1 予算編成の前提となる経済情勢及び財政事情
(1) 経済情勢
我が国経済は、金融機関の経営に対する信頼の低下、雇用不安などが重なって、家計や企業のマインドが冷え込み、消費、設備投資、住宅投資といった最終需要が減少するなど、極めて厳しい状況にある。
これに対し政府は、四月に総事業規模十六兆円超の総合経済対策を、十一月には、総事業規模にして十七兆円を超える規模の緊急経済対策を取りまとめた(注:減税全体の規模を含めれば二十七兆円規模)。
次に、我が国経済を取り巻く国際経済情勢をみると、新興市場諸国における通貨・経済の混乱をはじめとして、欧米においても先行きに対する不透明感が見られるなど、依然として厳しい状況にある。
アジア経済は、金融・通貨危機の影響を受け、大きく減速した。米国経済は、景気は拡大しているものの、先行きにやや不透明感がみられる。西ヨーロッパ経済は、総じて拡大が続いているものの、一部にそのテンポに鈍化懸念がみられる。
(2) 財政事情
我が国財政は、十一年度末の公債残高が約三百二十七兆円にも達する見込みであり、主要先進国中最悪の危機的状況に陥っている。少子・高齢化が進む我が国において、将来の世代・社会の変化を考えれば、財政構造改革の推進は引き続き重要な課題である。
2 予算編成の基本方針
十一年度予算の編成に当たっては、「平成十一年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」(十年十二月二十日閣議了解)を踏まえつつ、次のような方針で編成することとした。
(1) 一般会計予算については、いわゆる十五か月予算の考え方の下に、平成十年度第三次補正予算と一体的にとらえ、当面の景気回復に向け全力を尽くすとの観点に立って編成する。
なお、財政構造改革の基本的考え方は維持し、限られた財源の中で経費の一層の合理化・効率化・重点化を図る。
(2) 社会経済情勢の変化に即応した、簡素にして効率的な行政の実現を目指し、行政の制度・運営について不断のかつ徹底した見直しを行い、所要の改革合理化措置を着実に実施する。
(3) 税制面においては、現下の厳しい経済情勢等を踏まえ、景気に最大限配慮して、所得税及び法人税について恒久的な減税を実施するとともに、住宅建設及び民間設備投資の促進、経済・金融情勢の変化への対応等の観点から適切な措置を講ずることとする。
(4) 公債発行額は、前年度当初発行予定額より十五兆四千九百三十億円増額し、三十一兆五百億円とする。
3 十一年度一般会計予算の規模等
(1) 一般会計予算の規模
十一年度一般会計予算の規模は、八十一兆八千六百一億円であって、十年度当初予算額に対して四兆一千九百九億円(五・四%)の増加となっている。
なお、一般歳出の規模は、四十六兆八千八百七十八億円であって、十年度当初予算額に対して二兆三千五百十六億円(五・三%)の増加となっている。
(2) 一般会計予算と国内総生産等
(イ) 一般会計予算の規模を国内総生産等と対比すると、第1表のようになる。
(ロ) なお、十一年度の政府支出の額は、九十五兆一千億円程度であり、十年度実績見込みに対して、三・八%程度の増加となる見込みである。また、そのうち、固定資本形成は、七・八%程度の増加となるものと見込まれる。
(3) 一般会計歳入予算
(イ) 租税及印紙収入は、現行法による場合、十年度補正(第三号)後予算額に対して二兆六千十億円増の五十二兆七千六百六十億円になると見込まれるが、恒久的な減税等、住宅・土地税制、投資促進税制、金融関係税制等の税制改正を行うこととしている結果、十年度補正(第三号)後予算額に対して三兆四百六十億円(六・一%)減の四十七兆一千百九十億円になると見込まれる。
また、その他収入は、十年度当初予算額に対して、一千九億円(二・八%)増の三兆六千九百十一億円になると見込まれる。
(ロ) 十一年度における公債発行額は十年度当初発行予定額を十五兆四千九百三十億円上回る三十一兆五百億円である。
公債発行額のうち九兆三千四百億円については、「財政法」第四条第一項ただし書の規定により発行する公債によることとし、二十一兆七千百億円については、「平成十一年度における公債の発行の特例に関する法律」(仮称)の規定により発行する公債(以下「特例公債」という。)によることとしている。この結果、十一年度予算の公債依存度は三七・九%(十年度当初予算二〇・〇%、補正(第三号)後予算三八・六%)となっている。
1 租税及印紙収入(単位 億円)
(1) 現行法を十一年度に適用する場合の租税及印紙収入
五二七、六六〇
(2) 税制改正による増△減収見込額
△ 五六、四七〇
イ 恒久的な減税等 △ 四七、八六〇
ロ 住宅・土地税制 △ 八五〇
ハ 投資促進税制 △ 三、三七〇
ニ 金融関係税制 △ 一、九九〇
ホ その他 △ 二、四〇〇
(3) 十一年度予算額(1)+(2)
四七一、一九〇
2 その他収入 三六、九一一
3 公 債 金 三一〇、五〇〇
合 計 八一八、六〇一
4 重要施策
(1) 税制改正
現下の厳しい経済情勢等を踏まえ、景気に最大限配慮して、所得税及び法人税について恒久的な減税を実施するとともに、住宅建設及び民間設備投資の促進、経済・金融情勢の変化への対応等の観点から適切な措置を講ずることとしている。
(2) 社会保障の充実
今後の急速な少子・高齢化の進展に伴い、社会保障に要する費用が急速に増加していくことが見込まれるなか、経済の発展、社会の活力を損なわないよう、必要な給付は確保しつつ制度の効率化・合理化を進め、将来にわたり安定的に運営できる制度を構築していくことが必要である。このため、十一年度においては、新ゴールドプラン、緊急保育対策及び障害者プランを着実に推進するほか、がん・エイズ・難病対策を総合的に推進するとともに、国立病院の経営改善、高齢者の薬剤一部負担に関する臨時特例措置等を講ずるなど、国民生活に身近な保健・医療・福祉等の各分野においてきめ細かな配慮を行うこととしている。この結果、十一年度の社会保障関係費は、十年度当初予算額に対して一兆二千五百十九億円(八・四%)増の十六兆九百五十億円を計上している。
まず、生活保護については、生活扶助基準の〇・三%の引上げ等の改善を行うとともに、不正受給防止対策等の適正化対策を推進することとしている。
次に、少子化等子どもを取り巻く環境の変化を踏まえ、特に女性の社会進出に対応して、子育てと仕事の両立を図る必要があることにかんがみ、低年齢児保育促進事業、延長保育等促進基盤整備事業等の拡充等緊急保育対策等の着実な推進を図るとともに、高齢者介護対策として訪問介護事業、短期入所生活介護運営事業、日帰り介護運営事業等在宅福祉対策の拡充や、特別養護老人ホーム、介護利用型軽費老人ホーム等の着実な整備を行うなど、新ゴールドプランの着実な推進を図ることとしている。
また、障害者対策として訪問介護事業、身体障害者療護施設、知的障害者更生施設、精神障害者生活訓練施設、精神障害者社会適応訓練事業、グループホーム、授産施設等の拡充を行うなど、障害者プランの着実な推進を図ることとしている。
医療費関係については、その効率化・適正化を図るため、引き続き、重複・頻回受診者に対する訪問指導の強化、医療機関に対する指導監査の強化、レセプト審査の充実強化等各般の施策を着実に推進することとしている。
なお、現下の経済状況にかんがみ、抜本改革までのつなぎの措置として、十一年度に、高齢者の薬剤一部負担に関する臨時特例措置を講じることとしている。
医療供給体制の整備については、医療施設の近代化を図るための助成措置を引き続き行い、一般病院の病床を要介護者の生活の質に配慮した療養環境を備えた療養型病床群へ転換することを促進するほか、救急医療対策、へき地保健医療対策、高度不採算医療を行う公的医療機関等に対する助成措置を引き続き行うこととしている。また、難病対策を積極的に推進するとともに、国立医療施設を中心として、がん、循環器病、小児医療等の専門医療機能の強化を図ることとしている。
雇用対策については、厳しい雇用失業情勢を踏まえ、早急な雇用の創出及びその安定を目指し、中小企業における雇用創出のための支援事業の実施、中高年労働者の失業なき労働移動・再就職支援対策の拡充、民間教育訓練機関の活用も含めたホワイトカラー離転職者向け訓練の拡大等の職業能力開発対策の拡充等を内容とする事業規模一兆円程度の「雇用活性化総合プラン」を実施することとし、十年度第三次補正予算で一般会計、特別会計を通じ既に措置済の三千八十一億円のほか、六千八百七十七億円(一般会計五十六億円、労働保険特会六千八百二十一億円)を計上している。
なお、消費税に対する国民の理解を一層深める観点から、消費税収の使途(地方交付税交付金を除く。)を基礎年金、老人医療及び介護に限る旨を予算総則に明記したところである。
(3) 文教及び科学技術の振興
文教及び科学技術の振興については、高等教育、学術研究、科学技術、文化の各分野に対し、資金の重点的配分を図るとともに、国と地方の機能分担及び費用負担の在り方、受益者負担の適正化等の観点から、各種経費の見直しを行い六兆四千七百三十一億円(十年度当初予算比一千二百七十四億円、二・〇%増)を計上している(うち、科学技術振興費は九千六百三十億円(十年度当初予算比七百二十三億円、八・一%増))。
公立小中学校等の教職員定数については、第六次公立義務教育諸学校教職員配置改善計画(五〜十二年度の八年計画)の十一年度分として、所要の改善措置を講じている。
公立学校施設については、緊急度の高い改築事業や耐震補強等、耐震性能を向上する事業などを優先し、その必要事業量を確保する。また、制度改正事項として中等教育学校の後期課程等の設置に伴う施設整備を補助対象に追加し、地域・学校連携施設の整備充実を図るとともに、特殊教育諸学校(幼稚部・高等部)及び幼稚園の基準面積の改定を行う。
国立学校については、既存施設の有効活用に努めつつ、教育研究環境の改善を図るための施設の整備を行うこととしている。また、大学院の教育研究の高度化・多様化、教育研究の活性化等大学改革の推進、創造的な人材養成を目指す理工系教育の推進、人間性豊かな医療人の育成を目指す医学系教育の推進、高度情報化社会に対応した教育研究の推進、研究支援体制等の整備拡充、卓越した研究拠点の形成等を図っている。他方、国立学校の入学料については、私立学校との格差の現状や自己財源の確保の必要性を考慮し引上げを図ることとしている。
私学助成については、私立大学等経常費補助及び都道府県による高等学校以下の私立学校に対する経常費助成の補助について、特色ある教育プロジェクトを重視するため一般補助から特別補助への配分を高めることとし、所要の増額を行うとともに、私立学校教育研究装置等施設整備費補助、私立大学等研究設備整備費等補助及び私立学校施設高度化推進事業について所要の経費を計上している。
育英奨学事業については、無利子貸与事業において、貸与月額の増額及び大学院(博士課程)の貸与人員の増員、大学予約採用人員の増員を図るとともに、有利子貸与事業において、貸与人員の増員及び貸与月額選択制の導入など抜本的拡充を図ることとし、所要の経費を計上している。
このほか、生涯学習の振興、特殊教育の振興、芸術文化・スポーツの振興等についても施策の充実に努めるため、所要の経費を計上している。
科学技術の振興については、二十一世紀を見据え、我が国が今後一層の発展を遂げるため、その着実な充実を図る必要があるとの長期的展望に立ち、ライフサイエンスをはじめとする基礎的・創造的研究の充実強化及び若手研究者の養成・確保等を図るとともに、宇宙開発、海洋開発、産業技術基盤研究開発、情報科学技術の研究開発等を中心として、時代の要請に即応した科学技術の研究開発に努めることとしている。また、ゲノム及び脳関連研究並びにがん対策等を積極的に推進することとしている。また、研究分野・制度の重複の排除や、研究の共同・連携を促進することにより、戦略的な重点配分を図るとともに、研究の競争的環境を醸成しつつ国民に開かれた科学技術とする等のため、各省庁において事前・中間・事後にわたる外部評価の実施、評価結果の公表等研究開発に係る評価を推進することとしている。
(4) 社会資本の整備
公共事業関係費については、本格的な高齢化社会の到来を目前に控え、社会資本整備を着実に推進するとの基本的考え方を踏まえた上で、当面の景気回復に向け全力を尽くすとの観点に立ち、十一年度の一般会計においては、九兆四千三百七億円(十年度当初予算比五・〇%増)を計上している。
このほか、産業投資特別会計社会資本整備勘定(以下この章において「産投特会」という。)においては、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」に基づき貸付けを受けて実施される公共的建設事業として九百四十四億円を計上しており、これを加えれば九兆五千二百五十一億円となる。
なお、その配分に当たっては、物流効率化による経済構造改革に資する分野(大都市圏拠点空港、中枢・中核国際港湾、高規格幹線道路等)、二十一世紀を展望した経済発展基盤となる分野(情報通信、環境・高齢者等福祉、中心市街地活性化等)、更には、生活関連社会資本(下水道・集落排水施設等、各種防災対策等)への重点化を図っている。
また、生活空間倍増戦略プランの一環としての地域戦略プランについて、地域自らが策定したプランの初年度における事業の立ち上がり等を積極的かつ円滑に推進するための経費として、地域戦略プラン事業推進費を計上している。
治山治水対策事業については、国土保全施設の整備を進めるとともに、被災河川対策を中心とする河川改修、荒廃山地の復旧等に重点を置くこととし、一兆四千七百二十六億円(一般会計一兆四千七百二十三億円、産投特会二億円)を計上している。
道路整備事業については、物流の効率化対策に資する高規格幹線道路等の整備等を重点的に実施することとし、総額二兆七千九百二十九億円(一般会計二兆七千二十五億円、産投特会九百三億円)を計上している。
港湾漁港空港整備事業については、国際海上コンテナターミナルの整備、漁業生産の基盤となる漁港施設の整備及び漁港漁村の環境整備、大都市圏拠点空港の整備等に重点を置くこととし、七千六十四億円(一般会計七千四十七億円、産投特会十六億円)を計上している。
住宅市街地対策事業については、住宅金融公庫融資において、民間金融の補完の徹底を図り、業務の重点化、政策誘導機能の強化を図るとともに、住宅市街地整備総合支援事業、市街地再開発事業等の促進を図ることとし、一兆一千三百七十九億円(一般会計一兆一千三百六十六億円、産投特会十三億円)を計上している。
下水道環境衛生等施設整備事業については、下水道の普及促進のため、引き続き、一般都市の公共下水道の整備を推進するとともに、廃棄物処理施設の整備に重点を置くほか、国営公園、都市公園、自然公園の重点的な整備等の促進を図ることとし、一兆六千六百七十九億円(一般会計一兆六千六百七十億円、産投特会八億円)を計上している。
農業農村整備事業については、農業の生産性の向上及び農村の生活環境の向上に資する事業等に重点を置くこととし、一兆九百九億円(一般会計一兆九百九億円、産投特会一千二百万円)を計上している。また、この中で、国際化の急速な進展を踏まえ、我が国農業の体質強化を緊急に図る観点から、ウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策を実施することとしている。
森林保全都市幹線鉄道等整備事業については、三千五百十億円(一般会計三千五百九億円、産投特会一億円)を計上している。
なお、公共事業等の経費に係る予見し難い予算の不足に充てるため、新たに公共事業等予備費五千億円を計上し、経済情勢の推移等に機動的に対処しうるよう配慮している。
(5) 経済協力の充実
一般会計ODA予算については、アジア支援に関する我が国への期待の増大、国際機関分担率の上昇等に対応しつつ、ODAの効率化・重点化を一層進めることとし、十年度当初予算額に対して十六億円(〇・二%)増の一兆四百八十九億円とすることとしている(経済協力費は七十五億円(〇・八%)増の九千八百七十七億円)。
経済開発等援助費については、一層の合理化・効率化を進める一方で、我が国のODAの存在感の強化を図り、「顔の見える支援」を実現するため、開発途上国での日本センター設立のための「人造り拠点支援無償」及び途上国による我が国への留学生派遣事業を支援する「留学生支援無償」を新設する。また、我が国NGO等の活用を念頭においた「草の根無償」を拡充することとしているほか、人道面での支援を更に強化するため、「対人地雷無償」の創設及び「子供の健康無償」の拡充を行うこととし、十年度当初予算額に対して〇・一%増としている。
技術協力については、開発途上国の人造りを支援するため特に重点的にその充実を図ることとし、国際協力事業団に対する交付金の増額、留学生対策の一層の充実を図る等十年度当初予算額に対して一・一%増としている。
国際機関等を通ずる経済協力についても、分担率の上昇等が見込まれる一方で、我が国の「顔の見える支援」の実現を図る見地から、我が国が使途決定に関与できる国際機関のファンドへの拠出に重点化を図る等の工夫を行い、十年度当初予算額に対して一一・一%増としている。
円借款については、アジア支援等による資金需要増に対応する一方で更なる合理化を行い、海外経済協力基金等への出資金及び交付金を十年度当初予算額に対して三・五%減としている。
(6) 防衛力の整備
