官報資料版 平成15年10月15日




                  ▽平成十五年版男女共同参画白書のあらまし…………内 閣 府

                  ▽平成十四年国民生活基礎調査の概況…………………厚生労働省

                  ▽租税史料の収集にご協力を……………………………国 税 庁

                  ▽リデュース・リユース・リサイクル推進月間………国 税 庁











平成15年版


男女共同参画白書のあらまし


内 閣 府


 平成十五年六月十三日、「平成十四年度男女共同参画社会の形成の状況に関する年次報告」及び「平成十五年度において講じようとする男女共同参画社会の形成の促進に関する施策」(この二つを合わせて「男女共同参画白書」と称している)が、閣議決定の後、国会に提出され、公表された。
 男女共同参画白書は、平成十一年六月に公布、施行された男女共同参画社会基本法に基づき、政府が毎年国会に提出することとされているものであり、内閣府及び関係府省において執筆し、内閣府において整理・編集し、取りまとめている。
 「平成十四年度男女共同参画社会の形成の状況に関する年次報告」は、第一部「男女共同参画社会の形成の状況」と第二部「平成十四年度に講じた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策」に分かれている。「平成十五年度において講じようとする男女共同参画社会の形成の促進に関する施策」においては、平成十五年度予算に盛り込まれた男女共同参画の推進に係る施策を中心に取りまとめている。なお、施策の記述に当たっては、平成十二年十二月に閣議決定された「男女共同参画基本計画」の構成に従っている。
 白書の概要は、以下のとおりである。

平成十四年度 男女共同参画社会の形成の状況に関する年次報告

第一部 男女共同参画社会の形成の状況

序説 国際比較でみた男女共同参画社会の状況

第一節 男女共同参画における各国の特徴と意識

1 各国の特徴
(スウェーデン)
 スウェーデンは政治・行政分野及び労働分野への女性の参画が総合的にみて七か国中最も進んでいる。育児に対する多様な支援や女性の就労に対する環境整備が進んでおり、結婚・出産・育児期を含め女性の就労は当然であり、現在の女性全体の労働力率は突出して高く、一九八〇年の時点で既にM字カーブは解消した。一方、意識面では男女の不平等感が強く、男女の賃金格差が問題となっている。

(ドイツ)
 ドイツは各政党が競ってクォータ制度を導入し、女性議員の増加に努めたため、国政レベルではスウェーデンに次いで女性の政治・行政分野への進出が進んでいる。労働分野においては、仕事と家庭の両立のための施策として、保育施策は十分に整備されていないが、育児休暇制度は三歳になるまで取得可能であるなど充実している。こうした制度の下で一九九〇年代にそれまであった労働力率のM字カーブが解消した。

(イギリス)
 イギリスでは労働条件は労使交渉による決定を基本に置くとの考え方が強いことから、女性が働くことに関しては、早くから制定された平等法制を除くと、スウェーデン、ドイツに比較して育児休業等制度面の支援は十分ではない。しかし、男女の役割意識の希薄化をベースに、サービス業を中心とする産業構造の変化に伴う職域の拡大や柔軟な雇用に対する企業のニーズの高まり、及び女性の高学歴化が女性の労働市場への参画・就労を加速し、ドイツと同様一九九〇年代に労働力率のM字カーブが解消した。

(アメリカ)
 アメリカでは男女平等、男女共同参画の推進については、男女平等のみならず、人種の平等をはじめとする広範囲の差別を禁止する点に特徴がある。格差是正、平等実現のための積極的な措置として雇用や教育の分野でアファーマティブ・アクションを行ってきた。育児休業等仕事と家庭の両立支援策は十分ではないが、民間の保育サービスが利用しやすい等私的マーケットは充実しており、労働力率は一九八〇年代に既にM字カーブが解消し、管理的職業従事者割合も高く、最近はさらに経営トップ層への登用も始まっている。女性の国会議員の割合は民間部門の女性の参画に比較して低い。

(韓国)
 韓国は日本と同様に女性の参画は政治・行政分野、労働分野とも低調であるが、男女の役割分担意識は最近やや薄れつつあり、近年になって急速に欧米諸国にキャッチアップする体制が採られつつある。政府の取組として女性政策を企画し、総括する省として女性部が二〇〇一年に設置され、女性政策を強力に推進しており、政治・行政分野でのクォータ制の実施や労働分野での法的整備や制度の充実など、男女共同参画社会の形成に向けた施策が強化されている。

(フィリピン)
 フィリピンは、経済発展途上国であり、先進国と状況を一概に比較することはできないが、政治・行政分野、労働分野とも、日本に比較して女性の参画が進展している。これは、育児休業等制度面の支援は十分ではないが、政治面ではクォータ制を導入していることや、意識面では、男女の役割分担意識は強いものの、男女の平等意識も強いことが影響していると考えられる。

(日本)
 日本女性の参画は、国会議員数や管理的職業従事者に占める女性割合はスウェーデン、ドイツ等に比較して著しく低く、労働力率も欧米諸国に比較してやや低くなっている等、政治・行政分野、労働分野とも低い水準にある(第1表参照)。
 これらの背景としては、男女共同参画に取り組む基本の法的枠組みにおいて欧米諸国と大きな違いはないが、仕事と子育ての両立支援策等女性の就労に対する環境条件整備がスウェーデン、ドイツに比較して十分ではない状況がある。さらに、固定的性別役割分担意識が社会、家庭で根強くあり、それに伴う慣行が多くの場で形成されているため、女性が高学歴をいかせない等能力を十分に発揮する機会に恵まれていないこともある。

2 基本的な意識の違い
(男女の地位の平等感)
 男女の地位の平等感を「家庭生活」、「職場」、「学校教育」、「政治」、「法律や制度」、「社会通念・慣習・しきたり」の各分野についてみると、フィリピンを除き各国とも「職場」、「政治」、「社会通念・慣習・しきたり」で特に男性が優遇されているとする者が多くなっている。「職場」、「政治」での不平等感は女性の参画が進展している欧米諸国でも日本と同じように強くなっている。さらに日本、韓国では「家庭生活」で男性が優遇されているとする人の割合が高く、役割分担意識の根強さがうかがわれる。一方、日本をはじめ平等とする者が最も多いのは、男女の区別がなく機会の平等が保障され成績主義が一般的な「学校教育」となっている。また、フィリピン以外のすべての国のすべての分野で男性より女性の不平等感が強くなっている(第1図参照)。

