▽食料・農業・農村白書のあらまし…………………………農林水産省
▽法人企業の経営動向(平成十一年十〜十二月期)………大 蔵 省
▽労働力調査(二月)…………………………………………総 務 庁
食料・農業・農村白書のあらまし
第T章 食料の安定供給確保
第一節 我が国の食料消費・食生活
(一) 食料消費の現状
平成十年度における非農家世帯の世帯員一人当たり実質食料消費支出(食料費)は、景気の低迷により消費支出全体が低調に推移する中、ほぼ前年度並みの水準(対前年度比〇・一%減)で安定的に推移した。
生活スタイルの多様化等を背景に、家庭における調理や食事を、調理食品やそう菜、弁当といった「中食」や「外食」で代替させるようになるなど、食料消費の形態も大きく変化している(第1図参照)。
食料消費支出の四分の一以上を家庭外に依存している現状の下で、消費者の意識も変化し、料理を簡便化することへの抵抗感も低下しつつある。今後の食生活を考える際には、このような消費者の意識の変化を前提とした検討が必要である。
(二) 我が国の食生活がかかえる課題
我が国の食料消費は「飽食」と言われるほど豊かになったが、食生活や生活スタイルの変化等に伴い、栄養素摂取の過不足やバランスの崩れが問題化している。
また、期限切れ食品等の廃棄、飲食店や家庭における調理ロスや食べ残し等、生産・消費の各段階における「食料ロス(食料廃棄)」への対応も課題となっている。
食料ロスの削減は、食料自給率の低い我が国において資源の有効利用という面からはもとより、廃棄物処理に伴うコストや環境への影響の軽減等の観点からも重要である。
さらに、生活スタイルの変化に伴う「欠食」や「孤食」、「個食」といった食習慣の変化の問題、家族一緒の食事の機会が減少したことに伴う家庭における食教育機会の減少等といった数多くの問題が存在している。
問題の解決には、国民の一人ひとりが自らの食生活を見直すことが必要であり、そのためには、「自らの食生活の見直し」への意識が国民に共通の認識となり、運動として展開できるよう国や関係機関をあげての支援が必要である。
(三) 子ども達の「食」を考える
栄養摂取の過不足や欠食等の問題をかかえる子ども達の食生活を栄養バランスがとれた健全で適切なものとするには、家庭内における食事はもちろんのこと、中食や外食を含めた食生活全体のあり方について、見直しが必要である。
日常の食事に使用されている食材の名称を知らない子ども達も少なくないなど、子ども達の「食」への関心・知識が不足している。
心身の発育段階にある子ども達にとって、毎日の食事は、栄養摂取の面だけでなく、将来の食習慣の形成や健康維持、食文化の継承等にも大きな意義をもつものである。子ども達の「食」への関心・知識を深めるため、農作業体験や調理体験等、各般の取組みが必要である。
第二節 食料自給率と食料安全保障
(一) 食料自給率
我が国の食料自給率は、昭和四十年度から平成十年度の間に、供給熱量自給率は七三%から四〇%へ、穀物自給率は六二%から二七%へといずれも大きく低下している(第2図参照)。
米の消費が減少する一方、輸入飼料穀物や輸入油糧種子に依存せざるを得ない畜産物、油脂類の消費が増加する等、我が国の食生活の変化が長期的な自給率低下の主な要因となっている。なお、近年はこのような食料需要の変化が鈍化する一方、国内生産量自体が減少傾向で推移してきたことが、自給率低下の要因となっている。
国民に対する食料の安定供給を確保することは国の重要な責務であり、自国の農業資源を持続可能な方法で最大限活用することは、世界の食料安全保障等にも貢献するものである。備蓄や輸入には一定の限界がある。食料の安定供給確保のためには、国内農業生産の可能な限りの増大を図ることが重要である。
基本法に基づき、十二年三月に策定された基本計画においては、食料自給率の目標(目標年次は二十二年度)について、基本的には、食料として国民に供給される熱量の五割以上を国内生産でまかなうことを目指すことが適当であるとするものの、計画期間内での実現可能性や、関係者の取組み及び施策の推進への影響を考慮し、供給熱量ベースの総合食料自給率目標は四五%、穀物自給率目標は三〇%、主食用穀物自給率目標は六二%と設定された。また、参考として金額ベースの総合食料自給率目標(七四%)も提示された。
(二) 食料安全保障
食料の安定供給を図る上では、国内農業生産の増大を基本とし、これに加え、安定的な輸入の確保が不可欠である。そのためには、情報収集体制の整備、輸入相手国の多元化等を図るとともに、WTO農業交渉で食料安全保障の重要性等について積極的に主張することが重要である。また、主要食料等の備蓄制度の適切かつ効率的な管理・運営が必要である。
不測時においては、最低限度の食料供給を確保できるよう、食料安全保障の確立が必要であり、不測の事態のレベルに応じた対策を明らかにしておくことが効果的である。また、石油等の農業生産資材の確保や、国内における輸送手段の確保等、関係省庁の連携の下での幅広い対応を速やかに実施するための検討が必要である。さらに、常時、国内外の食料需給動向等に関する情報を的確に把握、分析するため、情報基盤の整備の推進が必要である。
スイス、ドイツ、北欧諸国等では、公的備蓄や食料配給制度、食料増産対策等不測の事態に対応するための施策が整備されている。
第三節 食料の安定供給を支える食品産業と安全・良質な食料の供給
(一) 食品産業
農水産業と食品産業からなる食料供給システムを概観(平成七年)すると、十六兆二千億円(国内生産十三兆円、輸入三兆二千億円)の農水産物が、加工・流通を経る過程で徐々に付加価値を高め、最終消費額として八十兆四千億円に到達している。最終消費の内訳は、生鮮食品の割合の低下が続く一方、加工食品及び外食の割合は上昇傾向にある。
食品産業が輸入依存を強める中で、食品産業と農業との連携は、食品産業側には良質な食材の安定的確保、農業側には国産農産物の需要の拡大等、双方にメリットがある。連携の積極的推進を図るため、適切な助言・指導ができる人材の配置等による推進体制の強化、双方が利用できる情報システムの整備等、総合的な支援が必要である。
また、食品流通業の効率化と活性化のためには、インターネット等の情報化技術の活用によって取引の電子化を推進し、最適な流通システムを構築することが重要である。