防衛関係費については、九年十二月十九日の安全保障会議及び閣議決定により見直しが行われた「中期防衛力整備計画(八〜十二年度)」等の下、効率的で節度ある防衛力の整備を行うため、装備品の調達価格の引下げ等経費の一層の効率化・合理化を図りつつ、所要の経費を計上しており、防衛関係費として、十年度当初予算額に対して七十五億円(〇・二%)減の四兆九千三百二十二億円を計上している。
なお、沖縄に関する特別行動委員会(以下「SACO」という。)関係経費は百二十一億円であり、これを除いた防衛関係費は、四兆九千二百一億円(〇・二%減)となる。
(7) 中小企業施策の推進
中小企業対策費については、中小企業を取り巻く厳しい経営環境等を踏まえ、金融対策、新規開業・雇用創出支援、経営革新支援等に重点化を図ることとし、十年度当初予算額に対して六十五億円(三・五%)増の一千九百二十三億円を計上している。
まず、小規模事業対策について、新規開業支援の充実等を図るとともに、組織化対策について、雇用創出支援事業等を実施することとしている。
中小企業指導事業については、経営技術支援、ものづくり基盤強化等を推進し、中小企業近代化促進については、中小企業の経営革新の取組みに対する支援を行うとともに、労働力確保対策、国際化対策、下請企業対策等を引き続き実施することとしている。また、中小企業事業団(中小企業信用保険公庫との統合後は中小企業総合事業団(仮称))の業務の拡充を行うこととしている。
さらに、小企業等経営改善資金融資制度について、所要の予算を計上しているほか、中小企業に対する信用補完の一層の充実を図るため、中小企業信用保険公庫に対する出資の増額を行うとともに、信用保証制度の円滑な運営に資する信用保証協会基金補助を行うこととしている。
また、国民生活金融公庫(「国民金融公庫法の一部を改正する法律」(仮称)が施行されるまでの間は、国民金融公庫)及び中小企業金融公庫について所要の補給金を計上している。
(8) 農林水産業の振興
我が国の農業・農村を取り巻く内外の諸情勢を踏まえ、現行の「農業基本法」に基づき実施されている農政を、今日的観点から国民全体の視点に立って抜本的に見直し、経営感覚に優れた効率的・安定的担い手による農業生産を中心とした政策体系として再構築するべく、農政改革を展開していくことが必要である。
農林水産関係予算については、ウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策を含め、かかる観点に立って、担い手への施策の集中、市場原理・競争条件の一層の導入を図りつつ、農林水産業の生産性の向上と健全な発展を図るための施策を重点的・効率的に展開することとしている。
特に十一年度においては、今後の農政改革の指針となる「農政改革大綱」の取りまとめを踏まえ、担い手への施策の集中の観点から、農業生産体制強化対策と畜産再編総合対策の施設整備事業の補助対象を認定農業者等に重点化して実施することとしている。
また、国内産麦に係る民間流通の導入を柱とする「新たな麦政策」の具体化に向け品種開発等に関する緊急研究、高品質・大ロットの生産体制の整備等を実施することとしている。
さらに、有機性資源を活用した土づくりと化学肥料・農薬の使用の節減を体系化した、環境と調和した持続性の高い農業生産方式への転換を全国的に促進する総合対策を実施することとしている。
また、効率的・安定的な経営体の育成等を通じた国内農業の体質強化等に主眼を置いて農業農村整備事業を推進するとともに、経営感覚に優れた経営体の育成等に重点を置いた農業構造改善事業を実施するほか、地域の個性を活かした多様な地域産業振興、豊かな自然環境と地域の担い手の確保等に重点を置いた新山村振興等農林漁業特別対策事業を創設することとしている。
さらに、農業経営の規模拡大及び効率的・安定的な経営体の育成を図るため、農村地域農政総合推進対策、農業改良普及事業等を推進するとともに、融資制度の充実を図ることとしている。
生鮮食料品の流通及び価格安定対策については、卸売市場施設の整備を推進するほか、野菜、果実及び畜産物の価格対策を引き続き実施することとしている。
森林の公益的機能の発揮と林業生産の振興を図るため、林業の構造改善、木材の流通合理化・需要拡大、森林の保全管理、間伐の推進等に係る施策を総合的に実施することとしている。また、国有林野事業については、引き続き抜本的改革を着実に推進することとしている。
水産業の振興と水産物の安定的供給の確保を図るため、資源管理の推進、水産資源の増養殖、水産物の流通加工の改善、漁業・漁協の経営体質強化等に係る施策を総合的に実施することとしている。
(9) エネルギー対策の推進
エネルギー対策については、地球温暖化問題への対応が求められるなか、省エネルギー対策や新エネルギーの開発・利用の促進等に重点的に取り組むこととしている。また、エネルギーの安定供給の確保や原子力の平和利用の促進等についても着実に取り組むなど、中長期的な観点に立った総合的なエネルギー政策を着実に推進することとしている。
すなわち、石油資源の探鉱・開発の推進、石油備蓄の維持、石油生産合理化技術の研究開発等石油対策の推進に努めるとともに、原子力利用の安全確保のための研究、原子力施設の老朽化・安全性向上対策、高速増殖炉の研究開発、高レベル放射性廃棄物の処分に関する研究開発、核融合の研究開発、新エネルギー技術及び省エネルギー技術の研究開発等の推進に努めることとしている。
これらの施策を実施するため、一般会計のエネルギー対策費として、六千五百三十一億円を計上している。
(10) 地方財政
十一年度の地方財政については、巨額の財源不足が見込まれるが、一方、国の財政事情も極めて厳しく、国と地方という公経済の車の両輪がバランスのとれた財政運営を行う必要があるという基本的考え方を踏まえつつ、地方財政の運営に支障を生じることのないよう所要の措置を講ずることとしている。すなわち、恒久的な減税の十一年度における影響については、地方税の減税影響分について、国と地方のたばこ税の税率変更による地方たばこ税の増収措置、法人税の交付税率の引上げ(一〇〇分の〇・五)、地方特例交付金(仮称)の創設及び減税補てん債の発行によって補てんし、国税の減税の交付税への影響分については、交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金等により補てんすることとしている。また、通常収支の財源不足については、一般会計からの法定加算、臨時特例加算や同特別会計の借入金等により所要の地方交付税総額を確保することとしている。この結果、同特別会計から十一年度に地方団体に交付される地方交付税の総額は、十年度当初予算額に対して三兆三千四百五十四億円(一九・一%)増の二十兆八千六百四十二億円となっている。
補助金等については、社会経済情勢の変化、国と地方の役割分担の在り方等の観点から、「地方分権推進計画」(十年五月二十九日閣議決定)、「中央省庁等改革基本法」等を踏まえ、すべての行政分野において見直しを行い、一般財源化を図るなどその整理合理化を積極的に推進することとしている。
なお、地方公共団体においても、極めて厳しい財政状況を踏まえ、行財政運営の簡素化や、定員の管理、給与水準等の適正化の一層の推進など、歳出全般にわたる見直し、合理化・効率化に徹底的に取り組み、行財政改革をより積極的に推進することが期待される。
(11) 物価対策の推進と公共料金の適正化
十一年度においては、引き続き、物価の安定を図るため、低生産性部門の生産性向上、流通対策、労働力の流動化促進、競争条件の整備、生活必需物資等の安定的供給、住宅及び地価の安定等の諸施策を推進することとし、一般会計、特別会計を通じ、十一年度における物価対策関係経費として、四兆九千五百八十七億円を計上している。
また、公共料金については、物価の動向に配慮しつつ、受益者負担の原則に立って適正化を図り、公正な費用負担の確保に努めることとしている。
(12) 環境保全対策の推進
環境保全対策については、健全で恵み豊かな環境を維持しつつ、環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会を構築することを目指して、六年十二月に策定された「環境基本計画」に盛り込まれた施策の推進を図ることとし、一般会計、特別会計を通じ、十一年度における環境保全経費として、三兆二百十三億円を計上している。
特に、地球温暖化対策については、九年十二月に採択された「京都議定書」に定められた温室効果ガスの削減目標の達成に向け、「地球温暖化対策の推進に関する法律」の下、「地球温暖化対策推進大綱」(十年六月十九日閣議決定)に掲げられた各般の施策の推進を図ることとし、一般会計、特別会計を通じ、五千百九十一億円を計上している。また、ダイオキシン類及び環境ホルモン(内分泌撹乱化学物質)の問題については、関係省庁が連携して、環境汚染状況や健康影響等の調査及び対策技術や試験方法の調査研究等を推進し、環境汚染防止対策を講じることとしており、一般会計、特別会計を通じ、ダイオキシン対策として八百二十八億円、環境ホルモン対策として七十四億円を計上している。
(13) 金融システムの安定化
金融システムの安定化のための措置に関し、一般会計予算総則において、預金保険機構の特例業務勘定、金融再生勘定及び金融機能早期健全化勘定の借入金等について、それぞれ十兆円、十八兆円及び二十五兆円の政府保証限度額を定めている。
また、預金保険機構の特例業務勘定に交付した国債の円滑な償還を確保するため、国債償還に充てる財源を国債整理基金特別会計に繰り入れるために必要な経費として、二兆五千億円を計上している。
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【一般会計】
◇歳 出(第2表参照)
(百万円)
十一年度 六、四七三、〇六八
十年度 (六、三四五、七一七)
七、二九五、六九七
比較増△減 (一二七、三五一)
△ 八二二、六二九
1 義務教育費国庫負担金
(百万円)
十一年度 二、九〇二、九七一
十年度 (二、八八七、五八九)
二、八九三、五五八
比較増△減 (一五、三八二)
九、四一三
この経費は、「義務教育費国庫負担法」に基づき、義務教育諸学校の教職員給与費等の実支出額の二分の一を国が負担するために必要な経費である。
この場合、財政力指数(当該年度前三か年平均)が一を超える都道府県並びに教職員総数が「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」に基づいて算定された教職員定数を超える都道府県及び教員の給料その他の給与の額が国立の義務教育諸学校の教員の俸給その他の給与の額を基準として算定した額を超える都道府県については、「義務教育費国庫負担法」第二条ただし書の規定に基づき、政令の定めるところにより、教職員給与費等の国庫負担額の最高限度を設けることとされている。
給与費等については、これらに基づき必要な経費を計上しており、その算定基礎となる教職員数は、(イ)義務教育諸学校児童生徒数の減少に伴う教職員の減少(見込み)九千三百人のほか、(ロ)第六次公立義務教育諸学校教職員配置改善計画(五〜十二年度の八年計画)の十一年度分の教職員増二千四百四人、(ハ)初任者研修の実施に係る教員の減少三百四十三人を合わせ、十年度定数に対して七千二百三十九人の減員となる。
また、教員特殊業務手当の改善に必要な経費を計上している。
2 国立学校特別会計へ繰入
(百万円)
十一年度 一、五五三、七〇五
十年度 (一、五三三、五〇三)
一、九九四、一五四
比較増△減 (二〇、二〇三)
△ 四四〇、四四八
この経費は、「国立学校特別会計法」に基づき、国立学校、大学附属病院及び研究所の管理運営等に必要な経費に充てるため、その財源を一般会計から国立学校特別会計へ繰り入れるために必要な経費である。
3 科学技術振興費
(百万円)
十一年度 九六二、九九五
十年度 (八九〇、六九九)
一、二四二、七一七
比較増△減 (七二、二九六)
△ 二七九、七二二
この経費は、宇宙開発関係経費、海洋開発関係経費、産業技術基盤関係経費、各省試験研究機関経費、科学技術振興調整費及び科学技術研究費補助金等科学技術の振興を図るために必要な経費である。
その内容の主なものは、次のとおりである。
(1) 宇宙開発関係経費
宇宙開発については、宇宙開発事業団を中心に研究開発を進めることとし、総額二千五億六千九百万円(十年度当初予算額一千九百九億六百万円)を計上している。
宇宙開発事業団では、国際宇宙ステーション計画への参加、光衛星間通信実験衛星、環境観測技術衛星、データ中継技術衛星、技術試験衛星[型、陸域観測技術衛星、月周回衛星、宇宙往還技術試験機及びH−UAロケット等の開発、衛星・ロケット開発関連地上施設の整備等を推進することとしている。
また、航空宇宙技術研究所(科学技術庁)では、無人有翼往還機、再使用ロケット機スペースプレーンの研究等について、引き続き研究を進めることとしている。
さらに、関係省庁において情報収集衛星の研究開発を行うほか、気象庁(運輸省)では静止気象衛星による観測業務等、通信総合研究所(郵政省)では次世代の通信・放送分野の技術試験衛星の研究開発等を行うこととしている。
(2) 海洋開発関係経費
海洋開発については、海洋科学技術センターを中心に研究開発を進めることとし、総額二百九十七億四千八百万円(十年度当初予算額二百四十九億四千四百万円)を計上している。
海洋科学技術センターでは、地球環境変動に関する海洋諸現象を解明するため、地球深部探査船の整備、海洋地球研究船「みらい」及び潜水調査船「しんかい六五〇〇」の運航、一万メートル級無人探査機「かいこう」の運用等を行うとともに、地球フロンティア研究、海洋観測研究開発及び海洋利用・生態系の研究開発等を進めることとしている。
また、科学技術庁及び関係省庁において地球環境遠隔探査技術等の研究等を行うほか、農林水産省では水産資源の開発及び増養殖についての基礎調査研究等を行うこととしている。
(3) 産業技術基盤関係経費
産業技術基盤の研究開発においては、エレクトロニクス、バイオテクノロジー、医療福祉などの分野において基礎的独創的領域の研究開発や社会的使命に応える上で必要な研究開発を推進するため、「シナジーセラミックス」、「原子・分子極限操作技術(アトムテクノロジー)」、「超音速輸送機用推進システム」、「人工臓器技術」等二十七テーマの研究開発を行うこととし、総額十四億一千七百万円(十年度当初予算額十五億三千三百万円)を計上している。
(4) 各省試験研究機関経費
前記の宇宙開発関係経費、海洋開発関係経費等を除いた各省庁所属の試験研究機関の経費は、二千五百八十二億五千八百万円(十年度当初予算額二千四百七十八億三千五百万円)となっており、これにより各部門の研究活動を進めるとともに、研究施設の整備を行うこととしている。このうち、国立機関公害防止等試験研究費(環境庁一括計上)については、十七億二千四百万円(十年度当初予算額十六億七千五百万円)を計上している。
また、科学技術庁等において新世紀構造材料(超鉄鋼材料)、超伝導材料及び次世代超音速機技術等の研究開発を引き続き推進することとしている。また、環境庁等において、環境ホルモン(内分泌撹乱化学物質)等に関連する調査研究を実施する。
さらに、農林水産省において、麦・大豆等の生産強化のための技術開発の推進、遺伝子組替え等の先端的な技術を駆使した技術開発に重点を置きつつ、競争性の導入によりその効率性を高めるとともに、環境問題等の重要課題に対応した研究開発を実施するほか、通商産業省において、資源・エネルギー及び新材料等の分野の研究開発の推進を図ることとしている。
(5) 科学技術振興調整費
この経費は、科学技術会議の方針に沿って科学技術の振興に必要な重要研究業務の総合推進調整を実施するためのものであり、十一年度においては、重要分野の研究開発等を推進する総合研究の一層の強化を図るほか、各種研究推進制度の充実強化を図ることとし、三百二億円(十年度当初予算額二百七十億円)を計上している。
(6) 科学技術研究費補助金・委託費等
大学等における科学研究及び民間における技術開発の助成について特に配意し、このうち、科学研究費補助金及び国際深海掘削計画分担金(文部省)については、一千三百十七億五千四百万円(十年度当初予算額一千百八十二億四千八百万円)を計上している。また、日本学術振興会に対する出資及び補助について、独創的な学術研究の推進を担う優れた若手研究者を養成・確保するため、特別研究員等の採用人数の拡充等を図るほか、将来に向けての知的資産の形成・蓄積が期待される学術研究を大学主導により重点的に推進するための日本学術振興会未来開拓学術研究推進事業に二百五十億円(十年度当初予算額二百十八億円)を計上することとしている。
また、新規産業の創出を図るという観点から企業化に向けた独創的技術開発に対する支援を行うこととしている。
さらに、生体の持つ優れた機能の解明に係る基礎研究を国際的に共同して行うヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムを推進するため、仏国ストラスブールに設立された国際ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム推進機構に対する拠出金として四十二億八千五百万円(十年度当初予算額四十二億二千二百万円)を計上しているほか、農林水産試験研究費補助金その他の試験研究費補助金等を計上し、その中で産学官の連携による民間等におけるバイオテクノロジー等各種技術開発についての研究の推進を図ることとしている。
