・活用へのインセンティブを阻害するような知財収入の取扱いに係る予算上の制約を緩和するなど」云々ということになっています。
次に10ページです。(1)で最後のところですけれども、「若手人材の育成及び人材の流動化」ということで、ここを加えております。
それから(2)のアンダーラインのところですが、研究開発型独法において「異なる分野の知識の融合により技術経営力の強化に寄与する人材」の育成ということで、これは特に産総研の業務追加を念頭に置いてこういう記述を加えております。
(3)は「海外留学・研修等を促し」ということを明示的に書き加えてございます。
少し飛びまして15ページでございます。世界特許システムのところですけれども、(1)の「One Applicationの更なる推進を図る」というところでございますが、日米欧の三極の特許庁によって出願要旨が統一化の合意が去年の秋になされたわけですけれども、その「早期の運用開始及び」、ここからが付け加えたところでございまして、合意された統一様式によってPCT出願も可能とするようなPCT規則の改正を目指すということで、WIPOの委員会においてPCT出願にも適用できるようにしていこうということを追加しております。
それから後段のところですが、「三極の統一様式に含まれなかった事項についても」ということで、その例示にその前のところで「請求項の記載形式など」と書いてございますけれども、前回の案はこれに加えて「料金体系の統一」ということが書いてございましたが、三極の出願様式の統一化の合意がつい先日なされたばかりで、直ちにこの料金体系の統一に取り掛かるのはやや困難が大きいという指摘がございまして、料金体系の統一については明記しないようにしてございます。
次に、17ページでございます。農林水産分野の知財戦略で(1)のところですが、前回お示しした案では「農林水産分野の知財情報の一元化」というふうに書いてございましたけれども、知財情報のデータベース化を図るとともに、「知財の効果的な活用を促進するため、これら公的機関及び実需者の交流の場の設定等により、農林水産分野の知財に関するネットワークを構築する」ということで、少し広がりを持った書き方になっております。 次に19ページで「模倣品・海賊版対策」です。まず「基本認識」の最後のところですけれども、「国内外で我が国企業や消費者を模倣品・海賊版による被害から守り、抑止力の向上を図るよう、官民挙げて強力かつ効果的な対策を講ずることが求められている」ということで、少し書き加えて抑止力の向上かつ効果的なという部分を強めてございます。
一方、(2)の@の「著作権法における「親告罪」を見直す」というところです。ここは前回の会議でもいろいろ御議論いただいたところでございますが、「海賊版の氾濫は、文化産業等の健全な発展を阻害し、犯罪組織の資金源となり得るなど、経済社会にとって深刻な問題となっている。重大かつ悪質な著作権侵害等事犯が多発していることも踏まえ」ということで、前回の書きぶりはここに抑止力の向上を図るために親告罪を見直すという書き方になっていたわけですけれども、むしろ抑止力の向上ということではなく、その犯罪の被害が非常に深刻であり、重大である、あるいは悪質なものが増えている。こういうことを踏まえて、親告罪を見直すというふうに理由づけのところを変えてございます。
それから、最後のところですが、「非親告罪の範囲拡大を含めて見直しを行い、必要に応じ法制度を整備する。」ということで、非親告罪にすることを余り断定せずに、更に御議論を深めていただくということでこういう言い方にしてございます。
それから、20ページの(3)の後段のところでございますけれども、これはインターネットオークションで模倣品・海賊版が出品されているときに、違法出品の削除あるいは出品者情報の開示がより迅速に行われるよう、前回の案は「迅速に行われるよう、制度の導入を図る」となってございましたけれども、現在総務省の方でこうした迅速化のためにガイドラインを整備しておりまして、その関連するガイドラインを周知し、その運用を促進する。そして、その効果を検証しながら「更なる対策の検討を行い、必要に応じ法制度等を整備する」ということで、2段構えの書き方に変更されております。
次に、23ページでございます。四角の中でございますけれども、前回の文章では「我が国の企業等が保有する産業財産権の約半分が利用されていない」という書き方になってございましたが、利用されている、されていないの定義が自分でその特許を行使しているか、あるいは特許権を他人に許諾しているか、そういうものが利用されているのであって、将来のために温存してあるもの、あるいはいまなお研究を深めているようなものについて、それを利用されていないと決め付けるのはいかがなものかという御指摘をいただきましたので、「産業財産権の中には、明確な目的を持たずに保有されているものもあると考えられる」というふうに表現を変更しております。
次に24ページでございます。国際的な知財ライセンス活動の円滑化のところですけれども、(2)ですが、「移転価格税制を考慮した適正な知財ライセンスを促進する」ということで、「企業が海外子会社等に対し知的財産のライセンス等を行う場合、移転価格税制を考慮して、当該知的財産に係るライセンス料等について適正な独立企業間価格の算定を行い、当該価格による取引を行うよう促す」ということで、前回はもう少し移転価格税制を正面から書いてございまして、「移転価格税制の規定に基づいて適正な」云々という書き方になっておりましたけれども、移転価格税制の問題は裾野が広うございまして、必ずしもこの知財の部分だけで論ずることが難しいところもございますので、移転価格税制を考慮して適正なというふうに表現ぶりを変えてございます。
次に25ページでございます。「国際標準化活動の強化」のところですけれども、ここは「基本認識」の中に少し追加的に、「国際標準化に対する受身の姿勢や標準が技術進歩を阻害するという認識を改め、国際標準を新たな技術を市場化する際の有効なツールとして積極的に活用するとの考え方に立って」と、理由づけのところを補強する書き方になってございます。
次に26ページでございます。「中小・ベンチャー企業の支援」のところの(2)の@ですけれども、ここはどこにもアンダーラインが引いてございません。実は、ワンフレーズここから落としております。元の案は「弁理士ナビにおいて弁理士の専門分野や業務の実績等のユーザーからのニーズの高い情報を含め、開示の義務化を検討するとともに、それ以外の任意の記載情報についてもさらなる開示を進めるよう促す。」というような書き方になってございましたけれども、この「開示の義務化」というのが現時点ではさまざまな情報公開の在り方等々を勘案すると、直ちに開示の義務化に至れるかどうか、法制的にまだ問題が残っているという議論がございまして、「開示の義務化を検討する」というところは落として、「ニーズの高い情報を含め、更なる開示を進めるよう促す」という書き方になっております。
それから、27ページでございます。(3)の@ですが、「各種説明会や無料相談会などの活用やウェブサイトの整備により」というところを委員の御意見によって書き加えてございます。
次に28ページでございます。Cですが、ここは1段落、1項目新規に入れてございます。「効果的・効率的な支援策の在り方を検討する」。「現行の中小・ベンチャー企業に対する知財関連の支援策について、その実効性を検証し、効果的・効率的な支援策の在り方を検討する」ということで、委員の御意見を踏まえて書き加えてございます。
それから(4)の@ですが、「知財に係る不公正な行為を」ということで、これは前の案では「取引」となっておりましたけれども、取引以外の態様もあり得るということで「行為」というふうに言い換えてございます。
それから後段のところですが、「国や地方公共団体において不公正な行為に関する情報の収集を行い、効果的な防止策の検討を進め、必要に応じ措置を講ずる」と、これも委員の御指摘を踏まえて加えてございます。
それからAですけれども、「知財をベースとした大企業からの事業の切り出しやのれん分けを促進する」と、「大企業において活かしきれない技術、ノウハウ等の知的財産やそれらを担う人材がMBO等の手段により中小・ベンチャー企業において活用されることを促す」と、前回もこの項目がございましたけれども、少しわかりにくいという指摘がございまして言いぶりを直してございます。
それから、最後でございます。32ページで「子供の頃からの知財教育の推進」というところでございますけれども、まず「基本認識」のところですが、「知財民度を高めるためには、独創性や他人の権利を尊重する意識の醸成が必要である」と「独創性」を加えてございます。それから、「家庭、地域、教育機関などを含む社会全体が協力して」、ここは「年齢に適した教育」となっていたのですけれども、必ずしも年齢だけではないという御指摘がございまして「段階に適した」というふうに加えてございます。
それから、下の本文の方の(1)のところですけれども、「地域の工作教室等の」となってございましたが、「工作教室、発明教育等の」と書き加えてございます。 主な変更点は以上でございます。
○阿部会長 ありがとうございました。今日は取りまとめということで、事前にいただいていた委員の先生方の御意見を伺った上で事務局で修文をしてくれたわけでございますが、改めてごらんいただきまして、何か追加的な御意見がございましたら伺わせていただきますが、いかがでしょうか。
○板井委員 10ページの(1)の「人材の流動化」という言葉ですけれども、ちょっと語感が違うのかもしれないんですが、私は「流動的活用」なのかと思っていたんですけれども、前田委員が発言された内容は「流動化」ですか。
○前田委員 広く考えて私はこの言葉でもいいのかなと思いましたけれども、もっとイメージが湧く様に表現するならば、板井委員がおっしゃるように「流動的活用」ということになるのでしょうか。「流動化」でもいいのかななどと思いながらいたんですけれども、どうなんでしょうか。
○中山委員 どう違うんですか。
○板井委員 固定してしまった人材を動けるようにしようというものではなかったんですよね。
