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地球温暖化対策推進大綱の概要


1.基本的考え方

  • 温暖化対策への取組が、経済活性化や雇用創出などにもつながるよう、技術革新や経済界の創意工夫を活かし、環境と経済の両立に資するような仕組みの整備・構築を図る。(「環境と経済の両立」

  • 節目節目(2004年、2007年)に対策の進捗状況について評価・見直しを行い、段階的に必要な対策を講じていく。(「ステップ・バイ・ステップのアプローチ」

  • 京都議定書の目標達成は決して容易ではなく、国、地方公共団体、事業者、国民といったすべての主体がそれぞれの役割に応じて総力を挙げて取り組むことが不可欠である。かかる観点から、引き続き事業者の自主的取組の推進を図るとともに、特に、民生・運輸部門の対策を強力に進める。(各界各層が一体となった取組の推進

  • 米国や開発途上国を含む全ての国が参加する共通のルールが構築されるよう、引き続き最大限の努力を傾けていく。(「地球温暖化対策の国際的連携の確保」
2.新大綱のポイント

  • 我が国における京都議定書の約束(1990年比▲6%削減)を履行するための具体的裏付けのある対策の全体像を明らかにする。政府を挙げて100種類を超える個々の対策・施策のパッケージをとりまとめたもの。地球温暖化対策推進法改正案(今国会提出予定)に規定する京都議定書目標達成計画は、新大綱を基礎として策定することとしている。

  • ▲6%削減約束については、当面、下記の1〜5の目標により達成していく。その際、1〜5の目標のうち、第1約束期間において、目標の達成が十分に見込まれる場合については、こうした見込みに甘んじることなく、引き続き着実に対策を推進するとともに、今後一層の排出削減を進めるものとする。なお、国としての京都議定書上の約束達成義務及び京都メカニズムが国内対策に対して補足的であるとする原則を踏まえ、国際的動向を考慮しつつ、京都メカニズムの活用について検討する。

  • 地球温暖化対策推進本部は、2004年、2007年に本大綱の内容の評価・見直しを行う。この際、本大綱の前提とした各種経済フレーム等についても必要に応じて総合的に評価・見直しを行った上で、柔軟に対策・施策の見直しを行う。

  • 本大綱については、これまでの関係審議会等におけるパブリックコメントや審議の結果等を踏まえつつ、「関係審議会合同会議」での意見聴取を踏まえ、その策定作業を行ったところであるが、京都議定書目標達成計画の策定に当たっては、本大綱を基礎としつつ、さらに国民各界各層の意見を幅広く聴くものとする。
3.温室効果ガスその他区分ごとの対策(例)

  1. エネルギー起源二酸化炭素(±0.0%)
    ※1990年度と同水準に抑制することを目標
    産業部門民生部門運輸部門
    省エネ
    22百万t-CO2の追加対策
    • 自主行動計画の着実な実施とフォローアップ(経団連自主行動計画は±0%以下に抑制を目標)
    • 高性能ボイラーや高性能レーザーなどの技術開発及び普及
    • 高性能工業炉の導入促進
    • 省エネ法の改正により、大規模オフィスビル等についても、大規模工場に準ずるエネルギー管理の仕組みを導入。
    • 従来対象となっていなかったガス機器等をトップランナー適用機器として拡大追加
    • 高効率給湯器の普及促進
    • 家庭・業務用エネルギーマネジメントシステムの普及促進
    • トップランナー基準適合車の加速的導入、クリーンエネルギー自動車を含む低公害車の開発・普及の加速等
    • 高度道路交通システム(ITS)の推進等の交通流対策
    • 海運へのモーダルシフト等物流の効率化
    • 公共交通機関の利用促進
    新エネ
    34百万t-CO2の追加対策
    • バイオマス、雪氷の新エネ法への位置づけ
    • 電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法制定の提案
    • 太陽光発電、太陽熱利用、風力発電、廃棄物発電、バイオマスエネルギー等の導入補助の推進
    • 燃料電池、太陽光発電、バイオマスエネルギー等の技術開発・実証試験等の強化
    燃料転換等
    18百万t-CO2の追加対策
    • 老朽石炭火力発電の天然ガスへの転換支援
    • 産業用ボイラー等の燃料転換支援
    • 天然ガスパイプラインにかかる安全基準の整備
    原子力の推進
    • 安全性の確保を大前提とした原子力の推進
    •  核燃料サイクル施設等の立地に係る電源立地地域振興策の推進
    (注)約462百万t-CO2(▲7%)約260百万t-CO2(▲2%)約250百万t-CO2(+17%)
    (注)( )内は、1990年度の各部門別の排出量からの削減割合。
    部門毎の排出削減目標量については、様々な条件や前提の下に達成することができると試算される目安として設定するもの。
    対策の評価は、エネルギー需給構造全体の観点に立って一定の幅をもって行うべきもの。
    事業者等による京都メカニズムの活用も認められており、自らの削減をより費用効果的に達成するために活用されることが期待。

  2. 非エネルギー起源二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素(▲0.5%)
    ※0.5%分の削減を達成することを目標
    非エネルギー起源
    二酸化炭素
    廃棄物処理法、リサイクル関連法による廃棄物の減量化、木材・木質材料の利用拡大、農地における緑肥栽培、たい肥還元等の促進
    メタン 食品リサイクル法等による廃棄物の直接埋立の半減
    ほ場の管理の改善
    農業部門からの排出削減技術開発
    一酸化二窒素 下水道施設計画などによる下水汚泥の燃焼の高度化

  3. 革新的技術開発及び国民各界各層の更なる地球温暖化防止活動の推進(▲2.0%)
    ※2.0%分の削減を達成することを目標
    革新的技術開発 省エネ型新製鉄プロセス、省エネ型新規化学プロセス、自動車軽量化用材料開発、低消費電力型電子機器、低電力損失送配電システム等の研究開発を実施
    国民各界各層の更なる地球温暖化防止活動の推進 白熱灯の電球形蛍光灯への取り換え、夜間屋外照明の上方光束のカット、冷蔵庫の効率的使用、節水シャワーヘッドの導入、事務所の一旦消灯、無駄なコピーの縮減等

  4. 代替フロン等3ガス(HFC、PFC、SF6)(+2.0%)
    ※自然体でプラス5%をプラス2%程度の影響に止めることを目標
    産業界の行動計画のフォローアップ
    新規代替物質の開発
    低コストかつコンパクトなフロン再利用・分解技術の開発
    家電リサイクル法、フロン回収破壊法の適切な運用

  5. 吸収量の確保(▲3.9%)
    ※COP7で合意された▲3.9%程度の吸収量の確保を目標
    植栽、下刈、間伐等の健全な森林の整備、木材・木質バイオマス利用の促進、都市緑化等の推進