トップ > 会議等一覧 > 知的財産戦略本部 > コンテンツ専門調査会 | [印刷用(PDF)] | ||
第3回 コンテンツ専門調査会 議事録 | |||
1. | 日 時: | 15年12月 8日(月)8:30〜10:15 | |
2. | 場 所: | 霞が関ビル東京會舘 エメラルドルーム | |
3. | 出席者: | ||
【委 員】 | 牛尾会長、岡村委員、角川委員、久保委員、久保利委員、熊谷委員、重延委員、関根委員、浜野委員、依田委員 | ||
【事務局】 | 荒井事務局長 | ||
4. | 議 事: | ||
(1) 開会 | |||
(2) 資金調達・海外展開について | |||
(3) コンテンツビジネス振興政策(骨子) (案) について | |||
(4) 閉会 |
○牛尾会長 ただいまから「コンテンツ専門調査会」の第3回会合を開催させていただきます。早朝にもかかわらず、大変にありがとうございました。
○荒井局長 お手元の資料1、これに沿いまして、最初お話しさせていただきます。
○牛尾会長 では、事務局の説明が終わりましたところで、皆様の御意見に入る前に、久保委員から実際にポケットモンスターというコンテンツ・キャラクターの海外展開を行って来られた経験の御紹介をちょうだいして、海外展開の1つの参考例としたいと思いますので、久保委員、よろしくお願いします。 ○久保委員 貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございます。8分間ということですので、簡潔明瞭にお話ししたいと思います。
本来であれば英語版に関する著作権は日本サイドで完全に押さえておきたいところです。なぜならば、スペイン語版といった英語版以外のバージョンは英語版をベースにつくられることが多いからです。
○牛尾会長 事務局からの御説明と、久保委員からの説明は大変に充実したものであったと思いますが、あと20分ばかり時間がございますので、討議に入りたいと思います。
○角川委員 今、久保委員からお話がありまして、非常に参考になったのが北米では1年間で5億円くらいのリーガルコストがかかるというリスクがあるということですが、これは角川も経験しております。そういうことで、告訴の経験というのは日本企業はなかなか明らかにしたがらないと思うんです。何か恥ずかしいと。もっと公になるためには、つまり教訓になるわけです。リーガルコストを負担するような制度というのはつくれないんでしょうか。国家的な視野というか、そうすることによって訴えられている案件が割と社会に認知されて、それが当事者から見ればコストが安くなる部分と、合わせて日本の社会も海外展開に対するリーガルなリスクを認識していくという、両方のいい点があるような気がします。 ○牛尾会長 これは例えばカメラとかオフィスオートメーションの対応は、進出した20年くらい前というのは、ひどい目に遭ったわけです。それに対して多くのカメラメーカーが大いに頑張られたんだけれども、最後はキヤノンが徹底的に、初めからそれをコストとして投入をして、キヤノンの特許戦略というものがこの業界の1つの共通項になって、不利な場合は日本企業が結束して相手と当たるという慣習ができたために、詳しい最近の状況は知りませんけれども、キヤノン、並びにその国の業界の特許占有率は80%を超えているわけです。だから、個別同士で海外企業と争っているケースもかなり多いんですけれども、業界としてまずその辺を話し合わなければならないというのと、この費用というのは不可欠なコストなんです。
○角川委員 そういう物販の方ですと、物販の利益がコストに対応できますね。私が申し上げたいのは、コンテンツの場合は、リメイクのケースでいっていますので、リメイク権で1億円収入を得ても、リーガルコストで5,000 万から8,000 万取られてしまうと、何をやっているのかわからなくなって、下手するとリメイクの収入以上になってしまう場合もあるわけです。ですから、今この段階では申し訳ないんですけれども、ちょうど今コンテンツを育成するという養成期間だと思っていただきたいんです。 ○荒井局長 検討させていただきます。 ○関根委員 1つは、資金調達についてのお願いですが、完成保証制度については、今回の会合ができたのを機会にして、政府として何らかの形でつくってほしいということです。我々も細々ながら予約購入制ということで、放送権についてNHKが事前にシナリオを募集して、これはいい番組になりそうだというものについては、放送権について、あらかじめプロダクション等との間で契約を結んで購入する制度。それを元にしてプロダクションが番組を制作するんですけれども、そういうことを細々ながら4年前からやっているんです。