食品産業においても、廃棄物の減量化、リサイクルの推進等、事業活動に伴う環境への負荷の軽減に向けた取組みが求められており、関係者の適切な役割分担の下で、循環を基調とした経済社会システムに適合できる仕組みづくりが重要となっている。
そして、平成十二年四月からの容器包装リサイクル法の完全施行に当たっては、制度の普及・啓発の促進、再商品化製品の需要拡大等が一層必要となっている。
(二) 食品の安全性の確保と表示・規格制度の充実
食品の安全性意識が高まり、食品産業における安全性確保対策が課題となっている。平成十年七月に施行されたHACCP手法支援法に基づく高度化計画の認定件数では、十一年十二月末で三十六件となっている。食品の安全性確保のためには、生産から消費に至る一貫した体制の確立が必要である。
ダイオキシン対策については、ダイオキシン対策推進基本指針に沿って、農畜産物に関する実態の把握等を図るとともに、ダイオキシン類の排出削減に向け、食品廃棄物等廃棄物の発生抑制・リサイクルの推進に努めている。
そして、消費者の視点を重視した施策推進の観点から、食品表示の充実強化や有機食品の検査認証・表示制度の創設等を内容とする、改正JAS法が同年七月に成立した。
遺伝子組換え食品の表示については、十一年八月に「食品表示問題懇談会」において、最終報告が取りまとめられ、今後、所要の手続きを経て、十三年四月から遺伝子組換え食品の表示が実施される予定である。現在、コーデックス委員会で国際的な検討も開始されており、我が国としては、我が国の表示に関する考え方をベースにその立場を主張し、国際的な議論に積極的に参画していくことが必要である。
第四節 世界の穀物需給と農産物貿易の動向等
(一) 世界の穀物需給の動向
最近の世界の穀物需給は、一九九六/九七年度以降の豊作や東南アジアの経済の混乱による需要の低迷等により緩和傾向で推移しているが、期末在庫率は八〇年代までの水準と比較すれば低水準となっている。
今後、人口増加と畜産物消費の拡大による穀物需要の大幅な増加が見込まれる一方、生産面では農用地の面的拡大の制約や環境問題の顕在化等、種々の制約要因が明らかとなっており、世界の食料需給は、中長期的にはひっ迫する可能性がある。
(二) 内外の農産物貿易の動向
近年の穀物貿易の動向をみると、輸入ではアジアやアフリカ、輸出では米国や南米のシェアが上昇し、南米を除く開発途上国の農産物貿易収支が悪化している。
我が国の農産物輸入は、消費者ニーズの高度化・多様化等を背景に大きく拡大する中で、穀物等主要農産物の輸入の八割以上を米国等の二か国に依存している。
(三) 内外価格差の動向
平成十年の我が国(東京)の食料品小売価格は、海外主要都市に比べ二〜三割程度割高となっている。内外価格差を縮小するためには、農業と関連産業全体のコスト低減努力が必要であり、特に海外と比べて割高な農業生産資材費等の低減が重要である。
(四) 最近の諸外国の農政の動き
米国では、前年に引き続き総額約八十七億ドル規模の農家救済策を実施している。オーストラリアでは、オーストラリア小麦ボード(AWB)が民営化されたが、事実上輸出一元管理を維持している。EUでは、共通農業政策の改革が合意され、フランスでは新農業基本法が成立し、「経営に関する国土契約(CTE)」の制度が導入された。
(五) 国際協力
食料・農業分野の国際協力は、食料問題の解決や世界の食料安全保障への貢献、開発途上国の貧困緩和や持続可能な開発の実現のために重要である。我が国としても、世界有数の援助国として、効果的・効率的な協力実施のため、事業成果の評価を適切に行うこと等が重要である。さらに、WTO農業交渉等との連携も必要となっている。
第五節 WTOをめぐる動き
(一) WTO農業交渉の位置付け
UR農業合意は、輸入国と輸出国との間の公正な貿易ルールという見地からは、不十分なものとなっている。農業交渉は二十一世紀の世界の農産物貿易ルールの方向が決定される重要な交渉であり、特に我が国においては、基本法の理念やこれに基づく施策が、国際規律の中で正当に位置付けられることがきわめて重要となっている。
(二) 次期交渉に向けての日本の提案とシアトル閣僚会議
一九九九年四月末に「次期WTO交渉における対応の基本的考え方」を取りまとめ、国民各層への情報提供を積極的に行った。さらに議論を進め、同年六月末に「次期交渉に向けての日本の提案」を取りまとめ、WTOに提出した。
同年十一月三十日〜十二月三日、WTO第三回閣僚会議が米国のシアトルで開催されたが、加盟国の立場の相違や時間的制限等から、次期交渉を立ち上げることについては未合意となったが、農業の多面的機能の具体的内容である食料安全保障、環境保護、農村地域の活性化、食品の安全性については、各国の理解を得ることができた。
(三) WTO農業交渉の今後の課題
我が国は、農業の多面的機能や食料安全保障の重要性等について、これまでもWTOの場のみならず、各種国際会議等においても積極的に主張してきた。今後とも我が国の主張の浸透に向け、様々な機会を通じて各国への働きかけを継続することが必要である。また、国際機関の場における多面的機能の検討を支援するとともに、EU、韓国等を中心とした国々と連携しつつ、国際世論の形成に努めることが重要である。
地方公共団体における先駆的な取組事例
基本法において、地方公共団体が地域の諸条件に即して施策を策定・実施する責務が規定されたことを踏まえ、今回の年次報告においては、先駆的な取組みを行う地方公共団体の事例を紹介している。
(岩手県)
平成十一年九月、「県農業・農村基本計画」を策定し、農家数等の具体的目標値(二十二年)や県産農産物の品目別供給力の目標値を設定している。同年十月にはこの実現に向け、消費者も含めた県民が一丸となって、農業・農村の振興を図る「いわて食料供給基地宣言」が採択された。
そして、県で農業副読本(マンガ)を作成し、小・中学校に配布するなど、農業体験学習を推進している。また、環境に優しい生産技術の導入目標や県産品の品質の高さを表す指標として「いわて農業純情度指標」を策定・公表するとともに、農業の多面的機能への理解醸成のため、定量的評価の試算、県民の意識調査等の取組みを実施している。
