官報資料版 平成16年3月31日




                  ▽消防白書のあらまし……………………………………………………………消 防 庁

                  ▽家計収支(十一月)……………………………………………………………総 務 省

                  ▽平成十五年平均消費者物価指数の動向―東京都区部(速報値)―………総 務 省

                  ▽消費者物価指数の動向(一月)………………………………………………総 務 省











消防白書のあらまし


消 防 庁


 消防庁は、平成十五年十二月十六日の閣議に「平成十五年版消防白書」を報告し、公表した。
 「消防白書」は、火災、その他の災害の実態、消防防災行政の現状と課題等について、国民に広く周知することを目的として、昭和三十年十一月に「わが国の火災の実態と消防の現状」として作成したことに始まり、毎年、閣議に報告し、公表している。

<特 集> 消防組織法・消防法の改正と新たな消防行政の展開

 「消防組織法及び消防法の一部を改正する法律」が、本年六月に成立し、一部は既に施行されている。特集では、今回の改正事項に関する要点を概説した上で、今後の体制整備や現場における運用上の課題をはじめとして、地方公共団体や消防関係者に期待される役割、新制度による社会的な効果などを紹介している。

1 消防組織法の改正
(1) 基本的な姿勢〜市町村消防の補完の仕組み〜
 今回の改正では、市町村消防の原則を基本的に維持した上で、大規模・特殊災害対策など市町村消防のみでは、迅速・的確な対応を期することが難しい課題の生起も想定しながら、国や都道府県に責任を付与するという考え方に立っている。
(2) 大規模及び特殊災害時における全国的観点からの緊急対応体制の充実・強化
 @ 改正内容
 近年、東海地震等の切迫性やNBCテロ災害発生の危険性までが指摘されるに至っており、これらの災害に対する緊急対応を充実・強化するための新たな枠組みが導入されている。今回、緊急消防援助隊の法定化、消防庁長官による援助隊出動のための指示権の創設を行い、指示を受けた出動活動により増加し、新たに必要となる費用については、国庫負担を導入している。
 また、総務大臣が「緊急消防援助隊の編成及び施設の整備等に係る基本的な事項に関する計画」を策定し、計画に基づく施設整備については、法律上、国が補助する旨、明らかにしている。
 さらに、緊急消防援助隊の人員・施設の登録は、都道府県知事・市町村長の申請に基づき、消防庁長官が行うこととされ、登録について、地方公共団体に協力を求める手続も設けられている。
 このほか、消防救急無線のデジタル化の推進等を踏まえ、緊急消防援助隊の出動等に関する情報通信システムの整備・運用のため必要な事項について、消防庁長官が定めることとされた。
 A 今後の課題と地方公共団体に対する期待
 国は基本計画に基づき、大規模・特殊災害に的確に対処するため、都道府県及び市町村の協力を得ながら、必要な登録部隊数を確保するとともに、登録された部隊の装備及び教育訓練の充実を進めることが重要である。
 また、東海地震等に対する政府全体としての大規模地震対策推進の動きとあわせて、これらに対する具体的な緊急消防援助隊の運用計画の作成や図上訓練等を通じてその実効性を高めていくことが必要であり、さらに、NBC災害等の特殊災害に対する教育訓練の充実も不可欠である。
 都道府県には、自らの航空消防隊の緊急消防援助隊としての登録が期待されるほか、当該都道府県内の緊急消防援助隊の出動にあたっての連絡調整や応援を受ける場合の受援計画の作成が求められる。
 市町村においては、緊急消防援助隊への登録・参画が期待されるほか、日頃からその装備・教育訓練の充実を図る必要があり、また、緊急消防援助隊の部隊も大規模・特殊災害時における多くの応援部隊の受入れ等を想定した指揮能力の向上が求められる。
(3) 都道府県によるヘリコプターを使用した市町村支援の導入
 都道府県のヘリコプターを用いて消防活動をする際の責任の所在の明確化などを図る観点から、都道府県が、市町村長の要請に応じ、航空機を用いて市町村の消防を支援できる明確な根拠を設けることとした。
 消防の支援に関しては、都道府県知事・市町村長間で事前に協定を締結し、都道府県の航空消防隊が出動した場合、受援市町村の消防機関と密接な連携の下に行動することにより、支援効果を発揮することとしている。
 今回の改正を踏まえ、消防活動のなかでヘリコプターを積極的に活用する姿勢が求められ、高速道路上での事故に対する救急、ドクターヘリ的運用などの新たな展開が期待される。ヘリ救急の一層の拡大を図るため、積極的な出動を促進するとともに救急救命士等の同乗による処置内容の高度化などを講じ、救命率の向上を図る必要がある。
 また、テレビ電送システム等の普及を通じた情報収集力の強化や、林野火災等に対する空中消火のための離着陸場や採水場所の整備・確保等の災害時への備えを充実することも重要である。
(4) 自主防災組織への教育訓練機会の提供
 国及び地方公共団体の自主防災組織に対する教育訓練機会の提供を努力義務とした。消防大学校においては、自主防災組織のリーダーの教育指導方法についての調査研究等を実施するほか、インターネットによる防災・危機管理教育(防災・危機管理e−カレッジ)にも、積極的に取り組んでいる。
(5) 常備消防の設置義務制度の廃止