○前田委員 私の思い描いているイメージは次のようなものです。今43機関に知的財産本部整備事業で支援をされていて、きちんと整備されてきていると言いましょうか、特許の管理をする人はかなり整ってきた。今度は、ライセンスとかマーケットをよく知る人が、これらの大学には入っていくべきであろうし、未整備のところには整備をする人が当然必要になってきますので、このような大学の段階に適した人を配置する。企業と大学と両方のことを知らないとこの分野はやれませんので、そこで培った知識を未整備のところで活用してもらえるような形での流動化ということをイメージしていたんです。
○板井委員 どちらでも結構ですけれども、語感の問題ですね。
○阿部会長 わかりました。せっかくの御発言ですから事務局で少し検討してもらって、もし修文した方がよければしますし、このままでも読めるかなと思ったらそうさせていただきたいと思います。ほかにいかがですか。
では、田中委員お願いします。
○田中委員 特に大きな問題ではないですけれども、幾つか言葉の使い方で御指摘したいと思います。
まず7ページの(2)の「大学、研究開発型独立行政法人等の」という段落の2つ目の、「事前に当該特許の市場性や将来性を評価して」というところです。私どもでは、「特許の市場性」と言いますと、特許そのものを売り買いするとか、そういうニュアンスにどうしても取ってしまうものですから、どちらかというと「当該技術」とか、そういう記載にした方が誤解を与えないのではないかと思いました。
それから、9ページの「基本認識」の2行目の最後の方です。「知的財産を活用した研究開発の戦略化を進める」という部分ですが、「活用」でもいいとは思いますが、この最後の方にも出てくるのですが、「知的財産情報を活用した」あるいは「知的財産を考慮した」とか、その方が比較的誤解を受けないで理解されるのではないかと思いました。私どもでは、パテントテロリストなどに日々接しておりますと、知的財産を活用するというとどうしてもすぐに訴訟というのが連想されるものですから。それから、15ページに飛びます。これは修文をどうするかということではありませんが、三極特許庁間において今いろいろな議論が進んでいるということは理解しておりますし、各特許庁の努力に対しては敬意を払いたいと思います。ただし、世界特許に向けた一番大きな問題というのはアメリカの先発明主義です。アメリカ特許庁等におきましても先発明主義の見直しの動きがありますけれども、是非それを支援するとか、何らかの記述を入れた方がいいのではないか。これは多分、議論が必要なところであると思います。
それから19ページで、これも文言上の問題かもしれませんけれども、「基本認識」のところになりますが、模倣品・海賊版等々、これは定義の問題があります。模倣品はどちらかといいますと純正品とほとんど同じもので、最近出てきていて我々がたいへん苦労しているのは類似品になります。例えばキヤノンでもキャノーナとか、一般消費者が誤解するようなものが大量に出回りまして苦労しております。ですから、この真ん中付近の「また、消費者の企業ブランドへの信頼を低下させ」というところにその辺を明確にして、例えば「消費者が誤認するような模倣品の場合」等を入れればそういう誤解がなくなるかなと思います。あるいは「類似品」と言ってもいいかもしれません。そういった部分が少し気になります。
それからもう一点が、これは既に議論された部分だと思いますし、これも言葉の問題になるかと思いますが、25ページの「国際標準」という言葉についてです。私どもでは、標準をやっておりますと、「デファクト標準」は一企業の力で運用していく規格、「フォーラム標準」というのは業界として統一して定める規格、「国際標準」といいますとISO、IECのようなデジュール標準をどうしてもイメージしがちでございます。そういった意味で、国際標準という言葉をどのように扱ったらいいかというのは、若干気になるところでございます。ここをこうしたいということではありませんけれども、やはりこれも言葉の定義の問題かと思います。以上でございます。
○阿部会長 ありがとうございました。今の御発言に関して何かございますか。
○下坂委員 25ページで、トータル的には2行半ぐらい増やしていただきまして、本来は先回発言すべきところだったのだろうとは思うんですけれども、これが2行増の8行になっておりまして、その点は大変ありがたく思ってはいるのでございますが、このページの表現はちょうど私と同じで大変控え目で、短く、奥ゆかしく書かれておりますし、ほかに比べて短冊の下の項目もすらっと投げやりな感じがします。
私ども9月、10月、11月と国際標準が日本の産業発展に重要だということで随分やってまいりました。おかげで、やっとある程度の知識を得たところでございますけれども、この推進計画を読む人たちというのは多分私レベルの方が多いであろうと考えられます。この書き方ですとはっきりしないところがございます。先ほど御指摘がありましたようなデファクト、デジュール、ISO、IECというようなものがあって初めて私どもは何のことを言っているのかがわかるのでございますけれども、そういうところがはっきり見えません。国際標準という言葉だけでございますので、そこをもう少し御検討いただきたいと思っております。重点的に検討したものが標準戦略ということで出ておりますが、これはかなり分厚くてなかなか読めませんので、推進計画を見た方がすぐわかるということが必要と思っております。
それで、まず私どもこれを検討して参りましたときに、フォーラム、コンソーシアム、デジュールなどいろいろあるけれども、WTOのTBT協定や、政府調達協定によってISO等に合わせる必要があるというふうに考えて来ました。国家的にいろいろリードしていかなければ日本の現状は変わっていかないとも考えております。
それで、できましたら、わかりやすいように「国際標準を新たな技術を市場化する際の有効なツールとして」というところに、例えば「ISO等の」というような表現を入れていただきたい。もう少し具体的に入れていただければありがたいと思います。
それから短冊の下にたった1個、1行しかないわけですね。これ非常に寂しいんですけれども、「産学官を挙げて国際標準総合戦略の確実な実行を図る」となっておりますが、これだけ見ましたときには国際標準総合戦略という一つにまとめられた文章があるということがわかりません。それで、ここのところは括弧に入れまして、知財戦略本部で2006年12月6日に決定したとか、国際標準総合戦略の書物、データといいますか、報告書がほかにあるんだということをもう少し書いていただければ読んだときにわかりやすい。実行を図るんですけれども、戦略が漠然としておりますので、これだというものが指摘できないということもございます。それで、括弧の中をもう少し具体的にしていただきたいと考えます。
例えば、具体的な方策といたしましては「受身の姿勢」とございますところに、「受身の姿勢、フォーラム、コンソーシアム標準でよしとする考え方や、標準が技術進歩を阻害するという認識を改め」というふうにはっきりと書いていただければ、読んだ人はフォーラムとかコンソーシアムとかをすぐ検討することができます。また、それらがどういうものかということも1、2、3、4の中に概括的にお書きいただければありがたいと思います。
それから、例えば「ISO等の国際標準化活動に関して」という言葉が入ればもっとよくわかると思います。国が行う戦略といたしましては、終局的にはISOなどのトップレベルの標準化をねらっていくべきだろうと思っておりますので、その辺りをもう一度御配慮いただきたいと存じます。
それから26ページで、弁理士に関しましてすごく短くなったのでびっくりしているのですが、いろいろな御配慮をいただきましてありがとうございます。私ども決してやらないと言っているわけではございませんで、これに沿いましてできるだけ開示の方向へ進めていくことを考えてまいります。
○阿部会長 ありがとうございました。
ちょっと議事運営の整理をさせていただきながら御検討いただきたいと思いますが、田中委員から御発言がありました中で、字句の訂正というよりは内容の追加あるいは修正というところに関して言いますと、15ページにアメリカの先発明主義に対する応援を書いたらどうかということと、19ページの類似品のところの御提案がありましたが、まずその2点について先生方いかがでしょうか。もしあれでしたら、事務局からその2点についてお願いします。
○藤田次長 まず15ページの例の先発明主義のところでございますけれども、この専門調査会の報告書はこれまでの推進計画に載っていない事項について御提案、御議論いただくということでつくられてございます。アメリカの先発明主義の見直しにつきましては、既に推進計画2006におきましても、特許制度の国際的な調和を促進するという項目の下に、米国における先発明主義の見直しやグレースピリオドの統一を含めた特許制度の国際的調和のための議論を促進すると書いてございます。そういう意味では、推進計画2007にまとまっていく段階ではアメリカの状況、法案は出ましたけれども、一度廃案になっておりますので、また御議論をいただき、書き加えていく余地があるかと思っております。
それから、類似品のところは私どもとしては模倣品・海賊版というときにはそういう類似的なものも含めて今まで考えてきているかと思います。パナソニックとかソニーとかのアルファベットを1文字いじっただけで非常に紛らわしいようなものが出ているとか、そういうものも模倣品・海賊版ということで対象にしておりますので、もしそれでこの文章が読みにくいところがあったらまた考えたいと思います。
○田中委員 それで結構だと思いますけれども、当事者から見ますと、模倣品・海賊版あるいは権利侵害品ですとか類似品、これはどちらかというと不競法上の問題点になる面もございますが、それぞれかなり厳密に区別しながら対処していこうというスタンスがあるものですから、こういう文章を見ますとちょっと気になるところがあるということでございます。
○阿部会長 それでは、今の前半の先発明のところは少なくとも書き方の問題ですので、2007のときは既にこれについてはこうしているけれども、加えてとかという書き方も可能ですので、何か配慮してもらいたいと思います。