(埼玉県)
大消費地に立地する埼玉県では、平成十一年三月に、食料・農業・農村の三つを施策の柱とする「農業振興ビジョン」を策定した。百七十八項目の取組目標を数値化し、施策を展開するとともに、毎年、達成状況を把握・分析し、公表することを予定している。
本ビジョンにおいては、消費者の視点を重視した施策が前面に打ち出され、県民運動として有機農産物の生産・流通・消費対策を進める「彩の国有機百倍運動」や、農畜産物の安全性確保対策等を推進することとしている。
また、米、麦、大豆、野菜等を組み合わせた水田農業を確立するため、生産対策に加えて、自県産原料を使用した「彩の国うどん」の開発、学校給食での自県産米、大豆(納豆)の使用等の加工、消費対策を実施している。
(岐阜県)
平成十一年三月に県レベルで食料の供給安定対策を推進する「県民食料確保計画」を策定した。県の食料自給率を示すとともに、具体的対策(生産・消費対策、緊急時の食料確保対策等)を提示し、県民の意識の喚起に努めている。特に自給率の低い麦・豆類の生産拡大については、高品質多収品種の導入、輪作栽培の促進、高能率機械化体系の確立等のほか、販売・流通の振興方策が推進されている。
第U章 農業の持続的な発展
第一節 我が国農業の特質
農業の形態は、地域のおかれた自然条件や、歴史的、経済的要因によって規定されるため、世界各国や各地域の農業形態は、きわめて多様なものとなっている。
我が国農業の特質は、おおむね以下のとおりである。
○基本的にアジア・モンスーン地帯に属し、高温多雨な夏期に適した水稲作が広く展開されている。また、冬期に乾燥少雨となる太平洋側の一部地域では裏作麦を導入した二毛作体系が普及してきた。
○国土の六一%を山地が占めるなど平坦な土地が限られ、土地利用の競合関係が強いため、国土面積に占める農用地面積比率は約一四%、農家一戸当たりの経営耕地面積も約一・六ヘクタールと狭小である。
○農用地面積に占めるかんがい面積の割合は世界的にみて高い水準となっている。水田は、連作障害回避、土壌侵食防止等の効果があり、安定的な農業生産を実現してきた。水稲は生産の安定性に優れ、栄養性に富むことから、狭小な国土で多数の人口の扶養を可能とし、十八世紀初頭には世界有数の高人口密度社会が形成された。
○農業用水を集団で管理・利用する必要があったこと等を背景に、共同体として農業集落を単位とする営農形態が形成されてきた。また、農作業の円滑な実施等のためにつくられた集落内のルールは、相互扶助精神の醸成や独自の文化の形成・伝承にも大きな影響を与えている。
このように、我が国農業の持続的な発展を図っていくためには、我が国農業の特質を十分踏まえた上で、施策のあり方や推進方策等を検討することが重要である。
WTO農業交渉の場においても、農業生産活動の維持が、国土や社会の維持・安定に大きく貢献しているという現実について各国の理解を得るとともに、各国農業が共存できるルールの確立を図っていくことが必要である。
第二節 我が国農業を支える基盤
(一) 農家、農業労働力の動向
我が国の農業労働力は、減少と高齢化が進行しており、農業生産の維持・拡大を図る上で深刻な問題となっている。
平成十年の新規就農青年数は一万一千人で昭和六十二年以来の一万人台に到達した。新規就農者の確保状況と市町村の取組みには相関が認められ、今後とも行政、関係機関等の適切な役割分担と連携の下にきめ細やかな支援が必要である。
(二) 農地、農業用水の確保と有効利用
農業生産の基盤である農地は、転用、耕作放棄等により、昭和三十六年の六百九万ヘクタールから平成十一年には四百八十七万ヘクタールへと年々減少している。そのため、適切な土地利用計画に基づく優良な農地の確保に向け、十一年七月に農振法の一部改正が実施された(第3図参照)。
耕作放棄の防止・解消には、ソフト・ハード両面の取組みによる担い手への農地集積の促進が有効である。
また、水田の整備は、稲作の労働生産性の向上に資するとともに、農地流動化の促進と耕作放棄の防止にも寄与している。
農業用水は、かんがいに利用されるだけでなく、地域用水機能等、多面的な役割を発揮している。また、農業水利施設は国民的な資産であり、その機能を十分発揮するため、施設の適切な更新・整備及び維持管理が重要となっている。
(三) 農業の発展を支える技術開発と普及
平成十一年十一月に、基本法に即した今後の研究開発の重点を、農業の現場を支える技術開発と、農業技術の革新が期待される基礎的・基盤的研究に置くとする「農林水産研究基本目標」が公表された。また、普及事業は、一層高度な技術・経営ニーズに即応するため、試験研究機関等との連携が一層必要となっている。
土地利用型農業の確立等現場のニーズが大きい喫緊の課題については、民間も含め、関係機関が一体となった迅速な取組みが必要となっている。
バイオテクノロジーを活用した産業発展に向けては、ゲノム解析等基礎的・基盤的研究の加速的推進や、実用化に向けた技術開発が重要である。遺伝子組換え技術は、環境への影響や安全性の確保に十分配慮し、国民的理解の促進に努めつつ、引き続き研究開発を進める必要がある。
第三節 多様な担い手の確保と農業経営
(一) 平成十年の農家経済
平成十年の販売農家一戸当たりの農業所得は前年より三・六%増加し、百二十四万六千円となったが、農外所得の落ち込みをカバーするには至らず、農家総所得は一・三%減少し八百六十八万円となった。
世帯員一人当たりの所得では、販売農家平均で勤労者世帯を上回るものの、主業農家では下回っている。また、就業者一人一日当たりの所得の比較では、農業所得は販売農家平均で製造業賃金の三割強、主業農家で五割強の水準にとどまっている。
(二) 多様な担い手の動向
ア 多様な担い手の活動実態
我が国の農業生産は、地域の実情に応じた多様な担い手に支えられており、認定農業者等の効率的・安定的な経営体をはじめ、多様な担い手が相互に補完し合う仕組みづくりが重要となっている。
・認定農業者
認定農業者数は、平成十一年十二月末現在約十四万に到達している。市町村においては、認定後五年を経た農業者の現況を踏まえ、さらなる経営改善の取組みが継続されるよう、再認定に向けた取組みが重要な課題となっている。