2 消防法の改正
(1) 消防用設備等の技術上の基準に対する性能規定の導入
 @ 性能規定の導入
 防火対象物に消防用設備等を設置し、及び維持する場合には、「消火、避難その他の消防の活動のために必要とされる性能を有するように」することを求め、今後、積極的に性能規定を導入していくための法的な整備を行った。消防用設備等に求められる性能は、初期拡大を抑制する性能、避難安全を支援する性能及び消防活動を支援する性能の三つに整理できる。政省令では、これらの性能について、消防機関が現行の技術基準と同等以上の性能を有すると判断できるものの設置を認めることができるよう措置していく予定である。改正消防法が施行される来年六月までに、建築構造、空間特性、収容可燃物の種類及び量、在館者特性等を特定しやすい共同住宅に係る消防用設備等の技術基準について、客観的検証法を確立し、その他のものについても技術的知見を蓄積した上で、順次、客観的検証法を定めていく予定である。
 A 総務大臣による認定制度の創設
 現行の技術基準と同等以上の性能を有する設備等をあらかじめすべて想定して客観的検証法を策定することは困難であるため、既定の客観的検証法では同等性の評価ができない設備等(特殊消防用設備等)を対象として、新たに総務大臣による認定制度を創設した。
 B 指定検定機関の登録検定機関への移行
 消防の用に供する機械器具等は、日常的に使用されることがない一方で、火災時に確実に作動することが求められていることから、日本消防検定協会又は指定検定機関による検定制度の対象となっている。指定検定機関については、国の関与を最小限とするという政府の基本方針を踏まえ、今回、法令等に明示された一定の要件を満たせば、行政の裁量の余地のない形で登録できる登録検定機関に移行した。さらに、登録検定機関は、検定業務に加え前述の性能評価についても、日本消防検定協会と同様に行うことができることとした。
 C 今後の課題
 消防用設備等に係る技術上の基準への性能規定の導入により期待される新技術の開発促進の実効性を高めるため、知見が十分に蓄積された特殊消防用設備等については、円滑に客観的検証法を策定することにより、消防機関が判断できるようにしていくことが必要である。
(2) 消防庁長官の自らの判断による火災原因調査
 近年、科学技術の進展による産業の高度化などに伴い、社会的影響が極めて大きい火災や、原因究明の困難な火災なども発生していることから、これらの火災の原因を一刻も早く解明し、予防・警戒体制を強化するため、これまでのように消防長等の求めに応じるだけでなく、消防庁長官自らの判断により、調査できるよう改正を行い、平成十五年九月一日より施行されている。平成十五年九月八日に発生したブリヂストン栃木工場火災に対して、初めて改正後の規定に基づき消防庁長官による火災原因調査を行い、既に三件の実績を上げている。
 一方、火災原因調査が的確に実施されるためには、体制の整備が重要であることから、現地消防機関、消防庁との役割分担に係る連携要領を作成し、その連携の円滑化を図ることとしている。また、以下の措置を講じ、消防庁と独立行政法人消防研究所の調査体制を強化することにより、調査・分析結果を活かし、より実効的な火災予防行政の推進が期待される。
 @ 調査チームの編成
 A 火災原因調査高度支援専門員・火災調査協力員の登録等
 B 火災原因調査委員会の設置
(3) 救急業務の実施義務制度の廃止

3 結語
 今回の改正事項については、それに伴う体制整備や今後の運用が重要である。新制度を最大限に活かせるよう、関係者においては、改正の意義・内容を正確に理解し、円滑・適切な施行に係る真摯な協力が期待される。

<緊急報告T> 救急救命士の処置範囲の拡大について

 救急救命士制度は、平成三年に創設され、心肺停止傷病者の救命効果の向上と救急業務の高度化に大きな成果をもたらしてきた。
 制度発足から十二年を迎え、救命率をさらに向上させるため、平成十四年四月、消防庁は、救急救命士の処置範囲の拡大等を検討する「救急救命士の業務のあり方等に関する検討会」を厚生労働省と共同で開催した。同年十二月十一日に報告がとりまとめられ、この報告書を受けて次のような取組みを行っている。
(1) 除細動
 平成十五年四月一日の救急救命士法施行規則の改正により、救急救命士は医師の具体的指示なしで、迅速に除細動を実施することが可能となった。
 消防庁としては、これに先立ち、指示なし除細動の円滑な実施に向けて、平成十五年二月に検討会で示されたカリキュラムに基づく講習会を各地で実施し、また、メディカルコントロール体制の整備、特に事後検証体制の構築を要請した。これらを踏まえ、平成十五年四月一日から各地域で指示なし除細動が実施され、迅速な除細動による救命効果の向上が図られている(第1表参照)。
(2) 気管挿管
 気管挿管については、必要な講習カリキュラム・テキストの策定が平成十五年内に行われ、各都道府県の消防学校を中心に、平成十六年早々から講習が開始される予定となっている。講習修了後、医療機関における実習を経て、平成十六年七月を目途に気管挿管が実施されることとなっている。
(3) 薬剤投与
 薬剤投与については、エピネフリンを中心とした最小限の薬剤について、ドクターカー等でその有効性等の研究・検証を実施し、平成十五年中を目途にその研究・検証の結果を得て、結論を出すこととなっている。
 結論として薬剤投与を認める場合には、薬剤投与を実施するにあたって必要なプロトコールや養成カリキュラムの策定等、必要な措置を講じ、早期実施を目指すこととなっている。
(4) メディカルコントロール体制
 救急救命士の処置範囲拡大は、メディカルコントロール体制の構築が前提とされており、現在、体制の整備・充実が推進されているところである。
○更なる救命効果向上のための救命講習の推進
 平成十四年中の救急自動車による現場到着所要平均時間は約六・三分であり、心臓停止後約三分で五〇%が死亡するといわれていることから、救急自動車到着前のバイスタンダー(現場に居合わせた人)による応急手当の実施は、救命効果向上の鍵を握っている。
 このような視点から、消防庁としては、尊い生命を救うため、救急自動車到着前にバイスタンダーによる応急手当が適切に実施されるよう、一般住民への応急手当の普及啓発と救命講習の開催を推進している。消防機関による救命講習の受講者数は平成六年中に二十五万人程度であったが、年々増加し、平成十四年中には百二万人を超えており、消防機関は応急手当普及の代表的機関となっている。
 消防庁としては、バイスタンダーによる応急手当が一人でも多くの傷病者に実施されるよう、今後とも応急手当の普及啓発と救命講習内容の充実等に積極的に取り組んでいく。