(男女平等のために最も重要な点)
 次に男女平等のための最も重要な点は何かについてみると、欧米諸国と韓国ではドイツの男性を除き、男女とも「固定的な社会通念を改める」が最も多く、日本とフィリピンでも最も多いか二番目に多い回答となっている。日本の女性では「女性自身が力の向上を図る」が最も多くなっている。この結果は、女性の社会参画が進んでいる国も遅れている国も、男女共同参画社会が実現する最後の壁は社会通念であると示唆している。
 また、欧米諸国や韓国では、「重要役職に一定割合の女性の登用」は男性に比較して女性の回答割合が多くなっているが、日本では逆に男性の回答割合が多くなっている。日本の女性は直接的に女性の参画を強制するような政策よりも、女性自身が力をつけるとともに、それを支援する政策の充実を求めていると思われる。
 こうした男女共同参画に関する国民の意識が、政治・行政分野、労働分野、家庭生活における男女の参画、及びそれらに対する施策の推進や制度の構築に大きな影響を及ぼしているといえる。

第二節 政治・行政分野における女性の参画

1 女性の政治への参画状況
(国会議員)
 一九七〇年から二〇〇一年までの変化をみると、すべての国において、女性の国会議員の増加がみられるが、その増加の時期や増加のスピードに差がみられる(第2図参照)。
 スウェーデンは、一九七〇年代から高い水準となっており、一九九〇年に約四〇%となるまで着実に増加し、二〇〇二年では四五・三%となっている。その他の国においては、一九七〇年から八五年まではどの国でも低く、ほとんど差がない状況であったが、ドイツ、イギリス、アメリカでは一九八五年以降に増加がみられ、特にドイツでは一九八七年の選挙において大きな伸びを示し、二〇〇二年では三二・二%となっている。
 日本、韓国では、一九九五年以降上昇しているものの、その伸びは小さく、二〇〇一年でも一〇%を下回る状況となっている。

2 女性議員の選出に影響を与える要因
(選挙制度)
 日本、韓国、フィリピン、ドイツでは、現在、小選挙区制と比例代表制を組み合わせた選挙制度がとられている。スウェーデンは、比例代表制となっており、アメリカ、イギリスでは、小選挙区制となっている。
 選出方法別の女性議員割合をみると、比例代表制の方が小選挙区制よりも女性議員の選出割合が高くなっている(第2表参照)。比例代表制では、政党が作成する候補者名簿に女性がどの程度、どの順位に掲載されるかが、女性議員が選出される機会を与えるということに直結している。このため、候補者名簿に女性を一定割合掲載するクォータ制が政党独自の取組又は法制度として多くの国で導入されている。

(クォータ制)
 クォータ制には、党内の役員や党内選挙の候補者に女性を割り当てる方法と、対外選挙における候補者名簿に女性を割り当てる方法の二つがある。党内のクォータ制は、女性が党内の主要なポストを経験することで、対外的な選挙の候補者として擁立されやすくなる。一方、候補者名簿に女性を一定数割り当てることは、女性が議員に選出される直接的な機会を得ることになる。
 クォータ制については、スウェーデン、ドイツ、イギリスのように政党が自らの党綱領などにより規定する場合と、韓国、フィリピンのように法律により規定する場合があるが、アメリカを除く五か国すべてでクォータ制を導入した実績がある。クォータ制の導入状況は、各国の女性の議会への参画状況や社会的背景を反映して様々であり、その効果についても、女性の政治への参画に関する社会的基盤があるか否かで大きく異なる。
 スウェーデンは、一九九〇年代に入って、女性議員の割合が減少したことから、政党による選挙名簿におけるクォータ制が一時的に導入され、その後の選挙において女性議員が大幅に増加することとなった。スウェーデンにおいては、女性自身の政治への参画意識が高く、女性の政治参画を促す社会的な環境が整備されていたことから、クォータ制が大きな効果を発揮したといえる。
 ドイツでは、主要政党がクォータ制を導入し始めた一九八〇年代後半以降、着実に女性議員が増加した。それまでも、各政党において党内の女性の地位向上に関して取組が進められていたが、はかばかしく進展しなかったことから、事前に詳細な検討が行われた後、クォータ制が最終的な手段として導入されており、女性の政治参画への気運は高まっていたといえる。
 二大政党制のイギリスでは、女性政策が選挙の争点の一つとなっており、一九九〇年代に入って、労働党が様々な方法でクォータ制を導入したことから、一九九二年から一九九七年にかけて、女性議員数が六十人から百二十人へと倍増した。
 韓国は、日本と同様に女性議員の割合が低い状況にある。二〇〇〇年の第十六代選挙の前に政党法を改正し、比例代表選挙名簿の三〇%を女性とする割当制を導入したことから、十六代選挙では女性議員が九人(三・〇%)から十六人(五・九%)へ増加したが、依然として低い数値にとどまっている。また、一九八七年の民主化宣言以降、各政党は女性の地位向上のための施策を打ち出し、一九九二年の第十四代大統領選挙以降、女性の政治参画の拡大の支援が公約とされるなど女性の政治参画への意識の高まりがみられる。また、一九九五年に制定された女性発展基本法においても、女性の政治への参画の拡大に対する政府の支援を明記しており、このような変革の波が政党法の改正につながっている。
 一方、アメリカにおいては、一九七〇年代後半以降、雇用や教育分野でのアファーマティブ・アクションに関する訴訟において、違憲・違法の判決が出されるなどの動きがあり、政治分野においても各政党はクォータ制に対して慎重な姿勢をとっている。

(クォータ制以外の特徴的な取組)
 クォータ制以外の特徴的な取組としては、ドイツ、イギリスの政党において行われている現職の議員が候補者に対して教育的指導や経済的援助などを行うメンター制や、アメリカ、イギリスでみられる民間団体による女性議員候補者への資金の援助や選挙キャンペーンの協力等がある。
 アメリカでは、一九七一年に、選挙に出る女性候補者のリクルート等、教育、選挙支援を行う民間団体が設立され、その後、二大政党において女性議員候補者への資金の援助や選挙キャンペーンの協力等を行う民間団体がそれぞれ設立されたことが、一九九〇年以降の女性議員の増加に影響を与えている。
 ドイツでは、政党のみならず州政府においても政治により多くの女性を参画させるためメンター制度を採用している。
 また、スウェーデン議会では、議員の代理人制度が導入されており、議員が育児休暇を取得する際にも代理人がその議員の代理として活動することになり、仕事と家庭を両立しやすい制度が整っている。