類似品はそれでいいと思います。
それから、7ページと9ページの御指摘は事務局の責任でやってください。
残りの25ページですが、特に下坂委員の御指摘は非常に大きい修正ですので、これについてほかの委員の先生方からも御意見をいただきたいと思いますが。
○下坂委員 2007年の推進計画というのは、目玉的には国際標準化活動ということではなかったのかなとは考えているのですが、それならば読んだときに皆がもっと重大な事項だということが把握できるような表現にしていくべきと考えるのですが。
○吉野委員 私も、基本的に下坂委員の御指摘に賛成したいと思います。もう少しこれはちゃんとふくらませて書いた方がいいのではないかと思います。
もう一つ、これに関して申し上げますと、違うことですが、この基本認識の3行目というのは奥ゆかしくなくてちょっと書き過ぎではないか。といいますのは、日本が標準化に頑張ったとしても全部が全部できるわけではないし、それができなかったものはギブアップしろというようなことになっているんですね。したがって、こういう勝負することから抜け出していかなければいけないという話はわかりますけれども、「時代は終わった」というのはちょっと言い過ぎではないか。ほかにもいっぱい分野はありますから、よそからつくられた標準でも頑張って勝負していくのは当然だと思いますので、ここはもう少し書き過ぎないようにということです。
○阿部会長 ありがとうございました。それでは、事務局からどうぞ。
○藤田次長 あっさりし過ぎているという御指摘もあろうかと思いますけれども、国際標準総合戦略については1回目から3回目までのこの専門調査会において御議論をいただき、決定をし、それを12月6日の知財戦略本部会合で更に決定をいただいた。そういう意味では、国際標準総合戦略は既にもう決まって実行の段階に今、入っているという認識の下に、ここについては標準総合戦略の確実な実行とだけ書いてあるわけでございます。
今お手元に標準戦略をお配りしたかと思いますけれども、これを入れるとなるとどこまでどういうふうに入れるのかはちょっと難しいわけですが、例えば今の下坂委員や吉野委員の御意見を踏まえると、この総合戦略の5ページのところに5つの戦略ということが書いてございます。これが柱でございますので、この5つの戦略について、例えばここに引くということも一つの考え方としてはあるかと思います。余り詳しくここに書くのも、逆に突出したことになるかと思いますので。
○吉野委員 少なくともリファーした方がいいと思うんです。これは普通名詞みたいに受け取られる向きもありますから。
○藤田次長 わかりました。したがって、少なくとも2006年12月6日に決定された国際標準総合戦略というふうにさせていただきたいと思います。
それから、下坂委員のデファクト、デジュールのところですけれども、修文の御意見で、「フォーラム標準やコンソーシアム標準でよしとする考え方を改め」という文を入れたらどうかという御指摘でございますが、今の国際標準総合戦略の10ページをごらんいただきたいと思います。10ページの「2.企業の組織体制を強化する」というところの文章でございます。
企業における国際標準化は、国際標準の獲得自体が目的ではない。国際標準を活用して自社に有利にビジネスを展開するためには、何を対象にどのレベルまで標準化するか、またはしないか、そのために有利な標準化のスキームは何か、デジュールか、フォーラムか、あるいは自社の知的財産をどのように活用すべきかなど、研究開発戦略、知的財産戦略、事業戦略も踏まえた総合的な判断が必要であるというふうにしてございます。
したがって、企業から見て有利な標準化スキームは何かというときに、デジュールを選ぶのか、あるいはフォーラムとかデファクトで攻めていくのかというのは企業の選択の問題であるというふうにここでは考えているかと思います。
それから、次の3.にもるる書いてございますが、最後のところに「国際標準の策定スキーム及びその対応戦略が多様化している」ということで、次の11ページの2つ目の段落をごらんいただきますと、「これらの手法には」というのはデファクトとか、デジュールとか、フォーラムとかを指しているわけですが、「これらの手法にはそれぞれメリット、デメリットがあり、すべての分野に適用可能な単一の処方箋が存在するわけではない。企業や大学の関係者には国際標準化活動の複雑化する中、その全体図が見えにくく、どのように国際標準化を進めたらよいかがわからないという声がある。そのための多様な国際標準化スキームの戦略的な活用の促進、そのための環境づくり」ということで、下の方の四角の中には具体的な取り組みとして2行目ですけれども、「フォーラム標準やファーストトラック制度の活用など、固定概念にとらわれずに種々の国際標準化スキームを戦略的に活用することを促す。」こういうふうに書いてあるわけでございます。
したがいまして、もちろんデジュールにいった方がいいものもございますけれども、技術の内容によっては、あるいは市場化のスピードによっては、企業の判断としてフォーラムとか、あるいはデファクトをねらっていくという標準戦略もあるという前提の下に、こういう国際標準総合戦略が書かれているかと存じますので、その点は御紹介を申し上げます。
○下坂委員 今、フォーラム、コンソーシアム標準を改め、という御説明でございましたけれども、私の方は「改め」ではなくて、それだけでいいぞということを肯定して次の段階に進まないというのではなくて、次の段階にもう一つ上ってほしいというような意味で、否定はしておりません。
改めてしまうのではなく、国際標準化にはいろいろな種類のものがありますから、戦略として御説明のあったようなものをやっていくことは当然だと思っております。だから、それだけでよしとするのではなくて、もう一つ上をねらっていくことが大切というようなニュアンスは出せないかと考えるのですが。先ほど御説明があった11ページなども、1、2、3、4というように、3〜4項目くらいに増やしてもいいのではないか。ちょっと漠然としてわかりにくいというのが短冊の中でございます。
○小川事務局長 今の委員の、より高い方を目指すという発言ですが、本調査会、本部決定と方向が違う形になりますから、事務局としてはその取扱いをお考えいただかないといけなくなります。これまで、標準化のスキームが非常に多様になっている中で、状況に合わせどういうスキームを選択していったらいいか考えるべきとの議論だったので、より高い方とか、低い方とかという議論ではない切り口で今の戦略というか、ここで御議論いただいた戦略は仕切られていると私ども事務局は受け取っているのでございます。
○下坂委員 こういういろいろな国際標準の説明書の中には「トップレベル」という言葉があるのですが、それ自体はもう使わない方がいい言葉ということになりますか。ISOなどを表現してトップレベルというような言葉を使われているところがあるんですけれども……。
ないですか。
○小川事務局長 すみません。承知しておりませんけれども、ものすごく時代が変わったのかもしれません。私が産業技術環境局長の時代、非常に選択肢が広がっている中でどういったマーケット、あるいは技術のレベルとか、彼我の競争力の違いとか、その辺を見極めながら一番いいものを選んでいかないと国際的な厳しい競争には打ち勝てないのではないかというのが、少なくとも私がやっていたころの議論でしたが、状況が変わっているのかもしれません。
それから、私が着任してこの専門調査会でまとめていただいた戦略を見ていると、方向としては少なくとも私の認識と余り変わっていないという印象を私自身は持っておりました。
ただ、いずれにしましても、どれがいいか、どのスキームがいいか。企業にとって戦略的にやっていただく上でもメリット、デメリットみたいなものをきちんと整理していくことはますます必要ではないかと思っておりまして、多分具体的な取り組みのところでそういった記載がなされているということだと思います。それは、時間もあって競争力もすべてあったら全部デジュールにこしたことはないという議論は確かにあろうかと思いますけれども、すべてデジュールだということで走っていくと多分取りこぼすことにもなりかねないし、かと言って安直なところだけやっていても、それはいつ引っくり返されるかわからない。そういう意味では、いろいろな状況の中で選んでいくということが重要だというメッセージの方が大事だということでこの戦略がつくられているのではないかと私自身は理解しています。
○前田委員 政府の指針として、知的財産をかなり重んじることをいろいろなところで 謳うことによって、知的財産の部署は、質や量が上がっていったのだと思うのです。やはり、産業界の意識を改革してもらって、経営陣の方がどういう形で国際標準の方へ向かうといいかを経営戦略で使っていただき、標準化の部署の人や質をもっとレベルアップできるような意味での旗振りができればいいのかなというような気がします。ですから、私も確かに25ページは「基本認識」以外の下がたった1行で終わっているというのは、もう少しここをふくらませてもいいのかなという気がしています。
ただ、企業の方が業種によってやはりデファクトスタンダードの方がいいという戦略もあろうかと思いますので、5ページの5つの戦略をもう一回この中に謳ってもいいのではないか。私は、国際標準を目立たせるというか、旗振りの意味ではこれをあえてまた記述してもいいのではないかというような気がしています。
○久保利委員 いずれのお考えももっともだと思うんですが、形式的な話で、今までは2004と2005とずっときて、この12月6日のものというのはいわゆる年次計画みたいなものとは別に独立するんですか。それとも、新しい推進計画2007ができると、それと標準戦略はセットになって出されるのでしょうか。取扱いはどんなふうになるんですか。
○藤田次長 決してこの標準戦略を軽視しているわけではございませんで、これは単純に例えば、2005年の秋に知財人材の総合戦略をつくっていただきましたけれども、あれも11月くらいに一回仕上げて、それは一応完成をしたということでひと区切りつけて、去年の今ごろまとめたこの推進方策の中ではやはり1行だけ書いたんです。「知財人材総合戦略の確実な実行を図る。」と。