○牛尾会長 今の国家戦略に位置づけるというのは、どういう意味ですか。 ○関根委員 今までは、国家戦略に位置付けて推進して貰えなかったんですが、これからは我々のソフトと日本の家電メーカーのハードを一体で海外に展開できるよう大胆に打ち出して戴きたいということです。 ○牛尾会長 推進するわけですね。 ○関根委員 規模はほかのコンテンツに比べて小さいかもしれませんけれどもソフトとハードが一体ですし、やろうとすれば、幾らだってできるわけですから、そういうところに是非目配りしてやっていただきたいということです。しかも、このハイビジョンについてはアメリカの映画界が中心になっていくだけではなくて、例えばアジアでも中国では、2008年の北京オリンピック、これはCCTVは全部ハイビジョンでやると言っていますし、すべてハイビジョンでやるという風潮になってきています。マーケットとしての可能性が拡がってきていますので、是非考えていただきたいというふうに思います。 ○牛尾会長 前半に述べられた完成保証制度というのは、今、日本で動いているものというのは、大体どれぐらいの金額なんですか。 ○関根委員 いや、ほとんどないと言っていいぐらいですよ。 |
○牛尾会長 わかりました。では、続きまして、久保利委員お願いいたします。 ○久保利委員 久保利でございます。3点申し上げます。
○牛尾会長 どうもありがとうございました。では、依田委員どうぞ。 ○依田委員 3点ございます。角川委員と、久保利委員の御発言と関係していますが、私は余りリーガル、リーガルという前に、日本にはまだビジネス・アフェアーズという考え方が不足していると思います。海外攻勢をやるときには、まずビジネス・アフェアーズありきです。
○牛尾会長 どうもありがとうございました。大変貴重な御意見だと思います。
○岡村委員 もう既にお話が出ましたので、簡単にお話しさせていただきますと、やはり我々メーカーの立場からもさっき会長から御指摘があったように、知的財産権の問題というのは大変厳しい話で、過去はございました。
○牛尾会長 ありがとうございました。熊谷委員どうぞ。 ○熊谷委員 2点ございます。まず、資金の件に関しましては、皆様からさまざまなアイデアがございますので、一部税制に関しまして少し補足させていただきたいと思います。 15年度の研究開発税制の抜本強化が図られまして、試験研究費に関する税額控除についての改定がありました。
このまま、我々もいろいろな側面で無策でおりますと、あっという間にアジア、アメリカの方に逆転されてしまうという危機感は非常に持っております。
○牛尾会長 では、続きまして久保委員。 ○久保委員 プレゼンさせていただいたので、簡潔に。
○牛尾会長 3,000 万円の資産になってしまうわけですね。 ○久保委員 そうです。 ○牛尾会長 開発費用で5年ぐらいで償却できれば本当はいいんですね。 ○久保委員 そうですね、そのようには見てくれていません。 ○牛尾会長 そうなればいいわけでしょう。 ○久保委員 そうです。 ○牛尾会長 資産はないけれども、開発費として計上すると、わかりました。
○重延委員 3点だけ簡単に、1つは久保委員のポケモンのメガヒットの形が非常に明快で、なおかつこの会合はメガヒットとともに、そこに至るまでのことに関しても少しお話ししなければと思いますが、久保委員のような経験を是非これからも御披露いただければと思います。1ついろいろなことの関係の中で、1つだけポイントとしては「コスト感覚」というのがあって、日本の場合に、あらゆる面で「コスト感覚」に関しては非常にあいまいであるという気がいたしますので、このコストの感覚をどう変えていけるかということです。映画の方が、むしろ製作委員会制度になってから、割と「コスト感覚」が明解になってきたんです。
○牛尾会長 ありがとうございました。では、最後に浜野委員お願いします。 ○浜野委員 2点ありまして、里中先生いらっしゃったらということを代弁したいと思います。海賊版のことは、目に見える海賊版については議論されていますが、『ジャングル大帝』の問題であったように、目に見えない海賊版も無視できません。角川会長の『リング』はリメーク権が売れましたけれども、ストーリーの宝庫である漫画は、キャラクターを変えて映像にしてしまうとわかりませんので、たくさんのストーリーが目に見えない海賊版となっています。
○牛尾会長 それは、どこの組織ですか。 ○浜野委員 アメリカのライターズ・ギルドです。 ○牛尾会長 これは民ですか、それとも官ですか。 ○浜野委員 民間です。シナリオライターが加盟しているユニオンです。 ○牛尾会長 それを政府がバックアップして、エビデンスに使うと。 ○浜野委員 それを一応フォーマルな根拠とするということです。
○牛尾会長 大変、具体的に、かつ重要な問題がたくさん出たと思います。一応、これらを事務局でよく収集して、他の分野ではほとんど経験していることが、この分野では初めて発生しているわけですから、割と経済産業省はやりやすいと思います。税の問題なんかも特に大事ですね。