<緊急報告U> 多発する企業災害とその対応

 危険物施設等の火災・漏えい事故は、平成十二年に過去最悪となる五百十一件を記録した後、ほぼ同水準で高止まりの状態を推移しており、危険物施設等における災害の動向は、憂慮すべき事態となっている。
 こうした中、今年に入り、新日本製鐵(株)、(株)ブリヂストン、出光興産(株)など、我が国を代表する企業の危険物施設を含めた産業施設での火災事故等が続発し、大規模な被害をもたらしている。
 そこで、消防庁としては、今後の産業事故防災体制の構築に向け、以下のとおり取り組んでいるところである。
(1) 関係企業からのヒアリングの実施
 今後の産業事故防止対策の推進に活かすため、平成十五年十月に「企業災害に関する対策検討会」を開催し、一連の産業事故関係企業から、安全管理体制及び災害時の対応等についてヒアリングを実施した。
(2) 関係省庁と連携した対策の検討
 平成十五年十月に厚生労働省及び経済産業省と共同で「産業事故災害防止対策推進関係省庁連絡会議」を開催し、共通的な事故防止対策のとりまとめを平成十五年中を目途に行うこととしている。
(3) 石油コンビナート等特別防災区域における防災対策の強化
 平成十五年九月二十六日に発生した十勝沖地震では、苫小牧市内の石油精製事業所において、多数の屋外貯蔵タンクの損傷、油漏れ等の被害が発生し、さらに、浮き屋根式タンクの全面火災が発生したことにかんがみ、消防庁の「石油コンビナート等防災体制検討会」に、以下の三つの専門部会を開催し、石油コンビナート等特別防災区域における必要な安全対策について、石油コンビナート等災害防止法令や消防法令の改正も視野に入れ、平成十五年中を目途に具体的な方策等についての検討・とりまとめを行うこととしている。
 @ 特定事業所における防災資機材等検討部会
 A 屋外タンク貯蔵所における技術基準等検討部会
 B 特定事業所における防災体制・リスク管理等検討部会
(4) ごみ固形化燃料等関係施設の安全対策の検討
 平成十五年九月に「ごみ固形化燃料等関係施設の安全対策調査検討会」を開催し、消防機関におけるごみ固形化燃料等の貯蔵・取扱い情報の把握、発熱・発火防止対策及び拡大防止対策が確実に行われるよう検討を行い、平成十五年中を目途に必要な火災事故対策のとりまとめを行うこととしている。
(5) 消防職団員の消防活動における安全管理の充実強化策の検討
 平成十五年十月に「消防活動における安全管理に係る検討会」を開催し、消防活動における安全管理の充実強化策の検討を行い、平成十六年春を目途に検討策のとりまとめを行うこととしている。

◇    ◇    ◇

 消防庁としては、多発している企業の産業施設による火災事故等を防止するため、前記の検討会等における検討結果をもとに、新たに判明した危険要因に対応したハード面の対策、それぞれの施設が有する危険性に応じ、関係者が具体的に実施すべきソフト面の対策等幅広い実効性ある対策を早急にとりまとめることとしている。

<第1章> 災害の現況と課題

(1) 火災予防
 @ 平成十四年中の出火件数は六万三千六百五十一件で、前年の六万三千五百九十一件に比べ六十件増加している(第2表参照)。この十年間の火災の動向をみると、平成六年以降六万件を超えていた出火件数は、平成十年及び十一年には五万件台で推移してきたが、平成十二年以降は再び六万件を超え、増加の傾向にある。
 A 平成十四年中の出火率(人口一万人当たりの出火件数)は、前年同様、全国平均で五・〇件/万人である。これを都道府県別にみると、最高は山梨県の六・九、最も低いのは平成五年以降十年連続して富山県で二・八となっている。
 B 平成十四年中の火災による死者数は二千二百三十五人で、前年の二千百九十五人に比べ四十人増加しており、一日当たりの死者数は六・一人となっている。
 また、住宅で発生した火災による死者一千二百三十三人のうち、放火自殺者、放火自殺の巻き添え及び放火殺人による死者を除く失火等による死者は九百九十二人(対前年比六十九人増)で、このうち六十五歳以上の高齢者は五百二十五人(全体の五二・九%)と半数を超えている。
 C 出火原因は「放火」が八千二百十六件で前年に比べ九十六件増加しており、全火災の一二・九%を占め、六年連続して第一位となっている。次いで「たばこ」による火災が六千七百七十九件(対前年比十件増)となっている。
 なお、「放火の疑い」によるものは六千三百三十七件(対前年比四十九件増)であり、「放火」及び「放火の疑い」を合わせると一万四千五百五十三件で、全火災の二二・九%を占めている(第1図参照)。

(2) 危険物施設等における災害対策
 昭和五十年代中ごろよりおおむね緩やかな減少傾向を示していた危険物施設における事故件数は、平成六年を境にして増加傾向を示しており、平成十四年中に発生した火災・漏えい事故件数は、火災が百七十件、漏えいが三百三十一件であり、高い水準で推移している。また、平成十五年に入り、我が国を代表する企業において、火災等の産業災害が続発するなど、憂慮すべき事態となっている。

(3) 石油コンビナート災害対策
 平成十四年中に石油コンビナート等特別防災区域の特定事業所で発生した災害の件数は百二十一件で、前年(八十六件)と比較すると、三十五件の増加となっている。全般的な発生件数の傾向は、平成六年以降増加に転じ、依然として発生件数が多い状況にある。

(4) 林野火災対策
 平成十四年中の林野火災の件数は三千三百四十三件(前年三千七件)、焼損面積は二千六百三十四ヘクタール(同一千七百七十三ヘクタール)、損害額は十四億四千七百十五万円(同十一億二千二十二万円)であり、件数、焼損面積、損害額ともに、前年より増加した。
 例年、春先を中心に発生している林野火災は、平成十四年も、三月に七百四十四件と最も多く発生しており、二月から四月までの間に、年間の五二・一%の火災が集中して発生している。