役人的ですみません。去年もそれでやったので、今年も同じようにこういうふうにまとめておけば御理解いただけるかと思ったんですけれども、確かにちょっと不親切だ、あるいはもう忘れてしまったということだといけませんので、そこは何か概略をさっき前田委員がおっしゃったような形ででも書くということはあるかと思います。
それから、今の久保利委員の御質問ですけれども、推進計画2007の中には標準総合戦略も織り込まれていく、集約されていくということになるかと思います。
○久保利委員 わかりました。吉野委員がおっしゃったように、少なくともリファーすべきだという方がわかりやすいといいますか、何だったっけという話がなくなるので、12月6日に決定した国際標準総合戦略で、それにあと5つの戦略を項目付けるか付けないかというのは文章の長さとの関係で事務局にお任せしてもいいと思うんですが、少なくともリファーする方がいいだろうと思います。
もう一点、今の標準化の問題ですけれども、総合戦略の中を読んでみると、例えばISO等についてもいろいろな見方を示しているわけで、12ページで新しい分野における標準化の動きにも適切に対処する。その中で、ISOというものに非常にコストがかかるとか、いろいろな意味でプラスマイナスはあるということも言っているので、多様性の中でどれを選ぶか。それが非常に目まぐるしくいろいろなふうに書かれています。11ページの上から6行目ぐらいのところでも、企業や大学の関係者には国際標準化活動が複雑化する中、その全体図が見えにくく、どうやったらいいかわからないという声もある。それが見えるような見取り図、環境づくりが必要だというところまで言っているので、私はこれに依拠して余りどちらがいい悪いという話にはしないで、やはり多様性だというところでお止めになってよろしいのではないかと思います。
○阿部会長 私が発言してもよろしいですか。
多分、下坂委員のおっしゃっているのは、非常にわかりやすく言えば、この国際標準総合戦略を一歩進めて、デジュールについてこの段階ではこうだ。しかし、もう一歩踏み込んでアクセントを付けたらいいんじゃないかというお考えだろうと思うんです。それで、皆さんおっしゃっているように、とにかくこの国際標準総合戦略をリファーするということはやらせていただきますが、リファーしたものと、下坂委員のアクセントはちょっと違いますので、それについて今、甲乙非常に議論があるようですが、どうでしょうか。アクセントを付けますと、国際総合戦略をリファーしただけでは済まなくなるし、ここで激論になりまして今、結論を出すのは早過ぎますので、今回の専門調査会の報告はリファーをするということで、2007まで例の有識者本部員会合もありますので、そこでもう一歩進めるアクセントを付けるかどうかについて御議論いただいて、もし必要だとなったら2007に入れていただく。
専門調査会としては、今日は本当は大幅修正、訂正がないものだと思って御議論をさせていただいているのですが、少し重過ぎるので、本当はもう1回か2回あった方がいいかもしれませんけれども、そういうふうにさせていただくのはいかがでしょうか。それで、今回はとにかく国際総合戦略をリファーして、これをきちんと実行する。その中にもちろんデジュールも書いてあるわけですので、きちんとやっていただかなければいけないですが、更にアクセントをもう一歩付けるかどうかについては2007までにここに限ってだけ有識者本部員会合で御検討いただいて、進めるべきだとなったらやっていただくということでいかがですか。事務局は少し仕事が増えますが、そういうことでよろしくお願いします。 それから、吉野委員のところは文言と印象の問題ですので、すみませんが、事務局で少し案をつくって吉野委員と相談していただくということでいかがでしょうか。では、そういうことでお願いをいたします。
大分時間を食ってしまったのですが、もしこれでよろしければ次に進ませていただきますが。
○板井委員 26ページの「中小・ベンチャー企業の支援」のところの「基本認識」なのですが、この書き方は大変重要と書いてあってよろしいんですけれども、何かオールドエコノミーの中の従来型のものづくり企業を支えるような感じがいたしますので、できましたら技術革新のスピードが早くなって産業構造が変化してきたということも踏まえて、中小・ベンチャーの育成策を考えるというようなもう少し積極的な意味でのとらえ方をしていただけたらいいと思います。
○阿部会長 すみませんが、26ページのどこにですか。
○板井委員 「基本認識」の中に入れていただくのでいいと思うんですけれども。
○阿部会長 わかりました。少し事務局で文章を考えてください。今の御意見は内容の変更ではありませんので、よろしゅうございますね。
ありがとうございました。それでは、若干そういうことで文言で残っているところがありますが、それは事務局で案をつくっていただいて、会長と、場合によっては吉野先生とか、担当の方と御相談いただいて、あとは会長一任ということで本日の専門調査会の決定にさせていただきますが、よろしゅうございますか。
○加藤委員 15ページの「世界特許システムの構築に向けた取組を強化する」というところですが、特許というのは出せば完成ではないと思います。世界的に事業を行っておりますと、アメリカの企業といくつかの訴訟になります。その原因の大半が、アメリカの先発明主義に由来した紛争になりますが、この場合、アメリカの企業は延々と泥沼な訴訟を展開するんです。それを展開することによって相手がギブアップするのを待っているんでしょう。このような現状がありますので、特許出願のことだけで世界特許システムの構築と言われても何か引っ掛かる気がします。このような泥沼な特許紛争はだれも得をしないし、結局特許料に跳ね返って最終的にはすべてのものが混乱すると思います。
日本はそれが下手くそで劣勢な面が特にバイオではあるのですが、痛感するのは出願だけ統一されましても、紛争の方も将来やはりこのライン以上のことはするなというような合意みたいなものをしてもらわないと本当に泥沼ばかり続くと思います。このようなことをこの会に求めるのは無理かもしれませんが、世界特許システム構築に取り組むというのであれば、将来、そのような努力があってもいいということくらいは書いておいてほしいと思います。
○阿部会長 深刻と言えば深刻ですが、どうしましょうか。少し話が大きいので。
○加藤委員 努力でいいんです。
○阿部会長 非常に重要なことですので……。
○久保利委員 そういう努力にはむしろ反対です。弁護士の飯の種というかほとんどこれで食えているので。世界じゅうの弁護士は泥沼によって飯を食い、あるいはその争いの中から長者番付に載るような発明家というものも出ているわけで、これがいいか悪いかというのは相当哲学的なものも含めた問題であって、この程度でやめておけという訴訟制度がいいかどうかというのはその国のそれぞれの成り立ちに関わってくるわけですから、とてもここで今、結論が出ることではないし……。
○加藤委員 結論が出るとは思いません。
○久保利委員 努力目標としても、そういう努力をすべきだという人と、するべきでないという議論と両方多分出ると思うので、これはこの程度で打ち止めにしておいた方がいいのではないでしょうか。
○加藤委員 ですが、そこに問題がありますよということは指摘しておいてもらってもいいと思うんです。特許システムは世界システムだとおっしゃっているのですから。
○小川事務局長 委員の御趣旨はわかりましたが、それぞれの国の裁判制度が違うため、結局裁判がそれぞれの国で行われた場合にどういう物差しで裁かれるか。その物差しをそろえることをやっていきましょうというのが今の段階です。
ですから、その物差しをそろえるためには、その手前の審査のやり方あるいは審査に要する手続書類をそろえていく。それで、だんだん形がそろっていくと、結果がなぜそろわないんだろうかという議論に入れますから、その議論に入ったところで今度は制度をそろえる。物差しをそろえる。あとは、裁判制度は違うかもしれませんが、同じような結論が出ていくのではないかという期待を込めて、今、各国が動いているという認識です。
○中山委員 実際の訴訟をやっておられる加藤委員の御苦労はもちろんよくわかるんですけれども、この問題は裁判制度そのものなんです。つまり、これは特許固有の問題ではないんです。独禁でも同じようなことが起きているわけです。裁判制度というのは各国の歴史に根差していまして、例えばアメリカの陪審員制度などというのはやめろと言ってもやめられるわけがないんです。恐らく裁判制度の統合は不可能です。ヨーロッパだって、特許法は統合したけれども、侵害は各国で別なんです。
各国の裁判所は統合できない、とても無理だと思われます。不可能なことを政府のこの文書に掲げて意味があるかどうかということはあると思います。余りにも重大過ぎて日本とアメリカの裁判制度の統合ということは100回や200回の会議では済まない問題だと思いますので、ここでは私は載せるべきではないと思います。
○阿部会長 さっきちょっと言いかけたんですけれども、今の御提案はお2人から御発言がありましたように非常に大きいことなんですが、いろいろな御発言を自由にしていただくということも重要ですので、実はこれを御承認いただいた後に2007に向けていろいろな御意見をちょうだいしたいというところがありますので、そこに回していただいて議事メモに残しておく。やはりこういう深刻な企業の声というのは残しておくべきではないかと思いますが、ここの修正はちょっと重過ぎて……。
それでは、そういうことで次に移らせていただきます。お待たせいたしましたが、これから自由討議ということですが、まず経済産業省から山本参考人に来ていただいていますのでプレゼンテーションをいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○山本参考人 特許庁総務課長の山本でございます。発言の機会を与えていただきまして大変光栄でございます。よろしくお願いいたします。
今日は、私どもで1月に策定いたしました「イノベーション促進のための特許審査改革加速プラン2007」、俗称「AMARIプラン2007」と言っておりますけれども、これについて御説明をさせていただきたいと思います。