(7) その他の経費
戦略的基礎研究推進事業(科学技術振興事業団)に三百三億円(十年度当初予算額二百七十四億二千三百万円)を計上するなど、経済フロンティアの拡大に向け、基礎研究開発の充実を図ることとしている。
また、新エネルギー・産業技術総合開発機構において、引き続き、産業技術基盤研究開発、地球環境産業技術研究開発、福祉用具実用化開発推進事業、産業技術フェローシップ補助事業、地域コンソーシアム研究開発等を推進するとともに、新たに知的基盤創成・利用促進研究開発及び研究情報基盤研究開発を創設することとしている。
さらに、通商産業省において、独創的研究開発、技術の産業化の基礎となる知的基盤として、計量標準・試験評価基盤、生物資源情報基盤及び化学物質総合安全管理基盤の整備を図ることとしている。
第四十一次南極地域観測については、定常観測を引き続き実施するとともに、観測船「しらせ」の推進用電動機制御装置の更新等を行うこととし、二十九億三千九百万円(十年度当初予算額二十五億九千四百万円)を計上している。
また、地震発生のメカニズムや地震の前兆現象、地殻変動のメカニズム等の理解を得るために流動的な研究システムの下に研究者を結集させ先端的・基礎的な地震防災科学技術研究の推進を図る地震総合フロンティア研究に、十一億三千六百万円(十年度当初予算額十億五千五百万円)を計上している。
また、地球温暖化や異常気象等の地球規模の気候変動や超長期にわたる固体地球変動の解明・予測を目指した「地球シミュレータ」の開発に五十八億四千四百万円(十年度当初予算額十六億一千八百万円)を計上している。
また、理化学研究所においてゲノム関連研究経費として八十億二千七百万円(十年度当初予算額四十億百万円)を計上し、その成果を通じて基礎生命科学の進展のみならず幅広い分野における経済フロンティアの拡大等が期待される当該分野の研究を総合的に推進することとしているほか、脳研究関係経費として百十二億一千八百万円(十年度当初予算額八十八億六百万円)を計上するなど、目標達成型の脳科学研究の総合的推進を図ることとしている。
「がん克服新十か年戦略」に基づくがん対策については、百三十一億五千九百万円(十年度当初予算額百三十二億六千百万円)を計上している。
4 文教施設費
(百万円)
十一年度 一七八、〇一五
十年度 (一八七、五〇〇)
二八〇、〇五三
比較増△減 (△ 九、四八五)
△ 一〇二、〇三八
この経費は、「義務教育諸学校施設費国庫負担法」に基づき、公立学校施設整備費の一部を国が負担するために必要な経費等である。
その内容の主なものは、次のとおりである。
(1) 十一年度においては、緊急度の高い改築事業や耐震補強等、耐震性能を向上する事業などを優先し、その必要事業量を確保することとしている。
また、制度改正事項として、中等教育学校の後期課程等の設置に伴う施設整備を補助対象に追加し、地域・学校連携施設の整備充実を図るとともに特殊教育諸学校(幼稚部・高等部)及び幼稚園の基準面積の改定を行う。
(2) 高等学校産業教育施設については、産業教育のための実験・実習施設及び高度な知識・技術の習得の場である専攻科施設等の整備に係る所要の経費を計上している。
(3) 学校給食施設整備事業については、引き続き腸管出血性大腸菌O一五七等の食中毒対策として、衛生管理の充実強化を図るため所要の経費を計上している。
(4) 学校体育諸施設については、引き続き水泳プール、武道場等の整備を図ることとし、所要の経費を計上している。
5 教育振興助成費
(百万円)
十一年度 七五八、一九八
十年度 (七三九、九九八)
七七八、七〇五
比較増△減 (一八、二〇〇)
△ 二〇、五〇七
この経費は、生涯学習の振興、義務教育教科書の無償給与、公立養護学校教育費の国庫負担、学校教育の振興、私立学校教育の助成及び体育の振興のために必要な経費である。
その内容の主なものは、次のとおりである。
(1) 生涯学習振興費
生涯にわたる多様な学習活動の振興を図るため、生涯学習の振興等について所要の経費を計上している。
(2) 義務教育教科書費
国・公・私立の小学校第一学年から中学校第三学年(中等教育学校の前期課程を含む。)までの児童生徒が使用する十一年度後期用教科用図書及び十二年度前期用教科用図書を無償給与する等のため必要な経費を計上している。
(3) 養護学校教育費国庫負担金
給与費等については、義務教育費国庫負担金と同様に必要な経費を計上しており、その算定基礎となる教職員数は、(イ)養護学校児童生徒数の減少に伴う教職員の減少(見込み)百人のほか、(ロ)第六次公立義務教育諸学校教職員配置改善計画(五〜十二年度の八年計画)の十一年度分の教職員増百十一人を合わせ、十年度定数に対して十一人の増員となる。
また、教員特殊業務手当の改善に必要な経費を計上している。
(4) 学校教育振興費
(イ) 放送大学学園に対する補助等については、所要の経費を計上している。
(ロ) 定時制及び通信教育については、経済的に困難な状況にある生徒に対する修学奨励措置の充実等のため所要の経費を計上している。
(ハ) 理科教育等設備整備費補助については、引き続き、計画的に理科教育等の振興を図るため、所要の経費を計上している。
また、教育センターに対する理科設備の整備を行うこととし、所要の経費を計上している。
(ニ) 教育情報通信ネットワークの整備については、衛星通信による情報教育の研修等を行うための設備整備費補助を行うこととし、所要の経費を計上している。
(ホ) 園児の保護者のうち一定の所得以下の者に対し、地方公共団体が保護者負担額を減免するための経費を補助する幼稚園就園奨励費補助については、私立幼稚園に係る減免単価の引上げを行うこととし、所要の経費を計上している。
(ヘ) 高等学校産業教育設備整備費補助については、産業教育のための実験・実習設備及び高度な知識・技術の習得の場である専攻科設備等の整備に係る所要の経費を計上している。
(ト) 特殊教育については、特殊教育就学奨励費補助につき、教科用図書費、学校給食費等の単価の引上げ等を行うほか、盲・聾・養護学校、特殊学級等における教育設備費等について、所要の経費を計上している。
(チ) 経済的理由で就学困難な児童生徒の就学援助については、学用品費、学校給食費等の単価を引き上げて、援助の充実を図ることとしている。
(リ) へき地学校教育については、公立小中学校高度へき地修学旅行費の単価の引上げを行うこととしている。
(ヌ) 公立大学等に対する設備整備費等補助については、看護学部等の整備充実を図るため、新たに看護系設備及び高度医療等推進特別研究設備を補助対象にするとともに、従来からの大学院最先端設備等の整備等についても、所要の経費を計上している。
なお、公立看護大学等経常費補助については、十年度限りで廃止することとしている。
(ル) 日本体育・学校健康センターに対する補助については、所要の経費を計上している。
(ヲ) 教職員の研修等については、初任者研修等の実施、在外教育施設における教員の派遣等について、所要の経費を計上している。
(5) 私立学校助成費
(イ) 私立大学等経常費補助及び高等学校以下の私立学校に対して都道府県が行う助成の充実を図るための当面の誘導措置として五十年度から計上した私立高等学校等経常費助成費補助については、所要の増額を行っている。
(ロ) 私立学校教育研究装置等施設整備費補助については、マルチメディアを活用した教育研究を支援する「私立大学等教育・学習方法高度情報化推進事業」や、耐震補強工事等を支援する「私立大学等防災機能等強化緊急特別推進事業」を創設するとともに、学術フロンティア推進事業及びハイテク・リサーチ・センター整備事業等の推進や従来からの大型の教育研究装置の整備について、所要の経費を計上している。
また、私立高等学校等については、教育の近代化や防災機能の強化及び私立学校エコスクール整備推進モデル事業のための施設整備について、所要の経費を計上している。
(ハ) 私立大学等研究設備整備費等補助のうち、私立高等学校等においてマルチメディアを活用した教育方法の改善のためのモデル校に対して、マルチメディア機器の購入費の一部を補助する「私立高等学校等マルチメディア教育環境整備モデル事業」を新たに創設した。
(ニ) このほか、私立学校施設高度化推進事業、私立幼稚園施設整備、私立高等学校産業教育施設整備及び私立学校体育等諸施設整備の補助並びに日本私立学校振興・共済事業団出資及び補助について、所要の経費を計上している。
(6) 体育振興費
体育の振興については、地方スポーツの振興、社会体育施設の整備、国民体育大会の助成等について、所要の経費を計上している。
6 育英事業費
(百万円)
十一年度 一一七、一八三
十年度 (一〇六、四二八)
一〇六、五一〇
比較増△減 (一〇、七五六)
一〇、六七三
この経費は、優れた学生及び生徒であって経済的理由により修学に困難がある者に対し、日本育英会が学資の一部を無利子又は有利子で貸与するために必要な経費である。
その内容は、次のとおりである。
(1) 育英資金貸付金
無利子貸与事業に必要な資金を日本育英会に貸し付ける経費であり、貸与月額の増額、大学院博士課程の貸与人員の増員及び大学予約採用人員の増員を行うこととし、所要額を計上している。
(2) 育英資金利子補給金
資金運用部借入金を原資とする有利子貸与事業に係る利子補給金について、所要額を計上している。
(3) 日本育英会補助及び出資
日本育英会の補助に必要な経費を計上するとともに、有利子貸与事業における貸与人員の増員及び貸与月額の選択制の導入等の抜本的拡充に伴い、日本育英会の財務基盤の強化に資するための出資として所要額を計上している。
(百万円)
十一年度 一九、八三一、九二三
十年度 (一七、二六二、八一六)
一八、一五〇、〇一三
比較増△減 (二、五六九、一〇七)
一、六八一、九一〇
この経費は、一般会計の負担に属する国債及び借入金の償還、国債及び借入金の利子等の支払に必要な経費と、これらの事務取扱いに必要な経費であって、国債整理基金特別会計へ繰り入れるものである。
(1) 債務償還費
この経費は、前年度首国債総額(割引国債に係る発行価格差減額を除く。)の一〇〇分の一・六に相当する額(定率繰入分)、割引国債に係る発行価格差減額の年割額に相当する額(発行差減額繰入分)、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」に基づく産業投資特別会計からの受入金に相当する額(産業投資特別会計受入金相当額繰入分)、「所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の施行等による租税収入の減少を補うための平成六年度から平成八年度までの公債の発行の特例等に関する法律」に基づく減税特例国債の償還財源に充てるための額(「国債整理基金特別会計法」の規定による繰入相当額を除く。)(減税特例国債償還分)並びにその他国債及び借入金の償還に必要とされる額を計上するものである。
なお、予算繰入分のうち、二兆五千億円は、預金保険機構の特例業務勘定に交付した国債の円滑な償還を確保するために必要な経費として計上しているものである。
(2) 利子及割引料
この経費は、国債の利子及び割引料、借入金の利子並びに大蔵省証券割引料に必要な経費である。
(3) 国債事務取扱費
この経費は、国債の事務処理に必要な手数料及び事務費である。
(百万円)
十一年度 一、四七八、三三三
十年度 (一、五三〇、九九八)
一、五三〇、八二二
比較増△減 (△ 五二、六六五)
△ 五二、四八九
1 文官等恩給費
(百万円)
十一年度 六六、五六二
十年度 (七二、二七一)
七二、二五三
比較増△減 (△ 五、七〇九)
△ 五、六九一
この経費は、国会議員互助年金、文官恩給、文化功労者年金等の支給に必要な経費である。
十一年度においては、新規裁定による増加、失権による減少、十年度に実施した恩給年額の改定の平年度化等を織り込んで既定分の所要経費を算定している。また、文官恩給について、恩給年額を十一年四月から〇・七〇%引き上げるほか、各種加算の引上げ等を行うことを予定している。
これらの改定による増三億二千九百万円(平年度四億三千八百万円)を合わせ、六百六十五億六千二百万円を計上している。
2 旧軍人遺族等恩給費
(百万円)
十一年度 一、三一四、一〇〇
十年度 一、三五四、一五五
比較増△減 △ 四〇、〇五五
この経費は、旧軍人及びその遺族等に対する恩給の支給に必要な経費である。
十一年度においては、新規裁定による増加、失権による減少、十年度に実施した恩給年額の改定の平年度化等を織り込んで既定分の所要経費を算定している。また、恩給年額を十一年四月から〇・七〇%引き上げるほか、各種加算の引上げ等を行うことを予定している。
これらの改定による増八十四億五千五百万円(平年度百十二億七千三百万円)を合わせ、一兆三千百四十一億円を計上している。
3 恩給支給事務費
(百万円)
十一年度 四、七七六
十年度 (五、〇一九)
四、九七一
比較増△減 (△ 二四三)
△ 一九五
この経費は、文官恩給、旧軍人及びその遺族等に対する恩給並びに国会議員互助年金の支給事務等を処理するために必要な経費である。
4 遺族及び留守家族等援護費
(百万円)
十一年度 九二、八九五
十年度 (九九、五五三)
九九、四四三
比較増△減 (△ 六、六五八)
△ 六、五四八
この経費は、「戦傷病者戦没者遺族等援護法」に基づく遺族年金等の支給、「戦傷病者特別援護法」に基づく療養の給付等に必要な経費である。
(1) 引揚者等援護費については、永住帰国希望者の受入れ及び自立支援等の施策を実施することとし、二十二億七千五百万円を計上している。
(2) 戦傷病者戦没者遺族等援護費については、新規裁定による増加、失権による減少、十年度に実施した遺族年金等の改定の平年度化等を織り込んで既定分の所要経費を算定しているほか、恩給に準じて年額の改定の措置を講ずることを予定しており、これによる増四億九千万円(平年度六億五千三百万円)を合わせ、八百五十二億八千八百万円を計上している。
(3) 戦傷病者等援護費については、台湾出身旧軍人軍属に対する未支給給与を引き続き支払うとともに、療養の給付等について最近の実績による減少を見込むほか、療養手当等の引上げを織り込んで、四十億百万円を計上している。
(4) 七年四月一日以降に公務扶助料等を受給する者がいなくなった戦没者等の遺族に対して、十一年四月一日を基準日として特別弔慰金を交付国債(額面二十四万円、六年償還)により支給するのに必要な事務費を一千八百万円計上している。
1 地方交付税交付金
(百万円)
十一年度 一二、八八三、一四〇
十年度 (一五、八七〇、一五〇)
一四、三〇四、五八〇
比較増△減 (△ 二、九八七、〇一〇)
△ 一、四二一、四四〇
この経費は、所得税及び酒税、法人税、消費税並びにたばこ税の収入額のそれぞれ一定の割合の額を、地方交付税交付金として、交付税及び譲与税配付金特別会計を通じて地方団体に交付するために必要な経費である。
十一年度においては、各税の収入見込額の一定割合(以下、この割合を交付税率といい、所得税及び酒税にあっては一〇〇分の三二、法人税にあっては一〇〇分の三二・五、消費税にあっては一〇〇分の二九・五、たばこ税にあっては一〇〇分の二五)に相当する額十二兆三千二百七十一億四千万円に五千五百六十億円を加算した額十二兆八千八百三十一億四千万円を地方交付税交付金として計上している。
十一年度の地方財政については、歳出面で、景気に配慮しつつも、行財政改革を進め、経費の節減合理化・効率化に努めることとしている。歳入面では、地方税、国税ともに、最近の経済動向及び恒久的な減税等の影響により、大幅な減収が見込まれる。この結果、十三兆四百九十七億一千六百万円(うち、恒久的な減税の影響分二兆五千九百九十五億四千万円、十年度総合経済対策に伴う特別減税の影響分八百八億円、これらを除く通常収支分十兆三千六百九十三億七千六百万円)の財源不足が見込まれ、極めて厳しい状況にある。
以上のように、十一年度においては、巨額の財源不足が見込まれるが、一方、国の財政事情も極めて厳しく、国と地方という公経済の車の両輪がバランスのとれた財政運営を行う必要があるという基本的考え方を踏まえつつ、地方財政の運営に支障を生ずることのないよう所要の措置を講ずることとしている。
十一年度の地方財政に係る具体的な措置の内容は、次のとおりである。
(1) 恒久的な減税の十一年度における影響額二兆五千九百九十五億四千万円については、
(イ) 地方税の減税影響分一兆七百十一億円について、国のたばこ税の税率引下げと同額の地方たばこ税の税率引上げによる地方たばこ税の増収措置一千百十三億円、法人税の交付税率引上げ(一〇〇分の〇・五)五百二十一億四千万円、地方特例交付金(仮称)六千三百九十八億六千万円及び減税補てん債の発行二千六百七十八億円により、地方税の減少額を全額補てんすることとしている。
なお、法人税の交付税率については、恒久的な減税の影響が概ね平年度化する十二年度から、一〇〇分の三五・八とすることとしている。