・集落営農
集落営農は、地域の農業生産活動の継続や機械利用の効率化等の面で効果が大きく、集落等を基礎とした水田農業の持続的発展を図る上で、その活動の促進を図ることが重要である。そのためには、地域農業の実情と将来方向を明確にし、後継者の計画的確保等、将来にわたって活動できる組織づくりが必要である。
・農業サービス事業体
農業サービス事業体は、個別経営等を支援し、優れた技術水準のサービスを提供する役割を担うなど、重要性が増しつつある。今後さらにオペレーター等の人材の確保・育成や、サービス需要の掘起し等が必要である。
・第三セクター
第三セクターは、多様な担い手の一形態としての期待が高まっているが、経営の赤字構造に悩む例も多く、その設立等に当たっては、事業内容や効果等を吟味し、地域の合意を十分に得ることが重要である。
・中山間地域等への直接支払いの実施を通じた担い手、集落営農の育成
中山間地域等においては、起伏の多い地形から集落営農等が農家所得の向上に有効となっている。集落協定の締結等を通じた直接支払い、担い手の規模拡大等への加算により、担い手や集落営農等を育成していく必要がある。
イ 農業・農村における女性の動向
女性は、農業、家事等で重要な役割を担う一方、近年は地域社会における活動も増加してきている。しかし、地域社会の方針決定過程への参画状況は、依然として低水準である。男女共同参画社会基本法、食料・農業・農村基本法の成立を受け、「農山漁村男女共同参画推進指針」においては、女性の参画目標や地域計画の策定等が提起されるなど、固定的な役割分担意識を見直すため、より具体的な取組みが求められている。
ウ 農業の担い手としての高齢者の役割
農業労働力の高齢化の進展に伴い、農業生産における高齢農家のシェアは拡大し、我が国農業は高齢者に相当程度依存する構造となっている。他方、高齢者の農作業中の死亡事故の発生件数等の増加もみられ、農作業安全対策の実施とともに、生涯現役として元気に活躍できるような、生産条件や生活環境の整備が重要である。
(三) 農業法人の現状と課題
農業生産法人は、平成十一年現在、五千五百八十七法人となっており、有限会社を中心に増加傾向にある。法人経営は、経営者の意識改革、経営体質の強化等に有効であり、雇用の創出、新規就農者の育成等、地域社会の活性化や地域農業の発展にも貢献している。
農業生産法人の活性化を目的とした株式会社形態の導入を含む農業生産法人の要件の見直しについては、農業生産法人制度検討会における検討結果が十一年七月に取りまとめられ、十二年度において、関連法令等の整備を進めることとされている。
第四節 我が国の農産物需給の動向と水田を中心とした土地利用型農業の発展
今後、基本法の理念に即し、農業生産の増大を図っていくには、市場ニーズに即応しつつ、地域の条件等を活かした適地適産を推進するとともに、水田農業の活性化を図ることが重要な課題となっている。
(一) 水田を中心とした土地利用型農業の発展
ア 米の需給動向
近年の米需給は、過去最大規模の生産調整の実施等により需給バランスは回復傾向にあるが、依然、国産米在庫は適正備蓄水準を上回っている。平成十一年産の作柄は作況指数一〇一の「平年並み」、生産量は九百十七万五千トンとなっている。
近年の自主流通米価格は、入札制度の改善の進展から市場評価や需給動向に敏感に反応する傾向にあり、今後は需要に応じた計画的生産が一層重要となっている。
イ 米の計画的生産と麦・大豆等の本格的生産に向けた課題
麦・大豆等は、生産調整規模の変動に伴う作付面積の増減が大きく、十分定着しているとはいえない状況にあるが、作付けの団地化等による品質の向上や、作業の効率化等を通じた高収益の確保は可能であり、各地にみられる優良経営の全国的拡大が必要である。
また、麦・大豆は、単収や品質の変動が大きく、実需者ニーズに適切に対応した供給体制も不十分であるため、実需者の評価を取り入れた品種の開発、ロットの確保等が重要な課題である。飼料作物については、耕種農家と畜産農家とが十分な連携を図りつつ、ほ場の団地化等、効率的な生産の促進も必要である。
平成十一年十月に、「水田を中心とした土地利用型農業活性化対策大綱」が決定され、従来の生産調整対策を抜本的に見直し、土地利用型作物の本格的生産を一層誘導するため、五年間の安定した助成システムが創設されることとなった。今後、全国の生産者が自らの経営判断として麦・大豆・飼料作物の本格的生産に取り組み、収益性の高い水田農業の実現を通じ、農業の持続的発展や自給率の向上に資することが期待される。
ウ 市場原理の活用と経営安定対策の実施
麦については、平成十二年産から民間流通へ移行することとされ、十一年九月に入札が実施された。落札結果は、銘柄により基準価格に対し高低が生じるなど、実需者の評価が反映された。大豆についても、交付金制度の見直し等を行い、市場評価が生産者の手取り価格に反映される仕組みが構築される予定となっている。
農産物の価格変動が農業経営に及ぼす影響を緩和する観点から導入されている経営安定対策については、十二年産から大豆についても導入する方向で検討されている。麦についても、民間流通への移行に際し、生産者の経営安定等を図るための措置を、十二年産から導入することとなっている。
稲作経営安定対策では、数量ベースでは十年産、十一年産と連続して自主流通米出荷数量の約九割が加入している。加入者の九割以上が継続加入の意向を示すなど多数が制度を評価している。加入者の意向等も踏まえ、相当の繰越資金がある者に対するメリット措置等の拡充対策が図られることになっている。
なお、育成すべき農業経営を個々の品目を通じてではなく経営全体としてとらえ、その経営の安定を図る観点から、今後、品目別の価格政策の見直しや経営安定対策の実施状況、農業災害補償制度との関係等を踏まえた検討が課題となっている。
(二) 園芸作物、畜産の需給動向
ア 野菜及び果実需給の動向
野菜価格は、平成十一年夏には高騰したが、九月以降は入荷増から低下傾向に転ずるなど大幅な変動を伴って推移している。こうした中、多様なニーズに即しつつ安定供給を図るため、新たな野菜供給システムの構築等が必要となっている。