3 行政分野での女性の参画
(女性国家公務員の現状)
 国家公務員に占める女性の割合は、日本は二〇・二%と最も低く、上位の役職に占める女性の割合も一・四%と最も低い(第3表参照)。全職員でみると、アメリカ、イギリスは五〇%弱、フィリピンは六〇%弱を占めているが、上位の役職では職員に占める割合に比べて低い。一方、スウェーデンでは、全職員に占める女性の割合は四〇%程度だが、上位の役職に占める女性の割合は五〇%を超えている。
 一九九五年と九九年では、全職員に占める女性の割合は大きく変化していないものの、上位の役職に占める女性割合は、特にアメリカ、イギリスで著しく増加した。日本では、上位の役職に占める女性の割合にほとんど変化がなく、女性職員の登用のスピードは、韓国、ドイツと同様に遅くなっている。

第三節 労働分野における女性の参画

1 各国の女性の年齢階級別労働力率
(諸外国の女性の労働力率)
 諸外国の女性の一九八〇年代からの年齢別労働力率の推移をみると、スウェーデンを除き、全体として労働力率は上昇している。年齢階級別に各国女性の労働力率の変化をみると、アメリカ、スウェーデン、フィリピンについては、一九八〇年代には既に逆U字カーブを示している。ドイツ及びイギリスについては、一九九一、一九九二年ではM字カーブを示していたが、二〇〇一年には完全にM字カーブの底が消滅して逆U字カーブを形成している。このように、欧米諸国において逆U字カーブを示している要因としては、仕事と子育ての両立支援策の充実等女性が働きやすい環境条件の整備や一般的にフルタイム労働とパートタイム労働の転換が可能であること、女性の高学歴化の進展等が考えられる。なお、韓国は日本と同様、依然はっきりとしたM字カーブを示すが、一九九二年時点で二十五〜二十九歳層であったM字カーブの底が、二〇〇一年には三十〜三十四歳層へとシフトしている(第3図参照)。

2 労働分野における女性の地位
(各国の管理的従事者への登用状況)
 日本の労働分野においては女性が管理的職業従事者に占める割合が低くなっている。就業者の四割を女性が占めているが、管理的職業従事者に占める女性の割合は欧米諸国と比べても極端に低く、女性の就業者割合と管理的職業従事者割合の差についても、韓国を除く諸外国と比較して目だって大きい(第4図参照)。
 女性の就業者割合と管理的職業従事者割合がほぼ同率にまで達しているアメリカでは、一九六〇年代から、人種別、性別等の構成の不均衡を是正するためにマイノリティーや女性のための積極的措置を求めるアファーマティブ・アクション施策が実施されてきた。一九六七年の大統領命令一一三七五号により、連邦政府と年間一万ドル以上の契約締結を行う企業に対するアファーマティブ・アクション実施の義務について、女性が適用対象として付加された。裁判所も、適切なアファーマティブ・アクションを命ずる権限を付与されている。中小企業法でも、政府調達分野において、マイノリティーや女性の経営する中小企業に対する優遇措置が規定されている。一九九一年には、グラス・シーリング委員会を立ち上げ、民間企業及び政府に対して、マイノリティーや女性の管理職への積極的登用等今後の政策の方向性を提言している。このような背景の中、アメリカの女性もキャリア志向を高めていった。現在、ロー・スクール卒業生の約四四%、全米上位十校のビジネス・スクールの経営修士課程への入学者の約二九%が女性であり、フォーチュン五百企業の約八二%に女性の執行役員が存在し、人数では、一二・五%を女性が占めている。
 女性の管理職割合が過半数を占めるフィリピンでは、貧富格差による社会の階層分化が顕著であり、上・中級層の女性は、家庭内において家事・育児を補助してくれる家事使用人を雇用できる環境にある。これがフィリピン独特の男女平等の基層文化とあいまって、女性の社会進出を容易にし、政治、行政、民間企業等での女性の登用を促した。

3 仕事と育児の両立の観点からのパートタイム労働
(育児期のフルタイム労働とパートタイム労働の転換)
 育児期の女性の労働市場への参画を促している要因として、パートタイム労働に係る雇用慣行等が挙げられる。
 各国の就業形態をみると、女性のパートタイム労働者の割合は韓国を除き各国とも高い。
 女性の年齢別労働力率が逆U字カーブを示す国においては、育児期にパートタイム労働に従事する女性が、アメリカでは六歳以下の子供を持つ母親の一八・八%とそれほど高くないものの、イギリス六五%(末子年齢五歳未満)、スウェーデン五四%(子二人 末子年齢一〜二歳)と高い割合を示す。この場合、正社員として働いていた職場を退職するのではなく、正社員の身分のまま、フルタイム労働からパートタイム労働に転換し、仕事を継続することとなる。このシステムが、育児期の女性が仕事を辞めずに継続就業していくことを容易にしていると考えられる。

(各国のパートタイム労働に係る制度と慣行)
 スウェーデン、ドイツ、イギリス等ヨーロッパ諸国では、EU労働指令の影響を受け、男女機会均等、家庭生活と職業生活の調和を目指す法令や制度の整備が進んでいる。EU労働協約の中では、パートタイム労働者の均等待遇、不利益取扱の禁止のほか、フルタイムとパートタイムの相互転換が、職業生活と家庭生活の両立という観点から規定されている。
 これに対し、アメリカでは、正社員のパートタイム労働とフルタイム労働の転換についての法制度は特に存在しない。
 しかし、企業内制度レベルでは、育児等家族的責任のためにフルタイム労働からパートタイム労働へ転換する制度を持つ企業が約六割あるほか、時間休の取得、定期的始業終業時間の変更等を認めるなど、柔軟な就業形態に対応している企業が多い。
 日本の場合は、正社員の身分を維持したままでのパートタイム労働とフルタイム労働の相互転換はほとんど行われていない。多くの女性は、出産・育児のために退職し、育児負担が軽くなった時点で再就職をする就業パターンを選択するが、三十歳台以降に再就職する際には、そのほとんどが補助的パートタイム労働者としてしか労働市場に戻れず、子育て後、再び意欲と能力を十分に活かして活躍できる道が得難い。