(ロ) 国税の減税の影響分一兆五千二百八十四億四千万円については、交付税及び譲与税配付金特別会計における資金運用部からの借入金一兆五千二百二十四億四千万円により、国税の減収による地方交付税の減少額を補てんすることとしている。
なお、当該借入金のうち国負担分に係る十一年度の発生利子六十億円については、一般会計から加算することとしている。
(2) 十一年度の通常収支分に係る財源不足額十兆三千六百九十三億七千六百万円については、
(イ) 地方債措置として、いわゆる財源対策債の増発二兆二千五百億円を行うとともに、
(ロ) 交付税の増額措置(八兆一千百九十三億七千六百万円)として、
@ 一般会計からの加算五千五百億円(内訳は、「地方交付税法」附則第四条の二第四項において十一年度に加算することと定められている額の加算二千百四十九億円、同条第二項に基づく八、九、十及び十一年度の交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金のうち国負担分に係る利子相当額の加算一千百五十億円及び臨時特例加算額二千二百一億円)
A 九年度において交付すべきであった交付税の額を超えて交付した額六千七百二十四億七千六百万円の精算措置を、十一年度の極めて厳しい地方財政状況を踏まえて、十一年度には行わず、後年度に行うこととする措置
B 交付税及び譲与税配付金特別会計における資金運用部からの借入れ六兆八千九百六十九億円
を行うことにより、その全額を補てんすることとしている。
(3) 以上の結果、十一年度に地方団体に交付する地方交付税の総額は、一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れられる地方交付税交付金十二兆八千八百三十一億四千万円に、返還金一千六百万円、剰余金の活用一千五百億円及び同特別会計における資金運用部からの借入金八兆四千百九十三億四千万円を加算した額から、同特別会計の借入金等利子負担額五千八百八十二億六千万円を控除した額二十兆八千六百四十二億三千六百万円(十年度当初予算比三兆三千四百五十三億七千百万円、一九・一%増)となっている。
(4) 地方税については、最近における社会経済情勢に対応して早急に実施すべき措置として、個人住民税の最高税率の引下げ及び定率減税の実施、法人事業税の税率の引下げ、住宅及び住宅用土地に係る不動産取得税の課税標準等の特例措置に係る要件の緩和、低燃費自動車に係る自動車取得税の特例措置の創設等の措置を講ずるほか、固定資産税の価格等に係る審査申出制度の見直し等を行うとともに、非課税等特別措置の整理合理化等のため所要の措置を講ずることとしている。
(5) 地方債については、地方財源の不足に対処するための措置を講じるとともに、極めて厳しい地方財政の状況の下で、その健全性の確保に留意しつつ、活力ある豊かな地域社会づくりを目指して、分権型社会実現のための条件整備、安心して生活できる社会づくり、個性豊かで魅力ある地域づくり、景気回復への取組み等地方公共団体が当面する政策課題に重点的・効率的に対応しうるよう、所要の地方債資金の確保を図ることを基本として、十一年度の地方債計画を策定し、地方債計画総額は十六兆三千九百七十億円(十年度十六兆九百四十億円)を予定している。
なお、五年度における公共事業等の補助負担率の恒久化に伴う地方公共団体の負担については、事業の円滑な執行に支障を生ずることのないよう、十一年度においても、引き続き、適切な地方財政措置を講ずることとしている。
また、地方債に充てる資金については、地方財政の円滑な運営に十分配慮するため、政府資金について七兆七千四百億円を予定している。
さらに、公営企業金融公庫についても地方向け貸付規模一兆九千七百億円(十年度一兆九千三百億円)を確保し、これに応じて国内政府保証債を一兆七千五十億円(十年度一兆七千四百五十億円)を発行することとしている。
(6) 以上のほか、補助金等については、社会経済情勢の変化、国と地方の役割分担の在り方等の観点から、「地方分権推進計画」(十年五月二十九日閣議決定)、「中央省庁等改革基本法」等を踏まえ、すべての行政分野において見直しを行い、一般財源化を図るなどその整理合理化を積極的に推進することとしている。また、地方の負担や職員数の増加をもたらす国の施策は、極力抑制するほか、補助金等の補助基準の改善等のための措置として、関係省庁の共同実態調査に基づき所要の改善を図ることとしている。
2 地方特例交付金
(百万円)
十一年度 六三九、八六〇
十年度 ―
比較増△減 六三九、八六〇
この経費は、「地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律」(仮称)に基づき、恒久的な減税の影響による地方税収入の減少の一部を補うため、当分の間の措置として、交付税及び譲与税配付金特別会計を通じて地方特例交付金を都道府県並びに市町村及び特別区に交付するために必要な経費である。
(百万円)
十一年度 四、九三二、二〇六
十年度 (四、九三九、六七二)
四、九六〇、六九一
比較増△減 (△ 七、四六六)
△ 二八、四八四
この経費は、自衛隊の管理及び運営並びにこれに関する事務、条約に基づく外国軍隊の駐留及び日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の規定に基づくアメリカ合衆国政府の責務の本邦における遂行に伴う事務並びに安全保障会議の事務に関するものとして計上される経費である。
十一年度においては、九年十二月十九日の安全保障会議及び閣議決定により見直しが行われた「中期防衛力整備計画(八〜十二年度)」等の下、効率的で節度ある防衛力の整備を行うため、装備品の調達価格の引下げ等経費の一層の効率化・合理化を図りつつ、所要の経費を計上している。
なお、SACO最終報告に盛り込まれた措置を実施するために必要な経費として百二十一億三千四百万円を計上している。
(1) 防衛本庁
(百万円)
十一年度 四、三三九、四〇八
十年度 (四、三六九、一八六)
四、三六八、二一三
この経費は、防衛本庁の業務の遂行に要する経費である。
また、新たに、継続費として総額一千百十一億二千七百万円(うち十一年度歳出分一億七千六百万円)、国庫債務負担行為として総額一兆五千六百六十五億一千五百万円(うち十一年度歳出分五十八億五千万円)を計上している。
なお、前金の支払方法の変更等に伴い、継続費の総額及び年割額の改定並びに国庫債務負担行為の限度額の増額を行っている。
継続費は、全額艦船建造のためのものである。
十一年度の防衛関係費においては、正面装備について、諸外国の技術的水準の動向に対応しうるよう、老朽装備の更新・近代化を基本として所要の整備を行うこととしている。後方分野については、自衛隊の維持運営、教育訓練についてその水準の維持向上に特に配慮するとともに、情報収集・分析体制の強化、指揮通信機能の充実及び安全保障対話等の活動の充実を図ることとしている。
具体的業務の主なものは次のとおりである。
(イ) 防衛調達の適正を確保するため、監査法人等の活用による契約企業の調査の促進等を図るとともに、部外有識者によるチェック体制の整備を行うこととしている。
(ロ) 部隊の練度の維持向上等のため、主要な部隊訓練等の充実を図るとともに、装備品等の稼働率を向上させるための特別修理・整備を実施することとしている。
(ハ) 陸上自衛隊においては、多連装ロケットシステムMLRS九両、90式戦車十七両、新自走一五五ミリりゅう弾砲四両、88式地対艦誘導弾四両、車両、通信機等の装備品、輸送ヘリコプターCH―47JA二機等の航空機十四機及び弾薬の調達を行うとともに、各種器材及び施設の整備等を図ることとしている。
(ニ) 海上自衛隊においては、甲型警備艦(四千六百トン型)一隻、潜水艦(二千七百トン型)一隻、掃海艇(五百十トン型)二隻等の建造並びに哨戒ヘリコプターSH―60J九機等の航空機十三機及び魚雷、機雷等弾薬の調達を行うとともに、各種器材及び施設の整備等を図ることとしている。
(ホ) 航空自衛隊においては、支援戦闘機F―2八機、中等練習機T―4十機、救難捜索機U―125A二機等の航空機二十四機並びに所要の地対空誘導弾及び弾薬の調達を行うとともに、各種器材及び施設の整備等を図ることとしている。
(ヘ) 技術研究本部においては、弾道ミサイル防衛(BMD)に係る日米共同技術研究に着手するほか、将来の技術動向、ライフサイクルコスト等を勘案した各種研究開発を実施することとしている。
(2) 防衛施設庁
(百万円)
十一年度 五九二、五〇四
十年度 (五七〇、二〇一)
五九二、一九七
この経費は、防衛施設庁の業務の運営に必要な経費である。
その内容の主なものは、次のとおりである。
(イ) 調達労務管理費
この経費は、アメリカ合衆国軍隊等が使用する駐留軍等労務者の労務管理、離職者対策、福祉対策、従業員対策を行うために必要な経費である。
なお、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」(以下「特別協定」という。)に基づき基本給等を負担することとしている。
(ロ) 施設運営等関連諸費
この経費は、「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」等に基づき、自衛隊施設及び「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」(以下「地位協定」という。)等に基づく提供施設の維持運営等に関連し必要な土地の購入及び借上げ、各種の補償、障害及び騒音の防止措置、飛行場等周辺の移転措置、民生安定施設の助成措置等を行うために必要な経費であり、十一年度においては、以下の経費を計上している。
@ SACO最終報告に盛り込まれた措置を実施するために必要となる施設の整備及び基地周辺対策等を行うための経費として百十八億二千三百万円を計上している。
A SACO関係経費以外では、騒音防止事業のうち住宅防音工事を引き続き重点的に実施するため六百四十六億一千万円(十年度当初予算額六百八十八億三千三百万円)を計上するとともに、基地周辺整備等のための諸施策を実施することとしている。基地周辺対策事業費は、一千四百六十八億八千七百万円(十年度当初予算額一千五百三十三億九千三百万円)、国庫債務負担行為の総額は二百二十三億九千五百万円となっている。
なお、このうち、周辺整備調整交付金については、所要の経費百二十五億円(十年度当初予算額百二十五億円)を計上している。
また、在日米軍への提供施設の整備を行うための経費として九百三十三億九千百万円(十年度当初予算額七百三十六億五千二百万円)、国庫債務負担行為として総額八百二十七億九千万円を計上しているほか、「特別協定」に基づき、在日米軍に係る経費のうち光熱水料等及び訓練移転費を負担することとしている。
(ハ) 提供施設移設整備費
この経費は、「地位協定」に基づき、現在提供中の施設及び区域の返還を受けるため、当該施設及び区域を集約移転するために必要な経費である。
このうち、SACO最終報告に盛り込まれた措置を実施するために必要となる提供施設の移設整備を行うための経費として、三億一千百万円を計上している。
(ニ) 相互防衛援助協定交付金
この経費は、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定」に基づく交付金である。
(3) 安全保障会議
(百万円)
十一年度 二九四
十年度 (二八五)
二八一
この経費は、安全保障会議の運営等に要する経費である。
公共事業関係費(第3表参照)
(百万円)
十一年度 九、四三〇、七〇二
十年度 (八、九八五、三三二)
一四、八五五、四八五
比較増△減 (四四五、三七〇)
△ 五、四二四、七八三
公共事業関係費は、治山治水対策事業費、道路整備事業費、港湾漁港空港整備事業費、住宅市街地対策事業費、下水道環境衛生等施設整備費、農業農村整備事業費、森林保全都市幹線鉄道等整備事業費、調整費等及び公共土木施設等の災害復旧等事業費に大別される。
このほか、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」に基づき貸付けを受けて実施される公共的建設事業として、産業投資特別会計社会資本整備勘定に九百四十四億円を計上している。
この両者の合計額は次のようになる。
(百万円)
十一年度 九、五二五、一三五
十年度 (九、〇七九、七六五)
一四、九四九、九一八
比較増△減 (四四五、三七〇)
△ 五、四二四、七八三
以下の説明は、特に注記のない限り、この両者の合計額について行う。
以下、事項別内訳について説明する。
1 治山治水対策事業費
(百万円)
十一年度 一、四七二、五九一
十年度 (一、三九九、二〇七)
二、二一六、四四〇
比較増△減 (七三、三八四)
△ 七四三、八四九
(1) 治水事業
(百万円)
十一年度 一、一八三、〇八六
十年度 (一、一一二、一四六)
一、七九四、二二三
治水事業については、被災河川対策を中心とする河川改修、水資源開発を中心とするダム建設等に重点を置いて、事業の推進を図ることとしている。
(2) 治山事業
(百万円)
十一年度 一八六、三〇四
十年度 (一八四、〇二一)
二七七、九五六
治山事業については、近年における山地災害の発生状況等にかんがみ、予防治山、荒廃山地の重点的復旧等に配慮している。また、国有林野内治山事業については、一般会計の負担で直轄事業及び補助事業を行うこととしている。
(3) 海岸事業
(百万円)
十一年度 一〇三、二〇一
十年度 (一〇三、〇四〇)
一四四、二六一
海岸事業については、台風常襲地帯、大規模な侵食のある海岸等を重点的に整備することとしている。
2 道路整備事業費
(百万円)
十一年度 二、七九二、八五八
十年度 (二、七七四、〇五三)
四、二五二、六〇五
比較増△減 (一八、八〇五)
△ 一、四五九、七四七
道路整備事業については、物流の効率化対策に資する高規格幹線道路等の整備、市街地の活性化、渋滞対策、防災対策等に重点を置いて事業の推進を図ることとしている。
3 港湾漁港空港整備事業費
(百万円)
十一年度 七〇六、三五一
十年度 (六八二、三九〇)
一、〇三〇、七〇九
比較増△減 (二三、九六一)
△ 三二四、三五八
この経費は、港湾、漁港及び空港の公共施設整備のための経費である。
(1) 港湾整備事業
(百万円)
十一年度 三四六、五七九
十年度 (三三九、〇五二)
五二一、四六五
港湾整備事業については、物流の効率化及び国民生活の質の向上に資するため、中枢・中核国際港湾の国際海上コンテナターミナル及び廃棄物海面処分場の整備を最重点施策として、効率的・効果的整備を推進する。
(2) 漁港整備事業
(百万円)
十一年度 二〇〇、九三九
十年度 (一九九、四〇一)
二九〇、四二三
漁港整備事業については、漁業を巡る諸情勢の変化に対応して、漁業生産の確保、漁業経営の安定及び漁港漁村の環境改善に資するため、事業の重点的推進を図ることとしている。
(3) 空港整備事業
(百万円)
十一年度 一五八、八三三
十年度 (一四三、九三七)
二一八、八二一
空港整備事業については、関西国際空港、中部国際空港等の大都市圏拠点空港の整備を中心とし、環境対策、航空路施設の整備等の推進を図ることとしている。
4 住宅市街地対策事業費
(百万円)
十一年度 一、一三七、八五四
十年度 (一、〇六九、五八〇)
二、〇二六、六九八
比較増△減 (六八、二七四)
△ 八八八、八四四
(1) 住宅対策
(百万円)
十一年度 一、〇五七、六〇八
十年度 (一、〇一七、三九八)
一、六七二、七〇四
住宅対策について、十一年度は、公営住宅等八万九千戸、改良住宅等二千五百戸、公庫住宅五十五万戸、公団住宅一万八千戸、計六十五万九千五百戸の公的住宅の建設を予定している。
(イ) 公営住宅整備事業等及び住宅地区改良事業補助等
十一年度の建設予定戸数は、公営住宅を三万七千戸、高齢者向け優良賃貸住宅等を一万戸とし、特定優良賃貸住宅四万二千戸と合わせて公営住宅等について八万九千戸とするとともに、改良住宅については二千五百戸、計九万一千五百戸(十年度当初公営住宅等八万三千戸、改良住宅二千五百戸、計八万五千五百戸)としており、公営住宅家賃収入補助等を含め、四千四百七十八億六千九百万円を計上している。
(ロ) 住宅金融公庫補給金等
十一年度の住宅金融公庫融資予定戸数は五十五万戸(十年度当初計画五十五万戸)であり、宅地造成融資等と合わせて資金運用部資金等十兆一千百七十六億円を投入することとしているが、補給金等については四千三百五十億円(十年度予算額五千六百億円)を計上している。
(ハ) 農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給金等
農地所有者等による良好な賃貸住宅の建設を促進することとし、五千戸の賃貸住宅の建設を予定している。
(ニ) 住宅宅地関連公共施設等整備促進事業費補助等
住宅の建設及び宅地の開発を促進するため、住宅宅地関連公共施設等整備促進事業費補助等七百三十九億円及び「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」第二条第一項第一号に該当する事業(以下「一号事業」という。)として行う宅地開発に関連した公共施設整備のための貸付金十二億六千八百万円を計上している。
(ホ) 住宅市街地整備総合支援事業費補助