十一年産うんしゅうみかんについては、摘果等計画的な生産・出荷が推進されたが、西日本を中心とした天候不順による品質低下等から価格は低水準で推移した。今後、生産管理の的確な実施と、需給・価格安定に向けた取組みが必要である。
イ 我が国畜産業の維持・拡大に向けて
畜産物の需要はこれまで堅調に伸びてきたが、近年は総体的に横ばいで推移している。国内生産量は減少傾向にある一方、牛肉・豚肉の輸入量は増加に転じている。自給飼料生産は、我が国の食料自給率の向上、生産コストの低減、経営の安定化等において極めて重要であるが、飼料作物の作付けは近年横ばい傾向で推移しており、今後、コントラクターの育成への支援強化等が重要となっている。
畜産経営は、開始時に初期投資が大きく、資本の回転が遅いなど、他作目にはみられない特徴を有している。このため、離農跡地を活用した新規就農の促進に加え、後継者がいなくても健全な経営を中断させることなく第三者に円滑に継承するなど、我が国の実態に合った日本型畜産経営継承システムの推進について、関係機関の一体的・組織的な取組みが重要である。
第五節 農業の自然循環機能の維持増進
(一) 環境と調和のとれた持続的な農業生産への取組みの定着・普及
農業の物質循環機能を活かし、たい肥等の投入による土づくりを通じて化学肥料・農薬の使用の節減等を行う環境保全型農業に対する取組みが広がっているが、現場における浸透は依然不十分なままである。
環境保全型農業に取り組む農家の経営状況をみると、販売価格、粗収益及び所得の有利性がある一方、収量が不安定、労力がかかるなどの問題もかかえており、今後、取組みを強化する上で、土づくり・防除・施肥等に関する農業技術の開発・普及、全国的な認証方式の確立等が重要である。
このような背景の下、たい肥等による土づくりと化学肥料・農薬の使用の節減等を一体的に行う生産方式を導入する農業者に対し、金融・税制上の支援措置を講じる「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律」が平成十一年十月に施行された。
また、有機食品の生産または製造方法について、検査認証を受けたものだけが「有機」の表示を付して一般消費者向けに流通できる仕組みの整備を可能とする改正JAS法が同年七月に成立している。
(二) 家畜排せつ物の適切な管理・利用の推進
家畜排せつ物の適切な管理の強化及び資源(有機質肥料)としての有効利用の促進を図るため、「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」(平成十一年十一月施行)に基づく施策の推進が重要である。
(三) 有機性資源の循環利用システムの構築
食品や農畜産物に由来する有機性資源(廃棄物)の循環利用システムの構築が重要となっている中、「肥料取締法の一部を改正する法律」が平成十一年七月に公布、一部施行され、たい肥等について品質表示が義務付けられることとなった。
(四) 農業分野における地球規模での環境問題への対応の強化
二酸化炭素等の温室効果ガスの増大に起因する地球温暖化は、農業生産に重大な影響を生じさせる懸念がある。農業分野においても、排出削減に向けた省エネ技術の開発・普及等が重要である。また、オゾン層破壊物質に指定され、土壌消毒剤等に用いられる臭化メチルには、代替技術の開発・普及に向けた一層の取組みが必要となっている。
第V章 農村の振興と農業の有する多面的機能の発揮
第一節 農村の現状
(一) 農村の人口と農業集落の変容
農村の人口は継続的に減少している。中山間地域では人口の自然減と社会減が続き、特に山間農業地域での減少が顕著となっている。また、高度経済成長期以降の混住化により、農業集落における農家率は大きく低下している。一方、中山間地域等の条件不利地域では、集落の縮小や消滅も発生している。人口集中地区からの時間距離の大小等、文化、医療、教育、娯楽等の利便性の享受にかかる条件が、農業集落への定住を左右する要因となっている。
(二) 農村社会における特徴的な課題
定住条件の整備のため、就業機会の確保、生活環境の整備、交通条件の改善等により、生活者に魅力のある地域づくりの推進が必要である。
農村では、全国平均を上回るテンポで高齢化が進行しており、高齢者が技術、体力等に応じて、生涯現役として農作業等を続けていくための条件整備が必要である。
要介護となった高齢者を地域ぐるみで支える福祉体制の充実が、喫緊の課題となっている。市町村等の行政以外に、農協等の役割が期待されている。また、高齢者のリタイアに備え、耕作放棄対策、農作業支援、生活支援等の取組みの強化が必要である。
農村では、若い世代の定住の促進が大きな課題であり、農村の地域特性を活かしつつ、魅力ある環境整備が必要となっている。
第二節 農業の有する多面的機能とその発揮に向けた取組み
(一) 農業の有する多面的機能の内容と評価
農村で適切な農業生産活動が行われることにより生じる多面的機能は、国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、文化の伝承等のように国民生活及び国民経済の安定にとって重要な役割を果たしており、国民の強い期待が寄せられている。しかし、現状ではその外部経済効果を定量的に評価する手法は十分に確立されておらず、国民の理解と実感を得るため、さらなる努力が必要である(第4図参照)。このため、多面的機能の解明と適切な評価手法の確立に向けた取組みの推進が必要である。
(二) 中山間地域の農業の特色と中山間地域等への直接支払いの導入
中山間地域は、我が国農業生産の約四割を担うとともに、一般に河川等の上流域に位置するため、農業生産活動による多面的機能の発揮を通じ下流域の住民の生活基盤を守る防波堤としての役割を担っている。しかし、中山間地域は、耕作面積が狭あいであること等から、土地利用型農業の展開上不利な点が多く、耕作放棄地率は平地農業地域の二倍以上となっている。
このため、第三セクターの設立や棚田等オーナー制度の実施による農地の保全管理等様々な取組みが開始されているが、さらなる取組みとして、平成十二年度から直接支払制度の導入が予定されている。本制度について国民の支持を得るためには、実施状況の点検や政策効果の評価等を行うことが必要である。
第三節 農村の総合的な振興