(5) 風水害対策
 平成十四年中に発生した台風の数は、二十六個と平年(昭和四十六年から平成十二年までの三十年間の平均)の二六・七個とほぼ同数であった。また、日本列島への上陸数は三個であったが、七月中旬には台風第六号、第七号の上陸が相次ぎ、各地に住家の全・半壊や浸水など大きな被害をもたらした。
 風水害、雪害等の異常な自然現象に伴う災害(地震、火山噴火を除く。)による人的被害、住家被害はともに前年に比べて減少(一部破損は増加)し、死者・行方不明者四十八人(前年八十八人)、負傷者四百七十二人(同九百九十人)、全壊七十四棟(同八十六棟)などとなっている。

(6) 火山災害対策
 三宅島噴火災害については、平成十四年四月から、島内の個人財産の保全、修繕を目的とした一時帰宅が定期的に行われており、十五年八月四日から六日には、児童・生徒及び同伴する保護者(計四百四十六人)を対象に日帰り一時帰宅も実施された。
 また、島民の一時帰島に関しては、平成十五年三月に「三宅島火山ガスに関する検討会」(平成十四年九月設置)から、火山ガスに対する安全確保対策についての提言がなされるとともに、火山ガスに対処する脱硫装置を備えた退避舎(クリーンハウス)が整備され、平成十五年度から同施設を活用した滞在型一時帰宅(滞在期間五日間)が実施されており、四月から九月までの間に一千二百三十三世帯、一千九百四十人が一時帰島した。

(7) 震災対策
 平成十四年中に震度一以上が観測された地震は一千二百三十五回(前年一千五百十三回)で、うち震度四以上を記録した地震は二十八回(前年三十七回)である。
 また、平成十四年一月から十五年九月までに発生した主な地震による被害としては、@平成十五年五月二十六日に発生した宮城県沖を震源とする地震により、負傷者百七十四人、住家全・半壊二十三棟等、A同年七月二十六日に発生した宮城県北部を震源とする地震により、負傷者六百七十七人、住家全・半壊六千十三棟等、B同年九月二十六日に発生した十勝沖地震により行方不明者二人、負傷者八百四十九人、住家全・半壊二百二十八棟等となっている。

(8) 特殊災害対策等
 @ 平成十四年中に発生した都市ガス及び液化石油ガスの漏えい事故又は爆発・火災事故で消防機関が出動したものの総件数は、一千三百八件(対前年比百六十三件減)となっている。
 A 平成十四年中に発生した毒物・劇物等による事故で消防機関が出場したものの総件数は、八十六件(対前年比十八件増)となっている。

<第2章> 消防防災の組織と活動

(1) 消防体制
 @ 平成十五年四月一日現在、消防本部が八百九十四本部、消防署が一千六百九十六署、消防職員が十五万五千十六人となっており、前年と比較すると、市町村合併と広域再編が進められたこと等により、消防本部は六本部減少し、消防署は六署増加し、消防職員は五百二十九人増加している(第3表参照)。
 A 平成十五年四月一日現在、常備化市町村は、三千百三十一市町村となり、常備化率は市町村数で九八・一%(市は一〇〇%、町村は九七・六%)に達し、人口の九九・八%が常備消防によりカバーされている。
 B 管轄人口十万人未満の消防本部が全体の約三分の二を占めており、小規模消防本部の広域再編により組織面での対応力強化を推進する必要がある。
 消防庁では、平成十三年三月に、市町村合併との整合性を確保しながら消防の広域再編を推進するための指針を策定するとともに、具体的な助言、情報の提供等を行う「消防広域再編アドバイザー」を導入したほか、一定の要件を満たす地域を「広域化重点支援消防」として指定し、各種の財政支援を講じている。
 さらに、平成十五年十月に、消防事務の効率・適正な遂行の観点から、市町村合併に伴う消防本部の広域再編に係る留意事項をとりまとめ、管轄区域の拡大に取り組むよう通知するなど、消防の広域再編を推進している。
 C 消防本部・消防署が設置されていない非常備町村にあっては、消防団が消防活動を全面的に担っている。常備市町村においても初期消火、残火処理等を行っているほか、大規模災害時には、災害防ぎょのため多数の要員を必要とすることから、多数の消防団員が活躍している。
 平成十五年四月一日現在、消防団は三千五百九十八団、消防団員は九十二万八千四百三十二人であり、消防団はほとんどすべての市町村に設けられている。団員数は減少傾向にあり、十年前の平成五年四月一日現在に比べ五万四千五百八十二人(五・六%)減少しているが、この間、女性消防団員数は八千二百九十人増えて一万二千四百四十人となっている。
 また、消防団員の平均年齢は三七・二歳となっている。
 D 消防団は、近年の社会情勢の変化を受けて、団員数の減少、サラリーマン団員の増加等に直面しており、消防団の充実強化が課題となっている。このため、全国レベルでの消防団員数確保の目標(当面約百万人、うち女性団員約十万人)、事業所の理解と協力・連携のための取組み、市町村合併に際しての消防団の取扱い、多様な組織・運営のあり方など、社会環境の変化等に対応した消防団制度等のあり方について、幅広い観点から検討を行ってきた。また、平成十四年度においては、消防団の施設・装備の充実強化、消防団員の処遇の改善、消防団への青年層・女性層の加入の促進、公務員や公共的団体職員の入団推奨、消防団地域活動表彰・全国消防団員意見発表会の実施、「消防団メールマガジン」の創刊等の措置を講じた。

(2) 消防職団員の活動
 @ 平成十四年中における全国の消防職団員の出動状況をみると、火災等(救急業務を除く、火災、救助活動、風水害等の災害、特別警戒、捜索、誤報等及びその他)への出動回数は九十七万八千九百九十回で、出動延人員は一千百七十三万四千百三十八人となっており、火災等への一日当たりの出動回数は二千六百八十二回、三十二秒に一回の割合で出動したことになる。
 このうち、消防団員の火災等への出動回数は二十四万六千二百七十一回、出動延人員は四百九十七万九千七百七十六人となっている。
 A 平成十四年における消防団員の活動状況については、八月二十日に香川県丸亀市本島において発生した林野火災で、迅速に十分な消防力を投入し被害を最小限に抑えるため、多数の団員が出動し、鎮圧や延焼防止等に当たった。また、台風による風水害等の大規模な災害において、住民の避難誘導、危険箇所等の警戒巡視、行方不明者の捜索、土のう積み等の活動を行い、被害の拡大を防いだ。