○荒井局長 資料6「コンテンツビジネス振興政策(骨子)(案)」、これに沿いまして御説明させていただきます。
|
○牛尾会長 ありがとうございました。この件につきましても、本日、御欠席の日枝委員からは資料7のとおり、御意見を書面でちょうだいしております。
○ 依田委員 2ページでございますが、先ほどもちょっと、時間がなかったので切ってしまったんですけれども、2ページの問題点の左側の(1)ですけれども「高等教育機関での教育機会不十分」とあるんですが、どうしても高等教育というふうに言ってしまうんですけれども、やはり基本的な海外ビジネスというものがよくわかる、そういうビジネス・アフェアーズの経験のあるデパートメントがないと、いいロイヤーも育たないと思うんです。
○牛尾会長 どうぞ久保委員。 ○久保委員 今、依田委員の方からもありましたけれども、やはり大切なことは、官民力を合わせて!ということがあります。しかしながら、どうも官の人たちは漫画を見て育っていないんではないかと思います。つまり、漫画を読んで東大に入った人は、そうはいないと思うんですね。
○牛尾会長 角川委員、どうぞ。 ○角川委員 2ページに関して申しますけれども、議題の方は少ない資金での制作ということからくる悪循環になっているという問題と、右の方でアメリカ、ハリウッドの一人勝ちという指摘をされているわけですけれども、私はやはりここで「コンテンツビジネス振興法」では、きちっと恵まれない創作者のための資金援助のためのシステムということと、それからメガコンテンツを制作するための基盤づくりということを、きちっと議論の上で分けて考えないと、どこかでダブルスタンダードになってしまうんじゃないかという感じがします。
○牛尾会長 これは大事な問題ですね。まぜこぜにすると違うんですね。 ○角川委員 はい、違うんです。 ○牛尾会長 関根委員、どうぞ。 ○関根委員 瑣末な問題と受け取められるかもしれませんけれども、1次案より2次案、少しずつ文章の表現自体が練れてきているという受け止め方をしています。ただ表現上の問題、つまり現状に対する認識の受け止め方、ここでちょっと気になることが幾つかあるので意見を述べておきます。例えばこの2ページの問題点の1番のところで、「前近代的」という表現があります。それと、3ページのところにも、真ん中ほどに国が進める方策の中で、「制作流通の近代化」、どうも「前近代的」とか、「近代化」ということについて、私非常に違和感を持っているんです。
○牛尾会長 割と幅広く、遅れているところから、先端まであるという、どこをながめて発言するかで全然表現が違うので、正確に発言した方がいいですね。 ○関根委員 これは全部じゃないんですね。 ○牛尾会長 そうですね。 ○関根委員 どこを取って前近代的なのか。人によって受けとめ方が違うと思います。 ○牛尾会長 もう少し突っ込んで分けて考えるという手もありますね。非常に貴重な御指摘ですね。
○岡村委員 まず一つ、先ほどソフトウェアとハードウェアの問題が出ましたので、一言だけ申し上げておきますと、今やまさにハードウェアといえどもソフトウェアの固りになっていまして、現実にはもうソフトウェアの闘いを訴訟の世界でやっております。
○牛尾会長 非常に多様化していますね。だから、非常に成功している業界を中心に、民間が軸になって、オール・ジャパン的な方向にいって、しかもおっしゃるように中身はソフト、ハード、混然として、しかも闘いの主戦場はソフトになっているんですね。そういうところは成功しているけれども、やはり業界そのものがもう混迷しており、官民に行く前に民の中がまとまっておらず、しかも会社のレベルにばらつきが多くて、それが過去の秩序と全く違ってきていると思います。昔、Aランクの企業がCになり入れ替わりが激しく、相互に認知してなくて、何かゲリラ戦のようになっている業界というのは、もうますます沈んでいくんですね。
○熊谷委員 ゲームという一つ絞られた世界のことになってしまうかもしれないんですが、昨今ゲームと犯罪との結び付きですとか、暴力との結び付き、またゲーム脳という御指摘があります。勿論こういったことに関しましては、各専門の分野の方々の調査結果を待たねばならないところはありますし、一部で漫画やアニメ、映画に関しましても、同じような歴史で悩みを抱えられていたと思いますけれども、ゲームに関しましてもそういった意味ではメディアの方から非常に厳しい状況を強いられているところもあります。
○牛尾会長 わかりました。重延委員、どうぞ。 ○重延委員 まず、この骨子案ですけれども、1つは先ほど近代化と書いてある流通部門の近代化で、「公正取引委員会による独禁法・下請法の厳正適用」というところですけれども、公正取引委員会だけではなくて、民間レベルの意識改革で、「近代化」という表現よりも「意識改革」の方がいいかと思いますが、民間レベルの意識改革が必要かと思います。これは流通の方、制作する方、両方によるものだと思いますけれども。