御承知のこととは思いますけれども、若干経緯を申し上げますと、昨年の1月に私ども経済産業省で、特許審査・迅速化効率化推進本部というものを開きまして、「特許審査・迅速化効率化のための行動計画」というものを策定いたしまして審査の目標などを定め、これをその後6月のこちらの推進計画2006などとも連動して入れていただいてやってきたわけでございます。
年が改まりまして、まだ予算案の段階でございますけれども、新年度に新しい予算、それから私ども特許庁の体制、こういったものについても例えば審査官を増員するとか、あるいは予算も増額するとか、まだこれは政府の案の段階ではございますけれども、そういったようなものも認められております。そういったような状況を踏まえまして、去年の行動計画をフォローアップして見直すとともに、来年度どのくらいになるかということを省としてもう一度ちゃんと決めていこうといったことが1つでございます。
もう一つは、私どももちろん国全体の知財推進計画に従いまして、特許の審査の迅速化を始めいろいろな知財の創造、保護、活用の推進に向けた政策をやってきておりますけれども、私ども経済産業省として当面、来年度重点的に取り組んでいくべき課題というものをまとめた。それらの2つを統合いたしまして、この1月にAMARIプラン2007というのを策定したということでございます。
ごらんいただいております資料の1枚目がその前半部分、行動計画をフォローアップして来年度にどれぐらいでいくか。こういったようなことについての私どもの見通しであり、計画ということでございます。
左の方のグラフを見ていただきますと、御承知の審査請求件数が2004年度から非常に増えておりますけれども、どうやら今の見通しですと2005年度の39万1,000件というのがピークで、2006年度はそれより少し減るというような見通しでございます。先のことでございますけれども、多分2005年度の39万1,000件がピークで、これからだんだんと平年化していくのではないかと考えております。
しかし、私ども特許庁の審査件数、黄色い棒グラフの方でございますけれども、これは非常に頑張っておりまして、数年前の20万件強くらいのところから2006年度は29万件という目標でやっておりまして、これは何とか達成できそうな感じでございます。
しかし、この三十数万件の審査請求件数には及んでおりませんので、来年度は更に頑張ろうということを予定しております。予算案では、また任期付審査官を98名増員するという案が盛り込まれております。そのほか、恒常定員の方も30人くらい審査官を増やす。こういったようなことを盛り込んでおります。それから、効率的に審査を進めるための先行技術調査の外注費も増額が認められております。
こういったようなことで私どもとしては総動員いたしまして、2007年度には右側の上のところでございますけれども、1年間の1次審査件数31万件を目標にいたしたいと思っております。それで、その結果2007年度の待ち時間、FA期間と呼んでおりますけれども、これを28か月台にとどめるということを目標に設定をいたしました。
ごらんいただきますように、2006年度の目標が約28か月で、これは直近の数字で申しますと昨年の11月末現在でやはり25.7か月でございます。この28か月という目標は何とか達成できる。2007年がまた28か月で、これは全然進歩がないじゃないかとごらんになられるかもしれませんが、実は今、胸突き八丁に入っておりまして、この左側の棒グラフで見ていただいてもわかりますように、ちょうど今2004年度は非常に急激に審査請求件数が増えているところの山を崩しにかかっているというようなところでございます。
したがって、去年の11月末現在で25.7か月で、年度末28か月というのを何とか達成できるのではないかと思っておりますが、今、行列がまだ延びつつあるというような状況にございます。
大きい目標としては、推進計画に書いていただいていますけれども、2008年度が一番行列が長くなる時期だと見ておりまして、このときでも30には届かないようにということが目標になっております。したがって、そのためには2007年度は何とか28か月で踏みとどまらないといけない。審査請求の件数自体はピークアウトしておりますけれども、今年、2006年、2007年、2008年というところが特許庁の目標達成に向けてはまさに胸突き八丁のところでございますので、そういう意味を込めて何とか28か月で踏みとどまろうという計画を立てた。この山を乗り越えれば、13年に11か月世界最高水準というような目標も何とか達成が見えてくるのではないかと思っているところでございます。
そのほか、右下にございますように効率化目標、審査官1人当たりの処理件数ですとか、先行技術調査の民間外注の拡大ですとか、審査にかかる直接コスト、こういうものにつきましてもそれぞれ前年度を上回る目標を設定して中期目標を達成できるように頑張ってまいりたいと思っております。
1枚めくっていただきまして、次の2007年の重点施策4分野26項目というものでございます。これは、先ほども申し上げましたように大きくは政府全体の知財推進計画に基づきまして私ども経済産業省としても審査の迅速化・効率化を含め、いろいろな努力をしてきておりますけれども、その中でも当面の重点課題をここに挙げて、具体的な目標を書いて頑張っていこうということにいたしました。
左下の第2というところが、「特許庁による審査迅速化・効率化に向けた更なる取組」ということで、そこにはもちろん来年度も任期付審査官、これは5年で500人増やすという目標で、さっき申し上げた今年の4月に採用する者で約400人になりますので、もう1年要求をして500人に何とか近付けるということをやっていこうと思っております。そのほか、先行技術調査の民間外注の拡大ですとか、品質面でも管理体制を強化するといったようなことをこの第2のところに盛り込んでおりまして、これが1枚目の加速プラン、迅速化目標と直接リンクする部分でございます。
説明は前後しますが、右上の方にあります第3というのは、特許庁として審査迅速化・効率化に向けたいろいろな取り組みをすると同時に、産業界の側でも是非戦略的な知財管理というものを促進していただきたいということで、産業界との対話、意見交換なども進めながら、相互に国全体のシステムがよくなるようにやっていこうというところを盛り込んでおります。
もちろん特許庁として非常に審査待ちの行列が増えておりますので、そういう意味で産業界に出願を厳選していただきたいというような思いもありますが、ただ、特許庁の都合ということだけではなくて、国全体の産業界のこれからの競争力強化のための戦略としても、是非知財の取得管理を戦略を持ってやっていただけるといいのではないかと考えておりまして、新しい話としては右側の第3の上から2つ目の丸にございますけれども、産構審の審議会の意見もお聞きしながら、「戦略的発明管理ガイドライン(事例集)」の策定・公表というものを一つの柱として新たに盛り込んでおります。
これは去年の秋から既にプロジェクトをスタートさせておりますけれども、個々の産業界、企業の方でどういう戦略を立てて知財を取得しておられるか。よく言われる話ではありますけれども、特許を出願して特許を取られるということだけが知財戦略ではなくて、物によってはノウハウとして秘密で管理されることの方がプラスの場合もある。そういう場合には、先使用権などというものも使えるといって昨年6月にはガイドラインを出したりしたこともございます。
そのほか、先ほどの議論もございましたけれども、研究開発段階でも知財をどうするかということを戦略的に見据えてやっていただくのがいいんじゃないか。こんなことを考えておりまして、このプロジェクトでは今、企業の方でどんな工夫をしておられるか。あるいは、うまくいかなかった失敗事例などもあるのではないかというようなことをヒアリングさせていただいたり、あるいは勉強会を産業界の方々と一緒にさせていただいておりまして、年度末にこんな知財管理のすばらしい事例があるとか、ここをうまくやらなかったのでこんな困ったことが起こってしまったとか、そういう事例集のようなものを作成して、産業界で知財の戦略を立てられるときの御参考にしていただければと、このような取り組みもいたしております。
そういうことで、私どもが単に厳選してくださいとか、そういうようなことの旗を振るだけではなくて、産業界の方々と一緒になって勉強をして、産業界の知財戦略の在り方をどういうふうにしたらいいかを検討するというようなプロジェクトをやっております。
それで、第3のところではそれを中心に、省全体として大臣自ら有識者の御意見を伺うような機会を設けるとか、特許庁も長官以下幹部が企業のトップの方と直接意見交換をさせていただく機会を設けるとか、そういったようなことをずっとやっていこうと、こんなことを入れております。
説明が前後しましたが、左側の第1のところは、第2、第3のところが今のようなお話であるのに比べて、甘利大臣から特に指示があって、先ほど来御議論が出ておりましたけれども、世界の特許庁として世界の特許制度をリードしていかないといけない。そこで、グローバルな面にも是非努力を傾けるべきだということで、そういった観点のものを盛り込んでおります。
先ほどのお話にも出ておりましたけれども、一番上の特許審査ハイウェイについてはアメリカとは試行を始めて、今年の7月から本格実施というようなことになっております。韓国とは4月から始めるということになっておりますので、ほかの国々とも進めていきたい。
こういうことで、大きくは世界特許システム制度というのはなかなか先の話ではございますけれども、こうやって制度を調和し、審査を一緒になってやっていく。こういう制度をつくっていくことで、実態上はそういう世界特許システムに近付いていくのではないかと考えておるわけでございます。
第1の3つ目の丸にAPECと書いてございますけれども、米国や欧州との間ではいろいろな協力あるいは調整をしておりますが、APECの中でもできるような制度の調和ですとか、審査の協力ですとか、そういうことをやっていこうとしておりまして、これは今年の1月の高級事務レベル会合でAPEC協力イニシアチブというものを提案しまして、これから議論をして、できれば秋の閣僚会合ではそういうものをつくっていきたいと考えております。