(3) 教育訓練体制
 地方公共団体の首長等の危機管理能力、防災担当職員の実践的対応能力の向上、さらには自主防災組織等の防災リーダーや地域住民の防災力の強化を図ることは緊急の課題である。このため、消防大学校、消防学校等における教育訓練については、受講対象の拡大や、その内容をより実践的かつ体系的なものとする取組みを進めており、また、インターネットを活用した遠隔教育(e−カレッジ)の導入など、家庭や地域で学習できるような教育環境の整備も推進している。

(4) 救急体制
 @ 平成十四年中における全国の救急業務の実施状況は、ヘリコプターによる件数も含め、四百五十五万七千九百四十九件で、前年の四百三十九万九千百九十五件に比べ、十五万八千七百五十四件増加している。また、搬送人員は四百三十三万一千九百十七人で、前年の四百十九万二千四百六十二人に比べ十三万九千四百五十五人増加している(第4表参照)。
 救急自動車による出場件数は、全国で一日平均一万二千四百八十二件(前年一万二千四十八件)で、六・九秒(同七・二秒)に一回の割合で救急隊が出場し、国民の二十九人に一人(同三十人に一人)が救急隊によって搬送されたことになる。
 A 平成十五年四月一日現在、救急隊は全国で四千六百四十九隊設置されており、前年の四千五百九十六隊に比べ、五十三隊の増となっており、また、救急救命士運用隊は全国で三千百四十二隊で、前年の二千八百八十四隊に比べ、二百五十八隊増加しており、運用率は六七・六%となっている。消防職員のうち救急隊員は五万七千九百六十八人で前年の五万七千五百十五人に比べ、四百五十三人の増となっており、また、救急救命士資格を有する者の数は、一万三千七百二十八人で、このうち一万二千六百六十六人が八百六十六消防本部で、救急救命士として救急業務に従事している。

(5) 救助体制
 @ 平成十四年中の救助活動件数は五万四百十四件で、前年の四万九千二百七十一件に比べ一千百四十三件増、救助人員は五万二千二百七十八人で、前年の五万一千三百十七人に比べ九百六十一人の増となっている(第2図参照)。なお、事故種別の救助活動件数は、交通事故が全体の四一・二%を占め、次いで建物等による事故が二四・五%となっている(第5表参照)。
 A 平成十五年四月一日現在、救助隊は全国で一千四百九十三隊設置されており、救助隊員は二万四千二十七人となっている。

(6) 航空消防防災体制
 @ 消防防災ヘリコプターは、震災、火災や風水害などの火災状況の早期における把握と情報の提供、林野火災における空中消火、山岳等における救助や遠隔地からの救急搬送等に極めて有効であり、その整備を促進しており、四十五都道府県で配備が完了または完了予定となっている。
 A 平成十五年四月一日現在の消防防災ヘリコプターの配備状況は、次のとおりとなっている。

   消防機関保有ヘリコプター 二十七機
   都道府県保有ヘリコプター 四十一機
   ―――――――――――――――――
       合  計     六十八機

 B なお、消防防災ヘリコプターは、消防防災業務に幅広く活用されており、平成十四年中の出動実績は、火災出動一千百九十一件、救急出動二千六十八件、救助出動一千三百五件となっている。

(7) 国と地方公共団体の防災体制
 @ 消防庁は、消防機関を所管する一方、地方公共団体から国への情報連絡の窓口となるとともに、地域防災計画の作成、修正など地方公共団体の防災対策全般に対する助言・勧告等を行っている。また、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、地方公共団体の防災対策全般の見直しを推進し、支援措置の充実を図るとともに、情報収集・伝達体制の充実など消防庁における防災体制の強化を図っている。平成十五年八月には、大規模災害が発生した際により迅速かつ的確な初動対応が実施できるよう、総務省内に消防防災・危機管理センターを整備した。
 A 地域防災計画は、既に全都道府県とほぼすべての市町村で作成されている。また、阪神・淡路大震災以降、都道府県においては全団体が阪神・淡路大震災の教訓を踏まえた見直しを完了している。市町村においては、ほとんどの団体が見直しに着手しており、平成十五年四月一日までに二千三百二十二団体(七二・二%)が完了しているが、小規模な団体における見直しは遅れている傾向にある。
 B 大規模災害時に迅速な初動体制を確立し、的確な応急体制をとるためには、日頃から実践的な対応力を身に付けておく必要がある。消防庁では、平成十五年度に消防大学校において、地方公共団体の首長や防災担当者等を対象として行う「危機管理セミナー」のなかで、状況予測型図上訓練のほか、ロールプレイング型図上訓練やDIG等の実践的な訓練を実施している。

(8) 広域消防応援
 @ 消防の相互応援に関する協定の締結数は、平成十五年四月一日現在、三千百三である。現在、すべての都道府県において都道府県下の全市町村及び消防の一部事務組合等が参加した消防相互応援協定を結んでいる。また、消防庁では、「大規模特殊災害時における広域航空消防応援実施要綱」を策定して、応援可能地域の明示、応援要請の手続の明確化等を図り、消防機関及び都道府県の保有する消防防災ヘリコプターによる広域応援の積極的な活用を推進している。平成十四年中には消防庁長官の求めに応じて三十八件の消防広域航空応援が実施された。
 A 緊急消防援助隊の部隊編成については、平成十五年五月現在、消火部隊、救助部隊、救急部隊等八部隊二千二百十隊(隊員数約三万一千人規模)の体制となっている。また、平成十五年六月の消防組織法改正により、緊急消防援助隊が法定化されるとともに、東海地震等の二つ以上の都道府県に及ぶ大規模災害や毒性物質の発散等の特殊災害に対処するために特別の必要があるときは消防庁長官がその出動を指示できることとされ、平成十六年四月から施行されることとなっている。
 平成十五年における緊急消防援助隊の活動については、宮城県北部地震(七月)、三重県ごみ固形燃料発電所火災(八月)、栃木県黒磯市ブリヂストン工場火災(九月)、平成十五年(二〇〇三年)十勝沖地震及び出光興産北海道製油所タンク火災(九月)に対し、指揮支援部隊、航空部隊や特殊災害部隊等が出動し、現地の消防活動の支援を行い、被害の軽減に大きな効果を発揮した。
 緊急消防援助隊の訓練について、平成十五年度には、全国六ブロックにおいて合同訓練が実施され、震災対策訓練のほか、国内でのテロ災害を想定した特殊災害部隊の訓練、自衛隊航空機と連携した救助部隊の輸送訓練や部隊指揮の図上訓練も行われた。

