▽ 平成九年度体力・運動能力調査の結果……………………文 部 省
▽ 法人企業の経営動向(平成十年四〜六月期)……………大 蔵 省
▽ 月例経済報告(十一月報告)………………………………経済企画庁
▽ 税金365日 法定調書の提出……………………………国 税 庁
平成9年度
一 小学校低・中学年児童(六〜九歳)の運動能力(第1図、第2図参照)
すべてのテスト種目において、男女とも加齢に伴い急激な運動能力の向上がみられる。
五十メートル走、立ち幅とび、とび越しくぐりでは、六〜七歳にかけての向上傾向が他の年齢段階より急激である。
ソフトボール投げでは、男女ともほぼ直線的な向上傾向がみられ、その向上傾向は男子が女子より急激である。
また、すべてのテスト種目の各年齢段階で、男子が女子よりも優れている。
二 小学校高学年児童(十〜十一歳)の体力・運動能力(第3図〜第6図参照)
十〜十一歳の体力診断テスト及び運動能力テストの合計点は、第3図〜第6図にみられるように、男女とも十一歳の方が十歳より上回っており、それらの伸び率は、体力診断テスト合計点では男子一〇・一%、女子九・六%であり、男子の伸び率が女子をわずかに上回っている。運動能力テスト合計点では男子二七・三%、女子二六・四%であり、男子の向上傾向がわずかではあるが顕著である。
この向上傾向は、男女とも中学生・高校生に比べてより顕著であり、特に運動能力では著しい。 このように、小学校高学年期における体力・運動能力の向上傾向は、他の時期に比べて著しく、特に女子にその傾向が強い。
体力の要素別にみると、敏しょう性(反復横とび)、瞬発力(垂直とび)、筋力(背筋力、握力)、柔軟性(伏臥上体そらし、立位体前屈)では、男女とも加齢に伴い向上傾向がみられ、特に筋力の二種目の伸びは顕著である。
運動能力の要素別にみると、ほとんどの能力で加齢に伴う向上傾向がみられ、特に投力(ソフトボール投げ)の伸びは顕著である。
三 青少年(十二〜二十九歳)の体力・運動能力
(一) 青少年の体力(第3図、第4図参照)
第3図、第4図は、男女それぞれの体力診断テスト合計点の加齢に伴う変化を示したものである。
青少年の体力のピーク年齢は、男子が十七〜十九歳ごろ、女子が十八〜二十歳ごろと考えられ、ピーク時までの体力の向上傾向は男女とも顕著であるが、特に男子において顕著である。
十二歳時の体力は、ピーク時に対して男子が七〇%、女子が八五%となっており、この割合はここ数年大きく変化していない。このことから、男子はピーク時までの五〜七年間の向上傾向が著しく、女子は十二歳以前に顕著な体力の向上時期があると考えられ、女子の早熟性がうかがえる。
ピーク年齢以後は、男女とも緩やかな低下傾向を示しており、二十九歳時の体力はピーク時に対して男女とも九四%となっている。
【体力の要素別にみた、加齢に伴う変化の傾向】
ア 敏しょう性(反復横とび)
男女とも十九歳ごろにピークに達している。十二歳時の能力は、ピーク時に対し、男子が八三%、女子が八九%となっており、ピーク時以後は、男女とも緩やかな低下傾向を示し、二十九歳時の能力は、ピーク時に対し、男女とも九二%となっている。
また、すべての年齢段階で男子が女子より優れており、その性差はピーク時まで加齢に伴い増大し、その後、その差は維持されている。
イ 瞬発力(垂直とび)
男女とも十九歳ごろにピークに達している。十二歳時の能力は、ピーク時に対し、男子は七一%となっており、十二歳以後ピークに達するまでの約七年間の向上傾向が顕著である。女子は十二歳時の能力が、ピーク時の九〇%となっており、女子の早熟傾向がうかがわれる。
ピーク時以後は、男女とも緩やかな低下傾向を示し、二十九歳時の能力は、ピーク時に対し、男子が九二%、女子が九一%となっている。
また、すべての年齢段階で男子が女子よりも優れており、その性差はピーク時まで加齢に伴い増大し、ピーク時以後は、男女ともほぼ同様に緩やかに低下している。
ウ 筋 力(背筋力、握力)
筋力は、体力の他の要素に比べピークに達する時期が遅く、ピーク時以後は、極めて緩やかな低下傾向を示している。
背筋力は、男子では十六歳ごろまで急激な向上傾向を示し、二十一〜二十四歳ごろにピークレベルに達している。女子は十三歳ごろまで顕著な向上を示し、十九歳ごろにピークに達している。十二歳時の能力は、ピーク時に対し、男子が五六%、女子が七二%となっており、男子に比べて女子が早熟であることがうかがわれる。男女ともピーク時以後は緩やかな低下傾向を示し、二十九歳時の能力は、ピーク時に対し、男子が九八%、女子が九七%となっている。
握力は、男女とも十六歳ごろまで急激な向上傾向を示し、二十歳代でも緩やかな向上傾向がうかがえる(壮年体力テストの結果をみると、男性が三十一歳ごろに、女性が三十六歳ごろにピークに達している。)。十二歳時の能力は、ピーク時に対し、男子が五一%、女子が七三%となっている。
筋力(背筋力、握力)は、すべての年齢段階で男子が女子より優れており、ピークに到達するまでの向上傾向は男子の方が女子より急激である。
エ 柔軟性(伏臥上体そらし、立位体前屈)
伏臥上体そらしは、男子が十七歳ごろに、女子が十八歳ごろにピークに達し、ピーク時以前は男女とも急激な向上傾向を示している。十二歳時の能力は、ピーク時に対し、男子が八六%、女子が九三%となっている。ピーク時以後は、緩やかな低下傾向を示し、二十九歳時の能力は、ピーク時に対し、男子が九〇%、女子が九五%となっている。
立位体前屈は、男子が十九歳ごろに、女子が二十歳ごろにピークに達している。十二歳時の能力は、ピーク時に対し、男子が五五%、女子が七四%となっており、ピークに到達するまでの向上傾向は、男子の方が女子より急激である。ピーク時以後は、男子は緩やかな低下傾向を示しているのに対し、女子はピークレベルをほぼ維持し、二十九歳時の能力は、ピーク時に対し、男子が九四%、女子が九八%となっている。
また、すべての年齢段階で、女子が男子より優れている。
オ 持久性(踏み台昇降運動)
男女とも十三歳ごろにピークに達しており、他の体力要素に比べてピークに到達する年齢が早い。男女とも十七〜十八歳ごろに比較的急激な低下がみられるが、その後は緩やかな低下傾向を示している。二十九歳時の能力は、ピーク時に対し、男子が八二%、女子が八六%となっている。
以上のように、体力要素の多くが、男女とも十七〜二十歳ごろにピークに達しているが、筋力は比較的遅い時期に、持久性は男女とも比較的早い時期にそれぞれピークに達する傾向がうかがえる。
(二) 青少年の運動能力(第5図、第6図参照)
第5図、第6図は、男女それぞれの運動能力テスト合計点の加齢に伴う変化を示したものである。