その下は出願様式の統一、それからさっき出ておりました制度の調和、こういったようなものも進めていくということであります。その下の模倣品対策についても力を入れてやっていこうと、こんなことを書いてございます。
右下の第4の地域・中小企業の知財活用のところは、各経済産業局で地域の知財戦略本部というものをこしらえまして、各地域で中小企業も含めた知財の活用というものを進めていただけるような施策を展開しておりますけれども、来年度、新年度からはそれを更に拡充してやっていこうということで今、各経済産業局ベースでそれぞれの地域計画の見直しをやっておるところでございます。
こういったことで、1枚目の特許の審査迅速化・効率化と、2枚目のさまざまな施策を組み合わせてこれから頑張ってやっていこうと、こういう計画を決めたという御報告でございます。
ちょっと長くなりまして申し訳ございませんでした。
○阿部会長 どうもありがとうございました。経済産業省のお取り組みについてお話をいただきまして、私どもいろいろ努力していることをこういう形で更に具体化されていくということは大変結構なことだと思っております。今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。
それでは、本来の議論に戻らせていただきますと、先ほど御決定をいただきました専門調査会の報告が本部に報告されますと、これに基づきまして知財推進計画2007の策定が開始することになります。そういうことで、本調査会としては本日の会議をもってひと区切りということでございますが、この後、自由な御意見をいただき、2007の策定に向けて自由な御意見をいただきたいと思いますけれども、その前に推進計画の策定に関する流れについて藤田次長から説明をお願いします。
○藤田次長 知財の推進計画の2007年版は、5度目の推進計画になるわけでございますけれども、今後の流れにつきましては、まず恐らく3月末くらいかと存じますが、本部会合が開かれまして、その場で推進計画2007のつくり方というか、予定について決定され、指示がなされることになるかと思いますけれども、例年の例を申し上げますと、まず次回の本部会合において推進計画2007に向けて委員の方々からいろいろな御議論をいただいた上で、その後、2回ないし3回、本部の中の有識者の方々により構成されます有識者本部員会合が開かれまして、推進計画の2007年版の原案をおつくりいただくことになります。
その原案をつくる過程では、政府部内の調整も行われることとなります。あるいは、パブリックコメント等で広く意見を募集するというプロセスも入ってくるかと思います。その原案がつくられますと、例年ですと5月の末か6月の頭くらいかと思いますけれども、もう一度本部会合が開かれまして、その推進計画が決定されるということが例年の流れでございます。以上です。
○阿部会長 ありがとうございました。
そういうことでございますが、各委員より推進計画2007に向けて御意見等がございましたら本日伺っておきまして、事務局の方から今後の議論につなげてもらいたいと思っております。何でも結構でございますので、よろしくお願いします。
先ほどの加藤委員のものはここに入れていただくようにお願いします。いかがでしょうか
○板井委員 次からのディスカッションの話題に入れていただきたいんですけれども、先ほどから出ておりますように、国際的な権利取得を支援するというようなことがありましたが、権利取得だけしても役に立たないということが実際にございまして、どう守っていくのかということとか、どう活用していくかということで大変悩みが大きいわけです。
それで、今後中小とかベンチャーだけではなくて大学TLOなども多分直面してくる問題になるかと思うんですけれども、海外の主な国での侵害とか無効審判の制度の問題、それから審査基準が統一されて共通化されてくると解消する問題なのかもしれないですけれども、本来無効な成立特許とどう闘うかという話とか、どういう事例で日本企業が勝つのか。やはり勝率が少ないと言われておりますね。そういったような面で、事例集みたいなものを情報を集めて共有化していただけるということを考えていただけたらと思っております。
特許庁は多分、国内の問題に対応するのも仕事だとは思いますので、例えば弁理士会とか弁護士会等でそういった情報を収集して相談窓口をつくっていただくとか、講習会を開くようなことを考えていただきたいと思っております。自力で闘うというのは中小とかベンチャーとかにはできないのですが、それなのに実は国際出願も相当直接やって直接向こうとやり合う必要性も結構ありますので、是非何らかの形でそういった制度があったらいいと思っています。
それから、個人が発明をして、その特許技術を元に会社を起こす場合ですけれども、出資や融資のため、あるいは株式公開のために、会社の方に特許の所有権を移転しなければならないときに、その移転税制なんですけれども、特許が土地と同じに扱われておりますね。もちろん評価によって価格は決まるし、それから特許の場合は年数によっても多分償却されていると思います。それから、実施されている特許とか、第三者に実施許諾できていれば価値などもわかりやすいですね。
そうでない場合に、例えば現物で出資しようというときなどは実は税金が先にかかってくるというような問題がありまして、自分が起業をして特許をそこに置きたいというときに非常に困るんです。それで、価値を利益を生むかどうかもわからないときに税金などが個人にかかってくるというようなことがありまして、多分小さな会社、まずベンチャーを始めるというときにそういったことも問題になると思いますので、多分財務省の管轄かとは思うんですけれども、そういった移転税制も検討していっていただけたらいいかと思います。以上です。
○阿部会長 ありがとうございました。
○前田委員 大学における知的財産についてですが、さきほどの人材の流動化に関してもう少し詳しくお話をさせていただきたいと思います。
知的財産本部整備事業の5年目が来年最後の年ということになりまして、今後どういうふうな方向に持っていくのかということもあろうかと思いますし、広く浅く全部の大学に援助をすればいいというものでもないと思います。きちんと整備できたところがある程度ハブ機能的なものを有して地方の大学、小さな大学にもいい発明はありますので、その辺がちゃんと拾い上げられるように、またきちんと整備をしたい小さな大学には人的な派遣ができるような制度を入れていけるようになったらいいと思います。
あとは、大学の中へ人を雇おうとした場合に、これはなかなか難しいのかもしれないのですけれども、教員か事務の方しか、今は存在しえないのですが、教員として知的財産、産学連携の人が入ってくる場合に、博士号があるかとか、それに代わる弁理士、弁護士があるかということがどうしても条件になってきたりします。特許の管理の方がかなり整備された大学においては、どちらかというとライセンスができることや、マーケット感覚を重視した方をもっと入れなければいけない状況になっていると思いますので、その辺の人材の雇用の仕方などももう少し工夫ができるといいのかなと。どうしようということが明確にうたえないんですけれども、その辺は問題なのではないか。改善していくべきことではないか。そうすることによって、若い方がどんどん入ってこられるような形にもなっていくのではないかと思います。
○阿部会長 制度としてどういうことをやったらいいかということにもなりますね。ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
○妹尾委員 私が申し上げるのは人材育成のところです。「人材育成総合戦略」を昨年度決めてから、それなりに順調に動いているとは私は見ているのですが、まだまだ何となく総合戦略が決まったので安心してしまった向きもないわけではない。人材育成というのは地道な努力を積み重ねていかなければいけないので、その中でメリ張りを出すというのはある意味では難しい。だけど、メリ張りがないからと政策から落とされても困るということがあります。「2007」に向かって是非そこのところを見ていただきたいということがあります。
私は、人材育成についてある程度のメリ張りを言うと4つあるだろうと思っています。 第1は専門人材の育成です。これはずっと各団体が御努力をされているのですが、やはりどうしても高度化に向かう動きに比して広域化がなかなか進んでいない。しかし、御存じのとおり知財を事業だとか、企業だとか、産業に使うためには専門職の広域化はどうしても避けて通れないわけです。ところが、専門人材の広域化というと、途端に見えにくくなるのでなかなか政策的な支援を得ることが難しいということがあるのです。しかし、引き続き広域に向かう人材育成というところで重点をかけなければいけないのではないかと思っております。
第2は、新しい分野です。「専門周辺人材」と私どもは最近呼び始めていますが、いわゆる専門人材を助けているプロないしは準プロと言われているような方々です。例えばサーチャーの方だとか、あるいは特許事務所で頑張っているアドミニストレータ等々の認定や検定、資格など、その辺の制度的な支援ができないかということを今、考えています。特許庁の委員会で検討を進めており、今日もお話ができればよかったのですが、まだ全部整理し切れていないので、いずれそれをお諮りしたいと思っています。
この検討で進めていることは、1つには、そういう方々に認定、検定みたいなものを考えて、品質の担保と学習意欲の促進や動機付けと、そしてそれらを持つことによって人材流動化が進む環境づくりということだと思います。二つめには、知財に関わっているけれども、知財を正式にちゃんと勉強していない方々に対する「知財ディプロマ」的なものを整備しようということを今、考えております。
第3は、いわゆる周辺人材と言われていて、知財を創出する、例えば技術系の方々についてです。技術者への教育というものは大分進んできているのですが、それを活用すべき経営関係の方々への知財の普及、例えば経営学を中心にした社会系の学生に普及するということが極めて遅れている。理系の学生への教育は非常に増えているので、今後は活用するときに理解をしてほしい経営系、社会系の人たちへの教育を進めなければいけないと思っています。