大都市等の既成市街地における住宅建設と環境整備を促進するため、住宅市街地整備総合支援事業費補助五百九十八億円を計上している。
(2) 市街地整備事業
(百万円)
十一年度 八〇、二四六
十年度 (五二、一八二)
三五三、九九四
市街地整備事業については、街並み・まちづくり総合支援事業等により、民間活力を積極的に活用しつつ都市の高度化利用と都市機能の更新を進めることとしている。
5 下水道環境衛生等施設整備費
(百万円)
十一年度 一、六六七、八九一
十年度 (一、六二九、一七五)
二、六一五、八〇七
比較増△減 (三八、七一六)
△ 九四七、九一六
この経費は、上下水道、都市公園、自然公園、廃棄物処理施設、合併処理浄化槽、簡易水道等の施設の整備等を行うために必要な経費である。
(1) 下水道事業
(百万円)
十一年度 一、一二九、四二八
十年度 (一、一一二、四八一)
一、七六三、七四七
十一年度においては、下水道の普及を促進するため、引き続き、一般都市の公共下水道の整備を推進することとして、総事業費三兆一千四百三十四億五千百万円を予定している。
(2) 環境衛生施設整備
(百万円)
十一年度 三五九、三〇九
十年度 (三四五、九二三)
五六六、一九三
この経費は、簡易水道等施設、水道水源開発等施設、廃棄物処理施設及び合併処理浄化槽の整備を推進するために必要な経費であり、一般会計に三千五百九十三億九百万円を計上している。
(3) 都市公園事業
(百万円)
十一年度 一六二、六六八
十年度 (一五七、八三六)
二六三、四〇一
都市公園事業として一般会計に計上されるのは、一千六百二十億二千六百万円であり、国営公園及び都市公園等の整備を行うために必要な経費、「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法」に基づく特別保存地区内の整備に要する経費並びに「首都圏近郊緑地保全法」、「近畿圏の保全区域の整備に関する法律」及び「都市緑地保全法」に基づく緑地保全に必要な経費である。
十一年度においては、都市公園について引き続き事業の推進を図ることとし、財政投融資資金等の導入による国営公園の有料施設の早急な整備等のため、住宅・都市整備公団を活用することとしている。
(4) 自然公園
(百万円)
十一年度 一六、四八六
十年度 (一二、九三五)
二二、四六七
この経費は、国立・国定公園、国民公園等の施設の整備を行うために必要な経費であり、一般会計に百六十四億八千六百万円を計上している。
6 農業農村整備事業費
(百万円)
十一年度 一、〇九〇、九三七
十年度 (一、〇八三、六六五)
一、五七八、七四九
比較増△減 (七、二七二)
△ 四八七、八一二
農業農村整備事業は、農業の生産性の向上を目的とするかんがい排水事業、圃場整備事業その他の農業生産基盤整備事業、農村の生活環境の向上等に資する農道整備事業、農業集落排水事業その他の農村整備事業及び農村地域の農地等保全管理事業で構成されている。
十一年度においては、効率的・安定的な経営体の育成等を通じた国内農業の体質強化及び農村地域の生活環境の整備に資する事業に重点を置きつつ、引き続き本事業の推進を図ることとし、このための経費として一般会計に一兆九百九億二千五百万円を計上しているほか、産業投資特別会計社会資本整備勘定に農村整備事業資金貸付金一千二百万円(一号事業資金貸付金)を計上している。
また、この中で、国際化の急速な進展を踏まえ、我が国農業の体質強化を緊急に図る観点から、ウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策として、七百十億円を計上している。
事業別の内容は、次のとおりである。
(1) 農業生産基盤整備事業
(百万円)
十一年度 五八三、七五二
十年度 (五七二、四六二)
七二二、一三九
農業用用排水施設の新設又は改修、効率的・安定的な経営体の育成等に重点を置いた圃場条件の整備や畑地帯の条件整備等農業の生産性の向上を目的とする事業である。
(2) 農村整備事業
(百万円)
十一年度 三九一、二四二
十年度 (三九三、七一八)
六一一、八三一
農道の新設又は改修、農業集落排水、農村の総合的な整備等農村の生活環境の向上等に資する事業である。
(3) 農地等保全管理事業
(百万円)
十一年度 一一五、九四四
十年度 (一一七、四八五)
一九四、七七九
農地の防災・保全、土地改良施設の管理等農村地域における農地等の保全管理を図る事業である。
7 森林保全都市幹線鉄道等整備事業費
(百万円)
十一年度 三五〇、九七八
十年度 (三四〇、〇六八)
四九四、九九九
比較増△減 (一〇、九一〇)
△ 一四四、〇二一
この経費は、森林保全整備、森林環境整備、工業用水道、沿岸漁場整備開発、離島電気導入、都市・幹線鉄道整備、新幹線鉄道整備及び航路標識整備の事業を行うために必要な経費である。
(1) 森林保全整備事業
(百万円)
十一年度 一七三、九八四
十年度 (一七一、七六三)
二四五、二七六
森林保全整備事業については、造林事業、林道事業等の推進を図ることとしている。
また、森林開発公団の施行する大規模林道事業及び水源林造成事業については、引き続き、その推進を図ることとしている。
(2) 森林環境整備事業
(百万円)
十一年度 二八、三三四
十年度 (二七、一二四)
三二、二〇四
森林環境整備事業については、山村の生活環境、居住地周辺の景観など環境に配慮した森林整備等を行うこととしている。
(3) 工業用水道事業
(百万円)
十一年度 一二、〇五一
十年度 (一一、九七八)
一五、五五〇
この経費は、工業地帯における地下水汲み上げによる地盤沈下の防止と立地条件の整備を目的として敷設される工業用水道の事業費の一部を補助するために必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
(4) 沿岸漁場整備開発事業
(百万円)
十一年度 三〇、三六七
十年度 (三〇、〇〇〇)
四三、五二八
沿岸漁場整備開発事業については、水産物の需要に即応した供給体制の確立と沿岸漁業の振興を図るために必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
(5) 離島電気導入事業
(百万円)
十一年度 一八
十年度 一九
この経費は、離島振興計画に基づく電気導入施設の整備のために必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
(6) 都市・幹線鉄道整備事業
(百万円)
十一年度 六七、二六七
十年度 (六二、五二五)
一〇七、九八三
この経費は、地方公共団体等が施行する地下高速鉄道整備事業及びニュータウン鉄道等整備事業、民間事業者が施行する幹線鉄道等活性化事業及び鉄道駅総合改善事業並びに日本鉄道建設公団等が施行する鉄道防災事業の事業費の一部を補助するために必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
(7) 新幹線鉄道整備事業
(百万円)
十一年度 三一、七〇〇
十年度 (二九、四三八)
三九、四三八
この経費は、日本鉄道建設公団が施行する東北新幹線盛岡・八戸間等の建設に必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
(8) 航路標識整備事業
(百万円)
十一年度 七、二五七
十年度 (七、二二一)
一一、〇〇一
この経費は、灯台、電波標識等の整備に必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
8 調整費等
(百万円)
十一年度 二三八、〇〇一
十年度 (三三、九五三)
三五、九五三
比較増△減 (二〇四、〇四八)
二〇二、〇四八
この経費は、国土総合開発事業調整費、特定事業推進費、沖縄特別振興対策特定開発事業推進費及び地域戦略プラン事業推進費である。
国土総合開発事業調整費は、「国土総合開発法」、「東北開発促進法」等に基づく地域又は区域において実施する開発、保全に関する事業及び関連事業について各省各庁の所管する事業間の進度調整を図るほか、開発、保全に関する事業の複合的・一体的実施を推進するための各省各庁の所管する事業間の連携調整を図り、又は全国総合開発計画、東北開発促進計画等の推進を図るため実施する開発、保全に関する事業の調査の総合的な調整を行うために必要な経費であり、一般会計に二千二百九十七億四千九百万円を計上している。
特定事業推進費は、北海道、沖縄、離島及び奄美群島における特定事業等を推進するために必要な事業費及び調査費であり、一般会計に八十二億五千二百万円を計上している。
沖縄特別振興対策特定開発事業推進費は、沖縄県における深刻な経済状況等にかんがみ、更なる沖縄振興策を効果的に展開するために実施する「沖縄振興開発特別措置法」に基づく沖縄振興開発計画に関する特定の振興開発事業の推進等に必要な経費であり、一般会計に五十億円を計上している。
地域戦略プラン事業推進費は、生活空間倍増戦略プランの一環として、都市と地方の各地域が自らテーマを選んで主体的に策定する地域戦略プランに係る事業の推進に必要な経費であり、一般会計に二千億円を計上している(なお、地域戦略プランの推進に必要な経費のうち、公共事業関係費以外の経費については、別途一般会計に地域戦略プラン推進費として五十億円を計上している。)。
なお、これらの経費は、実施に当たって、建設省、運輸省、農林水産省等の各省各庁に移し替えることができることとなっている。
9 災害復旧等事業費
(百万円)
十一年度 六七、六七四
十年度 (六七、六七四)
六九七、九五七
比較増△減 (〇)
△ 六三〇、二八三
この経費は、公共土木施設、農林水産業施設等の災害復旧事業及び災害関連事業を行うために必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
(1) 災害復旧事業費
九年発生災害の復旧事業については、これを完了することとし、十年発生災害の復旧事業については、その促進を図ることとして所要額を計上している。また、当年発生災害の復旧事業費を計上して復旧事業の迅速かつ効率的な施行を期することとしている。
(2) 災害関連事業費
災害復旧事業と関連して施行する一般災害関連事業及び災害助成事業については、災害復旧事業の進捗状況を考慮して所要額を計上している。また、災害関連緊急事業、鉱毒対策事業等についても引き続き計上することとしている。
(百万円)
十一年度 九八七、七三二
十年度 (九八〇、二六五)
一、一一四、四五九
比較増△減 (七、四六七)
△ 一二六、七二六
この経費は、経済協力のための諸施策の実施に必要な経費である。
その内容の主なものは、次のとおりである。
(1) 経済開発等援助費
我が国の「顔の見える支援」の実現のため、開発途上国での日本センターの設立のための「人造り拠点支援無償」及び開発途上国による我が国への留学生派遣事業を支援する「留学生支援無償」を新設する。また、我が国NGO等の活用を念頭においた「草の根無償」を拡充するほか、人道面での支援を更に強化するため、「対人地雷無償」の創設及び「子供の健康無償」の拡充を行うこととし、一千九百九十七億九千五百万円を計上している。
(2) 食糧増産等援助費
食糧問題の解決に資するため、開発途上国における計画的な食糧増産に寄与するための援助及び食糧の援助に必要な額として、三百八十億六千百万円を計上している。
(3) 国際協力事業団交付金及び出資金
開発途上国に対する技術協力を充実強化するため、国際協力事業団の行う研修員の受入れ、青年招へい、専門家派遣について人数の増加等を図るとともに、開発途上国から真に評価される質の高い援助を実施するため、無償資金協力実施体制の強化等を図ることとし、所要の交付金一千七百五十億五千六百万円を計上している。
また、施設取得等に必要な資金として、出資金十九億四千百万円を計上している。
(4) 外国人留学生経費
開発途上国の人造りへの協力を図り、併せて、二十一世紀初頭に欧米並みの十万人の外国人留学生を受け入れる「留学生受入れ十万人計画」を視野に入れ、国費外国人留学生の人数の増加、私費外国人留学生援助の充実及び留学生宿舎の確保等を図ることとして、三百九十四億二千七百万円を計上している。
(5) 国際分担金・拠出金等
分担率の上昇等が見込まれる一方で、我が国の「顔の見える支援」の実現を図る見地から、我が国が使途決定に関与できる国際機関のファンドへの拠出に重点化を図る等の工夫を行い、これらに必要な経費一千七百七十四億八千万円を計上している。
(6) 海外経済協力基金等出資金
海外経済協力基金等については、投融資規模を九千二百億円とし、その財源の一部として一般会計出資金三千百二十六億円を計上している。
(百万円)
十一年度 一九二、三二〇
十年度 (一八五、八一八)
一、〇一四、九八八
比較増△減 (六、五〇二)
△ 八二二、六六八
この経費は、中小企業の構造転換の促進及び経営基盤の充実等の諸施策を実施するために必要な経費である。
十一年度においては、中小企業を取り巻く厳しい経営環境等を踏まえ、金融対策、新規開業・雇用創出支援、経営革新支援等に重点化を行うこととし、小規模事業対策、組織化対策、中小企業指導事業、中小企業近代化促進、中小企業事業団の行う業務の充実並びに中小企業金融及び信用補完の円滑化等を図ることとしている。
なお、政府系中小企業金融三機関に対する財政投融資については、所要の規模を確保するとともに、貸付制度の改善等を図ることとしている。
主な施策の内容は、次のとおりである。
(1) 小規模事業対策
小規模事業対策については、商工会・商工会議所等における経営指導体制の充実を図るほか、新規開業・雇用創出支援指導等を行うこととして、二百八億九千七百万円を計上している。
(2) 組織化対策
組織化対策については、中小企業団体中央会が行う中小企業の組織化事業を推進するため、指導体制の充実を図るとともに、中央会が行う中小企業雇用創出支援事業等を推進することとして、五十五億九千四百万円を計上している。
(3) 中小企業指導事業
中小企業指導事業については、中小企業支援ネットワークの整備等による経営技術支援の強化、地域ものづくり協議会支援等によるものづくり基盤の強化、中心市街地活性化のための市町村の基本計画の策定に対する補助の拡充等を図ることとしており、これら中小企業指導事業の強化に必要な経費として、百五十四億七百万円を計上している。
(4) 中小企業近代化促進
近代化促進の施策としては、新商品の開発や新たな生産方式の導入等、中小企業の経営革新への取組みに対する支援を行うとともに、タウンマネージメント機関の行う街づくりのための計画策定補助の拡充を図る。
また、中小企業の労働力確保対策事業を引き続き支援する。さらに、中小企業の国際化対策を一層推進するとともに、下請中小企業対策として下請取引適正化施策の強化等を行う。
さらに、規制緩和の推進に伴い発生しうる不公正取引の適正化のための調査研究に必要な経費を計上しており、これら中小企業近代化促進に必要な経費として、二百十六億七千万円を計上している。
(5) 中小企業事業団(中小企業信用保険公庫との統合後は、中小企業総合事業団(仮称))の事業運営
中小企業者の研修体制を整備するため、中小企業大学校の各種研修事業の充実を図ることとしている。
また、中小企業と他企業、研究機関、専門家等の外部経営資源を紹介・引き合わせるコーディネーター活動に対する支援に必要な経費を補助することとしている。
また、高度化融資事業については、中心市街地整備改善活性化法に基づく中小小売商業高度化事業を無利子融資の対象とすること等とし、総事業規模で二千七百七十億円を予定している。このため、この事業団に三千万円の出資を行うこととしている。
また、小規模企業共済制度及び中小企業倒産防止共済制度については、小規模共済制度の改正に伴う経費及びその運営の円滑化を図るために必要な経費の補助を行うこととしている。
(6) 小企業等経営改善資金
小企業等経営改善資金融資制度の貸付規模については、五千五百億円を確保することとしている。
このための原資として、一般会計貸付金三十億円、財政投融資二百十億円及び回収金五千二百六十億円を予定している。
なお、小企業等経営改善資金の融資機関である国民生活金融公庫(「国民金融公庫法の一部を改正する法律」(仮称)が施行されるまでの間は、国民金融公庫)に対して、小企業等経営改善資金融資補給金を交付することとし、十億八千七百万円を計上している。
(7) 中小企業信用保険公庫出資等
中小企業に対する信用補完の充実を図るため、中小企業信用保険公庫に対して、百七十五億二千万円の出資を行うとともに、緊急金融環境変化対応信用保証協会基金補助金五十億円を計上することとしている。
また、国民生活金融公庫及び中小企業金融公庫については、それぞれ三百八十五億二百万円、二百三十五億円の補給金を計上している。
(8) 中小企業退職金共済制度
中小企業退職金共済事業に対する補助を行うこととして、四十六億五千七百万円を計上している。
(百万円)
十一年度 六五三、一二三
十年度 (六六八、二三〇)
七二三、〇八九
比較増△減 (△ 一五、一〇七)
△ 六九、九六五
この経費は、エネルギーの長期的、安定的な供給を確保するため、原子力平和利用研究の促進、エネルギー技術の研究開発の推進、石油及びエネルギー需給構造高度化対策の推進等の諸施策を実施するために必要な経費である。