(9) 消防防災の情報化の推進
 @ 災害に強い通信ネットワークを構築するため、地上系通信網に加え、衛星系通信網の整備による通信の多ルート化を推進するほか、市町村における同報無線(住民連絡用)及び地域防災無線(地域相互通信用)等についてデジタル化等を図りながら整備を推進している。さらに消防救急無線のデジタル化について計画的な移行が図られるよう、積極的に取り組んでいる。
 A 大規模災害発生時の被害概況の早期把握のため、状況に応じ、市町村から直接消防庁に報告させるようにするとともに、災害現地において情報収集や防災活動の支援を行うための衛星車載局車等の整備を推進する。また、被害状況の早期把握手段として、衛星地球局、高所監視施設、ヘリコプターテレビ電送システム等で構成される画像電送システムの整備を推進し、これらの情報が、内閣官房、内閣府等へ適切に伝達されるようその徹底を図っている。

<第3章> 自主的な防災活動と災害に強い地域づくり

(1) 防火防災意識の高揚
 国民一人ひとりが常に防火防災に関心を持つとともに、日頃から自主防災の意識を持ち、災害に対処するための基礎知識を身につけておくことが大切である。
 消防庁では、年間を通じてテレビ放送を利用した啓発を行うとともに、「全国火災予防運動」、「危険物安全週間」、「防災とボランティア週間」、「防災週間」、「一一九番の日」などの機会をとらえて、国民の防火防災意識の高揚を図っている。また、毎年、安全功労者及び防災功労者に対して消防庁長官表彰を行い、特に功労が顕著な者について、内閣総理大臣表彰が行われている。

(2) 住民等の自主防災活動
 大規模災害時には、地域住民の一人ひとりが「自分たちの地域は自分たちで守る」という固い信念と連帯意識のもと、組織的に自主的な防災活動を行うことが必要不可欠である。平成十五年四月一日現在では、全国で十万九千十六の自主防災組織が設置されており、組織率(全国の総世帯数に対する組織されている地域の世帯数の割合)は、六一・三%となっている。
 消防庁としても、自主防災活動用の資機材の整備を促進するための国庫補助制度を創設し、自主防災組織等の活動の一層の推進を図っているほか、防災基盤整備事業により、防災拠点施設の整備を促進している。今後とも、住民が自主防災活動に参加しやすい工夫を凝らすことなどにより、地域の防災力を一層向上させていくことが必要である。

(3) 災害に強い安全なまちづくり
 災害に強い地域づくりを推進するため、消防庁では、消防施設等整備費補助金や防災基盤整備事業等により、消防車両や消防防災ヘリコプター、防災情報通信施設、耐震性貯水槽等の整備を促進している。なかでも、防災情報通信施設については、防災関係機関相互の確実で迅速な情報収集・伝達を行うため、通信ルートの多重化を図るとともに、映像・データを伝達する通信施設などの整備・機能強化を促進しているほか、防災行政無線の整備など、住民や自主防災組織等との間の情報連絡についても多角的な対策を講じている。

<第4章> 規制改革への対応

 国際化の進展や社会経済活動の多様化等を背景に、規制改革が大きな課題となっており、消防庁としては、安全性の確保に十分配慮しながら、「規制改革推進三か年計画(再改定)」に定められた各措置を着実に実施するなど、社会的要請に対応した規制改革等の推進を図っており、技術革新に対して柔軟に対応できるよう、技術基準については、原則としてすべて性能規定化するよう検討を行う旨の方針が決定されている。
 また、構造改革特別区域法の成立を受けて特区制度創設の趣旨にかんがみつつ、火災予防又は防災の観点からの安全性の確保に十分配慮しながら、プログラムに盛り込まれた各措置の実現に向けて対応することとしている。

<第5章> 国際的課題への対応

(1) 国際協力・国際交流
 消防庁では、独立行政法人国際協力機構(旧国際協力事業団)等を通じて、開発途上諸国の消防防災職員を対象とした集団研修、開発途上諸国への消防防災専門家の派遣、中国・北京消防訓練センター等に対するプロジェクト方式技術協力、海外の消防防災行政に携わる幹部職員との交流セミナー、日韓消防行政セミナーの開催などの消防防災分野における国際協力・国際交流を推進している。

(2) 国際消防救助隊
 海外で大規模災害が発生し、被災国政府等から要請があった場合には、消防庁長官から市町村への要請により「国際消防救助隊」が派遣され人命救助活動や支援活動を行うこととされており、平成十五年度の登録消防本部、隊員数は、六十二消防本部、五百九十九人体制となっている。国際消防救助隊は、十五年五月にはアルジェリア地震災害に派遣され活動するなど、今までに計十二回派遣され大きな成果を上げている。