男子は、十七歳ごろまでに急激に向上し、その後も緩やかに向上を続け、二十一歳ごろにピークレベルに達している。十二歳時の運動能力は、ピーク時の三三%となっており、十二歳から十七歳ごろまでの向上が極めて顕著であることがうかがえる。ピーク時以後は、緩やかな低下傾向を示し、二十九歳時の運動能力は、ピーク時の八九%となっている。
女子は、十四歳ごろにピーク時に近い値を示し、その後向上傾向が停滞するものの、二十一歳ごろにピークに達している。十二歳時の運動能力は、ピーク時の八六%となっている。ピーク時以後は、緩やかな低下傾向を示し、二十九歳時の運動能力は、ピーク時の八九%となっている。
以上のように、運動能力の加齢に伴う発達傾向は、男女の間に大きな差異がみられ、女子の早熟性をうかがわせるものとなっている。
【運動能力の要素別にみた、加齢に伴う変化の傾向】
ア 走 力(五十メートル走)
男子は、十四歳ごろまで顕著な向上を示し、十九歳ごろにピークに達し、その後二十四歳ごろまでピークレベルを維持し続けている。十二歳時の能力は、ピーク時の八六%となっている。二十九歳時の能力は、ピーク時の九七%となっている。
女子は、十四歳ごろにピークに達し、その後向上傾向が停滞するものの、二十一〜二十二歳ごろに再度ピークレベルに達している。十二歳時の能力は、ピーク時の九七%となっており、ほとんどピークレベルに近く、女子の早熟性がうかがえる。ピーク時以後は、緩やかな低下傾向を示し、二十九歳時の能力は、ピーク時の九六%となっている。
すべての年齢段階で、男子が女子より優れている。
イ 跳 力(走り幅とび)
男子は、十四歳ごろまで急激に向上し、その後緩やかに向上を続け、二十一歳ごろにピークに達している。十二歳時の能力は、ピーク時の七四%となっている。ピーク時以後は、緩やかに低下し、二十九歳時の能力は、ピーク時の九七%となっている。
女子は、十四歳ごろまで男子ほど顕著ではないが急激な向上傾向を示し、その後わずかな低下がみられるが、再び緩やかな向上傾向が現れ、二十二歳ごろにピークに達している。十二歳時の能力は、ピーク時の八八%となっている。ピーク時以後は、緩やかな低下傾向を示し、二十九歳時の能力は、ピーク時の九六%となっている。
すべての年齢段階で、男子が女子より優れており、加齢に伴い性差は増大していく傾向がうかがえる。
ウ 投 力(ハンドボール投げ)
男子は、十四歳ごろまで比較的急激な向上を示し、その後緩やかな向上傾向を続け、二十一〜二十四歳ごろにピークに達している。十二歳時の能力は、ピーク時の六三%となっている。ピーク時以後は、緩やかな低下傾向を示し、二十九歳時の能力は、ピーク時の九七%となっている。
女子は、緩やかな向上傾向を続け、二十一歳ごろにピークに達している。十二歳時の能力は、ピーク時の七三%、二十九歳時の能力は、ピーク時の九六%となっている。
すべての年齢段階で、男子が女子より優れている。
エ 筋持久力(男子:懸垂腕屈伸、女子:斜懸垂腕屈伸)
男子は、十四歳ごろまで顕著な向上を示し、その後緩やかな向上傾向を続け、二十三〜二十五歳ごろにピークに達している。十二歳時の能力は、ピーク時の三七%となっている。ピーク時以後は、緩やかな低下傾向を示し、二十九歳時の能力は、ピーク時の九一%となっている。
女子は、十三歳ごろにピークレベルに達し、その後緩やかな低下傾向を示し、十六歳以後再び向上傾向がみられ、十七歳ごろにピークに達している。十二歳時の能力は、ピーク時の九八%となっている。二十九歳時の能力は、ピーク時の八九%となっている。
このように、筋持久力の加齢に伴う変化は、男女で大きな違いがみられる。
オ 持久力(男子:千五百メートル走、女子:千メートル走)
男子は、十四歳ごろまで比較的急激に向上し、二十一〜二十四歳ごろにピークに達している。十二歳時の能力は、ピーク時の九〇%となっている。その後は、ピーク時の能力をほぼ維持し、二十九歳時の能力は、ピーク時の九七%となっている。
女子は、十三〜十四歳ごろすでにピークに達しており、その後緩やかな低下傾向がみられ、二十九歳時の能力は、ピーク時の八八%になっている。
このように、持久力も加齢に伴う変化は、男女で大きな違いがみられる。
以上のように、運動能力要素別の加齢に伴う変化をみると、要素によって差異はあるが、男子は、十六〜十七歳ごろまで比較的急激な向上傾向がみられ、その後も緩やかな向上を続け、十九〜二十四歳ごろにピークに達し、その後しばらくそのレベルを維持している。ピーク時以後は、緩やかな低下傾向がみられ、二十九歳時の運動能力は、ピーク時に対し、すべての要素で、九〇%以上となっており、ピークレベル到達以後の低下傾向が緩やかである。
女子は、十二歳時にはほとんどの運動能力要素がピーク時の八〇%以上まで発達しており、早熟性を示している。要素別にみると、跳・投の運動能力が十四歳ごろまで顕著な向上傾向を示し、その後向上傾向は鈍化するものの二十歳代前半ごろにピークに達し、その後低下傾向を示している。筋持久力と持久力は他の要素より早くピークレベルに達しており、ピーク時以後は、緩やかな低下傾向を示している。このように、女子は男子に比べて、各運動能力要素がそれぞれ独自の変化傾向を示している。
四 壮年(三十〜五十九歳)の体力(第7図〜第9図参照)
第7図は男性、第8図は女性の壮年体力テスト合計点の加齢に伴う変化をそれぞれ示したものであり、男女とも加齢に伴う体力の低下傾向がはっきりとみられる。
三十〜三十四歳時の壮年体力テスト合計点を一〇〇とすると、五十五〜五十九歳時は、男性で五六%、女性で六一%となっている。
体力の要素別の加齢に伴う変化をみると、第9図に示すように、持久力(急歩)は、五十五〜五十九歳では、男性が三十〜三十四歳時の九三%、女性が九二%であり、比較的緩やかな低下傾向を示すが、瞬発力(垂直とび)は、男性が七四%、女性が七三%であり、低下傾向が持久力に比べて急激である。
また、敏しょう性(反復横とび)、調整力(ジグザグドリブル)は瞬発力とほぼ同様の低下傾向を示し、筋力(握力)は五十五〜五十九歳では、男性が三十〜三十四歳時の八七%、女性が八八%となっており、瞬発力よりやや緩やかな低下傾向を示している。
このように、各体力要素の低下傾向には差異がみられ、四十歳以後は、ほとんどの要素で低下傾向が加速されることがうかがえる。
五 運動・スポ−ツの実施状況別体力・運動能力の比較
(一) 青少年の体力(第10図、第11図参照)
第10図は、青少年男子の体力診断テスト合計点の加齢に伴う変化を運動・スポーツの実施状況別、学校・年齢段階別に示したものである。