第4には、いわゆる裾野人材と呼ばれている一般の方々です。特に若い人たち、小学生、中学生に対してということで、この話をすると、それは総合科学技術会議でも言っているとかいう反応が多い。しかし、知財というのは何も発明とかものづくりだけではなくて、コンテンツもあれば、あるいはいわゆる仕組み的なモデルづくりもあります。創意工夫ということで知的財産のネタはあらゆる分野にあるわけですから、これは広く考えなければいけない。何も発明だけではなくて独創的な、あるいは創意工夫みたいなものも含めた形で広く子どもたちの育成ができればいい。例えばグーグルみたいなものは技術でもないし、かといってコンテンツでもないし、あれは完全にモデルの新しさということなんです。それを考えれば、いろいろな分野で子どもや若い世代を育成することが必要なのではないかと思います。
以上の4点が人材育成関係で考えていきたいところなのですが、もう一点、「2007」に関して申し上げます。ほかとの関連で以前リサーチノートのお話を出したと思います。2005、2006でずっと研究ノートの話がありました。それが、一度落ちかけたのです。私の方でここで是非という提案を申し上げたら、加藤委員にも随分サポートしていただきました。これについて調査をずっと進めていきました。やはり盗用、ねつ造、改ざんみたいな不正の話が一方でありますが、もう一方でわかってきたのは、そもそもリサーチの作法として記録を取るという当たり前のことがほとんどの大学でちゃんと教えられていないという事実です。それが見えてきました。
これはそもそも知財を創出するのに際して、科学技術だけに限らずベーシックなリサーチャーの作法ですので、その辺のところをもう一回改めて訴えたいと思っています。研究ノートは不正防止だけではなくて、いわば創造振興のためにもものすごく必要だと。その際に、北風型のアプローチだけではなく、きちんとノートを取ってきちんと記録を残していい仕事をしようよという太陽型のアプローチも我々は考えていきたいと思っております。
○阿部会長 ありがとうございました。リサーチノートは大分進んでいると思っていましたけれども、まだまだだめなんですか。
○妹尾委員 全然だめです。
○阿部会長 わかりました。ほかにいかがでしょうか。
では、八田委員どうぞ。
○八田委員 四点ほど申し上げたいことがございます。第1は、基本的には中小企業に特別の知財の補助をする必要はないということです。ニーズがあればそのためのビジネスが出てくる。ニーズのある企業は、苦しければ苦しいだけ、ニーズに応えるサービスがあればお金を払っても活用したいわけです。
第2に、しかし、それには、ビジネスが出てこられる環境が必要で、そのビジネスを阻害しているようなものがあれば除去する知財の政策を進めていっていただきたい。
第3に、人材育成に関してだけは、積極的に政策支援をお願いしたいということです。普通の工場だとか機械でしたら担保が取れるわけですが、人間投資の場合は担保が取れません。人間の場合には払えなくなったときに、奴隷にしてしまうわけにもいきませんから、どうしても人材育成のために、お金を貸す市場が成立しません。そこで、国が奨学金というようなことで、面倒を見る必要があります。
第4に、特許期間だとか特許料金ということに関する基準に関する研究奨励をしてもいいのではないか。前に、インフルエンザの薬で大変もうかったとか、あるエイズの薬でもって大ヒットすると大変もうかるというような話がありました。もちろんもうかるために知財開発をしているわけですが、儲けの額にはあるリミットがあってもいいのではないか。このリミットを超えたら、それからは特許期間は開放するという了解の下に最初から特許制度が組み立てられていても、それなりには十分な開発のインセンティブがあるのではないかということが考えられる。特許期間と特許料金の問題に関しては、オプション理論などを応用しながら、根本的な考え方を日本発で検討していくことが必要なのではないかと思います。
これも前から申し上げていますように、知財の保護というのはできればない方がいい。要するに、せっかくできたものだからただで使って活用すればいい。にもかかわらず、それをあえて万やむを得ず独占権を認めるのは、発明を促すためなんです。したがって十分な発明を促しさえすれば、独占権の保護は取り除いた方がいいという観点から、やはりこの分野での研究奨励ということが必要なのではないかと思います。
○阿部会長 ありがとうございました。先生は全般的なことをおっしゃっていますが、インフルエンザのような薬ですと、やはり買えない国の人がたくさんいますので、それをどうするかというのは深刻な問題で、常にいろいろなコンフリクトが起きている世界ですね。○八田委員 おっしゃるとおりです。もし先ほどのような上限が決められていれば、先進国が金を出して上限額を支払い、権利を全部買い取ってしまって、そのあとは無料で開放するということも可能になると思うんです。
○久保利委員 さっき加藤委員から非常にごもっともなといいますか、議論すべきテーマとしては非常に重要な議論が提示されました。
実は、昨日、私のところへアメリカで大きな事務所の若手パートナーをやっている弁護士からメールがきまして、マイクロソフトと闘ってマイクロソフトに勝った、その弁護士の紹介の話です。カーク・アンド・エリスという事務所で、そこにいるデメリスさんという人なんですが、まだ若い人です。この人は、そういう種類の国をまたぐような特許事件あるいはITの事件を手掛けていて、非常に若手の切れ者の、しかも陪審員を説得するのが大変上手な弁護士さんである。
こういうことに類した人がこの事務所にはあと何人もいて、しかもその人たちが受けている依頼者というのは大企業ではない方で、個人の発明家であるとかベンチャーの仕事をやっている。恐らくこれはコンティンジェントフィーでやっているんだと思いますけれども、その代わり勝ったときには猛烈なお金が入る。逆に言うと、ここに頼んでいる中小のベンチャーとか、そういう事務所も、会社も、ある意味で言うと奈落の底に落っこちそうになって、おっとどっこいというので逆転勝訴をすると一挙に全米何位というお金持ちになる。しかし、破産のところまで追い込まれてどうにもならないという人もいろいろ系譜があるわけで、これはアメリカ的なそういう訴訟というものの在り方なんだろうと思います。
日本ではちょっと考えられないというところがあるわけですが、しかし、考えてみると中小・ベンチャーのリーガルコストというものをどうするかというときに、その支援をくれとか、いつも私が言うことですけれども、中小・ベンチャーが特許で世界で伸びていこうと思ったら、何よりも大事なのはいいロイヤーではないか。その法的なものを加藤さんなどの場合には十分苦労をしておやりなっているわけなので、そういう意味で言うと成功報酬制度というか、着手金は要りません。場合によったらストックオプションをもらうということもあるかもしれませんけれども、弁護士が一緒になってその特許ビジネスというものをつくり上げていく。そういう制度というものは実は今、日本にはほとんどないんです。
そういう意味で、日本の司法制度というか、弁護士制度というものがまだ非常に未熟といいますか、少なくともアメリカ的な方向には動いていない。これをどういうふうにするかというのは人材育成の問題も、あるいはコンテンツの契約問題も、特許の制度の問題も含めて非常に重要なポイントなのではないか。
だけど、今までこれは余り議論されてきていませんでした。そういう点で、加藤委員のお話に触発されてといいますか、世界で同じような司法制度を持つことは難しいわけですし、陪審員制度というのは陪審で難しい特許を裁くわけですから、ある意味でいうと弁護士の能力によってものすごい違いが出てくるのは当然だと思います。そういう意味で言うと、中小も大企業も日本というのは国際戦略、国際特許と言う割には海外の訴訟戦略をどうするのかということが余りにも議論されないできているのではないか。
先程のメールの主は中町君という弁護士ですが、彼から来たレターによれば、「サムソンは違う。サムソンは法務部にもちろん弁護士を入れていますが、その法務部の人の一部は弁護士を評価する。要するに、アメリカでこの分野でこういう州で起きる事件だったらだれが一番いいかということの情報を取り、それを評価する。そのことのためだけの社内弁護士が何人もいる。そういう人がいないと、本当にいい弁護士を探すことができない制度にアメリカの場合にはなっている。」というのです。
日本でも、いい弁護士がどこかにいませんか、弁護士はもっと情報開示せよと言われますが、開示はしてみても本当にその弁護士がそうなのかどうかを見抜くのはやはり依頼者の側ではないかという点で、さっきおっしゃっていた専門周辺人材とか、妹尾先生がおっしゃっていた、あるいは経営関係、こういうメンバーが弁護士をどう評価するのか。そういうプロフェッショナルがいてもいいのではないか。
そういうふうに考えて、この人材の問題、あるいは保護の問題というのは本気で始めると、加藤先生が投げ掛けられた問題というのは非常に広い問題ではないかと思いました。○阿部会長 ありがとうございました。ますます戦略本部は頑張らなければいけないテーマをいただきました。
○中山委員 1つだけ久保利さんに質問があるんですけれども、コンティンジェントフィーは日本の弁護士会としては倫理に反するとされているんでしょうか。それとも、認められているのでしょうか。
○久保利委員 少なくともそんなにすごい議論がなされたわけではないと思います。やっている人はいますし、その人が懲戒請求されたということも聞きませんから、そういうやり方はあり得る。要するに、合意と説明責任の問題だと思います。
○中山委員 久保利先生のおっしゃったことは基本的には私もそう思います。特に海外、アメリカでの訴訟はどうも日本は中小企業、大企業を問わず、一部の例外を除いてタフネスが足りないのではないか。あるいは弁護士の方ももちろんそうなんですけれども、それを含めてタフネスが足りないのではないか。日本が訴訟に巻き込まれると、すぐ不利な条件で和解してしまう。外国企業のなかには、頑張って最後に勝つというのも少なくないんですね。