(各国の育児休業制度)
 育児休業制度については、女性労働力率が逆U字型を示す国々においても、仕事と育児の両立支援策の在り方は様々であり、ドイツ及びスウェーデンでは手厚い両立支援制度が導入されているが、イギリス及びアメリカの制度は、日本の育児休業制度に比較しても手厚いものではない。
 ドイツでは、一九八六年に「育児手当及び育児休業の付与に関する法律」が制定されたが、二〇〇一年に、父親の取得の促進を目的として、育児休業は親時間に改められた。親時間は子が三歳になるまで取得が可能であり、両親の同時取得も可能である。また、親時間中は週三十時間までパートタイム労働が許される。両親が同時取得している場合は、合計で週六十時間までの労働が可能である。
 スウェーデンでは、一九七四年に「親休暇法」が定められた。休暇日数は一九七四年に百八十日であったが、その後改正を重ねて長期化していった。現在は、子が八歳になるか基礎学校の第一学年を終了するまでに、合計四百八十日間を取得できることになっている。所得保障は、親保険により三百九十日までは八〇%、残りの九十日については定額支給となる。また、この休暇のうち少なくとも六十日間は父親が取得するためのもので、母親に譲渡することはできない。
 アメリカでは、育児休業に特化された休業はなく、一九九三年に制定された「家族及び医療休暇法」を利用して休業することになる。同法に定める休暇取得事由は、@子または養子の育児、A家族の介護、B本人の療養である。休業期間は、これらの事由について合計で十二週間と短く、所得保障もない。育児のための休業期間は、子の誕生又は養子受入れの時点から十二か月以内である。ただし、この休暇期間は、時間短縮、時間単位でも取得可能であり、必ずしも継続した休暇である必要もないなど、柔軟な方法で取得できる。また、休暇終了後は元の職場・地位への復帰又は同等な条件の職に復帰する権利が認められるほか、取得要件さえ満たせば、パートタイム労働者であっても、同法の休暇を取得することができる。
 イギリスでは、従来から、育児休業、家族休業、子の出生に立ち会うための父親休暇等が、労使協約という形で企業が任意に導入していた。また、比較的長期間取得できる出産休暇制度(対象は女性のみ)があった。一九九九年に「雇用関係法」の規定である「育児休業に関する規則」として法律上の育児休業制度が導入されたが、休業期間は、子が五歳に達するまでに、十三週間、一年に最大四週間しか保障されていない。休業期間中の所得保障制度もない。
 日本では、子が一歳に達するまでの育児休業が法的に保障されている。また、子が三歳に達するまでの勤務時間の短縮等の措置を講じなければならない旨、使用者に義務付けられている。休業期間中の所得は雇用保険により四〇%保障される。しかし、あらかじめ労使協定に定めがあれば、休業を申し出た労働者の配偶者が常態として子を養育できる場合は、使用者は必ずしも休業を取らせる必要はない。

(男性の育児休業取得率)
 各国の男女の育児休業の取得割合をみると、日本の女性の取得率は五六・四%、アメリカは一六・〇%、イギリスは約一二%、スウェーデンでは基本的に完全取得されている。一方、日本の男性の取得率は〇・四二%、取得者中の男性比は二・四%でしかない。各国における男性の取得割合は、ドイツでは二・四%で高くはないが、イギリスは約一二%、アメリカは一三・九%となっている。また、スウェーデンでは、育児休業取得者の約三六%が男性であり、男性の割合が高く、男性も育児に参加する者が多い状況にある(第4表参照)。
 スウェーデンにおける男性の取得割合が高いのは、妻への譲渡不可能な六十日間の「父親休暇」制度が影響していると考えられる。
 アメリカでは、合計休業期間は短いものの、時間単位取得等柔軟な方法で取得可能であるため、男性も利用しやすいと考えられる。
 しかし、男性の育児休業取得率が高い国々でも、女性の取得率に比べると男性の取得率は低い。この要因として、日本に比較して小さいものの、各国に残る男女間の賃金格差が大きく影響していると考えられる。

第四節 家庭生活における男女の共同参画

1 家族をめぐる状況
(夫婦関係をめぐる考え方)
 「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方については、日本は欧米諸国に比較して、賛成とする割合が依然として高い(第5図参照)。
 これを性別にみると、女性が三六・八%、男性が四六・六%と男性の方が高く、年齢別にみると二十代、三十代よりも四十代、五十代の方で賛成割合が高い。また、一九八二年の同調査と比較すると、賛成する割合は低下している。日本では、若年層を中心に固定的性別役割分担意識はやや希薄化してきているものの、欧米諸国と比較するとその意識は強く残っているといえる。

(家事労働の役割分担)
 育児期にある夫の育児及び家事時間(以下、「家事関連時間という」)についてみると、日本は二〇〇一年において〇・八時間で、スウェーデンの一九九一年における三・七時間、ドイツの一九九二年における三・五時間と比較して短い。
 二〇〇一年の日本の育児期にある夫の家事関連時間は一九九六年の〇・六時間から〇・二時間増加しているのに対し、育児期にある有業者の妻の家事関連時間は一九九六年の四・五時間から二〇〇一年の五・六時間と〇・二時間減少しているものの、男女間の差は四・八時間と依然として大きい。
 個別具体的な役割分担の実施状況をみると、食事の支度については、日本では妻が八九・七%、夫が一・四%、家族全員が六・〇%としているのに対し、スウェーデンではそれぞれ四九・五%、一四・八%、三四・二%、イギリスではそれぞれ五二・六%、一四・六%、二九・九%となっている。日本では妻に偏りがあるのに対して、欧米諸国では比較的家族全員で行う割合が高い(第6図参照)。

(家計における役割分担)
 家計費管理における最終的な決定者について、日本では妻が六九・五%、夫が一三・九%、夫婦が一四・二%であるのに対し、スウェーデンではそれぞれ二五・〇%、九・九%、五六・五%、ドイツではそれぞれ二〇・六%、一一・四%、六四・九%となっている。日本では妻が決める割合が高いのに対して、スウェーデン、ドイツでは夫婦で決める割合が高い(第7図参照)。
 土地・家屋の購入における最終的な決定者についてみると、日本では妻が六・五%、夫が四六・九%、夫婦が三五・七%であるのに対し、スウェーデンではそれぞれ二・九%、一〇・一%、六八・五%、ドイツではそれぞれ二・三%、一一・四%、七四・七%となっている。日本では家計費管理の場合とは対照的に夫が決める割合が高いのに対し、スウェーデン、ドイツでは夫婦の決める割合が更に高くなる。

