○ 査証審査の一層の綿密化 |
| ・ | 不法就労等を目的とする外国人の入国を未然に防止するなど査証審査の一層の綿密化を図るため、平成14年度に一部の在外公館にて運用を開始した査証WAN(※)について、平成15年度中に残る在外公館での運用開始を目指す。(外務) |
| | (※) 査証WANとは、(1)査証の偽変造を防止するためのMRV(機械読取査証)システムと(2)外務本省、全在外公館で査証関連情報を即時に共用するための情報通信ネットワークから成る。 |
○ 入国管理機能の強化 |
| 【体制の強化】 |
| ・ | 偽変造旅券等の行使者に対し厳格な上陸審査を実施し退去強制手続をとるとともに組織的な人の密輸事犯、偽変造文書行使事犯等について積極的に捜査機関に告発、通報を行うため、要員の確保・充実等入国管理体制を強化する。 |
| さらに全国の海空港で等しく厳格な上陸審査を実施し、不法入国を防止するため、地方海空港においても入国管理体制の強化を図る。(法務) |
| 【取締りの強化】 |
| ・ | 直行通過区域を悪用する外国人を積極的に取り締まるため、巡回・監視を強化する。(法務) |
| ・ | 海外における国際犯罪組織等に関する情報を迅速・確実に入手し、関与者の来日を海外において阻止するための方策を検討する。(法務) |
| 【装備資機材の拡充】 |
| ・ | 偽変造旅券等の鑑識機器については、全国の主要空港等にネットワーク機能を有する新鋭機器を導入しているところであるが、ますます精密化する偽変造に対応するための機能強化に努める。(法務) |
| 【民間との連携】 |
| ・ | 有効な旅券等渡航文書を有しない者の来日を未然に阻止し、不法入国事案等の発生を防止するため、航空会社を対象とした偽変造文書に関する研修会を開催するなど、搭乗時のチェック機能の強化を図る。(法務、国土交通) |
○ 旅券犯罪対策 |
| 【法令の整備】 |
| ・ | 不法滞在者が適法滞在を装うため、又は密入国者が不法に出国するために、組織犯罪集団が関与して、日本旅券が不正取得又は不正使用(旅券を偽変造して行使又は他人名義旅券の行使)される事案が増えているところ、これらに適切に対処するために、関係省庁の協力を得て、従来の旅券法の罰則体系を見直す作業を行う。(外務) |
| 【次世代旅券の開発】 |
| ・ | 紛失・盗難旅券を悪用した偽変造を防止するため、高度な偽変造防止対策を施した次世代旅券の開発に努める。(外務) |
| ・ | 偽変造防止及び第三者による成り済まし行使を防止するため、旅券名義人の生体情報に基づく本人認証技術(バイオメトリクス)を利用した旅券を導入する。 |
| 国際的な相互運用性確保のため、現在ICAO(国際民間航空機関)が国際標準化作業を継続中のところ、同作業の進捗状況及び各国の動向に注視しつつ、適切な時期に導入を図る。(外務) |
| 【不正取得の防止】 |
| ・ | 第三者が名義人に成り代わって旅券を不正に取得する事案が増加していることから、平成15年1月、外務省に不正取得防止タスクフォースを立ち上げ、同年4月に第一回旅券不正取得防止対策官会議を開催し、同年6月を不正取得防止特別強化月間に指定して全国的な不正取得防止キャンペーンを実施したところ、今後も、不正取得防止に取り組むとともに、警察当局との連携を密にして旅券犯罪の摘発に努める。(外務、警察) |
○ 在留管理及び取締り、退去強制 |
| 【体制の強化】 |
| ・ | 在留状況実態調査及び取締り(摘発・収容・送還)を充実・強化するため、要員の確保・充実等入国管理体制を強化する。 |
| 特に不法滞在外国人等の多い首都圏における摘発を強化し、また、不法滞在者の地方拡散化傾向に対応するため、首都圏以外の地域においても摘発の推進に努める。(法務) |
| ・ | 不法滞在事犯対策を充実・強化するため、取締りに当たる警察官及び通訳の確保・充実等その体制を強化する。(警察) |
| 【取締りの強化】 |
| ・ | 不法滞在者の集中する地区に重点を置いた取締りの実施、関係取締機関との合同摘発の一層積極的な実施等により、不法入国・不法滞在事 犯の取締りを強化する。(警察、法務) |
| ・ | 上陸審査における偽変造旅券等の行使者及びこれを幇助した外国人に対して退去強制手続きを執るとともに、組織的な人の密輸事犯、偽変造文書行使事犯等については積極的に捜査機関に告発・通報を行う。(法務) |