私もそうなんですけれども、確かに日本人は訴訟なんて嫌なんですが、しかしアメリカでビジネスをやろうと思ったらタフな訴訟というのはしようがないんですね。それはやはり避けて通れない。
では、国が何か援助できるかというと、私は基本的にはできないと思っています。国が援助できるのは、相手の国がWTOに反するような法律をつくっているときに何とかしてくれとか、一般的な情報を集めてくれとか、そういうことはできますけれども、個別企業は個別企業の努力しかないんじゃないか。アメリカで生きていくためにはそれを覚悟する以外に方法はない。それが嫌ならばアメリカから撤退と、それしかないんじゃないかと私は思っています。したがって、余り個別事件の援助というのは考えるべきではないだろうと思います。
○加藤委員 援助が欲しいということは言っていませんが、別にアメリカだけでなくても、例えば有名なケースとして米国系企業と日本の企業との、日本での訴訟の例があります。
先生には悪いですけれども、このときも日本の弁護士さんは弱くて、向こうの引っ掛けに引っ掛かってしまったんです。つまり、いろいろな専門家を集めて勝算があると言われて、日本の会社はそれを信じたんです。ところが、論争が始まったら引っ掛けがありまして敗訴。結局、その医薬品開発プロジェクトから撤退せざるを得ませんでした。ですから、別にアメリカだけではないんですね。最先端の医療用タンパク質などを製造販売しようとしますと、このような例がたくさん出てきます。
田中委員がおっしゃったように先発明が諸悪の根源と私も思うのですが、とはいえ法律があり、逃げようがないので、結局久保利さんがおっしゃったように、いい弁護士を探して相手よりいい人はだれだと、延々とそのようなことをやり始めるんです。ですから、こんなことでお互いに何か得するのかと思いながらもやめられないというのがあります。
○田中委員 基本的には我々もたくさん訴訟を抱えておりますので、日々悩んでいる方ですけれども、アメリカの場合にはある意味では特許庁の審査が非常に甘いんです。英語のしゃべれないような人まで審査しているという話ですから、審査品質が非常に緩く、甘い。日本では特許にならないものがアメリカでは幾らでも特許になる。あとは、当事者間同士で解決しなさいという基本的な考え方がまず根底にあります。
久保利先生には申し訳ないんですが、その部分をうまく利用しているのが弁護士なんですね。アメリカではロースクールを出たら80%から90%の合格率で皆、弁護士になりますから、とにかく成功報酬を求めて自ら事件を探して訴訟を起こす。それで勝てば得という雰囲気がありますから、時々我々のところに来るのも、特許権と言ってもたいした特許権ではないのですが、とにかく文句をつけてくる。地裁レベルでは陪審ですから、ダラス等でやれば原告がほとんど100%近く勝つ。最近は80%くらいになっていますが、日本企業が幾ら頑張っても地元のそういう雰囲気の中では絶対に勝てないんです。
負けた場合にどういうことになるかというと、製品差止めがかかってくるわけです。そうすると、なかなか度胸を持ってけんかをするということはできないという状況も実は背景にあります。では、日本国家は何かそれに対して口出しできるかというと、それは簡単にできるわけではありません。
ただ、日本も遅かれ早かれそういう状況に突入していくということも想定して制度をつくっておく必要があると思います。日本でも、10年、20年遅れてアメリカと同じようなことが起こっています。もし問題となる状況があるのであれば、それに対して議論をし、今からそれに対して歯止めをかけられるような制度構築をしていかなければいけないと思っております。私どもと同じくらいの規模のアメリカの会社ですと、訴訟を100件くらい持っているのはごく当たり前です。それから、年間訴訟費用で100億円使っているという会社もあるんです。アメリカでは、大企業の場合にはそういう費用と時間がかけられている。これは、つまりプロパテント政策の行き過ぎであって、本来産業を発展させなければいけないのに、逆にそういった部分で余計なコストや時間がかけられているというところが、私は非常に大きな問題だと思うんです。
これはアメリカの弁護士のレベルが低いのか、成功報酬目当てでとにかく文句をつける。勝てば金がもうかるぞという風潮が非常に高い。それから、弁護士の数も非常に多いということで、皆は食べられないので、事件を探してそういうことをやる人たちがたくさんいる。日本も多分そのうちそうなるんじゃないでしょうか。
しかし、特許法そのものは産業の振興のためにあるわけですから、特許というものをそういう金もうけのために使われてはたまらないという感じは持っております。知的財産推進計画2007では、そういったところまでの議論はなかなかできないと思いますけれども、制度構築していくときに、そういうこともある程度頭に入れながらつくっていかないと、5年先、10年先が大変だという感じは持っております。
○阿部会長 2008でもいいですけれども。
では、吉野委員どうぞ。
○吉野委員 フィールドの話がたくさん出ていますけれども、特に海外のマーケット、あるいはマーケットでなくてもいいんですが、海外で何が起きているのかということをもう少し精度を上げて把握するということが必要ではないかと思うんです。
我々も海外でさんざんいろいろやられていますけれども、例えば先ほど話題になった模倣品の話は下火に全然なっていないんです。昨年1年間でアジアで我々が摘発したものでも1,000件以上あります。もちろんこちらが原告で訴訟をしているのは今、田中委員もおっしゃいましたように百何十件ありまして、どんどん増えている。したがって、国内でいろいろな知財戦略をやっていってそれなりに進んでいると思いますが、見えないところで何が起きているのかということをもう少し正確に把握しないとだめかという感じがいたします。
それからもう一つ気になっていますのは、特に中国を先頭に技術の取り込みみたいなものですね。特に開発の技術だとか、それらは非常にノウハウの部分が多いんです。要するに、どういう試験をやって、どういう結果が出ればよしとするのかというようなところを彼らは一番知りたいんです。それはなるべく漏洩しないように工夫をしているつもりですけれども、これはやはりじわじわ出ていくものであって、日本の技術のかなりの強さの中にノウハウの部分というものがありまして、特許庁とか経産省辺りはノウハウはノウハウで管理して特許にしないようにというようなことをおっしゃる部分もありますけれども、漏れればもう終わりというのがノウハウですから、ノウハウの部分を日本の産業界あるいは学などもそうかもしれませんが、どういうふうに考えてどうこれから対処していけばいいのか。これは我々の悩みでもあるんですけれども、そういうことも知財の一部、周辺として議論をした方がいいのかなという感じがいたします。以上です。
○阿部会長 知的財産の定義の中には入ると思います。知的財産権とは言わないかもしれませんが。
下坂委員、もし何かございましたらどうぞ。
○下坂委員 大変興味深いものなんですけれども、制度化でいけるのか。今のノウハウだと秘密のスパイのような形でやっていくより仕方ないのかという気はしているんですけれども、こういうものは制度化になじむものでございましょうか。
例えば漏れていくとか。いつか中国で鋳型をつくる会社が日本から出ていきまして、そこで人を雇ったらそのうちの30人くらいが一斉に退社しまして、皆で鋳型の工場をつくりました。それを中国政府がバックアップしたものですから、日本の、いわゆる熟練者の手でやる、大田区などにありますようなものをイメージしておりましたら、総て電気を利用したすごくきれいな工場ができておりまして、日本から上陸した方が今やハード・ソフトの両面で貧しいという状況が出ております。この場合、その30名が辞めていくとか、そういうことが抑えられるのか。
もしくは、日本から土曜、日曜に韓国に出かけて教えている人の渡航は勤務先企業で止められるかもしれませんが、制度になじむのかなという感じを受けているのですが、まだよくわかりません。
○阿部会長 今日別に結論を出していただかなくても結構ですので。
○吉野委員 だから悩みなんですね。
○阿部会長 ひと当たりお話を伺いましたが、私も申し上げたいことはいっぱいあるんですけれども、1つは皆さんがおっしゃったことと違うんですが、総合科学技術会議との関係なんです。
私は1月まで議員をしていまして、両方の会長をしていたのでほとんど意識がなかったんですが、従来は大学とか産学連携は大体向こうにお願いしていて、こちらは知財戦略その他一般はたくさんありますので、そういうことをやっていただいていて済んでいたのですが、だんだん難しい問題になればなるほど、例えば臨床研究だとか、ああいう世界に入っていきますと、知財だけの問題ではないいろいろな問題が出てきますので、これから多分こちらとしては総合科学技術会議にやってもらった方がいいものはどんどん向こうに提案をしていただいて、オーバーラップが多少あっても私は構いませんけれども、そこの交通整理をうまくやっていただいて、こちらからも必要であれば意見が出せるように何かしていただく必要があるのではないかと思っております。
中身については、今日は時間がありませんので申し上げませんが、先生方ももし追加の御意見がありましたら2007に対してメモをちょうだいしたいと思います。いつまでにいただければいいですか。少し時間はありますね。
○藤田次長 はい。時間の余裕はありますので、1か月くらいで。
○阿部会長 では、1か月くらいでいただければと思います。今日はいろいろ御示唆をいただいたということで、フリートーキングで今日いただいた御意見で重いものもたくさんございましたけれども、今後の知財戦略の議論に是非参考にしていただければと思います。 先ほど申し上げましたとおり、本専門調査会は本日をもってひと区切りとなります。委員の皆様にはお忙しいところを大変御協力をいただきましてありがとうございました。御礼を申し上げて今日は閉会にさせていただきます。
ありがとうございました。
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