小学生、中学生、全日制課程の高校生では、運動・スポーツの実施状況のいかんにかかわらず、加齢に伴う向上傾向がうかがえる。また、運動・スポーツを「ほとんど毎日」行う群の体力は、「ときどき」、「ときたま」、「しない」の三群よりも優れている。
高等専門学校生では、「ときどき」群と「ときたま」群を除き、加齢に伴う体力の向上傾向がみられるが、大学生と勤労青少年ではほとんどの群で加齢に伴う体力の向上はみられない。また、いずれも「ほとんど毎日」の群が、他の三群より優れている。
第11図は、同様に青少年女子について示したものである。
小学生、中学生、全日制課程の高校生では、男子と同じ傾向がうかがえる。短期大学生では、「ほとんど毎日」の群でのみ、加齢に伴う体力の向上傾向がみられるが、勤労青少年では、ほとんどの群で加齢に伴う体力の向上傾向はみられない。
また、「ほとんど毎日」の群は、他の三群より優れている。これらのことから、運動・スポーツの実施状況の与える影響が大きいことがうかがえる。
なお、男女とも全日制課程の高校生の体力は、同年齢の定時制課程の高校生に比べて優れている。
(二) 青少年の運動能力(第12図、第13図参照)
第12図は、青少年男子の運動能力テスト合計点の加齢に伴う変化を運動・スポーツの実施状況別、学校・年齢段階別に示したものである。
小学生、中学生、高校生、大学生では、運動・スポーツの実施状況のいかんにかかわらず、加齢に伴う運動能力の向上傾向がうかがえる。
勤労青少年では、「ほとんど毎日」の群で停滞傾向がうかがえるが、他の三群では低下傾向を示している。
また、ほとんどすべての学校・年齢段階において運動の実施頻度が高いほど優れている。
第13図は、同様に青少年女子について示したものである。
小学生、中学生では、運動・スポーツの実施状況のいかんにかかわらず、加齢に伴う運動能力の向上傾向がうかがえる。しかし、全日制課程の高校生では、「ほとんど毎日」、「ときどき」の二群で向上傾向がうかがえるが、他の二群では停滞傾向を示している。
短期大学生では、「ほとんど毎日」の群でのみ、大学生では、すべての群で加齢に伴う向上傾向がうかがえる。勤労青少年では、すべての群で、向上傾向はうかがえない。また、ほぼすべての学校・年齢段階で「ほとんど毎日」の群が他の三群より優れている。
なお、男女とも全日制課程の高校生の運動能力は、同年齢の定時制課程の高校生に比べて優れている。
(三) 壮年の体力(第14図、第15図参照)
第14図、第15図は、それぞれ男性・女性の壮年体力テスト合計点の加齢に伴う変化を運動・スポーツの実施状況別に示したものである。
男女とも、いずれの群も加齢に伴う低下傾向がみられ、すべての年齢段階で、運動・スポーツの実施状況の多い順に体力が優れている。
六 体力・運動能力の年次推移(第16図〜第21図参照)
体力診断テスト・運動能力テストの合計点の年次推移をグラフに示すと、第16図〜第21図のようになる。
体力・運動能力ともに、調査開始年度から昭和五十年度ごろまでの向上傾向は顕著である。その後、昭和六十年度ごろまでは停滞傾向が続き、それ以後は、程度の差はあるが、ほとんどの年齢段階で体力、運動能力ともに低下傾向を示している。
また、壮年の体力についてみると、年齢段階によって差異があるが、男女ともに、昭和五十九年度ごろまでは緩やかな向上傾向を示しているが、それ以後は、四十歳男性に緩やかな向上傾向がうかがえるものの、男女のほとんどの年齢段階で停滞かわずかな低下傾向がうかがえる。
◇ ◇ ◇
◇ ◇ ◇
(1) 売上高(第1表参照)
売上高は、三百五兆四千四百二十九億円であり、前年同期(三百二十一兆五千九百八十六億円)を十六兆一千五百五十七億円下回った。増加率は△五・〇%(前期△六・八%)と、四期連続の減収となった。
業種別にみると、製造業の売上高は九十一兆九千六百三十五億円で、増加率は△六・三%(同△七・一%)となった。また、非製造業の売上高は二百十三兆四千七百九十四億円で、増加率は△四・五%(同△六・七%)となった。
製造業では、「電気機械」「輸送用機械」等多くの業種で減収となった。一方、非製造業では、「卸・小売業」「運輸・通信業」等多くの業種で減収となった。
資本金階層別にみると、資本金十億円以上の階層は百十七兆六千九百三億円で、増加率は△五・四%(同△二・二%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は四十八兆九千百三十八億円で、増加率は△一・四%(同△六・四%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は百三十八兆八千三百八十七億円で、増加率は△五・九%(同△一一・四%)となった。
(2) 営業利益(第2表参照)
営業利益は、六兆五千四百十六億円であり、増加率は△三四・二%(前期△二三・九%)と、三期連続の減益となった。
業種別にみると、製造業の営業利益は二兆五千百九十四億円で、増加率は△三七・七%(同△二二・五%)となった。また、非製造業の営業利益は、四兆二百二十二億円で、増加率は△三一・九%(同△二四・八%)となった。
資本金階層別にみると、資本金十億円以上の階層は三兆一千九百三十億円で、増加率は△三〇・六%(同△一九・七%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は四千四百八十八億円で、増加率は△三八・一%(同△二五・三%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は二兆八千九百九十八億円で、増加率は△三七・三%(同△二七・六%)となった。
(3) 経常利益(第3表参照)
経常利益は、五兆九千二百六十三億円であり、前年同期(八兆九千九百三十九億円)を三兆六百七十六億円下回り、増加率は△三四・一%(前期△二五・四%)と、三期連続の減益となった。
業種別にみると、製造業の経常利益は二兆六千七百四十三億円、増加率は△三二・五%(同△二二・一%)となった。また、非製造業の経常利益は三兆二千五百十九億円で、増加率は△三五・四%(同△二七・七%)となった。
製造業では、「食料品」等が増益となったものの、「輸送用機械」「電気機械」等で減益となった。一方、非製造業では、「電気業」等が増益となったものの、「卸・小売業」「サービス業」等が減益となった。
資本金階層別にみると、資本金十億円以上の階層は二兆七千二百九十三億円で、増加率は△三〇・二%(同△二二・〇%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は三千七百二十三億円で、増加率は△四〇・七%(同△二二・〇%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は二兆八千二百四十八億円で、増加率は△三六・六%(同△二九・〇%)となった。