(一) 農村の地域特性に即した整備
農村の基礎的な生活環境の整備は立ち遅れており、農村への定住を促進する上でも、生活環境の整備は重要な条件である(第5図参照)。農業生産基盤と生活環境が密接に関連している農村の特性を踏まえ、両面における総合的な整備が必要である。その際、美しく豊かな田園空間の創造に資するため、景観や自然環境の保全、地域資源の循環利用等への積極的な配慮が必要となっている。
また、住みよい農村とする上で、医療福祉、教育、文化、交通・情報通信等の生活支持機能の確保も重要であるため、各市町村単独では対応困難な行政サービスへの対応を含め、広域的な地域連携の取組みが進んでいる。
今後の農村振興の展開に当たり、地域住民や地元企業等、多様な主体の参加の促進、行政と地域住民等との活発な意見交換による地域の合意形成等が必要となっている。
(二) 農村の活性化に向けた取組み
農村の活性化を図るため、多様な産業振興、自主的な共同活動や都市との交流促進等の取組みが実施されている。市町村では新規就農支援や地域住民の共同活動支援等、農業を軸とした内発型の産業振興が将来の課題となっている。
全国で地域特産物等を活かした住民グループの事業活動や、それを地域内発的な産業として育成しようとする動きが活発化している。民間企業との連携等による、多様な地域資源を活用した農村における新たな市場づくり等への取組みが期待される。
(三) 都市と農村との交流等の促進
ア 都市と農村との交流
国民の意識が「物の豊かさ」から「ゆとり」や「やすらぎ」といった「心の豊かさ」に重きを置くようになる中、都市と農村との交流が活発化しているが、目的と効果にギャップがみられるなど、交流活動の運営には多くの課題が存在している。
都市と農村との交流については、国民の農業や農村に対する理解を深め、健康的でゆとりのある生活の実現に資する取組みとして、一過性ではない長期的観点に立った活動が必要である。今後は、都市住民のニーズを踏まえた魅力ある地域づくりに向け、ソフト・ハード両面からの条件整備が必要である。
イ 農業体験及び農業体験学習
人格形成期にある子ども達の自然体験は、豊かな心を育み、道徳観・正義感を身につけさせるものとして、教育の場においても情操教育の面から注目されている。
農業体験は、子ども達の農業に対する理解の醸成や将来の担い手確保の観点からも重要な取組みとして期待されており、文部省や関係機関との連携の下、積極的な農業体験機会の設定や体験内容の工夫等、取組みの一層の充実が必要となっている。
ウ 都市農業の果たす役割
都市及びその周辺地域において営まれる農業は、生鮮野菜等の生産・供給の観点からはもとより、景観形成やレクリエーションの場、防災空間の提供といった多様な役割も果たしており、今後とも地域と調和し、都市住民のニーズに対応した発展が図られるよう、適切な施策の実施が必要となっている。
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法人企業の経営動向
(1) 売上高(第1表参照)
売上高は、三百二十八兆七千七百三十一億円であり、前年同期(三百二十一兆七千三百六十二億円)を七兆三百六十九億円上回った。増加率は二・二%(前期△〇・四%)と、十期ぶりの増収となった。
業種別にみると、製造業の売上高は九十九兆百七十四億円で、増加率は四・二%(同〇・八%)となった。また、非製造業の売上高は二百二十九兆七千五百五十七億円で、増加率は一・三%(同△〇・九%)となった。
製造業では、「一般機械」「食料品」などで減収となったものの、「電気機械」「化学」などで増収となった。一方、非製造業では「建設業」「サービス業」などが減収となったものの、「卸・小売業」「運輸・通信業」などで増収となった。資本金階層別にみると、資本金十億円以上の階層は百二十六兆一千八百五十八億円で、増加率は二・七%(同△二・九%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は五十一兆七千百二十一億円で、増加率は△三・三%(同△〇・六%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は百五十兆八千七百五十二億円で、増加率は三・八%(同二・〇%)となった。
(2) 営業利益(第2表参照)
営業利益は、九兆三千六百五億円であり、増加率は三五・一%(前期一八・八%)と、四期連続の増益となった。
業種別にみると、製造業の営業利益は三兆七千七百六十三億円で、増加率は五五・〇%(同一七・三%)となった。また、非製造業の営業利益は五兆五千八百四十二億円で、増加率は二四・四%(同一九・六%)となった。
資本金階層別にみると、資本金十億円以上の階層は五兆百二十一億円で、増加率は五四・九%(同一三・八%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は一兆九百七十二億円で、増加率は三二・四%(同三六・四%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は三兆二千五百十二億円で、増加率は一三・五%(同二四・〇%)となった。
(3) 経常利益(第3表参照)
経常利益は、八兆一千四百五十四億円であり、前年同期(五兆七千四百四十億円)を二兆四千十四億円上回り、増加率は四一・八%(前期二二・八%)と、四期連続の増益となった。
業種別にみると、製造業の経常利益は三兆五千七百十七億円、増加率は六四・六%(同一八・七%)となった。また、非製造業の経常利益は四兆五千七百三十七億円で、増加率は二八・〇%(同二五・四%)となった。
製造業では、「輸送用機械」等が減益となったものの、「電気機械」「化学」等で増益となった。また、非製造業では、「不動産業」「電気業」等が減益となったものの、「運輸・通信業」「卸・小売業」等が増益となった。
資本金階層別にみると、資本金十億円以上の階層は四兆一千二百四十億円で、増加率は七八・〇%(同二一・二%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は一兆七百三十一億円で、増加率は六二・六%(同五〇・九%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は二兆九千四百八十三億円で、増加率は六・六%(同一六・三%)となった。