| 【施設の拡充】 |
| ・ | 平成14年度末までに東京入国管理局における収容施設の建て替えを行い、収容定員を従来の450人から800人に拡充した。以後、収容施設について、収容状況を勘案しながら、計画的な整備について検討を行う。(法務) |
| 【法令の整備】 |
| ・ | 偽りその他不正の行為により在留を画策するなど継続して滞在させることが好ましくないと認められる事案に対し、在留期間途中で在留資格を失わせることができるよう出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)の改正をできるだけ早期に行う。(法務) |
○ 水際における密航事犯に対する監視・取締り |
| 【体制の強化】 |
| ・ | 密航取締体制を強化するため、情報の収集・分析及び機動的な広域捜査を推進する国際組織犯罪対策基地等の強化、ぐ犯国直航船舶に対する立入検査・監視のために必要な要員の確保を推進する。(海上保安) |
| 【施設・装備資機材の拡充】 |
| ・ | 監視能力、速力性能等を向上させた巡視船艇の整備、監視能力を強化した航空機の整備等を推進する。(海上保安) |
| ・ | コンテナ等利用による密航事案の摘発を強化するための効果的な資機材の開発、整備を促進する。(海上保安) |
| 【関係機関・民間との連携】 |
| ・ | フェンスの設置、照明設備及び監視カメラの整備等埠頭の管理強化について港湾管理者に対する協力を要請するとともに、海事・漁業関係者、沿岸監視等の活動を目的として発足したボランティア団体「海守」等民間の協力を得て監視を強化する。(警察、法務、財務、国土交通、海上保安) |
| ・ | 民間及び港湾管理者等の行政機関との情報共有体制の充実を図る。(警察、法務、財務、国土交通、海上保安) |
| 【港湾施設の保安対策の強化】 |
| ・ | 改正SOLAS条約を踏まえて、港湾施設の保安対策の強化を行っていく。(国土交通) |
| 【密航組織の実態解明】 |
| ・ | 視察内偵活動等の強化のための必要な捜査基盤等を整備していく。(海上保安) |
| ・ | 密航者の入国方法などに関する情報を共有することにより、効果的な取締りを実施する。(法務、警察、海上保安) |
○ 不法就労防止のための広報啓発 |
| ・ | 就労に必要な在留資格又は許可を有しない外国人を雇用することは入管法により処罰の対象となることから、事業主や経済団体等に対して、外国人労働者を採用するに当たって、あらかじめ旅券、外国人登録証明書等によりその在留資格が当該雇用に適したものであることを確認するなど、外国人の雇用に際して法令を遵守するよう広報啓発を推進する。(厚生労働、法務、警察) |
○ 関係機関相互の情報交換・連携 |
| ・ | 不法入国、不法滞在事犯に対し、合同訓練、合同立入検査及び合同捜査の実施を積極的に行う。(法務、警察、海上保安) |
| ・ | 不法入国、不法滞在問題に対し、より一層効果的な対策を実施するために、関係機関相互の情報交換及び取締りにおける相互の連携を強化していく。(警察、法務、外務、財務、海上保安) |
| ・ | 入管、税関及び警察の間において、運送業者の協力を得つつ、乗客名簿等を基にした要注意外国人等の的確な把握のための連携を強化し、厳正な出入国管理の推進及び国際組織犯罪等に係る捜査・調査の効率化を図るため、事前旅客情報 システム(APIS)について、平成16年度中に運用を開始する。(警察、法務、財務) |
○ 関係国との連携 |
| ・ | 外交ルート又はそれぞれの関係国の対応機関との協議の場を通じて、当該国から我が国への不正出国防止について引き続き協力依頼を行うなど、関係国との連携を強化する。(外務、警察、法務、海上保安) |
| ・ | 関係国取締機関との間で、密航請負組織に関する情報交換を行うとともに、共同摘発を実施する。(警察、海上保安) |
| ・ | 退去強制対象者の迅速な送還を行うことができるよう、旅券等渡航文書の早期発給等について外国関係機関に働きかける。(法務、外務) |
| ・ | 適正な就労を促進するため、不法就労外国人が多い送出国において、我が国の外国人労働者受入方針等に関する広報活動を実施する。(厚生労働省) |