(4) 利益率(第4表参照)
売上高経常利益率は一・九%で、前年同期(二・八%)を〇・九ポイント下回った。
業種別にみると、製造業は二・九%で、前年同期(四・〇%)を一・一ポイント下回り、非製造業は一・五%で、前年同期(二・三%)を〇・八ポイント下回った。
資本金階層別にみると、資本金十億円以上の階層は二・三%(前年同期三・一%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は〇・八%(同一・三%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は二・〇%(同三・〇%)となった。
二 投資の動向(第3図参照)
(1) 設備投資(第5表参照)
設備投資額は、十兆二千百四十億円であり、増加率は△一〇・六%(前期△五・八%)と、二期連続の減少となった。
業種別にみると、製造業の設備投資額は三兆八千六百二十六億円で、増加率は七・九%(同四・八%)の増加となった。一方、非製造業の設備投資額は六兆三千五百十四億円で、増加率は△一九・〇%(同△一〇・八%)となった。
製造業では、「輸送用機械」「電気機械」等の業種で増加となった。一方、非製造業では、「運輸・通信業」「サービス業」等多くの業種で減少となった。
設備投資額を資本金階層別にみると、資本金十億円以上の階層は六兆三千八百三十八億円、増加率は△一・三%(同〇・九%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は一兆六千百二十八億円、増加率は△四・五%(同△九・九%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は二兆二千百七十四億円で、増加率は△三二・一%(同△二一・四%)となった。
(2) 在庫投資(第6表参照)
在庫投資額(期末棚卸資産から期首棚卸資産を控除した額)は、二兆八千十四億円であり、前年同期(五兆八千七百六十一億円)を三兆七百四十七億円下回った。
在庫投資額を業種別にみると、製造業の投資額は二兆四百九十六億円で、前年同期(二兆六千四十七億円)を五千五百五十一億円下回った。一方、非製造業の投資額は七千五百十八億円で、前年同期(三兆二千七百十四億円)を二兆五千百九十六億円下回った。
在庫投資額を種類別にみると、製品・商品が△三千五十一億円(前年同期一兆八千九百七十九億円)、仕掛品が三兆一千六十六億円(同四兆六百三十億円)、原材料・貯蔵品が△一億円(同△八百四十八億円)となった。
また、在庫率は一一・五%であり、前期(九・三%)を二・二ポイント上回り、前年同期(一一・一%)を〇・四ポイント上回った。
在庫率は、季節的要因により変動(四〜六、十〜十二月期は上昇する期)する傾向がみられる。
三 資金事情(第7表参照)
受取手形・売掛金は二百十四兆八千三百四十四億円で、増加率は△三・七%(前期△八・二%)、支払手形・買掛金は百七十七兆六百四十八億円で、増加率は△八・六%(同△七・三%)となった。
借入金をみると、短期借入金は二百十九兆二千二百三十三億円で、増加率は△二・八%(同五・二%)、長期借入金は二百八十七兆一千七十五億円で、増加率は五・〇%(同△〇・二%)となった。
現金・預金は百二十兆二千九百九十七億円で、増加率は一・四%(同四・三%)、有価証券は三十九兆八百四十億円で、増加率は△六・八%(同△三・六%)となった。
また、手元流動性は一三・二%であり、前期(一一・二%)を二・〇ポイント上回り、前年同期(一二・七%)を〇・五ポイント上回った。
四 自己資本比率(第8表参照)
自己資本比率は二二・五%で、前年同期(二一・二%)を一・三ポイント上回った。
自己資本比率を資本金階層別にみると、資本金十億円以上の階層は二九・四%で、前年同期(二九・一%)を〇・三ポイント上回り、資本金一億円以上十億円未満の階層は一六・〇%で、前年同期(一五・〇%)を一・〇ポイント上回り、また、資本金一千万円以上一億円未満の階層は一六・七%で、前年同期(一四・二%)を二・五ポイント上回った。
なお、次回の調査は平成十年七〜九月期について実施し、法人からの調査票の提出期限は平成十年十一月十日、結果の公表は平成十年十二月中旬の予定である。
我が国経済
需要面をみると、個人消費は低調である。これは、収入が減少していることに加え、消費者の財布のひもが依然として固いからである。住宅建設は、マンションの不振もあって低水準が続いている。設備投資は、大幅に減少している。特に中小企業の減少が著しい。公共投資は、前倒し執行や十年度第一次補正予算の効果が現れてきた。
産業面をみると、鉱工業生産は、減少傾向が緩やかになってきたが、最終需要が低調なために、低い水準にある。在庫は前年を下回る水準にまで減少してきた。しかし、在庫率が依然高水準であり過剰感は強い。企業収益は、全体として減少している。また、企業の業況判断は、中小企業を中心に厳しさが増している。
雇用情勢は、依然として厳しい。雇用者数が減少し、勤め先や事業の都合による失業者が増加して、完全失業率はこれまでの最高水準で推移している。
輸出は、アジア向けが減少しているものの、欧米向けなどが好調なため、全体としては横ばい状態となっている。輸入は、減少テンポが弱まり、おおむね横ばい状態となっている。国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、緩やかに増加している。対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、十月は、月初の百三十六円台から百十五円台まで大幅に上昇し、その後は百十四円台から百十九円台で推移した。
物価の動向をみると、国内卸売物価は、内外の需給の緩み等から、弱含みで推移している。また、消費者物価は、基調として安定している。
最近の金融情勢をみると、短期金利は、十月はおおむね横ばいで推移した。長期金利は、十月はおおむね横ばいで推移した。株式相場は、十月は一進一退で推移した。マネーサプライ(M2+CD)は、九月は前年同月比三・九%増となった。また、民間金融機関の貸出が低調なことから、企業は貸出態度に対する懸念を高めており、手元流動性確保に向けての動きを強めている。
海外経済