(4) 利益率(第4表参照)
売上高経常利益率は二・五%で、前年同期(一・八%)を〇・七ポイント上回った。
業種別にみると、製造業は三・六%で、前年同期(二・三%)を一・三ポイント上回り、非製造業は二・〇%で、前年同期(一・六%)を〇・四ポイント上回った。
資本金階層別にみると、資本金十億円以上の階層は三・三%(前年同期一・九%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は二・一%(同一・二%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は二・〇%(同一・九%)となった。
二 投資の動向(第3図参照)
(1) 設備投資(第5表参照)
設備投資額は、十兆五千七百十一億円であり、増加率は△〇・七%(前期△九・六%)と、8四半期連続の減少となった。
業種別にみると、製造業の設備投資額は三兆一千六百三十六億円で、増加率は△八・二%(同△二〇・二%)の減少となった。また、非製造業の設備投資額は七兆四千七十五億円で、増加率は二・九%(同△三・四%)の増加となった。
製造業では、「電気機械」「一般機械」等が増加となったものの、「輸送用機械」「化学」等で減少した。一方、非製造業では、「不動産業」「電気業」等が減少したものの、「サービス業」「卸・小売業」等で増加となった。
設備投資額を資本金階層別にみると、資本金十億円以上の階層は六兆一千九百九十億円、増加率は△八・二%(同△一一・〇%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は一兆五千九百三十九億円、増加率は△五・二%(同△七・七%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は二兆七千七百八十二億円、増加率は二五・七%(同△七・二%)となった。
(2) 在庫投資(第6表参照)
在庫投資額(期末棚卸資産から期首棚卸資産を控除した額)は、六兆六千七百九十四億円であり、前年同期(六兆一千二十二億円)を五千七百七十二億円上回った。
在庫投資額を業種別にみると、製造業の投資額は一兆五百七十三億円で、前年同期(七千五百四十三億円)を三千三十億円上回った。一方、非製造業の投資額は五兆六千二百二十一億円で、前年同期(五兆三千四百八十億円)を二千七百四十一億円上回った。
在庫投資額を種類別にみると、製品・商品が一兆二千百九十六億円(前年同期一千三百七十二億円)、仕掛品が四兆九千五百四十一億円(同六兆一千二百十四億円)、原材料・貯蔵品が五千五十七億円(同△一千五百六十四億円)となった。また、在庫率は一〇・一%であり、前期(九・六%)を〇・五ポイント上回り、前年同期(一一・二%)を一・一ポイント下回った。
在庫率は、季節的要因により変動(四〜六、十〜十二月期は上昇する期)する傾向がみられる。
三 資金事情(第7表参照)
受取手形・売掛金は二百十九兆五千二百二十一億円で、増加率は〇・六%(前期△〇・五%)、支払手形・買掛金は百八十三兆二千七百四十八億円で、増加率は一・三%(同〇・四%)となった。
借入金をみると、短期借入金は二百十一兆九千二百三十六億円で、増加率は△二・二%(同△三・〇%)、長期借入金は二百九十四兆三千百三十七億円で、増加率は四・七%(同二・五%)となった。
現金・預金は百三十四兆九千三百八十一億円で、増加率は四・六%(同四・四%)、有価証券は三十二兆九千九百二十三億円で、増加率は△八・二%(同△五・三%)となった。
また、手元流動性は一二・六%であり、前期(一二・四%)を〇・二ポイント上回り、前年同期(一二・六%)と同様となった。
四 自己資本比率(第8表参照)
自己資本比率は二三・九%で、前年同期(二二・六%)を一・三ポイント上回った。
自己資本比率を資本金階層別にみると、資本金十億円以上の階層は三〇・八%で、前年同期(二九・二%)を一・六ポイント上回り、資本金一億円以上十億円未満の階層は一八・一%で、前年同期(一六・一%)を二・〇ポイント上回り、また、資本金一千万円以上一億円未満の階層は一七・九%で、前年同期(一七・三%)を〇・六ポイント上回った。
※ ※
なお、次回の調査は平成十二年一〜三月期について実施し、法人からの調査票の提出期限は平成十二年五月十日、結果の公表は平成十二年六月十日前後の予定である。
平成十二年二月末の十五歳以上人口は一億八百十八万人で、前年同月に比べ五十五万人(〇・五%)の増加となっている。これを就業状態別でみると、就業者は六千三百十一万人、完全失業者は三百二十七万人、非労働力人口は四千百六十八万人で、前年同月に比べそれぞれ二十三万人(〇・四%)減、十四万人(四・五%)増、六十五万人(一・六%)増となっている。
◇労働力人口(労働力人口比率)
労働力人口(就業者と完全失業者の合計)は六千六百三十八万人で、前年同月に比べ十万人(〇・二%)の減少となっている。男女別にみると、男性は三千九百七十万人、女性は二千六百六十八万人で、前年同月に比べると、男性は十万人(〇・三%)の減少、女性は一万人(〇・〇%)の増加となっている。
また、労働力人口比率(十五歳以上人口に占める労働力人口の割合)は六一・四%で、前年同月に比べ〇・四ポイントの低下と、二十五か月連続の低下となっている。
◇就業者
(1) 就業者
就業者数は六千三百十一万人で、前年同月に比べ二十三万人(〇・四%)の減少となっている。男女別にみると、男性は三千七百六十六万人、女性は二千五百四十五万人で、前年同月と比べると、男性は二十五万人(〇・七%)減となっており、女性は二万人(〇・一%)増となっている。
(2) 従業上の地位
就業者数を従業上の地位別にみると、雇用者は五千二百七十七万人、自営業主・家族従業者は一千十四万人となっている。前年同月と比べると、雇用者は六万人(〇・一%)減となっており、自営業主・家族従業者は二十一万人(二・〇%)減となっている。
○非農林業雇用者…五千二百四十一万人で、十二万人(〇・二%)減