<第6章> 消防防災の科学技術の研究・開発

 災害の複雑多様化に対し、災害の防止、被害の軽減、原因の究明等に関する科学技術の研究開発が果たす役割はますます重要になっているため、総合科学技術会議の定める科学技術基本計画及び消防庁に設置された消防防災科学技術懇話会の意見を踏まえつつ、科学技術の動向や社会ニーズを把握し、効率的かつ計画的な研究・開発を推進することとしている。
 これらの研究・開発の中心となっている独立行政法人消防研究所は、我が国唯一の消防防災に関する総合的な研究機関として、基盤的な研究を継続的に実施するとともに、社会的・行政的要請の高い「災害対応への情報化の促進」、「高齢者等災害時要援護者の安全確保の推進」、「消火・救急・救助活動の技術の高度化」、「危険性物質と危険物施設に対する安全評価」の四つの研究領域については、重点的に研究費を配分して研究を実施している。
 一方、消防庁においては、平成十五年度から消防防災に係る競争的研究資金制度である「消防防災科学技術振興制度」を創設するとともに、燃料電池の設置の安全に係る研究等、消防法の技術基準の整備に直結する研究について、直接研究を実施する体制をとっている。

<第7章> 今後の消防防災行政の方向

 近年において、新宿区歌舞伎町ビル火災や三宅島での火山災害、また、平成十五年に入っては、宮城県北部地震や十勝沖地震等の地震災害、台風による風水害、さらには我が国を代表する企業等の産業施設における火災事故など、多種多様な災害が発生している。
 平成七年の阪神・淡路大震災は約六千四百人の犠牲者と約十兆円の経済損失をもたらしたが、今後発生のおそれが指摘されている東海地震、東南海・南海地震、さらには南関東直下型地震についても甚大な被害が想定されている。
 このように、我が国は、地震や風水害等の発生リスクが極めて高いうえ、都市において社会資本が高度に集積しているため、諸外国に比較し、災害の発生の危険性と被害の甚大さが突出して高いとされている。
 そのため、災害や国民保護などの緊急事態への対応体制を国の責務として整備し、国民の「安全」、「安心」を確保することが急務となっている。
 具体的には、次に掲げる全国的な緊急対応体制の強化にあわせた常備消防、消防団及び自主防災組織等の充実強化、住宅防火等の火災予防対策、救急救命士の処置範囲の拡大に対応した救急救助業務の高度化、武力攻撃事態対処法の成立に伴う国民保護法制の整備に応じた国・地方を通じた体制整備等が求められている。
◎国・地方を通ずる消防防災力の強化
 ○全国的な観点からの消防防災力の強化
 ○地域における消防防災力の強化
 ○震災対策の充実
 ○特殊災害・テロ災害対策の充実
 ○消防防災分野におけるIT化の推進
 ○消防防災に係る科学技術の高度化
 ○消防防災分野における国際的課題への対応
◎有事に備えた国民保護のための体制づくり
 ○国民保護法制の適切な運用に向けた体制整備等
 ○地方公共団体等における対応力の強化
◎火災予防対策等の推進
 ○住宅防火対策の推進
 ○小規模雑居ビル等の防火安全対策の徹底
 ○危険物等事故対策の充実
 ○消防庁・消防研究所による火災原因調査の推進等
 ○新技術等に対応した防火安全対策等の構築
◎救急救命等の充実・高度化
 ○搬送体制の確保
 ○救急業務の高度化の推進
 ○応急手当の普及
 ○救助技術等の高度化





暮らしのワンポイント


イカの皮むき

滑り止めに塩をつける

 世界中でイカを一番よく食べるのは、日本人だといわれています。
 イカにはいろいろな種類がありますが、家庭料理に使われるのはヤリイカ、スミイカ、そして「するめ」の材料にするスルメイカが主なものでしょう。新鮮なイカは刺身にしても、焼いても、てんぷらにしてもおいしいものですが、やっかいなのは皮むきです。ヌルヌルしていて、てこずります。
 イカの皮は四層ありますが、むくのは上層の表皮です。丁寧にむくときは、その下にある薄皮も取ります。
 イカを開いて皮をむくのですが、俗に「えんぺら」といわれる三角の帽子の部分を、引きちぎるようにして胴体からはがします。そのとき、胴の皮が一緒についてきますから、そこから一気に皮をむきます。このとき、滑り止めとして指先に塩をつけると、むきやすいでしょう。
 皮が残ったときは、乾いたふきんでつまむようにしてむき取ります。薄皮は、表皮の厚い皮をむいた後、ナイロン・ネットを丸めてこすると楽に取れます。特に、てんぷらにするときには、薄皮が残っていると油が飛んで困りますから、丁寧に取っておきましょう。
 イカを焼くとき、クルクルと丸く縮まって困ったことはありませんか。焼く前に、イカの表と裏に包丁で切れ目を入れるのが丸まらないコツですが、適当に入れればいいというものではありません。
 イカの皮の三層目は繊維が横に、四層目は縦に通っています。繊維に必ず切れ目が入るように、「格子型」に縦と横の二方向から包丁を入れます。
 こうすれば繊維が切れてイカは丸まらず、食べやすくなります。




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消費支出(全世帯)は実質〇・七%の増加


―平成十五年十一月分家計収支―


総 務 省


◇全世帯の家計

 前年同月比でみると、全世帯の一世帯当たりの消費支出は、平成十五年九月、十月と二か月連続の実質減少となった後、十一月は実質増加となった。
 内訳をみると、交通・通信、教養娯楽などが実質増加となった。

◇勤労者世帯の家計

 前年同月比でみると、勤労者世帯の実収入は、平成十四年三月以来二十か月ぶりの実質増加となった。
 また、消費支出は、平成十五年九月、十月と二か月連続の実質減少となった後、十一月は実質増加となった。

◇勤労者以外の世帯の家計

 勤労者以外の世帯の消費支出は、一世帯当たり二十六万三千七百二円となり、前年同月に比べ、名目〇・四%の増加、実質一・〇%の増加となった。

◇季節調整値の推移(全世帯・勤労者世帯)

 季節調整値でみると、全世帯の消費支出は前月に比べ実質〇・一%の減少となった。
 また、勤労者世帯の消費支出は前月に比べ実質〇・二%の減少となった。












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平成15年平均


消費者物価指数の動向


―東京都区部(速報値)―


総 務 省


一 概 況

(1)総合指数は平成十二年を一〇〇として九七・五となり、前年比は〇・四%の下落となった。
 なお、総合指数は、平成十一年以降五年連続して下落している。
(2)生鮮食品を除く総合指数は九七・五となり、前年比は〇・四%の下落となった。
 なお、生鮮食品を除く総合指数は、平成十一年以降五年連続して下落している。