主要国の経済動向をみると、アメリカでは、景気は拡大しているものの、先行きに対する不透明感がみられる。実質GDPは、四〜六月期前期比年率一・八%増の後、七〜九月期は同三・三%増(暫定値)となった。個人消費、設備投資、住宅投資は増加している。鉱工業生産(総合)は鈍化している。雇用は拡大している。物価は安定している。財の貿易収支赤字(国際収支ベース)は、拡大している。連邦準備制度理事会(FRB)は、十月十五日に公定歩合を〇・二五%引き下げ四・七五%に、またフェデラル・ファンド・レートの誘導目標水準を〇・二五%引き下げ五・〇〇%にする金融政策の変更を発表した。十月の長期金利(三十年物国債)は、総じてやや上昇した。株価(ダウ平均)は、総じて上昇した。
西ヨーロッパをみると、ドイツ、フランスでは、景気は拡大している。イギリスでは、景気拡大のテンポは緩やかになっている。鉱工業生産は、ドイツ、フランスでは拡大しており、イギリスでは鈍化している。失業率は、ドイツ、フランスでは高水準ながらもやや低下している。イギリスでは低水準で推移している。物価は、ドイツ、フランスでは安定しており、イギリスでは一時の騰勢は鈍化してきている。なお、イングランド銀行は、十月八日に二年四か月ぶりに政策金利(レポ金利)を〇・二五%引き下げ、七・二五%とした。
東アジアをみると、中国では、景気の拡大テンポは鈍化している。物価は、下落している。貿易収支は、輸入の不振から大幅な黒字である。韓国では、景気は後退している。失業率は上昇している。物価は、騰勢は鈍化している。貿易収支は、輸入減少により大幅な黒字が続いている。
国際金融市場の十月の動きをみると、米ドル(実効相場)は、月上旬に大幅減価した後、月後半以降はやや増価した(モルガン銀行発表の米ドル名目実効相場指数(一九九〇年=一〇〇)十月三十日一〇六・二、九月末比四・二%の減価)。内訳をみると、十月三十日現在、対円では九月末比一五・〇%減価、対マルクでは同〇・九%減価した。
国際商品市況の十月の動きをみると、上旬から中旬にかけて強含んだが、その後はやや弱含みに推移した。原油スポット価格(北海ブレント)は、産油国石油相による会合で追加減産合意がなされなかったことなどから、月を通じておおむね弱含みで推移した。
我が国経済の最近の動向をみると、個人消費は低調である。これは、収入が減少していることに加え、消費者の財布のひもが依然として固いからである。住宅建設は、マンションの不振もあって低水準が続いている。設備投資は、大幅に減少している。特に中小企業の減少が著しい。公共投資は、前倒し執行や十年度第一次補正予算の効果が現れてきた。
輸出は、アジア向けが減少しているものの、欧米向けなどが好調なため、全体としては横ばい状態となっている。
生産は、減少傾向が緩やかになってきたが、最終需要が低調なために、低い水準にある。在庫は前年を下回る水準にまで減少してきた。しかし、在庫率が依然高水準であり過剰感は強い。
雇用情勢は、依然として厳しい。雇用者数が減少し、勤め先や事業の都合による失業者が増加して、完全失業率はこれまでの最高水準で推移している。
また、民間金融機関の貸出が低調なことから、企業は貸出態度に対する懸念を高めており、手元流動性確保に向けての動きを強めている。
こうしたなか、海外の景気減速などについての懸念があることや為替レートが大きく動いたこともあって、経済の先行きに対する不透明感が依然強い。
以上のように、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。
このような厳しい経済状況の下、十月には、金融機能再生法、金融機能早期健全化法を「車の両輪」とする新たな法的枠組みが整えられた。また、経済戦略会議は、「短期経済政策への緊急提言」を発表した。
政府は十一月中旬までに緊急経済対策を策定し、それを受けて第三次補正予算を編成する。
1 国内需要
―設備投資は、大幅に減少―
個人消費は、低調である。これは、収入が減少していることに加え、消費者の財布のひもが依然として固いからである。
家計調査でみると、実質消費支出(全世帯)は前年同月比で八月二・四%減の後、九月は一・五%減(前月比〇・八%増)となった。世帯別の動きをみると、勤労者世帯で前年同月比一・一%減、勤労者以外の世帯では同一・七%減となった。形態別にみると、耐久財は増加、サービス等は減少となった。なお、消費水準指数は全世帯で前年同月比一・〇%減、勤労者世帯では同〇・七%減となった。また、農家世帯(農業経営統計調査)の実質現金消費支出は前年同月比で八月三・一%減となった。小売売上面からみると、小売業販売額は前年同月比で八月四・二%減の後、九月は三・九%減(前月比〇・一%増)となった。全国百貨店販売額(店舗調整済)は前年同月比で八月四・三%減の後、九月五・三%減となった。チェーンストア売上高(店舗調整後)は、前年同月比で八月三・七%減の後、九月二・三%減となった。一方、耐久消費財の販売をみると、乗用車(軽を除く)新車新規登録台数は、前年同月比で十月は一四・〇%減となった。また、家電小売金額(日本電気大型店協会)は、前年同月比で九月は一〇・六%増となった。レジャー面を大手旅行業者十三社取扱金額でみると、九月は前年同月比で国内旅行が六・三%減、海外旅行は六・二%減となった。
当庁「消費動向調査」(九月調査)によると、消費者態度指数は、六月に前期差二・一ポイント低下の後、九月には同一・二ポイントの低下となった。
賃金の動向を毎月勤労統計でみると、現金給与総額は、事業所規模五人以上では前年同月比で八月二・四%減の後、九月(速報)は〇・七%減(事業所規模三十人以上では同〇・四%減)となり、うち所定外給与は、九月(速報)は同八・九%減(事業所規模三十人以上では同八・四%減)となった。実質賃金は、前年同月比で八月一・九%減の後、九月(速報)は〇・五%減(事業所規模三十人以上では同〇・〇%)となった。なお、平成十年夏季賞与は、事業所規模五人以上では前年比二・一%減(前年は同一・五%増)となった。
住宅建設は、マンションの不振もあって低水準が続いている。
新設住宅着工をみると、総戸数(季節調整値)は、前月比で八月七・二%増(前年同月比一一・四%減)となった後、九月は三・二%減(前年同月比一四・〇%減)の九万五千戸(年率百十四万戸)となった。九月の着工床面積(季節調整値)は、前月比三・九%減(前年同月比一一・五%減)となった。九月の戸数の動きを利用関係別にみると、持家は前月比一・二%減(前年同月比〇・一%増)、貸家は同二・〇%減(同一六・五%減)、分譲住宅は同一一・六%減(同二三・一%減)となっている。
設備投資は、大幅に減少している。特に中小企業の減少が著しい。