第一章 政策・方針決定過程への女性の参画

(国会議員に占める女性割合は増加)
 国会議員に占める女性割合について、その推移をみると、衆議院においては、戦後の一時期を除いて、昭和六十一年(第三十八回選挙)までは一〜二%の間を推移していたが、平成八年(第四十一回選挙)に小選挙区比例代表並立制が導入されたことを機に大きく増加し、十五年一月現在七・一%(三十四名)となっている。
 また、参議院においては、昭和二十二年(第一回選挙)の四・〇%からおおむね増加傾向にあり、平成元年(第十五回選挙)においてそれまでの八・七%から一三・一%と大幅に増加した。それ以降も増加傾向にあり、十五年一月現在では、一五・四%(三十八名)となっている。

第二章 就業の分野における男女の共同参画

(男女で大きな差がみられる給与所得)
 男女の給与所得には大きな開きがある。一年間を通じて勤務した給与所得者を給与階級別にみると、女性では三百万円以下が六三・八%(男性一七・〇%)、百万円以下も一五・三%(男性は一・九%)と多い反面、七百万円超は三・二%(男性二三・三%)と男女差が大きい。女性は家庭との両立等を考慮して就業時間が短いパート等で働く者が多く、女性パートタイム労働者の収入分布をみると、年収九十万から百万円の占める割合が最も高く、年収百万円未満の人が全体の四割を占めている。

第三章 仕事と子育ての両立

(出産を機に女性の約七割が退職)
 厚生労働省「第一回21世紀出生児縦断調査」(平成十三年〜十四年)によると、第一子出産一年前に「有職」であった母親のうち六七・四%が「無職」になっており、第一子の出産を期に約七割が退職している。出産一年前に常勤として勤めていた者に限定すると、第一子出産に伴い五九・五%の母親が勤めを止めており、出産を機に仕事を辞める者が多いことがわかる。

第四章 高齢男女の暮らし

(低下する子との同居世帯割合)
 高齢者の家族形態別構成割合の推移をみると、全体として「ひとり暮らし」、「夫婦のみ」、「配偶者のいない子と同居」の割合が一貫して上昇している。これに対し、配偶者の有無にかかわらず、「子供夫婦と同居」は平成十三年には女性で三一・五%、男性で二二・〇%と昭和六十二年の割合に比較して半減近くの減少となっている。
 こうした状況を、内閣府「国民生活に関する世論調査」(平成十四年)で意識面からみると、老後の暮らし方として、七十歳以上の高齢者で子供夫婦と同居したいとする割合が男性、女性とも五〇%程度あり、実際の割合とは大きく乖離している。

第五章 女性に対する暴力

(配偶者間における暴力の被害者の多くは女性)
 警察庁の統計によると、平成十四年中に検挙された配偶者(内縁関係を含む)間における殺人、傷害、暴行は一千六百六十六件、そのうち一千五百二十八件(九一・七%)は女性が被害者となった事件である。
 殺人においては、女性が被害者となった割合は六〇・九%とやや低くなっているが、傷害については一千二百五十件中一千百九十七件(九五・八%)、暴行については二百十九件中二百十一件(九六・三%)、とそれぞれ高い割合になっており、配偶者(内縁関係を含む)間における暴力の被害者は多くの場合女性であることが明らかになっている。

第六章 生涯を通じた女性の健康

(二十歳代女性で高い喫煙率)
 推移をみると、男性の喫煙率が全年齢、二十歳代ともに低下し、女性全体としてもほぼ横ばいとなっている一方で、二十歳代女性の喫煙率は昭和五十年の一二・七%から平成十四年の二四・三%と大幅に上昇している。
 間接喫煙にさらされている子どもは、肺炎・気管支炎などの呼吸器疾患になりやすく、また、身体発育にも影響があるといわれているが、厚生労働省「第一回21世紀出生児縦断調査」によると、六か月の子を有する父母の喫煙状況は、母一七・四%、父六三・二%となっており、特に「十九歳以下」の母四四・一%、父八三・八%、「二十〜二十四歳」の母三四・七%、父八三・四%と若年層で喫煙している割合が高くなっている。
 間接喫煙を含め、喫煙が胎児、幼児に与える影響を広く周知していく必要がある。

第七章 メディアにおける女性の人権

(男女に差がある情報関連機器の利用率)
 総務省「通信利用動向調査」によると、平成十三年末には、五八%の世帯がパソコンを保有し、前年比二六・五%増の六〇・五%の世帯でインターネットを利用しており、利用者数は五千五百九十三万人、人口普及率は四四・〇%と急速に普及が進んでいる。利用端末の種類別では、パソコンからの利用が最も多く四千八百九十万人、携帯電話・PHS、携帯情報端末からの利用者も二千五百四万人となっている。
 インターネットの利用率を男女別にみると、三十歳以下では女性の方がやや高いが、三十歳以上では男性の方が高く、利用率には男女でかなりの格差がある。

第八章 男女平等を推進する教育・学習

(女性の大学進学率は上昇傾向)
 学校種類別の男女の進学率をみると、高等学校等(通信制課程への進学者を除く)への進学率は、平成十四年度で女性九六・五%、男性九五・二%と、男性よりも女性の方が高くなっている。大学(学部)への進学率は、平成十四年度で女性三三・八%、男性四七・〇%と差がみられるが、女性では短期大学(本科)への進学率(一四・七%)を合わせた進学率は四八・五%となる。女子の大学(学部)への進学率は近年上昇傾向にある一方で、短期大学への進学率は平成六年の二四・九%をピークに近年激減している。
 また、大学院への進学率も年々上昇し、平成十四年度では女性六・四%、男性一三・二%となっている。