その内容の主なものは、次のとおりである。
(1) 原子力平和利用研究促進費
(イ) 原子力利用の安全確保のための研究については、日本原子力研究所、核燃料サイクル開発機構等を中心として、工学的安全研究、環境放射能安全研究及び放射性廃棄物の安全研究を行うこととし、百十四億三千九百万円(十年度当初予算額百七十八億五千八百万円)を計上するとともに、原子力施設の老朽化・安全性向上対策の強化のため、三十三億三千六百万円(十年度当初予算額三十億六千三百万円)を計上している。
(ロ) 高速増殖炉の研究開発については、核燃料サイクル開発機構において炉物理研究等を推進することとし、このため同機構に対する出資金として七十八億五千五百万円(十年度当初予算額八十億七千五百万円)を計上している。
(ハ) 高レベル放射性廃棄物の処分に関する研究開発については、核燃料サイクル開発機構において地層科学研究開発等を推進することとし、このため同機構に対する出資金として六十四億四千九百万円(十年度当初予算額百十二億三千八百万円)を計上している。
(ニ) 核融合の研究については、国際熱核融合実験炉(ITER)工学設計活動に係る協力及び臨界プラズマ試験装置を用いた研究開発等を日本原子力研究所を中心に推進することとし、このために必要な経費として、百六十八億九百万円(十年度当初予算額百七十八億五千百万円)を計上している。
(2) エネルギー技術研究開発費
太陽エネルギー、水素エネルギー等の新エネルギー技術及び燃料電池発電技術、超電導電力応用技術等の省エネルギー技術を開発することにより将来のエネルギーの安定的確保を図るとともに、地球環境問題の解決にも資するため、これらエネルギー技術の研究開発を推進することとし、三億四千六百万円(十年度当初予算額四億円)を計上している。
(3) 石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計(石油及びエネルギー需給構造高度化勘定)へ繰入
石油公団が行う探鉱等投融資等の財源としての出資、国家備蓄の実施、民間備蓄に対する助成、石油貯蔵施設立地対策等交付金の交付等の石油対策に要する経費及び石油代替エネルギー対策、省エネルギー対策等の地球環境問題に対応したエネルギー政策の展開を図るための施策に要する経費の財源に充てるため、一般会計から石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計(石油及びエネルギー需給構造高度化勘定)へ繰り入れることとして、四千八百八十億円(十年度当初予算額五千億円)を計上している。
(百万円)
十一年度 二六八、六八八
十年度 (二六九、〇五〇)
二六七、六五二
比較増△減 (△ 三六二)
一、〇三七
この経費は、主要食糧の計画的な流通を確保するための措置、政府による主要食糧の買入れ、輸入及び売渡しの措置並びに主要食糧の需給及び価格の安定を図るための措置に関し一般会計予算に計上される経費である。
その内容の主なものは、次のとおりである。
(1) 食糧管理特別会計調整勘定へ繰入
十年度末における食糧管理特別会計の調整資金の残高は、四百六十三億七千万円となる見込みであるが、十一年度において食糧管理勘定(国内米管理勘定、国内麦管理勘定及び輸入食糧管理勘定)に二千八百八十四億三千万円の損失が生ずると見込まれるので、十一年度末における調整資金の残高を十二億八千三百万円と見込んで、一般会計から調整勘定へ二千四百三十三億四千三百万円を繰り入れることとしている。
(2) 緊急生産調整推進対策費
(イ) 米については、現在、全体需給が大幅に緩和していることから、これを早急に改善するため緊急生産調整推進対策(十・十一年度)を実施しているところであり、十一年度においても、前年度と同規模の九十六万三千ヘクタールの生産調整目標面積に取り組むこととしている。
(ロ) 前記生産調整を推進するため、緊急生産調整推進対策費として、転作の定着と水田経営の安定を図るため、大豆、麦、飼料作物など他作物を取り込み、稲作・転作一体となった望ましい水田営農の実現に取り組む農業者を支援する水田営農確立助成金(二百五十二億四百万円)等を計上している。
(百万円)
十一年度 一五九、五三三
十年度 一五九、五三三
比較増△減 〇
この経費は、無利子貸付け等の財源に充てるため「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」に基づき、産業投資特別会計へ繰り入れるために必要な経費である。
その他の事項経費のうち主なものは、次のとおりである。
1 沖縄関係経費(総理府所管、法務省所管、外務省所管、大蔵省所管、文部省所管、厚生省所管、農林水産省所管、通商産業省所管、運輸省所管、郵政省所管、建設省所管及び自治省所管)
(百万円)
十一年度 五三七、二〇二
十年度 (五一四、〇九〇)
六七八、八二五
比較増△減 (二三、一一二)
△ 一四一、六二二
十一年度においては、沖縄県民の生活の安定と福祉の向上に資するため、社会資本の整備、産業経済の発展、文教の充実等、各面にわたる施策を講ずるために必要な経費として、五千三百七十二億二百万円を計上している。
2 北方対策費(総理府所管及び外務省所管)
(百万円)
十一年度 一、六〇四
十年度 (一、三八〇)
一、三二三
比較増△減 (二二三)
二八一
北方領土問題対策協会補助金など北方領土問題に関する啓蒙宣伝等を行うために必要な経費十六億四百万円を計上している。
3 青少年対策費(裁判所所管、総理府所管、法務省所管、外務省所管、文部省所管、農林水産省所管、運輸省所管及び労働省所管)
(百万円)
十一年度 一六三、四九三
十年度 (一五〇、〇六一)
一六二、三五二
比較増△減 (一三、四三二)
一、一四一
この経費は、健全な青少年活動を助成する等のために必要な経費であり、国立社会教育施設の運営、農村青少年の研修教育施設及び青少年矯正施設の設置運営、青少年教育の振興、青年の船の運航、青年海外協力隊の派遣等に要する経費を計上している。
4 平和祈念事業特別基金事業運営費(総理府所管)
(百万円)
十一年度 一、五六三
十年度 (一、八九三)
一、八一六
比較増△減 (△ 三三〇)
△ 二五三
この経費は、平和祈念事業特別基金が、関係者に対し慰藉の念を示す事業を行うとともに、戦後強制抑留者に対し慰労品等を贈呈する事業を実施するのに必要な経費である。
5 文化関係費(文部省所管)
(百万円)
十一年度 八〇、五〇四
十年度 (八一、八八八)
九九、七七九
比較増△減 (△ 一、三八三)
△ 一九、二七五
この経費は、芸術文化の振興、文化財保護の充実等に必要な経費である。
芸術文化の振興については、芸術創造活動への支援、地域こども文化活動推進事業の実施、新国立美術展示施設(ナショナル・ギャラリー)(仮称)の基本設計の実施、文化の国際交流の推進及び国立美術館の施設整備等を行うこととして、総額二百五十三億一千百万円(十年度当初予算比十億九千百万円、四・三%増)を計上している。
文化財保護の充実については、史跡等の保存整備・活用、文化財の防災強化と保存活用、伝統文化を支える人材養成・確保、九州国立博物館(仮称)の基本設計の実施、文化財の国際交流の推進及び国立博物館・文化財研究所の施設整備等を行うこととして、総額五百三十一億九千二百万円(十年度当初予算比二十四億九千万円、四・七%減)を計上している。
6 農業振興対策費(農林水産省所管)
農業の振興に係る諸施策のうち、農業農村整備事業費、主要食糧関係費及び農業者年金等実施費を除く主な事項について説明すると、次のとおりである。
(1) 農業構造改善等事業費
(百万円)
十一年度 五三、四七九
十年度 (五四、八七五)
一一五、八〇八
比較増△減 (△ 一、三九七)
△ 六二、三三〇
この経費は、農業経営構造の改善及び農山漁村の活性化を図るため、経営感覚に優れた経営体の育成に重点を置いた地域農業基盤確立農業構造改善事業等により生産基盤の整備、農業経営近代化施設の導入等を総合的に行う農業構造改善事業及び生産基盤の整備と生活環境の整備を総合的かつ効果的に行う新山村振興等農林漁業特別対策事業を実施するのに必要な経費である。
(2) 農業生産体制強化総合推進対策費
(百万円)
十一年度 四五、六九五
十年度 (四四、一三七)
七一、六八三
比較増△減 (一、五五八)
△ 二五、九八八
この経費は、国内農業の生産体制を抜本的に強化するため、地域において明確にされた今後育成すべき経営体等を核とした生産体制の確立、革新的な農業技術や経営の導入・実証、青年農業者の育成や農村女性の活動促進等農業・農村における人材の育成、作物及び地域の特色を活かした多様な農業生産の推進、麦大豆の品質向上定着のための特別対策の推進、環境と調和した持続性の高い農業生産方式への転換等を目的とする農業生産体制強化総合推進対策の実施に必要な経費である。
(3) 畜産再編総合対策費
(百万円)
十一年度 一三、七〇九
十年度 (一四、一八五)
二二、一二四
比較増△減 (△ 四七六)
△ 八、四一五
この経費は、効率的で生産性の高い経営体の育成を図るとともに、経営感覚に優れた意欲ある農業者等の自主性及び創意工夫を活かしつつ、地域の特性に即し、生産から流通・消費に至る地域畜産構造の再編を図ることを目的とする畜産再編総合対策の実施に必要な経費である。
(4) 肉用子牛等対策費
(百万円)
十一年度 一二四、五九九
十年度 (一二四、五九九)
一二四、一九二
比較増△減 (〇)
四〇七
この経費は、牛肉の輸入等需給事情の変化に対処するため、輸入牛肉等の関税収入を財源として肉用子牛の生産安定対策等を実施するのに必要な経費である。
(5) 農業経営体育成等対策費
(百万円)
十一年度 三六、五七三
十年度 (三八、九二〇)
三八、五八五
比較増△減 (△ 二、三四七)
△ 二、〇一二
この経費は、経営規模の拡大及び効率的・安定的な経営体の育成等を図るための諸施策を行うのに必要な経費のうち主なものを取りまとめたものであって、
(イ) 農業者の経営管理能力の向上、認定農業者を核とした地域農業を確立するための基礎条件づくり、農地の流動化及び有効利用の促進、農村地域への工業導入の促進、「特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律」に基づく市町村推進活動事業の支援等を総合的に行う農村地域農政総合推進事業
(ロ) 農業経営者の資質・技術等の向上を図るための指導、研修等を行う農業改良普及事業
等を実施するのに必要な経費である。
7 生鮮食料品流通等対策費(農林水産省所管)
(百万円)
十一年度 二六、二五九
十年度 (二七、一五六)
四一、七二二
比較増△減 (△ 八九六)
△ 一五、四六三
この経費は、生鮮食料品の円滑な流通を図り、物価の安定に資するための諸施策を行うのに必要な経費のうち主なものを取りまとめたものであって、
(1) 生鮮食料品の流通の改善合理化を促進するための卸売市場施設整備
(2) 野菜の価格補てん事業、売買保管事業等を内容とする野菜の価格安定及び需給調整対策
(3) 特定果実等計画生産出荷促進事業等を内容とする果実等の価格安定及び需給調整対策
(4) 鶏卵価格安定事業を内容とする鶏卵の価格安定対策
(5) 水産物調整保管事業、水産物流通加工基盤強化対策事業等を内容とする水産物流通調整対策
等の事業を実施するのに必要な経費である。
8 林業振興費(農林水産省所管)
(百万円)
十一年度 四三、九二四
十年度 (四七、三九四)
七六、二六七
比較増△減 (△ 三、四七〇)
△ 三二、三四二
この経費は、林業の振興を図るため、保安林等整備管理、森林計画樹立、林業生産流通総合対策、林業技術の普及指導、森林病害虫等防除、農林漁業信用基金出資、国際林業協力、林業改善資金造成及び林業振興事業指導事務等に必要な経費である。
十一年度における主な措置は、次のとおりである。
(1) 森林のCO2吸収・固定機能を的確に把握するとともに、「持続可能な森林経営」の推進を図るため、統計的な根拠を明確にする必要があることから、森林資源モニタリング調査を実施するとともに、木材の利用を推進し地球温暖化防止に資するための木材流通合理化特別対策事業における「温暖化防止加工型」の創設、森林の役割についての一般市民の認識の向上等に資する温暖化防止森林・緑・国民参加促進対策事業等を実施することとしている。
(2) 流域を単位とした森林整備のための取組みを強化するため、新たに流域内市町村の連携強化による森林整備等の促進を図ることとし、流域森林・林業活性化対策事業を拡充するとともに、地域の森林整備状況の把握と情報の整備等を推進する地域森林管理体制強化事業並びに森林の有する公益的機能の適切な評価を行うための調査等を実施することとしている。
(3) 森林の整備・管理の担い手である林業事業体や森林組合の育成等を図るため、林業事業体強化総合対策事業及び森林組合広域合併等促進対策事業を拡充するとともに、新たに特用林産物の担い手支援体制の整備のため特用林産担い手支援対策事業を実施するほか、木炭製品等の利用促進のための木炭利用促進事業等を実施することとしている。
(4) 住宅着工戸数の落ち込み等木材産業を取り巻く厳しい状況に対処し、経営の安定を図るため、新たに流域素材生産体制整備促進対策事業を実施するとともに、木材乾燥の促進、木材需要の拡大に係る施策を総合的に実施することとしている。
9 水産業振興費(農林水産省所管)
(百万円)
十一年度 五二、八〇二
十年度 (五五、九六九)
九八、三六七
比較増△減 (△ 三、一六七)
△ 四五、五六五
この経費は、水産業の振興を図るため、水産業振興総合対策、水産物流通調整対策、漁業経営対策、沿岸漁業改善資金造成、水産業振興事業指導事務等の諸施策並びに漁業災害及び漁船損害等補償制度を実施するのに必要な経費である。
十一年度における主な措置は、次のとおりである。
(1) 水産業振興総合対策としては、二百海里体制、漁獲可能量(TAC)管理体制の整備による新海洋秩序への移行に伴い、我が国周辺水域における適正な資源管理を行うとともに、漁場環境の保全、つくり育てる漁業の一層の振興、資源の高度利用を図ることが必要となっていることから、漁業経営の体質強化、漁協系統組織の経営基盤の強化、水産物の流通・加工の高度化等への取組み、漁村地域の活性化等の施策を総合的、有機的に実施する。具体的には、環境に配慮した養殖漁場の持続的利用を図るため、漁場容量に応じた養殖生産の実施に対する支援、国内の魚類防疫体制の整備、さけ・ます増殖事業の効率化を図るための施設整備及び魚道整備等を実現する持続的増養殖推進対策を創設するほか、増養殖場、漁業近代化施設、水産物の流通・加工の高度化等を図るために必要な施設の総合的な整備等を実施する。
(2) 水産物流通調整対策については、水産物の価格安定及び流通改善を図るための水産物調整保管事業の実施に要する経費について、財団法人魚価安定基金に対して補助を行う。
(3) 漁業経営対策については、漁業経営の安定を図るため、漁業経営環境変化対応緊急資金を創設するほか、漁業近代化資金について貸付対象の追加を行うとともに、農林漁業信用基金への出資、漁業信用基金協会への出資補助等を、引き続き、実施する。
(4) 漁業災害及び漁船損害等補償制度については、引き続き、円滑な制度運営を推進する。特に近年の漁業情勢の変化等に対応するため、漁船損害等補償制度を見直し、普通保険等の再保険主体を国から漁船保険中央会へ変更する等の措置を行うこととしている。
(5) 沿岸漁業改善資金造成については、都道府県が行う漁業経営の改善、漁家生活の改善、漁業後継者の養成等のための資金の貸付けに充てるための資金の造成に要する経費について、引き続き、助成する。
10 運輸施設整備事業団助成費(運輸省所管)
(百万円)
十一年度 二五、〇七六
十年度 (二四、〇四三)
四三、〇六三
比較増△減 (一、〇三三)
△ 一七、九八七
この経費は、都市鉄道、幹線鉄道及び新幹線鉄道の整備の推進等を図るため、運輸施設整備事業団に対して助成及び出資を行うために必要な経費である。
11 日本鉄道建設公団助成費(運輸省所管)
(百万円)
十一年度 六五、〇〇〇
十年度 六五、〇〇〇
比較増△減 〇
この経費は、「日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律」に基づき日本鉄道建設公団が行う年金等負担金の支払等の特例業務に要する経費の同公団に対する補助に必要な経費である。
12 給与改善費
公務員等の給与改善に備えて、既定の給与費の〇・五%に相当する額を既定の給与費に加算して計上している。左記の金額は、各項の給与費に加算計上されている給与改善費の合計額である。
(百万円)
十一年度 五四、五二二
十年度 (当初)五三、六九三
(百万円)
十一年度 五〇〇、〇〇〇
十年度 ―
比較増△減 五〇〇、〇〇〇
公共事業等の経費に係る予見し難い予算の不足に充てるため、計上することとしている。
(百万円)
十一年度 三五〇、〇〇〇
十年度 (三五〇、〇〇〇)
一五〇、〇〇〇
比較増△減 (〇)
二〇〇、〇〇〇
予見し難い予算の不足に充てるため、計上することとしている。
(百万円)
十一年度 一、六一七、四一三
十年度 ―
比較増△減 一、六一七、四一三