日本銀行「企業短期経済観測調査」(九月調査)により設備投資の動向をみると、主要企業の十年度設備投資計画は、製造業で前年度比四・八%減(六月調査比二・三%下方修正)、非製造業で同一・〇%減(同〇・五%下方修正)となっており、全産業では同二・三%減(同一・一%下方修正)となった。また、中堅企業では、製造業で前年度比一〇・四%減(六月調査比二・三%下方修正)、非製造業で同一二・七%減(同〇・三%上方修正)となり、中小企業では製造業で同一七・一%減(同三・一%上方修正)、非製造業で同一六・五%減(同四・一%上方修正)となっている。
なお、十年四〜六月期の設備投資を、大蔵省「法人企業統計季報」(全産業)でみると前年同期比で一〇・六%減(うち製造業七・九%増、非製造業一九・〇%減)となった。
先行指標の動きをみると、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比で七月は三・七%減(前年同月比二四・一%減)の後、八月は三・五%減(同二五・〇%減)となり、基調は減少傾向となっている。
民間からの建設工事受注額(五十社、非住宅)をみると、九月は前月比一八・七%増(前年同月比一五・八%減)となったが、このところ弱い動きとなっている。内訳をみると、製造業は前月比二九・七%増(前年同月比二四・四%減)、非製造業は同一三・二%増(同一三・五%減)となった。
公的需要関連指標をみると、公共投資は、前倒し執行や十年度第一次補正予算の効果が現れてきた。
公共工事着工総工事費は、前年同月比で七月六・一%減の後、八月は一・二%減となった。公共工事請負金額は、前年同月比で八月三・五%増の後、九月は二三・八%増となった。官公庁からの建設工事受注額(五十社)は、前年同月比で八月一四・七%減の後、九月は一九・五%増となった。
2 生産雇用
―依然として厳しい雇用情勢―
鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産・出荷は、減少傾向が緩やかになってきたが、最終需要が低調なために、低い水準にある。在庫は前年を下回る水準にまで減少してきた。しかし、在庫率が依然高水準であり過剰感は強い。
鉱工業生産は、前月比で八月一・三%減の後、九月(速報)は、化学、繊維等が減少したものの、電気機械、輸送機械等が増加したことから、二・五%増となった。また製造工業生産予測指数は、前月比で十月は機械、鉄鋼等により一・一%減の後、十一月は機械、鉄鋼等により〇・三%減となっている。鉱工業出荷は、前月比で八月一・三%減の後、九月(速報)は、生産財、資本財等が増加したことから、三・二%増となった。鉱工業生産者製品在庫は、前月比で八月〇・三%減の後、九月(速報)は、精密機械が増加したものの、化学、鉄鋼等が減少したことから、一・二%減となった。また、九月(速報)の鉱工業生産者製品在庫率指数は一一一・八と前月を三・〇ポイント下回った。
主な業種について最近の動きをみると、電気機械では、生産は九月は増加し、在庫は二か月連続で減少した。輸送機械では、生産は九月は増加し、在庫は三か月連続で減少した。化学では、生産は二か月連続で減少し、在庫は四か月連続で減少した。
農業生産の動向をみると、平成十年産水稲の全国作況指数(十月十五日現在)は、九八の「やや不良」となっている。
雇用情勢は、依然として厳しい。雇用者数が減少し、勤め先や事業の都合による失業者が増加して、完全失業率はこれまでの最高水準で推移している。
労働力需給をみると、有効求人倍率(季節調整値)は、八月〇・五〇倍の後、九月〇・四九倍となった。新規求人倍率(季節調整値)は、八月〇・八八倍の後、九月〇・八五倍となった。雇用者数は、減少している。総務庁「労働力調査」による雇用者数は、九月は前年同月比〇・七%減(前年同月差三十五万人減)となった。常用雇用(事業所規模五人以上)は、八月前年同月比〇・一%減(季節調整済前月比〇・〇%)の後、九月(速報)は同〇・三%減(同〇・〇%)となり(事業所規模三十人以上では前年同月比〇・六%減)、産業別には製造業では同一・八%減となった。九月の完全失業者数(季節調整値)は、前月差三万人減の二百九十二万人、完全失業率(同)は、八月四・三%の後、九月四・三%となった。所定外労働時間(製造業)は、事業所規模五人以上では八月前年同月比一六・五%減(季節調整済前月比一・二%増)の後、九月(速報)は同一七・〇%減(同一・九%減)となっている(事業所規模三十人以上では前年同月比一七・〇%減)。
企業の動向をみると、企業収益は、全体として減少している。また、企業の業況判断は、中小企業を中心に厳しさが増している。
前記「企業短期経済観測調査」(九月調査)によると、主要企業(全産業)では、十年度上期の経常利益は前年同期比二七・九%の減益(除く電力・ガスでは同二八・三%の減益)の後、十年度下期には同八・九%の増益(除く電力・ガスでは同一一・三%の減益)が見込まれている。産業別にみると、製造業では十年度上期に前年同期比三二・六%の減益の後、十年度下期には同一三・〇%の増益が見込まれている。また、非製造業(除く電力・ガス)では十年度上期に前年同期比一八・八%の減益の後、十年度下期には同七・九%の増益が見込まれている。売上高経常利益率は、製造業では十年度上期に二・九二%になった後、十年度下期は三・九六%と見込まれている。また、非製造業(除く電力・ガス)では十年度上期に一・四〇%となった後、十年度下期は一・五二%と見込まれている。こうしたなかで、企業の業況判断をみると、製造業、非製造業ともに「悪い」超幅が拡大した。
また、中小企業の動向を中小企業金融公庫「中小企業動向調査」(九月調査、季節調整値)でみると、売上げD.I.(「増加」−「減少」)は、十年七〜九月期は「減少」超幅が拡大し、純益率D.I.(「上昇」−「低下」)は、「低下」超幅が縮小した。業況判断D.I.(「好転」−「悪化」)は、十年七〜九月期は前期と同水準で推移した。
企業倒産の状況をみると、件数は、高い水準で推移している。
銀行取引停止処分者件数は、九月は一千九十一件で前年同月比一五・七%増となった。業種別に件数の前年同月比をみると、製造業で三七・八%、サービス業で三〇・四%の増加となった。
3 国際収支
―貿易・サービス収支の黒字は、緩やかに増加―
輸出は、アジア向けが減少しているものの、欧米向けなどが好調なため、全体としては横ばい状態となっている。
通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で八月三・六%減の後、九月は三・三%増(前年同月比一・〇%減)となった。最近数か月の動きを品目別(金額ベース)にみると、電気機器等が減少したが、輸送用機器等が増加した。同じく地域別にみると、アジアが減少したが、中東等が増加した。