第二部 平成十四年度に講じた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策

○ 男女共同参画会議においては、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(平成十三年法律第三一号)の完全施行を踏まえ、平成十四年四月に、「『配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律』の円滑な施行に関する意見(その二)」を決定し、関係各大臣に意見を述べた。
 また、七月には、「政府が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況及び今後の取組に向けての意見」として、「国の審議会等委員への女性の参画の促進」、「女性国家公務員の採用・登用等の促進」及び「仕事と子育ての両立支援策の方針について(平成十三年七月六日閣議決定)に係る施策」について、十三年度におけるその実施状況を監視し、内閣総理大臣及び関係各大臣に意見を提出し、併せて、「男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況の監視に関する平成十四年度の活動方針について」を決定した。さらに、十月には、「男女共同参画に関する施策についての苦情の処理及び人権侵害における被害者の救済に関するシステムの充実・強化に向けた意見」を決定した。
○ 文部科学省は、平成十四年十一月から、「女性の多様なキャリアを支援するための懇談会」を設置し、十五年三月には「多様なキャリアが社会を変える」第一次報告(女性研究者への支援)を取りまとめ、大学・研究所等で女性研究者等が活躍できる環境づくり等に関して提言を行った。
○ 男女共同参画会議では、「影響専門調査会」において、ライフスタイルの選択に影響が大きい税制・社会保障制度・雇用システムについて検討を行い、平成十四年十二月に、個人のライフスタイルの選択等に中立的な観点から、制度・慣行を必要に応じ個人単位に見直すことなどを基本的な考え方とする報告を取りまとめ、公表した。
○ 厚生労働省では、我が国の男女間の賃金格差問題について、その要因の分析、企業における賃金・処遇制度が及ぼす影響等を把握するとともに、格差を縮小するための取組の在り方について検討を行ってきたが、平成十四年十一月に報告を取りまとめたところであり、今後はこの検討結果を踏まえ、男女間の格差解消に向けた取組を進めることとしている。
○ 内閣府では、平成十四年四月より、配偶者からの暴力の被害者支援に役立つ法令、制度及び関係施設についての情報を収集し、内閣府のホームページを通じて提供している。
○ 内閣府では、公的機関の広報・出版物等を策定する際に、男女共同参画の視点を自主的に取り入れるよう、「男女共同参画の視点からの公的広報の手引」を策定した。
○ 平成十四年五月、「アフガニスタンの女性支援に関する懇談会」では、今後我が国が女性支援を進めていくに当たっての基本的な考え方等を盛り込んだ提言「アフガニスタンの女性支援策について」を取りまとめ、内閣官房長官に提出した。

平成十五年度において講じようとする男女共同参画社会の形成の促進に関する施策

○ 男女共同参画会議は、配偶者暴力防止法の見直し等の課題について調査審議を進めるとともに、専門調査会を積極的に活用し、その結果を会議の調査審議に活用するよう努める。
○ 厚生労働省では、労働力需給の迅速、円滑、的確な結合を促進するため、労働者派遣事業制度等の改正について所要の措置を講じる。
○ 厚生労働省では、親の就労形態の多様化に伴い子どもの保育需要の変化に対応するため、三歳未満児を対象に必要に応じて柔軟に利用できる保育サービスを提供する。
○ 内閣府では、配偶者からの暴力に関し、支援者及び相談体制の実情や加害者更生に関する調査研究を実施する。
○ 内閣府では、平成十四年度に策定した「男女共同参画の視点からの公的広報の手引」について広く周知し、国の行政機関が作成する広報・出版物において、男女の多様なイメージが積極的に取り上げられるよう推進するとともに、地方公共団体等においても同様の取組がなされるよう奨励する。




知っておきたい国際・外交キーワード


IMO=国際海事機関

 設立:一九五八年
 本部:ロンドン

 世界の大洋を越えて、たくさんの人や荷物を運ぶ海上輸送。海運は古くから貿易のかなめとして、海に囲まれた日本はもちろん多くの国々で発達してきました。いま、その海運網は世界の隅々にまで張り巡らされています。
 国際海事機関(IMO=International Maritime Organization)は、この海運に関するあらゆる技術的事項を扱う国連の専門機関。その設立の大きな目的は、海上交通の安全と船舶による海洋汚染の防止です。
 そのためにIMOが行っているのは、船の構造設備や交通規則、海洋汚染防止対策などに関する国際基準や条約の作成です。そのなかには、海上における人命の安全、船員の訓練と認定制度、海上での衝突の防止、船舶による海洋汚染の防止、油汚染事故が発生した場合の国際協力、油汚染損害にかかる賠償および保障などに関する国際条約をはじめ、多くの法的文書が含まれています。
 近年、クローズアップされている問題は船舶による環境汚染――タンカーからの流出油による海洋汚染と船舶からの排出ガスによる大気汚染です。
 特にタンカー事故は、大量の原油をタンカーによって海上輸送している現在、深刻な問題です。




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平成14年


国民生活基礎調査の概況


厚生労働省


T 調査の概要

 国民生活基礎調査は、保健、医療、福祉、年金、所得等国民生活の基礎的事項を調査し、厚生労働行政の企画及び運営に必要な基礎資料を得ることを目的としている。
 平成十四年は、世帯の基本的事項及び所得について、同年六月六日に世帯票として約四万六千世帯に、同年七月十八日に所得票として約八千世帯に調査を実施した。

U 結果の概要

[世帯の状況]

1 高齢者世帯は七百万世帯を超えた

 平成十四年六月六日現在における我が国の世帯総数は、四千六百万五千世帯であり、うち「高齢者世帯(六十五歳以上の者のみで構成するか、またはこれに十八歳未満の未婚の者が加わった世帯)」は七百十八万二千世帯であり、昭和五十年を一〇〇とした指数でみると、「全世帯」は一三九・九、「高齢者世帯」は六五九・五となっており、年々増加している。
 また、「児童(十八歳未満の未婚の者)のいる世帯」は千二百七十九万七千世帯となっており、減少傾向にある(第1表参照)。

2 六十五歳以上の者で「ひとり暮らし」、「夫婦のみ」の割合は増加

 六十五歳以上の者について、家族形態別にみると、「子供夫婦と同居」の者は二六・一%で減少、「ひとり暮らし」の者は一四・二%、「夫婦のみ」の者は三五・一%で増加となっている(第1図参照)。

3 二十〜五十九歳の「同居児あり」の女性の「仕事あり」者は十年前に比べて増加

 二十〜五十九歳の女性について配偶者の有無別に「仕事あり」者の割合をみると、「配偶者あり」では五五・三%、「配偶者なし」では七七・四%となっている。
 そのうち「配偶者あり・同居児あり」の者では、「仕事あり」の割合は五一・五%となっており、年齢が高くなるにしたがって割合も多くなり、「四十五〜四十九歳」では六五・四%と最も多くなっている。
 「配偶者あり・同居児あり」の女性の「仕事あり」の割合を平成四年と比較すると、すべての年齢階級において増加している(第2図参照)。

[所得の状況]

1 全世帯の一世帯当たりの平均所得は六百二万円で、五年連続減

 平成十三年の全世帯の一世帯当たり平均所得金額は六百二万円となっており、五年連続減少している。また、高齢者世帯の一世帯当たり平均所得金額は三百四万六千円、児童のいる世帯の一世帯当たり平均所得金額は七百二十七万二千円となっている(第2表参照)。