○牛尾会長 管理権の問題ですね。
○久保利委員 関根委員のおっしゃった、2ページの「前近代的な」云々という部分なんですが、会長がおまとめになったとおり、このコンテンツ産業というのは、非常に多岐にわたるいろんな業態が入っているので、全部まとめて前近代的と言うと問題なのかもしれません。しかし、少なくとも私が知る限りは、制作現場の問題一つ取ってみても、これは零細なクリエーターのところから、あるいは放送局に至るまで問題があります。例えば、放送局におけるADの低賃金、非常に長時間の労働というものとか。セクハラ相談なんかやると、弁護士会に一番来るのは放送局の人なんです。非常にマスメディアはそういうことについて厳しいように思われていながら、実は非常にルーズな人事管理をしたり、非人間的な取り扱いがあったりする。 流通の問題1つ取ってみても、これは前近代的としかいいようのない側面もあるのではないかと。
○牛尾会長 ありがとうございました。浜野委員、どうぞ。 ○浜野委員 2ページ目に「アジアの追い上げ」というふうに書いていますが、国際競争力という点では日本映画は中国映画に追い抜かれていますし、オンラインゲームとかモバイルコンテンツの一部では、韓国に差をつけられています。追い上げるべきはアジアではなく日本である部分もあり、反論があるかもしれませんが。認識が甘いのでないかと思います。
日本では今もって、 残念ながら、海外でコンテンツビジネスする際のデータがありません。研究者として恥ずかしいですけれども、海外のデータ収集の努力が体系的に行われてこなかったのです。
○牛尾会長 依田委員、どうぞ。 ○依田委員 時間の関係で、先ほどレコード業界の立場で申し上げましたが、私も日本経団連のエンターテインメント・コンテンツ産業部会に関係しておりますので、ちょっと追加でお願いしたいと思います。
|
○牛尾会長 ほかにありませんか。どうぞ、角川委員。 ○角川委員 11月28日付けの新聞各紙で、京都府警がブロードバンドにおける映画のダウンロードを不当にしていた人を逮捕したという画期的な事件があって掲載されていました。ハリウッドの方の調査機関の調査では、日本では2年間のうちに4,200 万本の映画が不当にダウンロードされているという調査が出でおります。
○荒井局長 貴重な御意見だと思います。 ○角川委員 そうです。 ○牛尾会長 ブロードバンドの普及がいよいよ本格的になるのは、2005年、IPバージョン6が完全に軌道に乗ったときに、一気に幅広くなるわけですね。このままでいきますと、こんな状態でそれをすると、もうどんどんダウンロードされて、何が何だか大混乱に陥ると思うし、みんなも顧客合戦で、今のADSLの競争を見ていると、コンテンツを吹き飛ばして、客を何人取るかということに全部焦点が行っているような、ちょっとひどい闘いになっているんですね。だから、ブロードバンドの場合は今度は中身が問題になってきますから、本当に来年の9月ごろまでにすればぎりぎり間に合いますから、この委員会もその辺を相当しないと。
○荒井局長 国民的な課題ですからね。 ○牛尾会長 まだ、日本社会全体に知的財産の問題とか、コンテンツの問題とか、それは一体何だという人が、恐らく95%だと思うんです。だから、もっとわかりやすい言葉に転化して伝えないといけないわけです。
○荒井局長 はい。 ○牛尾会長 簡単にやってしまうとうまくいかないですね。といって、おっしゃるように、タイミングからいって来年ぐらいにやらないといけませんね。 ○依田委員 そう思いますね。 ○牛尾会長 あなたが冒頭に言われたリーガル・マターの前にビジネス・アフェアーそのものが、形を成してないところがあるんですね。それぞれ個別にいいところは、いいゾーンなんですよ。 ○依田委員 だから海外進出できないんじゃないですか。 ○牛尾会長 国内の特殊な条件で行っているわけだから、ビジネスの人の基礎が成り立つようにする為には、やはりみんなビジネススクールに行くしか仕方ないんじゃないですか。特殊なもののビジネスを学ぶよりも、世界に通用するんだったらビジネススクールに行くのが一番いいので、みんな映像もあるし、そういうことでもっと当たり前の仕事なんだということを言わないと、特殊な仕事だと言わない方がいいんじゃないですか。
○荒井局長 できれば、そうですね。 ○牛尾会長 暮れから正月で、事務局には悪いけれども。
○荒井局長 はい。 ○牛尾会長 それでは、次回は流通ともう一度振興政策骨子で、勿論事務局からヒアリングでもう一度参ると思いますが、最終的にこうやってまとめることに関しては、私に御一任いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○牛尾会長 ありがとうございました。それでは、まだ2、3分ありますけれども、ほぼご意見が出たと思いますので、本日のこの会議を終了したいと思います。
|