輸入は、減少テンポが弱まり、おおむね横ばい状態となっている。
通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で八月二・九%減の後、九月三・五%増(前年同月比六・九%減)となった。この動きを品目別(金額ベース)にみると、食料品等が増加した。同じく地域別にみると、EU等が増加した。
通関収支差(季節調整値)は、八月に一兆一千四百三十六億円の黒字の後、九月は一兆二千六百三十二億円の黒字となった。
国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、緩やかに増加している。
八月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、貿易収支の黒字幅が拡大するとともに、サービス収支の赤字幅が縮小したため、その黒字幅は拡大し、九千五十四億円となった。また、経常収支(季節調整値)は、所得収支及び貿易・サービス収支の黒字幅が拡大し、経常移転収支の赤字幅が縮小したため、その黒字幅は拡大し、一兆五千七百七億円となった。投資収支(原数値)は、五千四百十三億円の赤字となり、資本収支(原数値)は、六千八十八億円の赤字となった。
十月末の外貨準備高は、前月比十九億ドル増加して二千百四十億ドルとなった。
外国為替市場における対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、十月は、月初の百三十六円台から百十五円台まで大幅に上昇し、その後は百十四円台から百十九円台で推移した。一方、対マルク相場(インターバンク十七時時点)は、十月は、月初の八十一円台から七十円台まで大幅に上昇し、その後は七十円台から七十三円台で推移した。
4 物 価
―国内卸売物価は、弱含みで推移―
国内卸売物価は、内外の需給の緩み等から、弱含みで推移している。
九月の国内卸売物価は、食料用農畜水産物(鶏卵)等が上昇した一方、非鉄金属(銅地金)等が下落したことから、前月比保合い(前年同月比二・〇%の下落)となった。輸出物価は、契約通貨ベースで下落したことに加え、円高から円ベースでは前月比四・五%の下落(前年同月比二・九%の上昇)となった。輸入物価は、契約通貨ベースで下落したことに加え、円高から円ベースでは前月比四・二%の下落(前年同月比二・二%の下落)となった。この結果、総合卸売物価は、前月比一・一%の下落(前年同月比一・五%の下落)となった。
十月上中旬の動きを前旬比でみると、国内卸売物価は上旬が保合い、中旬が〇・一%の下落、輸出物価は上旬が二・一%の下落、中旬が五・九%の下落、輸入物価は上旬が一・五%の下落、中旬が四・八%の下落、総合卸売物価は上旬が〇・四%の下落、中旬が一・三%の下落となっている。
企業向けサービス価格は、九月は前年同月比〇・六%の下落(前月比〇・二%の下落)となった。
商品市況(月末対比)は石油等は上昇したものの、非鉄等の下落により十月は下落した。十月の動きを品目別にみると、C重油等は上昇したものの、銅地金等が下落した。
消費者物価は、基調として安定している。
全国の生鮮食品を除く総合は、前年同月比で八月〇・一%の下落の後、九月は医療保険制度要因のはく落等により〇・五%の下落(前月比〇・四%の上昇)となった。なお、総合は、前年同月比で八月〇・三%の下落の後、九月は〇・二%の下落(前月比〇・八%の上昇)となった。
東京都区部の動きでみると、生鮮食品を除く総合は、前年同月比で九月〇・三%の下落の後、十月(中旬速報値)は一般食料工業製品が下落から上昇に転じたこと等により〇・二%の下落(前月比〇・一%の上昇)となった。なお、総合は、前年同月比で九月〇・一%の下落の後、十月(中旬速報値)は〇・四%の上昇(前月比〇・八%の上昇)となった。
5 金融財政
―民間金融機関の貸出が低調なことから、企業の貸出態度に対する懸念が高まり、手元流動性確保に向けての動きが強まる―
最近の金融情勢をみると、短期金利は、十月はおおむね横ばいで推移した。長期金利は、十月はおおむね横ばいで推移した。株式相場は、十月は一進一退で推移した。マネーサプライ(M2+CD)は、九月は前年同月比三・九%増となった。
短期金融市場をみると、オーバーナイトレート、二、三か月物ともに、十月はおおむね横ばいで推移した。
公社債市場をみると、国債流通利回りは、十月はおおむね横ばいで推移した。
国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、八月は短期は〇・〇一〇%ポイント低下し、長期は〇・〇七九%ポイント低下したことから、総合では前月比で〇・〇二九%ポイント低下し一・八七三%となった。
マネーサプライ(M2+CD)の月中平均残高を前年同月比でみると、九月(速報)は三・九%増となった。また、広義流動性でみると、九月(速報)は三・二%増となった。
企業金融の動向をみると、金融機関の貸出平残(全国銀行)は、九月(速報)は前年同月比二・七%減となった。十月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債が七十億円となった。また、十月の国内公募事業債の起債実績は七千九百五十億円となった。
また、民間金融機関の貸出が低調なことから、企業は貸出態度に対する懸念を高めており、手元流動性確保に向けての動きを強めている。
株式市場をみると、日経平均株価は、十月は一進一退で推移した。
6 海外経済
―アメリカ、追加利下げ―
主要国の経済動向をみると、アメリカでは、景気は拡大しているものの、先行きに対する不透明感がみられる。実質GDPは、四〜六月期前期比年率一・八%増の後、七〜九月期は同三・三%増(暫定値)となった。個人消費、住宅投資は増加している。設備投資の伸びはマイナスとなった。鉱工業生産(総合)は鈍化している。雇用は拡大している。雇用者数(非農業事業所)は八月前月差三〇・九万人増の後、九月は同六・九万人増となった。失業率は九月四・六%となった。物価は安定している。九月の消費者物価は前月比〇・〇%、生産者物価(完成財総合)は同〇・三%の上昇となった。財の貿易収支赤字(国際収支ベース)は、拡大している。連邦準備制度理事会(FRB)は、十月十五日に公定歩合を〇・二五%引き下げ四・七五%に、またフェデラル・ファンド・レートの誘導目標水準を〇・二五%引き下げ五・〇〇%にする金融政策の変更を発表した。十月の長期金利(三十年物国債)は、総じてやや上昇した。株価(ダウ平均)は、総じて上昇した。