2 高齢者世帯の所得の約七割は公的年金・恩給

 所得の種類別金額の構成割合をみると、高齢者世帯では「公的年金・恩給」が六九・八%、「稼働所得」が一九・一%となっている(第3図参照)。
 公的年金・恩給を受給している高齢者世帯のなかで「公的年金・恩給の総所得に占める割合が一〇〇%の世帯」は五九・五%となっている(第4図参照)。

3 児童のいる世帯の生活意識は、「苦しい」が約六割

 生活意識別世帯数の構成割合をみると、「苦しい」(「大変苦しい」と「やや苦しい」)が五三・七%、「普通」が四一・二%となっている。
 「児童のいる世帯」では六〇・八%が「苦しい」と答えているが、「高齢者世帯」では「苦しい」と答えた世帯は四八・二%となっている(第5図参照)。




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租税史料の収集にご協力を


(租税史料館見学のご案内)


国 税 庁


【租税史料館の目的】

 租税史料館は、昭和四十三年に税務大学校若松町校舎に租税資料室として設置され、平成十年七月、埼玉県和光市への校舎移転を機に、税に関する歴史的史料の唯一の専門館としてオープンしました。税に関する貴重な史料を収集、保存するとともに、展示等を通じて広く一般の方々に公開しています。また、専門のスタッフが、集められた史料の歴史的考察や租税制度の研究も行っています。
 そのほか、小・中・高校生等の総合的な学習の時間や租税教室の活用にも最適です。是非ご利用ください。
(1) 平成十五年三月末現在の収蔵点数は約十四万点。その収蔵点数と充実した内容において税に関する史料館としては他に類を見ないものとなっています。
(2) 専門の研究スタッフが鋭意、調査・分類・保管作業を行っています。
(3) 提供いただいた史料を順次分類整理のうえ、「租税史料目録」として刊行し、全国の主要大学や公立図書館・資料館等に配付し、研究者や、文筆家の考証資料等に有効に活用されています。
(4) 学術研究上、特に意義があると認められる史料は、解読・解説を加えて「租税史料叢書」として、また特別展示等の内容をまとめ「図録」として刊行しています。
(5) 展示室を設けて収集した貴重な史料の一部を展示し、一般に公開しています。また、中学生・高校生等の租税教室等に大いに利用されています。

【租税史料の収集にご協力を】

 租税史料館では、展示室等の移転に伴い、史料内容の一層の充実を進めています。
 租税史料とは、税務行政の公文書だけに限りません。図書、写真、器具など、人々の暮らしと税に関係するあるゆるものが大切な史料です。
 あなたの近くに史料は眠っていませんか。租税に関する歴史的な史料の提供をお待ちしています。
 また、史料の現物に限らず、「私の町の資料館にまとまった租税の史料がある」、「税金の史料らしいものを保管している」といった情報の提供もお待ちしています。

〈租税史料の収集例〉
(1) 行政機関からの提供
税務官署の建て直し時期に発見された行政文書や定期簿書整理の際の廃棄予定文書等
(2) 民間からの提供
 @ 江戸時代に名主だった入間家から寄贈を受けたもの(入間家名主文書)
 A 私立博物館「地券の館」を経営していた小山氏から、「大事に保管してくれるところへ」ということで寄贈を受けたもの
 B 元東大阪税務署長の長田氏のコレクションを、同氏の遺族等の意向により寄贈を受けたもの
 C 山形市の造酒屋から、酒樽の目張り用に買い集めた古文書の寄贈を受けたもの
  ※ 史料提供の問い合わせは、最寄りの税務署(総務課)にお願いします。

【租税史料館見学のご案内】

(1) 一階フロアーの説明室では、ビデオプロジェクターを使い史料等の解説を行っておりますので、小・中・高校生等の租税教室にもご利用できます。また、閲覧のスペースに設置されているタッチパネルで簡単に史料を検索し、閲覧することができます。
(2) 二階フロアーの展示室では、「みみできく税のコーナー」で街頭録音や納税数え歌などSR盤レコード等の音声史料を聴くことができます。そのほか、「税金体験コーナー」では、CD−ROM教材(「ゲゲゲの森の税金教室」等)によってクイズを楽しみながら税の意義や仕組みを学ぶことができます。

〈特別展示〉
 本年度の「特別展示」は、「地券の世界」と題して、九月から開設されます。
 今回の「特別展示」は、前回に引き続き「地租改正」を取り上げ、特に「地券」にスポットを当てて地券から土地台帳へ至るまでの土地の公証制度の沿革について分かりやすく紹介しています。
 パネルや地券の展示などを通じ、地租という税が制定され、その前提として所有権が個々人に認められた事や、税の負担の公平を図る目的からそれまで税が免除されていた市街地にも課税されるようになった事などを解説し、当時の税に興味・関心のある方はもちろんのこと、中学生・高校生の方にも理解しやすい内容となっています。
 特に、中学生・高校生の皆さんには、日本史等の教科書に出てくる言葉の「生」の史料と触れ合うことができるよい機会ですので、ぜひ一度見学をおすすめします。

■ 開館時間:午前九時三十分〜午後四時三十分(入館料無料)
■ 休館日:土・日曜日、祝日、年末年始、館内整理日及び特別整理期間(館内整理日及び特別整理期間については、租税史料館までお問い合わせください。)

〈問い合わせ・申込み先〉
租税史料館の見学の問い合わせ・申込みは
税務大学校租税史料館
〒三五一―〇一九五 埼玉県和光市南二―三―七
Tel〇四八―四六〇―五三〇〇(ダイヤルイン)




暮らしのワンポイント


観葉植物の手入れ

ミルクの効果で葉にツヤ

 鮮やかな緑を室内で一年中楽しめる観葉植物。手入れの基本さえ押さえておけば、初心者でも手軽に育てられます。初めて買うなら、丈夫で手がかからないポトス、カポック、ゴムの木などがお奨めです。
 手入れのポイントは、水と風通し、そして日光の当て方です。まず、水はやりすぎないこと。土が乾いたらたっぷりと与え、鉢皿にたまった水は必ず捨てましょう。そのままにしておくと根腐れの原因になります。
 注意したいのが冬場の水。寒い冬に冷たい水道水では植物が弱ってしまいます。水をしばらく室内に置き、室温程度に温めてから与えるようにしましょう。
 風通しは植物にとってとても大切です。風通しが悪いと葉が落ちたり元気がなくなったりします。また、エアコンの風が直接当たると乾燥し過ぎてよくありません。一日一回は窓を開け、外の空気に触れさせましょう。
 さらに、観葉植物には直射日光も要注意。強い日差しに耐えられないものが多く、特に夏場は紫外線が強いので、できるだけ日陰に置くようにしましょう。逆に日差しが弱い冬場は、時々外に出して日光浴をさせると元気になります。
 肥料をやるのは、主に植物が成長する春から夏にかけての時期。秋や冬はあまり与えなくても大丈夫です。肥料も水と同じく、やり過ぎは厳禁。説明書をよく読み、植物の種類や鉢の大きさなどに合わせて与えます。
 室内の観葉植物は乾燥しやすく葉にホコリがつきやすいもの。霧吹きで時々葉をしめらせて乾燥を防ぎましょう。また柔らかい布やティッシュに牛乳を染み込ませて葉を拭(ふ)くと、ミルクの成分がワックス効果を発揮して葉にツヤが出ます。