この経費は、九年度決算不足の補てんに伴う「決算調整資金に関する法律」附則第二条第四項の規定に基づく決算調整資金から国債整理基金への繰入に必要な資金を、同条第三項の規定に基づき一般会計から決算調整資金に繰り入れるために必要な経費である。
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◇歳 入
1 租税及印紙収入
(百万円)
十一年度 四七、一一九、〇〇〇
十年度 (五八、五二二、〇〇〇)
五〇、一六五、〇〇〇
比較増△減 (△ 一一、四〇三、〇〇〇)
△ 三、〇四六、〇〇〇
現行法による十一年度の租税及印紙収入は、五十二兆七千六百六十億円であって、十年度補正(第三号)後予算額に対して二兆六千十億円の増加(十年度当初予算額に対して五兆七千五百六十億円の減少)が見込まれる。
この金額から、十一年度に予定されている恒久的な減税等、住宅・土地税制、投資促進税制、金融関係税制等の改正による減収五兆六千四百七十億円を差し引くと、十年度補正(第三号)後予算額に対する減少額は三兆四百六十億円となる。
したがって、これらの税制改正を織り込んだ十一年度の租税及印紙収入は、四十七兆一千百九十億円である。
2 専売納付金
(百万円)
十一年度 二〇、三二七
十年度二 〇、三二四
比較増△減 三
3 官業益金及官業収入
(百万円)
十一年度 二一、四四五
十年度 二二、一七二
比較増△減 △ 七二六
4 政府資産整理収入
(百万円)
十一年度 三二八、七七八
十年度 (二七七、二八七)
四六八、二〇一
比較増△減 (五一、四九一)
△ 一三九、四二三
5 雑収入
(百万円)
十一年度 三、三二〇、五七二
十年度 (三、二六九、五八三)
三、三一四、九七四
比較増△減 (五〇、九八九)
五、五九八
6 公債金
(百万円)
十一年度 三一、〇五〇、〇〇〇
十年度 (一五、五五七、〇〇〇)
三四、〇〇〇、〇〇〇
比較増△減 (一五、四九三、〇〇〇)
△ 二、九五〇、〇〇〇
内訳について説明すると、次のとおりである。
(1) 公債金は、十一年度において、「財政法」第四条第一項ただし書の規定により発行する公債の収入である。
なお、「財政法」第四条第三項の規定による公共事業費の範囲は、一般会計予算総則第七条に掲げるとおりである。その金額並びに出資金及び貸付金の合計額は八兆八千九百八十八億五千九百万円であるが、公共事業等予備費(十一年度予算額五千億円)が使用された場合には、使用額が前記の金額に加わることとなる。したがって、公共事業等予備費が全額使用された場合のこれらの経費の合計額は、九兆三千九百八十八億五千九百万円となる。
(2) 特例公債金は、「平成十一年度における公債の発行の特例に関する法律」(仮称)の規定により発行する公債の収入である。
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【特別会計】
特別会計の主なものについて説明すると、次のとおりである。
1 交付税及び譲与税配付金特別会計
この会計は、地方交付税、地方特例交付金(仮称)及び地方譲与税(地方道路譲与税、石油ガス譲与税、航空機燃料譲与税、自動車重量譲与税及び特別とん譲与税を総称する。)の配付に関する経理を明確にするために設けられたものである。
なお、交通安全対策特別交付金の交付に関する経理を明確にするため、当分の間、この特別会計に計上することとし、交付税及び譲与税配付金勘定と交通安全対策特別交付金勘定の二勘定を設けている。
十一年度の主な内容は、次のとおりである。
(1) 交付税及び譲与税配付金勘定
(イ) 地方交付税交付金等の財源に充てるため、歳入については、一般会計から、@十一年度の所得税及び酒税の収入見込額の一〇〇分の三二に相当する額五兆六千五百三十一億二千万円、法人税の収入見込額の一〇〇分の三二・五に相当する額三兆三千八百九十一億円、消費税の収入見込額の一〇〇分の二九・五に相当する額三兆六百九億二千万円並びにたばこ税の収入見込額の一〇〇分の二五に相当する額二千二百四十億円の合算額十二兆三千二百七十一億四千万円に、A「地方交付税法」に基づき十一年度分の交付税の総額に加算することと定められている額三千三百五十九億円及び臨時特例加算額二千二百一億円を加算した額十二兆八千八百三十一億四千万円を受け入れるほか、二十九兆六千五十億三千百万円を資金運用部資金から借り入れ、歳出については、@十一年度分の地方団体に交付する地方交付税交付金として二十兆八千六百四十二億三千六百万円、A借入金及び一時借入金の利子支払額五千八百八十二億六千万円並びに十年度における借入金の償還金二十一兆一千八百五十六億九千百万円を国債整理基金特別会計へ繰入として計上することとしている。
(ロ) 「地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律」(仮称)に基づき、地方特例交付金の財源に充てるため、歳入については、一般会計から地方特例交付金六千三百九十八億六千万円を受け入れ、歳出については、十一年度分の都道府県並びに市町村及び特別区に交付する地方特例交付金として六千三百九十八億六千万円を計上することとしている。
(ハ) 地方道路税の収入をこの勘定に受け入れ、「地方道路譲与税法」に基づき、地方の道路財源に充てるため、地方道路譲与税譲与金として、一定の基準により都道府県及び市町村(特別区を含む。)に譲与することとしている。
(ニ) 石油ガス税の収入の二分の一に相当する額をこの勘定に受け入れ、「石油ガス譲与税法」に基づき、地方の道路財源に充てるため、石油ガス譲与税譲与金として、一定の基準により都道府県及び「道路法」第七条第三項に規定する指定市に譲与することとしている。
(ホ) 航空機燃料税の収入の一三分の二に相当する額をこの勘定に受け入れ、「航空機燃料譲与税法」に基づき、空港関係都道府県及び空港関係市町村の航空機騒音対策事業費等の財源に充てるため、航空機燃料譲与税譲与金として、一定の基準により同法に規定する都道府県及び市町村に譲与することとしている。
(ヘ) 自動車重量税の収入の四分の一に相当する額をこの勘定に受け入れ、「自動車重量譲与税法」に基づき、地方の道路財源に充てるため、自動車重量譲与税譲与金として、一定の基準により市町村(特別区を含む。)に譲与することとしている。
(ト) 特別とん税の収入をこの勘定に受け入れ、「特別とん譲与税法」に基づき、特別とん譲与税譲与金として、徴収地港の所在する都及び市町村に譲与することとしている。
(2) 交通安全対策特別交付金勘定
歳入として交通反則者納金の収入等を受け入れ、歳出としては地方の道路交通安全施設の設置等の財源に充てるため、一定の基準により都道府県及び市町村に交付する交通安全対策特別交付金等を計上することとしている。
2 国債整理基金特別会計
この会計は、一般会計又は特別会計から受け入れた資金等を国債整理基金として、これを国債の償還発行に関する費途に充てるために設けられたものである。
十一年度においては、一般会計から十九兆八千三百十九億二千三百万円、交付税及び譲与税配付金特別会計等から三十一兆二百八十六億四千八百万円をそれぞれ受け入れるほか、租税二千六百七十五億円、公債金四十兆八百十四億七千二百万円、前年度剰余金として「国債整理基金特別会計法」第五条ノ二の規定により十年度において発行予定の公債金収入五兆円及び「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」に基づき一般会計に繰り入れることとしている日本電信電話株式会社の株式の売払収入の一部等一千七百四十一億八千百万円、日本電信電話株式会社の株式の売払収入七千二百四十億円、日本たばこ産業株式会社及び日本電信電話株式会社の配当金収入三百四十六億六千七百万円並びに運用収入等三百三十九億八百万円をそれぞれ受け入れることとしている。
3 産業投資特別会計
この会計は、産業の開発及び貿易の振興のために国の財政資金をもって投資を行うことにより国民経済の発展と国民生活の向上に資するとともに、その経理を明確にするために設けられたものである。
なお、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」に基づく一般会計からの受入金及びこれを財源とする無利子貸付け等を、当分の間、この特別会計に計上することとし、その経理を明確にするため、産業投資勘定と社会資本整備勘定にそれぞれ区分して経理することとしている。
十一年度の主な内容は、次のとおりである。
(1) 産業投資勘定
十一年度の歳入については、日本輸出入銀行及び国際協力銀行(仮称)の納付金並びに電源開発株式会社、日本たばこ産業株式会社及び日本電信電話株式会社の配当金等を見込むほか、前年度剰余金として四百二十五億一千九百万円を受け入れることとしている。
歳出については、技術開発、地域開発等の推進を図ることとして、総額一千三十六億円(十年度当初予算額六百三十五億円)の産業投資支出を行うこととしている。
(2) 社会資本整備勘定
歳入については、一般会計が国債整理基金特別会計から受け入れた日本電信電話株式会社の株式の売払収入による国債整理基金の資金の一部に相当する一千五百九十五億三千三百万円の財源を一般会計から受け入れることとしているほか、各特別会計より受入及び償還金収入等九百七十一億二千七百万円を見込んでいる。
歳出については、収益回収型の公共事業資金貸付金として総額九百四十四億三千三百万円、民間能力活用施設整備事業資金貸付金六百五十一億円、一般会計へ繰入九百七十億三千五百万円、事務費等九千二百万円を計上している。
4 石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計
この会計は、石油及びエネルギー需給構造高度化対策に要する費用の財源に充てる額を一般会計から受け入れるほか、原油等関税収入等を財源として、石炭対策並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策に関する経理を行うために設けられたものである。
十一年度の主な内容は、次のとおりである。
(1) 石炭勘定
(イ) 石炭鉱業合理化安定対策
国内石炭鉱業の自主的な構造調整努力に対し、総合的な支援策を引き続き講ずるとともに、保安対策等を着実に推進し、石炭鉱業合理化安定対策の総合的な展開を図るために必要な経費を計上している。
(ロ) 鉱害対策
累積鉱害の解消に向けて鉱害復旧の推進を図るとともに、累積鉱害解消後の浅所陥没被害等に対する中長期的な対応体制の構築を図るために必要な経費を計上している。
(ハ) 産炭地域振興対策
八次策影響地域等を重点対象とした産炭地域振興対策を引き続き推進するとともに、石炭鉱業の構造調整に即応した先行的な対策を講ずるために必要な経費を計上している。
(ニ) 炭鉱離職者等対策
炭鉱離職者等職業転換特別給付金の充実、職業訓練の機動的実施等炭鉱離職者の再就職の促進等を図るために必要な経費を計上している。
(2) 石油及びエネルギー需給構造高度化勘定
(イ) 石油の安定的な供給の確保等に資するため、石油公団が行う探鉱等投融資の原資の一部等として、同公団に対し、四百三十九億七百万円を出資することとしているほか、石油生産技術の研究開発等を推進するための経費を計上している。
(ロ) 石油の国家備蓄の維持を行うとともに、石油ガスの国家備蓄の推進を図ることとして三千五十七億八千百万円を計上している。
また、石油及び石油ガスの民間備蓄を行うため、石油及び石油ガス購入資金融資についての利子補給等に要する経費六十三億八千百万円を計上している。
その他、石油貯蔵施設の設置の円滑化を図るため、石油貯蔵施設立地対策等交付金の交付を行うこととしている。
(ハ) 石油の生産・流通の合理化を図るため、精製合理化等石油産業体質強化対策事業、石油製品販売業構造改善対策事業、石油製品品質確保事業、新燃料油研究開発調査、大規模石油災害対応体制整備事業等の施策の推進に要する経費として四百三十二億七千二百万円を計上している。
(ニ) 地球温暖化問題に対応したエネルギー政策の展開を図るため、エネルギー需給構造高度化対策として、省エネルギー、新エネルギー等に係る技術開発、クリーンエネルギー自動車等の普及促進、国際省エネルギー対策等の施策の推進に要する経費として一千四百六十六億八千七百万円を計上している。
5 厚生保険特別会計
この会計は、「健康保険法」及び「厚生年金保険法」に基づき、被保険者に対する療養給付、年金給付、その他の給付を行うことによって、被用者の福祉の向上を図るとともに、「児童手当法」に基づく児童手当に関する経理を行うために設けられたものである。
また、当分の間の措置として、老人保健制度の基盤安定化を図るため、特別保健福祉事業資金の運用利益金を財源として実施する特別保健福祉事業に関する経理を行うこととしている。
十一年度の主な内容は、次のとおりである。
(1) 健康勘定においては、歳出では、医療費の伸び等による所要の給付費等を見込み、歳入では、保険料収入等を見込むとともに、国庫補助については、九千三百二十九億六千四百万円を計上している。
(2) 年金勘定においては、歳出では、年金受給者の増等による給付費の増加等を見込み、歳入では、保険料収入等を見込むとともに、国庫負担金については、三兆六千三百五十六億一千九百万円を一般会計から受け入れることとしている。
(3) 児童手当勘定においては、歳出では、三歳未満の児童を支給対象児童とすることとしている。また、所得制限については、多子世帯に配慮して大幅な引上げを行っている。さらに、少子化、共働き世帯の増加、核家族化、都市化の進展等子どもを取り巻く環境の変化を踏まえ、特に女性の社会進出に対応して、子育てと仕事の両立を図る必要があることにかんがみ、延長保育等促進基盤整備事業・放課後児童対策事業の拡充等、児童育成事業の積極的実施を図ることとし、歳入では、事業主拠出金収入等を見込むとともに、一般会計から所要の財源として、二百八十億六千三百万円を受け入れることとしている。
(4) 業務勘定においては、業務量の増加、事務の機械化等に伴って必要となる経費を計上するとともに、特別保健福祉事業について三百二十億円を計上している。
6 国民年金特別会計
この会計は、「国民年金法」に基づき、国民の老齢、障害又は死亡に関して必要な年金の給付等を行うことにより、健全な国民生活の維持及び向上に寄与するため設けられたものである。
十一年度の主な内容は、次のとおりである。
(1) 基礎年金勘定においては、歳出では、基礎年金給付費としての所要額及び公的年金制度の各保険者の支出する基礎年金相当給付費の財源に充てるための繰入れ所要額等を見込み、歳入では、基礎年金給付等に要する費用の財源として各保険者からの所要の拠出金等による収入等を見込んでいる。
(2) 国民年金勘定においては、歳出では、旧法国民年金の障害年金等の受給者数の減等による給付費の減少並びに基礎年金勘定への繰入れ額等を見込み、歳入では、保険料収入等を見込むとともに、国庫負担金については、一兆三千二百二十六億六千四百万円を一般会計から受け入れることとしている。また、基礎年金相当給付費の財源を、基礎年金勘定から受け入れることとしている。
(3) 福祉年金勘定においては、歳出では、受給者数の減等により見込んだ所要額を計上するとともに、歳入では、国庫負担金については、八百七億三千四百万円を一般会計から受け入れることとしている。
(4) 業務勘定においては、業務量の増加等に伴って必要となる経費を計上している。
7 食糧管理特別会計
この会計は、「食糧管理特別会計法」に基づいて設置され、「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」、「農産物価格安定法」及び「飼料需給安定法」に基づき、米、麦、でん粉、輸入飼料等の買入れ、売渡し等を管理するものである。
十一年度においては、この会計の取扱品目、数量、価格等について、次のような前提に立って、予算を編成している。
(1) 国内産米については、政府買入数量七十五万トン、政府売却数量百四十九万五千トンと見込んでいる。また、政府買入価格は十一年産米の価格、政府売渡価格は十年十二月一日以降に適用される価格で計上している。
(2) 国内産麦については、買入数量は、大麦、はだか麦、小麦の三麦合わせて六十五万九千トン、売却数量は三麦合わせて六十五万一千トンと見込んでいる。また、政府買入価格は十年産麦の価格、政府売渡価格は十一年二月一日以降に適用される価格で計上している。
(3) 輸入食糧については、買入数量は、米穀七十二万四千トン、小麦等六百十六万六千トン、売却数量は米穀七十万一千トン、小麦等五百八十八万トンを予定している。また、米麦の政府買入価格は最近の価格動向等を勘案して算定した価格、米麦の政府売渡価格は米については十年十二月一日以降、麦については十一年二月一日以降に適用される価格で計上している。
(4) 農産物等については、でん粉二千トンの買入費等を計上している。
(5) 輸入飼料については、小麦百十一万トン、大麦百七十万トンの売却及びこれに必要な数量の買入れを予定している。また、国内米管理勘定において、自主流通米価格の下落時にその影響を緩和する稲作経営安定対策、生産調整の推進のため全国的なとも補償を行う米需給安定対策等を引き続き講ずることとしている。
8 道路整備特別会計
この会計は、道路整備事業の計画的推進を図るため、道路整備事業の経理を明確にすることを目的として設けられたものである。