西ヨーロッパをみると、ドイツ、フランスでは、景気は拡大している。イギリスでは、景気拡大のテンポは緩やかになっている。四〜六月期の実質GDPは、ドイツでは、四月の付加価値税引上げの影響などから、前期比年率〇・四%増、フランス同二・六%増、イギリス同二・三%増(確報値)となった。鉱工業生産は、ドイツ、フランスでは拡大しており、イギリスでは鈍化している(鉱工業生産は、ドイツ八月前月比一・〇%減、フランス七〜八月対六月比〇・三%減、イギリス八月前月比〇・四%減)。失業率は、ドイツ、フランスでは高水準ながらもやや低下している。イギリスでは低水準で推移している(九月の失業率は、ドイツ一〇・七%、フランス一一・七%、イギリス四・六%)。物価は、ドイツ、フランスでは安定しており、イギリスでは一時の騰勢は鈍化してきている(九月の消費者物価上昇率は、ドイツ前年同月比〇・八%、フランス同〇・五%、イギリス同三・二%)。なお、イングランド銀行は、十月八日に二年四か月ぶりに政策金利(レポ金利)を〇・二五%引き下げ、七・二五%とした。
東アジアをみると、中国では、景気の拡大テンポは鈍化している。物価は、下落している。貿易収支は、輸入の不振から大幅な黒字である。韓国では、景気は後退している。失業率は上昇している。物価は、騰勢は鈍化している。貿易収支は、輸入減少により大幅な黒字が続いている。
国際金融市場の十月の動きをみると、米ドル(実効相場)は、月上旬に大幅減価した後、月後半以降はやや増価した(モルガン銀行発表の米ドル名目実効相場指数(一九九〇年=一〇〇)十月三十日一〇六・二、九月末比四・二%の減価)。内訳をみると、十月三十日現在、対円では九月末比一五・〇%減価、対マルクでは同〇・九%減価した。
国際商品市況の十月の動きをみると、上旬から中旬にかけて強含んだが、その後はやや弱含みに推移した。原油スポット価格(北海ブレント)は、産油国石油相による会合で追加減産合意がなされなかったことなどから、月を通じておおむね弱含みで推移した。
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税金365日
【給与所得の源泉徴収票と給与支払報告書】
平成十年中に俸給、給料、賃金などの給与等を支払った場合には、支払者は「給与所得の源泉徴収票」を作成し、平成十一年一月三十一日までにすべての受給者に交付するとともに、一定金額以上の受給者のものを税務署に提出することになっています。
また、「給与所得の源泉徴収票」と同時に複写作成される「給与支払報告書」は、金額の多寡にかかわりなく、すべてのものを受給者の平成十一年一月一日現在の住所地の市区町村に提出することになっています。
なお、年の中途で退職した受給者の「給与所得の源泉徴収票」は、退職の日以後一か月以内に受給者に交付することになっていますから、ご注意ください。
(注) 外国人労働者が、国内に住所を有するか又は引き続いて国内に一年以上居所を有することにより居住者となる場合には、当該外国人労働者に対して給与を支払う者は、「給与所得の源泉徴収票」を作成し、必ず当該外国人労働者に交付することに注意してください。
税務署に提出する「給与所得の源泉徴収票」は、次の範囲のものです。
1 年末調整をしたもの
@ 法人の役員については、平成十年中の給与等の金額が百五十万円を超えるもの
A 弁護士や税理士などについては、平成十年中の給与等の金額が二百五十万円を超えるもの
B @及びA以外の方については、平成十年中の給与等の金額が五百万円を超えるもの
2 年末調整をしなかったもの
@ 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している場合
平成十年中に退職した方、災害により被害を受けたため給与所得に対する源泉所得税徴収の猶予を受けた方、平成十年中の主たる給与等の収入金額が二千万円を超える方については、平成十年中の給与等の金額が二百五十万円を超えるもの
ただし、法人の役員の場合には五十万円を超えるもの
A 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない場合
平成十年中の給与等の金額が五十万円を超えるもの
【報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書】
平成十年中に、次のような報酬、料金等を支払った場合には、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を作成し、税務署に提出することになっています。
@ 外交員、集金人などの報酬、料金で、同一人に対する平成十年中の支払金額の合計が五十万円を超えるもの
A バー、キャバレーのホステスなどの報酬、料金で、同一人に対する平成十年中の支払金額の合計が五十万円を超えるもの
B 広告宣伝のための賞金で、同一人に対する平成十年中の支払金額の合計が五十万円を超えるもの
C 弁護士や税理士等に対する報酬、作家や画家に対する原稿料や画料、講演料等で、同一人に対する平成十年中の支払金額の合計が五万円を超えるもの、など
【不動産の使用料等の支払調書】
平成十年中に、不動産の使用料等(不動産の賃借に伴って支払われる権利金、更新料、名義書換料等を含みます。)を支払った法人や、個人の不動産業者の方は、同一人に対する支払金額の合計が十五万円を超えるものについて、「不動産の使用料等の支払調書」を作成し、税務署に提出することになっています。
なお、支払先が法人である場合には、権利金や更新料等の支払いについてのみ支払調書を作成し提出すればよいことになっています。
【不動産等の譲受けの対価の支払調書】
平成十年中に不動産等の譲受けの対価を支払った法人や、個人の不動産業者の方は、同一人に対する支払金額の合計が百万円を超えるものについて、「不動産等の譲受けの対価の支払調書」を作成し、税務署に提出することになっています。
【不動産等の売買又は貸付のあっせん手数料の支払調書】
平成十年中に不動産等の売買又は貸付のあっせん手数料を支払った法人や、個人の不動産業者の方は、同一人に対する支払金額の合計が十五万円を超えるものについて、「不動産等の売買又は貸付のあっせん手数料の支払調書」を作成し、税務署に提出することになっています。
【支払調書について分からないときは】
支払調書の作成や提出の仕方でお分かりにならない点がありましたら、お気軽に最寄りの税務相談室や税務署にお尋ねください。
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