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リデュース・リユース・リサイクル推進月間


国 税 庁


 世界的な重要課題となっている地球環境問題の一つとして廃棄物の問題がクローズアップされています。我々の日常生活と深い関わりを持っている酒類についても、その容器をリサイクルすることによって、よりよい自然環境、地球環境に貢献していく必要があります。
 このリサイクルを推進するためには、産業界、消費者及び行政の各関係者の理解と協力が必要不可欠です。このため国では、毎年十月を「リデュース・リユース・リサイクル推進月間」とし、広範な啓発普及活動を実施しています。
 地球ともっと仲良くなるために、リサイクルを考えながらお酒を楽しむというのも大切なことではないでしょうか。

【酒類容器のリサイクルについて】

 お酒の容器には、ガラスびん、缶(スチール製、アルミ製)、ペットボトルなどがありますが、その容器の素材により、次のようなリサイクルの方法がとられています。

1 ガラスびん
 (1) 回収してそのまま再使用」(リターナブル)
 使用済の容器を回収し、洗浄等を行った上、そのままの形で再使用するのが「リターナブル」です。リターナブル容器の代表としては、ビールびんや一升びんがあります。
 ビールびんは年間約二十四億本が使用され、ほぼ一〇〇%が回収されています。また、一升びんについては年間約三億九千万本が使用され、そのうち、ほぼ九〇%が回収されており、いずれも「リサイクルの優等生」となっています。
 リターナブル容器は、廃棄物の発生抑制及び資源の有効利用の観点から優れているといえますが、近年は、使い捨てのワンウェイのガラスびんや、他素材(紙製容器、缶、ペットボトル等)へのシフトに伴い、減少傾向にあります。
 酒類業界においては、資源の有効利用及び環境問題への取り組みの一環として、中小規格統一びん(通称「アールびん」、平成四年二月に五百ミリリットルびん、平成十四年九月に三百ミリリットルびん)を導入し、リターナブル容器の普及に努力しています。
 (2) 「カレットとして、溶かして再利用」
 リターナブルびん以外のガラスびんについては、色別に集められ、カレット(ガラスのくず)化した後、溶かしてガラスびんに再生されます。カレットを利用したガラスびんの製造は、カレットを多く使用すればするほど、けい砂、ソーダ灰、石灰石といった天然の資源を節約できるほか、原料を溶かす時間が短縮できるので、熱エネルギーを節約することができます。
 しかし、カレット化の際、種々の色が混入していたり、耐熱ガラスのように質の違う物が混入していると、再生ガラスの品質が劣化し、使い物にならなくなりますので、排出の際は、タバコの吸殻等の異物を除去し、栓、キャップ等を分離した上でびんを色別に区分する必要があります。

2 缶(スチール製、アルミ製)
 スチール缶及びアルミ缶については、いずれも溶かして再びスチール、アルミとして再生されます。アルミ缶再生の省エネルギー効果は特に優れていて、平成十三年度に回収、再生地金化されたアルミ缶を例にとると、ボーキサイトから新地金を作る場合に比べて、電力量に換算して四十六億五千万キロワットの節約となります。これは、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、栃木県の一都四県一千五百七十九万世帯の概ね一か月の使用電力に相当するものです。
 平成十三年度における再資源化率は、スチール缶で約八五%、アルミ缶では約八三%となっています。缶は、材質ごとに再生されることからスチール製、アルミ製を区分し、タバコの吸殻等の異物を除去し、軽くすすいだ後、つぶして排出することが必要です。

3 ペットボトル
 ペットボトルについては、分別して収集された後、ペットボトル再生処理工場で破砕、洗浄などが行われ、フレーク又はペレットというプラスチック原料等になります。これらは、プラスチック製品、繊維製品などの原材料として利用され、ペットボトル再製品のワイシャツ、カーペット、台所洗剤用容器等、さまざまな物に再利用されています。
 このほか、モノマー化と呼ばれる手法により、繊維やペットボトルなどのポリエステル製品の原料を得る方法もとられています。
 ペットボトルは、そのままの状態では非常にかさばるため、必ずキャップを除去し、軽くすすいだ後、つぶしてから排出することが必要です。

【容器包装リサイクル法について】

 一般廃棄物のうち、容量ベースで約六割を占める容器包装廃棄物についてリサイクルを推進し、廃棄物の減量化と資源の有効利用を図ることを目的として、平成七年六月に、「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」(容器包装リサイクル法)が制定されました。
 この法律では、「消費者による分別排出 市町村による分別収集 事業者による再商品化(リサイクル)」という、各者の役割分担により新たなリサイクルシステムを構築し、容器包装廃棄物のリサイクルを促進していくことを基本としています。平成九年四月からガラスびん及びペットボトルについて、また、平成十二年四月からは、紙製、プラスチック製の容器、包装についても市町村による分別収集が開始され、事業者の再商品化義務が発生しています。
 消費者の皆さんにも、容器包装廃棄物を排出する際には素材ごとの区別、洗浄、異物除去等に努め、市町村の分別収集に協力していただくことが必要です。

【わたしたちもリサイクルに貢献するために】

 私たち消費者も毎日の生活の中で、次のような点に少し気を配るだけでリサイクル運動に参加することができます。
@ 商品を購入する際には、なるべく簡易包装化のものやリターナブルびんを使用している商品を選ぶなど、廃棄物の排出抑制に努める。
A 容器包装廃棄物を排出する際には、容器包装に表示された別紙の識別マークにより分別し、市町村の分別収集や集団回収等に協力する。
B リサイクル製品(再生紙や再生プラスチック製品等)を積極的に選択し、リサイクル製品全体の需要拡大に貢献する。



    <10月22日号の主な予定>

                経済産業省 
 ▽製造基盤白書のあらまし………厚生労働省 
                文部科学省 




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