二 十大費目指数の動向

 総合指数の前年比が〇・四%の下落となった内訳を寄与度でみると、住居、教養娯楽、家具・家事用品、被服及び履物、食料などの下落が要因となっている。
 なお、保健医療、諸雑費は上昇した。
[主な内訳]
●住居
 家賃(〇・五%下落)…民営家賃(木造中住宅)など
●教養娯楽
 教養娯楽用耐久財(一四・三%下落)…パソコン(ノート型)など
●家具・家事用品
 家庭用耐久財(八・〇%下落)…ルームエアコンなど
●被服及び履物
 履物類(三・六%下落)…婦人靴など
●食料
 生鮮魚介(二・九%下落)…かつおなど
●保健医療
 保健医療サービス(七・七%上昇)…診療代など
●諸雑費
 身の回り用品(四・二%上昇)…ハンドバッグ(輸入品)など













歳時記


サクラ前線

 サクラは日本の春を代表する花です。しかし、日本列島は南北に長いため、その開花時期は場所によってかなり違ってきます
 この時期、サクラの開花した地区と開花していない地区の境に線を引くと、天気図の前線のようになります。これを、通称「サクラ前線」といっています。
 サクラの開花の観測は、全国の気象台や観測所でやっています。観測するサクラの種類はソメイヨシノが中心ですが、沖縄はヒカンザクラ、北海道はチシマザクラとエゾザクラが対象です。平均開花時期は、沖縄県・名護でヒカンザクラが元日ごろ、それから北上を続け、四〜五月の大型連休ごろには、津軽海峡を渡って北海道に達します。一番遅いのは根室で、五月二十日ごろにチシマザクラが開花します。日本列島の縦断におよそ半年もかかるのです。こうした植物による季節観測は、ほかの植物でも行っていますが、サクラのほかには、「紅葉(もみじ)前線」がよく知られています。
 最近、話題になっているのが、高速道路のサクラ前線です。全国の高速道路のサービスエリアやパーキングエリアに、「高速道路のサクラ前線」として、サクラの木が植えられています。ドライブ中にサクラが咲いていたり、咲いていなかったり……サクラ前線の進み具合が分かっておもしろいものです。
 春は、緑が萌(も)えたつ季節でもあります。四月二十九日の「みどりの日」を最終日にした一週間は、「みどりの週間」で、各地で緑豊かな国土を守り育てる行事が行われます。




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消費者物価指数の動向


―東京都区部(一月中旬速報値)・全国(十二月)―


総 務 省


◇一月の東京都区部消費者物価指数の動向

一 概 況

(1)総合指数は平成十二年を一〇〇として九六・九となり、前月比は〇・五%の下落。前年同月比は〇・六%の下落となった。
 なお、総合指数は、平成十一年九月以降四年五か月連続で前年同月の水準を下回っている。
(2)生鮮食品を除く総合指数は九六・九となり、前月比は〇・八%の下落。前年同月比は〇・三%の下落となった。
 なお、生鮮食品を除く総合指数は、平成十一年十月以降四年四か月連続で前年同月の水準を下回っている。

二 前月からの動き

 総合指数の前月比が〇・五%の下落となった内訳を寄与度でみると、被服及び履物、教養娯楽、住居などの下落が要因となっている。
 なお、食料は上昇した。
[主な内訳]
●被服及び履物
 衣料(一一・一%下落)…婦人上着など
●教養娯楽
 教養娯楽サービス(三・六%下落)…外国パック旅行など
●住居
 家賃(〇・二%下落)…民営家賃(木造中住宅)など
●食料
 生鮮野菜(一〇・九%上昇)…キャベツ、ほうれんそうなど

三 前年同月との比較

 総合指数の前年同月比が〇・六%の下落となった内訳を寄与度でみると、教養娯楽、食料、被服及び履物、住居などの下落が要因となっている。
 なお、保健医療などは上昇した。
[主な内訳]
●教養娯楽
 教養娯楽用耐久財(一四・九%下落)…パソコン(デスクトップ型)など
●食料
 生鮮野菜(一一・八%下落)…レタスなど
●被服及び履物
 衣料(四・九%下落)…婦人コートなど
●住居
 家賃(〇・四%下落)…民営家賃(木造中住宅)など
●保健医療
 保健医療サービス(七・八%上昇)…診療代など

◇十二月の全国消費者物価指数の動向

一 概 況

(1)総合指数は平成十二年を一〇〇として九七・九となり、前月比は〇・一%の上昇。前年同月比は〇・四%の下落となった。
(2)生鮮食品を除く総合指数は九八・二となり、前月比は〇・一%の上昇。前年同月と同水準となった。

二 前月からの動き

 総合指数の前月比が〇・一%の上昇となった内訳を寄与度でみると、食料、教養娯楽の上昇が要因となっている。
[主な内訳]
●食料
 生鮮野菜(五・五%上昇)…レタス、きゅうりなど
●教養娯楽
 教養娯楽サービス(〇・七%上昇)…外国パック旅行など

三 前年同月との比較

 総合指数の前年同月比が〇・四%の下落となった内訳を寄与度でみると、食料、教養娯楽、家具・家事用品などの下落が要因となっている。
 なお、保健医療などは上昇した。
[主な内訳]
●食料
 生鮮野菜(一一・六%下落)…キャベツなど
●教養娯楽
 教養娯楽用耐久財(一二・六%下落)…パソコン(ノート型)など
●家具・家事用品
 家庭用耐久財(八・〇%下落)…電気冷蔵庫など
●保健医療
 保健医療サービス(七・八%上昇)…診療代など





















   <4月7日号の主な予定>

 平成十五年平均全国消費者物価指数の動向………総 務 省 




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