この会計は、揮発油税等の特定財源、一般財源、産業投資特別会計社会資本整備勘定からの受入額及び直轄事業に係る地方公共団体の負担金等を受け入れることによって財源の調達を図ることとしており、十一年度における道路整備事業の財源内訳は次のとおりである。
▽一般会計より受入 (百万円)
十一年度 二、六七二、六九八
十年度 (二、六五三、四四五)
四、一三二、一九三
・揮発油税等特定財源
十一年度 二、〇二八、七二一
十年度 二、〇一一、〇〇〇
・一般財源
十一年度 六四三、九七七
十年度 (六四二、四四五)
二、一二一、一九三
▽産業投資特別会計より受入
十一年度 九〇、三三六
十年度 八九、七一六
≪小 計≫
十一年度 二、七六三、〇三四
十年度 (二、七四三、一六一)
四、二二一、九〇九
▽前年度剰余金受入等
十一年度 七二、〇三八
十年度 六六、九三二
▽地方公共団体負担金
十一年度 五五八、〇一一
十年度 (五四一、二五八)
八三四、一一九
▽揮発油税
十一年度 六七一、六〇〇
十年度 六六五、四〇〇
≪合 計≫
十一年度 四、〇六四、六八三
十年度 (四、〇一六、七五一)
五、七八八、三六〇
なお、道路整備事業費としては、前記のほか、北海道開発庁及び沖縄開発庁における道路関係の工事諸費二百八十五億八千八百万円及び十二億三千六百万円が一般会計に計上されており、これらを加えると、道路整備のための財源合計は四兆九百四十五億七百万円となる。
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【政府関係機関】
政府関係機関の主なものについて説明すると、次のとおりである。
1 国民生活金融公庫(仮称)
この公庫(「国民金融公庫法の一部を改正する法律」(仮称)が施行されるまでの間は、国民金融公庫)は、一般の金融機関から資金の融通を受けることを困難とする国民大衆に対して、必要な事業資金等の供給を行うこと等を目的としている。なお、同法の施行により、環境衛生金融公庫が解散し、その業務をこの公庫に承継することとしている。
十一年度においては、国民大衆の事業資金等に対する融資の円滑化を図るため、小企業等経営改善資金貸付五千五百億円(十年度五千五百億円)を含め総額四兆六千十億円の貸付けを行うこととし、このため一般会計からの借入金三十億円、回収金等六千百四十億円のほか、資金運用部資金及び簡保資金の借入れ三兆九千八百四十億円を予定している。
2 住宅金融公庫
この公庫は、国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅の建設等に必要な資金で、銀行その他一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通すること等を目的としている。
十一年度においては、五十四万五千戸を建設するための住宅等融資十兆七千四百八十八億円、五千戸を建設するための財形住宅融資七百億円、関連公共施設等融資五十億円及び宅地造成融資一千六百三十九億円(住宅用地の取得四百ヘクタール、造成七百ヘクタールを予定)を行うこととし、総額十兆九千八百七十七億円(十年度十兆二千六百六十億円)の貸付けを予定している。
この貸付計画額のうち六兆三百九十七億円が十一年度中に貸し付けられる予定であり、これに九年度及び十年度の貸付計画額のうち、十一年度に資金交付が行われる予定となっている四兆九千四百七十三億円を加えると、十一年度の資金交付額は十兆九千八百七十億円となり、十年度計画額に対し四千百三十九億円増加している。
また、十一年度においては、住宅融資保険の保険価額の総額を一兆円としている。
3 農林漁業金融公庫
この公庫は、農林漁業者に対し、農林漁業の生産力の維持増進に必要な長期かつ低利の資金で、農林中央金庫その他一般の金融機関が融通することを困難とするもの等を融通することを目的としている。
十一年度の貸付計画額は五千三百億円(十年度計画額五千三百億円)を予定している。
この貸付計画額のうち、その四一%に当たる二千百六十億円が十一年度中に資金交付が行われる予定であり、これに十年度の貸付計画額のうち十一年度に資金交付が行われる予定となっている二千百四十億円を加えると、十一年度の資金交付額は四千三百億円(十年度予定四千三百五十億円)となる予定である。
4 中小企業金融公庫
この公庫は、中小企業者の行う事業の振興に必要な長期資金であって、一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的としている。
十一年度においては、中小企業金融の円滑化を図るため、中小企業投資育成会社に対する五億円の貸付けを含め総額二兆五千四百四十四億円の貸付けを行うこととし、このため、産業投資特別会計からの出資金四十六億円、回収金等二千八百七十四億円のほか、資金運用部資金及び簡保資金の借入れ一兆四千五百五十四億円、中小企業債券の発行による収入七千九百七十億円を予定している。
5 日本開発銀行
この銀行は、長期資金の供給を行うこと等により産業の開発及び経済社会の発展を促進するため、民間の投資及び一般の金融機関が行う金融を補完し、又は奨励することを目的としている。
十一年度においては、一兆三千八十億円の出融資を行うこととし、このため、自己資金十億円のほか、産業投資特別会計からの出資金九十五億円、資金運用部資金及び簡保資金の借入れ一兆二千七百十億円並びに産業投資特別会計からの借入れ二百六十五億円を予定している。
資金の運用としては、自立型地域創造、豊かな生活創造及び経済活力創造の分野について効率的に実施することとしている。また、社会資本の整備を促進するため、無利子貸付及び低利子貸付を行うこととしている。
なお、この銀行を十一年十月を目途に廃止し、新たに設立される日本政策投資銀行(仮称)において、事業を行うこととなるため、十一年九月までの間の予算を計上している。
6 日本輸出入銀行
この銀行は、金融上の援助を与えること等により本邦の外国との貿易を主とする経済の交流を促進するため、一般の金融機関が行う輸出入及び海外投資に関する金融等を補完し、又は奨励することを目的としている。
十一年度においては、一兆一千二百四十五億円の出融資を行うこととし、資金運用部資金及び簡保資金の借入れを予定している。
資金の運用としては、我が国経済のグローバル化の一層の推進の観点から投資金融に、開発途上国の持続可能な開発の支援の観点からアンタイドローン等の直接借款に重点を置いて所要額を計上している。
なお、この銀行を十一年十月を目途に海外経済協力基金と統合し、新たに設立される国際協力銀行(仮称)において事業を行うこととするため、十一年九月までの間の予算としている。
7 日本政策投資銀行(仮称)
この銀行は、「特殊法人等の整理合理化について」(九年九月二十四日閣議決定)に基づき、日本開発銀行を廃止し、新たに設立することとしているもので、この銀行に、北海道東北開発公庫を廃止し統合するほか、地域振興整備公団及び環境事業団の融資業務を移管することとしている。
その目的の大要は、活力ある経済社会の持続的発展、豊かな国民生活の実現及び地域経済の自立的な発展に資するため、長期資金の供給を行うこと等により我が国の経済社会政策に金融上の寄与をすることである。
十一年度においては、一兆四千五百七十八億円の出融資を行うこととし、このため、産業投資特別会計からの出資金百五十二億円のほか、資金運用部資金及び簡保資金の借入れ一兆四千三百五十五億円並びに産業投資特別会計からの借入れ三百十八億円を予定している。
資金の運用としては、自立型地域創造、豊かな生活創造及び経済活力創造の分野について効率的に実施することとしている。また、社会資本の整備を促進するため、無利子貸付及び低利子貸付を行うこととしている。
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【平成十一年度財政投融資計画】
1 財政投融資計画策定の基本的考え方
十一年度の財政投融資計画の策定に当たっては、現下の厳しい社会経済情勢に対応するため、景気回復に十分配慮して財政投融資資金の活用を図るとともに、特殊法人の整理合理化への対応等、改革に向けた努力を継続することとし、資金の重点的・効率的な配分に努めることとしている。
十一年度財政投融資計画の規模については、一般財政投融資の規模は三十九兆三千四百九十二億円であり、十年度一般財政投融資三十六兆六千五百九十二億円に対し二兆六千九百億円(七・三%)の増となっている。
また、資金運用事業に対する融資十三兆五千五百億円を加えた財政投融資計画の規模は五十二兆八千九百九十二億円(十年度計画比五・九%増)となっている。
最近における財政投融資計画の規模の推移は、次のとおりである。
金 額 対前年度
(億円) 伸率(%)
七年度 四八一、九〇一 〇・七
〔一般財政投融資 四〇二、四〇一 二・一〕
八年度 四九一、二四七 一・九
〔一般財政投融資 四〇五、三三七 〇・七〕
九年度 五一三、五七一 四・五
〔一般財政投融資 三九三、二七一 △三・〇〕
十年度 四九九、五九二 △二・七
〔一般財政投融資 三六六、五九二 △六・八〕
十一年度 五二八、九九二 五・九
〔一般財政投融資 三九三、四九二 七・三〕
なお、産業投資特別会計については、日本輸出入銀行及び国際協力銀行(仮称)の納付金並びに電源開発株式会社、日本たばこ産業株式会社及び日本電信電話株式会社の配当金等の原資により、技術開発、地域開発等の推進を図ることとしている。
また、経済情勢の推移等に応じ、機動的かつ弾力的に対処するため、引き続き、公庫、公団等に対する資金運用部資金及び簡保資金の長期運用予定額並びに公庫、公団等の債務に係る政府保証の限度額を年度内に五〇%の範囲内で増額しうるよう、弾力措置を講ずることとしている。
2 重要施策
(1) 住 宅
住宅については、十一年度財政投融資計画額全体の二四・四%に当たる十二兆八千八百六十一億円(十年度計画額十三兆三百六十六億円)の財政投融資を予定しており、国民の居住水準の向上に対する強い要望に配意し、第七期住宅建設五箇年計画の的確な実施を図ることとしている。
住宅金融公庫については、低水準が続いている住宅投資の状況にかんがみ、十年十一月十六日に決定された緊急経済対策を着実に推進するとともに、良質な住宅ストックの形成を図るため、貸付戸数を五十五万戸とするほか、環境問題にも積極的に対応するため、省エネルギー住宅等に対する貸付限度額の引上げ等の貸付制度の改善を行うこととしており、貸付計画額として十兆九千八百七十七億円(十年度計画額十兆二千六百六十億円)を予定している。年金福祉事業団の行う被保険者住宅資金貸付については、貸付規模を一兆三百三十九億円とすることとしている。住宅・都市整備公団については、住宅建設戸数を一万八千戸とするとともに、居住水準の向上、良好な居住環境の形成等を図るため、都市の再開発、市街地の整備、既存賃貸住宅の建替え等を推進することとしている。
また、宅地開発については、大都市地域における優良な宅地供給を推進するため、住宅・都市整備公団の新規着手面積を二百ヘクタールとするほか、住宅金融公庫の貸付制度の改善を行うこととしている。
(2) 生活環境整備
生活環境整備については、十一年度財政投融資計画額全体の一二・七%に当たる六兆七千四百二十五億円(十年度計画額六兆四千百二十八億円)の財政投融資を予定し、健康で豊かな国民生活の実現を図るため、引き続き、日常生活に密着した生活環境施設の整備を推進することとしている。このうち、地方公共団体については、国民生活充実の基盤となる社会資本の整備を推進するため、地方債計画の策定に当たり、下水道、一般廃棄物処理等の事業について、所要の起債額を確保するとともに、これらの事業に対して政府資金(資金運用部資金及び簡保資金をいう。以下同じ。)及び公営企業金融公庫資金を重点的に配分することとしている。
(3) 厚生福祉、文教
厚生福祉については、一兆四千八百八十八億円(十年度計画額一兆四千七百四十八億円)の財政投融資を予定し、社会福祉・医療事業団において、高齢社会に対応するため、所要の貸付計画額を確保することとしているほか、国立病院特別会計、地方公共団体等において、病院、厚生福祉施設等の整備促進を図ることとしている。
文教については、八千四百二億円(十年度計画額七千六百億円)の財政投融資を予定している。そのうち地方公共団体の義務教育施設整備等の事業については、地方債計画の策定に当たり、所要の政府資金の額を確保することとしている。
(4) 中小企業、農林漁業
中小企業については、十一年度財政投融資計画額全体の一二・〇%に当たる六兆三千二百四十二億円(十年度計画額六兆一千四百七億円)の財政投融資を予定している。その大宗を占める国民生活金融公庫(仮称)及び中小企業金融公庫については、最近の金融情勢等にかんがみ、中小企業の資金調達の円滑化を図るため、所要の貸付規模を確保するとともに、特別貸付制度の充実(中小企業経営革新等支援貸付の創設等)等の貸付制度の改善を図ることとしている。このほか、中小企業金融公庫に対し、産業投資特別会計からの出資(四十六億円)を予定している。
農林漁業については、八千四百九十七億円(十年度計画額八千八百四十億円)の財政投融資を予定している。このうち、農林漁業金融公庫については、資金需要の動向等を踏まえ、三千二百億円の財政投融資を予定している。
(5) 道路、運輸通信
道路については、三兆三千九百七十九億円(十年度計画額三兆三千二百七十二億円)の財政投融資を予定している。その大宗を占める道路関係四公団(日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本州四国連絡橋公団)の事業費として二兆二千九百八十二億円を予定している。
運輸通信については、七千三百四十七億円(十年度計画額六千三百三十七億円)の財政投融資を予定している。このうち、空港関係四機関(空港整備特別会計、新東京国際空港公団、関西国際空港株式会社及び中部国際空港株式会社)については、引き続き、空港建設事業の推進を図ることとし、合計三千九百二十一億円の事業費を予定している。
日本鉄道建設公団については、大都市周辺の鉄道路線の充実等を図ることとし、建設費三千九百一億円を予定している。
(6) 産業・技術、貿易・経済協力
産業・技術については、一兆四千五億円(十年度計画額八千八百五十五億円)の財政投融資を予定している。技術開発については、日本開発銀行及び日本政策投資銀行(仮称)の知的基盤整備枠として合計一千四十五億円(十年度計画額一千十億円)の出融資を予定するとともに、引き続き、基盤技術研究促進センター、科学技術振興事業団及び情報処理振興事業協会に対し、産業投資特別会計からの出融資を予定している。
貿易・経済協力については、開発途上国の経済社会開発等に資する観点から、二兆六千五百六十五億円(十年度計画額一兆五千四十億円)の財政投融資を予定している。海外経済協力基金、日本輸出入銀行及び国際協力銀行(仮称)については、合計二兆九千四百六十億円(十年度計画額二兆二千二百億円)の出融資を予定している。
(7) 資金運用
資金運用については、財政投融資の重要な原資である郵便貯金、厚生年金・国民年金及び簡保資金について、資金運用事業を引き続き実施することとし、総額十三兆五千五百億円の財政投融資を予定している。
郵便貯金については、金融自由化に適切に対応した健全な郵便貯金事業の経営の確保に資することを目的とした金融自由化対策資金の資金運用事業の原資として、郵便貯金特別会計に対し財政投融資八兆五千億円を予定している。
厚生年金・国民年金については、厚生年金保険事業及び国民年金事業の財政基盤の強化に資することを目的とした年金福祉事業団の年金財源強化事業の原資として、同事業団に対し財政投融資三兆五百億円を予定している。
簡保資金については、簡易生命保険事業の健全な経営に資することを目的とした簡易保険福祉事業団の資金運用事業の原資として、同事業団に対し財政投融資二兆円を予定している。
(8) 還元融資
十一年度のいわゆる還元融資については、六兆四千四百四億円を予定しており、年金福祉事業団等の還元融資対象機関に配分することとしている。
3 原 資
十一年度財政投融資の原資としては、十年度計画額に対し四兆八千六百億円(八・四%)減の五十二兆八千九百九十二億円を計上している。
原資の大宗を占める資金運用部資金については、四十三兆七千百五十六億円を計上している。このうち、郵便貯金の預託増加見込額については、十年度計画額に対し一千億円(〇・九%)増の十一兆五千億円を計上している。また、厚生保険特別会計(年金勘定)及び国民年金特別会計(国民年金勘定)からの預託増加見込額については、十年度計画額に対し一兆六千九百億円(二八・二%)減の四兆三千百億円を計上している。以上のほか、既往の運用の回収金等二十七兆九千五十六億円を計上している。
簡保資金については、六兆五千八百億円を計上している。
政府保証債については、二兆五千億円を予定している。
産業投資特別会計については、日本輸出入銀行及び国際協力銀行(仮称)の納付金並びに電源開発株式会社、日本たばこ産業株式会社及び日本電信電話株式会社の配当金等を見込むことにより、一千三十六億円を計上している。
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