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長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典あいさつ |
長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典に当たり、原子爆弾の犠牲となられた方々の御霊に対し、謹んで哀悼の誠を捧げます。 核兵器の惨禍を、人類は二度と繰り返してはなりません。唯一の戦争被爆国である我が国は、「核兵器のない世界」の実現に向けて先頭に立って行動する道義的責任を有していると確信します。私は、様々な機会をとらえ、核兵器保有国を始めとする各国首脳に、核軍縮・核不拡散の重要性を訴えてまいります。そして、将来を見据えた具体的な措置を積極的に提案し、国際社会の合意形成に貢献していく決意です。また、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向け、日本国憲法を遵守し、非核三原則を堅持することを誓います。 昨年四月のオバマ大統領のプラハ演説を契機に、核軍縮・核不拡散に向けた動きが活発化してきています。 核兵器廃絶を訴えるNGOである「平和市長会議」に加盟する都市は、長崎や広島を先頭に、世界で四千を超えています。こうしたNGOや市民を母体とする動きは、世界的な核軍縮の気運を高めていく上で、重要な役割を果たしています。 政府は、被爆により苦しんでおられる方々に、これまで保健、医療及び福祉にわたる総合的な援護策を講じてまいりました。 最後に、私自身のことを、一言触れさせていただきます。私が大学で物理学を専攻した際、原爆開発にも関わったアインシュタイン博士や日本の湯川博士が、核廃絶を呼びかけた「パグウォッシュ会議」のことを知りました。人類の幸福に役立つはずの科学が、人類の生存を脅かす核兵器を生み出したという矛盾です。この会議の活動を学び、自分もこの矛盾を解決したいという思いが、政治を志す私の一つのきっかけになりました。この初心を忘れずに世界から核兵器をなくすその努力を、全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。 結びに、犠牲となられた方々の御冥福と、被爆された方々並びに御遺族の皆様の今後の御多幸を心からお祈りし、併せて参列者並びに長崎市民の皆様の御健勝を祈念申し上げ、私のあいさつといたします。
平成二十二年八月九日
内閣総理大臣 菅直人 |