○常 雇…四千六百六万人で、十三万人(〇・三%)減、二十六か月連続の減少
○臨時雇…五百十三万人で、一万人(〇・二%)増、平成八年九月以降、増加が継続
○日 雇…百二十二万人で、前年同月と同数(増減なし)
(3) 産 業
主な産業別就業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○農林業…二百三十六万人で、三万人(一・三%)減
○建設業…六百四十五万人で、二万人(〇・三%)減、三か月連続で減少
○製造業…一千三百万人で、三十六万人(二・七%)減、三十三か月連続で減少
○運輸・通信業…四百十四万人で、九万人(二・二%)増
○卸売・小売業、飲食店…一千四百七十万人で、九万人(〇・六%)増、四か月連続で増加
○サービス業…一千六百六十五万人で、十万人(〇・六%)減、五か月ぶりの減少
また、主な産業別雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○建設業…五百三十二万人で、二万人(〇・四%)減
○製造業…一千百七十四万人で、四十七万人(三・八%)減
○運輸・通信業…三百九十四万人で、十万人(二・六%)増
○卸売・小売業、飲食店…一千百九十八万人で、二十万人(一・七%)増
○サービス業…一千四百三十一万人で、十一万人(〇・八%)増
(4) 従業者階級
企業の従業者階級別非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○一〜二十九人規模…一千六百九十一万人で、二十六万人(一・五%)減、五か月連続で減少
○三十〜四百九十九人規模…一千七百五万人で、二十五万人(一・四%)減、九か月連続で減少
○五百人以上規模…一千二百七十九万人で、三十七万人(三・〇%)増、五か月連続で増加
(5) 就業時間
二月末一週間の就業時間階級別の従業者数(就業者から休業者を除いた者)及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○一〜三十五時間未満…一千三百四十七万人で、七万人(〇・五%)減少
・一〜三十時間未満…九百六十八万人で、九万人(〇・九%)増加
○三十五時間以上…四千八百三十一万人で、十万人(〇・二%)減少
また、非農林業の従業者一人当たりの平均週間就業時間は四三・四時間で、前年同月に比べ〇・三時間の増加となっている。
◇完全失業者
(1) 完全失業者数
完全失業者数は三百二十七万人で、前年同月に比べ十四万人(四・五%)の増加となっている。男女別にみると、男性は二百四万人、女性は百二十三万人となっている。前年同月に比べると、男性は十五万人(七・九%)の増加、女性は一万人(〇・八%)の減少となっている。
また、求職理由別完全失業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○非自発的な離職による者…百十五万人で、十九万人増加
○自発的な離職による者…百十六万人で、三万人増加
○学卒未就職者…十二万人で、一万人減少
○その他の者…七十四万人で、六万人減少
(2) 完全失業率(原数値)
完全失業率(労働人口に占める完全失業者の割合)は四・九%で、前年同月に比べ〇・二ポイントの上昇となっている。男女別にみると、男性は五・一%で、〇・四ポイントの上昇、女性は四・六%で、前年同月と同率となっている。
(3) 年齢階級別完全失業者数及び完全失業率(原数値)
[男]
○十五〜二十四歳…三十九万人(一万人減)、一〇・五%(〇・三ポイント上昇)
○二十五〜三十四歳…四十七万人(四万人増)、五・一%(〇・三ポイント上昇)
○三十五〜四十四歳…二十四万人(二万人増)、三・一%(〇・三ポイント上昇)
○四十五〜五十四歳…三十四万人(四万人増)、三・六%(〇・四ポイント上昇)
○五十五〜六十四歳…四十八万人(二万人増)、七・一%(〇・四ポイント上昇)
・五十五〜五十九歳…二十万人(三万人増)、四・九%(〇・七ポイント上昇)
・六十〜六十四歳…二十八万人(一万人減)、一〇・四%(同率)
○六十五歳以上…十一万人(一万人増)、三・七%(〇・三ポイント上昇)
[女]
○十五〜二十四歳…二十八万人(二万人減)、八・一%(〇・二ポイント低下)
○二十五〜三十四歳…三十九万人(一万人減)、六・七%(〇・四ポイント低下)
○三十五〜四十四歳…二十万人(二万人増)、三・九%(〇・三ポイント上昇)
○四十五〜五十四歳…二十万人(二万人減)、三・〇%(〇・三ポイント低下)
○五十五〜六十四歳…十四万人(一万人増)、三・四%(〇・二ポイント上昇)
○六十五歳以上…二万人(一万人増)、一・二%(〇・六ポイント上昇)
(4) 世帯主との続き柄別完全失業者数及び完全失業率(原数値)
世帯主との続き柄別完全失業者数、完全失業率及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○世帯主…九十七万人(六万人増)、三・六%(〇・三ポイント上昇)
○世帯主の配偶者…三十九万人(一万人減)、二・八%(〇・一ポイント低下)
○その他の家族…百四十四万人(九万人増)、八・〇%(〇・四ポイント上昇)
○単身世帯…四十七万人(同数)、六・四%(〇・一ポイント低下)
(5) 完全失業率(季節調整値)
季節調整値でみた完全失業率は四・九%で、前月に比べ〇・二ポイント上昇となっている。男女別にみると、男性は五・一%で、前月に比べ〇・三ポイントの上昇、女性は四・五%で、前月と同率となっている。
全国各地の刑務所等で製作した製品を一般社会の人々に紹介し、広く矯正行政に対する理解と協力を求めるため、法務省が主唱する「社会を明るくする運動」の中央行事の一環として、全国矯正展を左記のとおり開催しますので、多数の御来場をお待ちしております。
記
一 日時
六月九日(金)・十日(土)
午前九時三十分から午後四時三十分まで
二 場所
東京都千代田区北の丸公園 科学技術館
三 内容
技術入賞作品の展示、全国各地の刑務所の木工家具、各種生活用品、革製品、味噌・醤油等の展示・販売、少年院の野菜の販売、少年鑑別所職員による性格検査の実施等
(法務省)
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