「日韓パートナーシップ宣言」20周年記念シンポジウム
平成30年10月9日、安倍総理は、都内で開催された「日韓パートナーシップ宣言」20周年記念シンポジウムに出席しました。
総理は、挨拶で次のように述べました。
「小渕千鶴子(ちずこ)令夫人、そして李洙勲(イ・スフン)大使、御列席の皆様、本日ここに、小渕総理と金大中(キム・デジュン)大統領による日韓パートナーシップ宣言の20周年を祝う記念シンポジウムが開催されますことを心よりお慶(よろこ)び申し上げます。
1998年、小渕総理と金大中大統領は、自ら署名した日韓パートナーシップ宣言において、両国の過去の不幸な歴史を乗り越えて、和解と親善友好協力に基づいた未来志向的な関係を発展させるためにお互いに努力することが時代の要請である旨表明しました。
日韓両国には、隣国であるがゆえに難しい問題が存在しています。過去を振り返れば、必ずしもその道のりは平たんなものばかりではなかったのも事実であります。しかしながら、正に小渕総理と金大中大統領のような指導者を始めとする多くの方々の不断の努力によって、数々の障壁を乗り越え、今日に至る日韓関係が築かれてきました。
人の往来一つとっても、昨年の日韓の往来は、900万人を超え過去最高となりました。特に日本を訪れる韓国の方々は、近年急激に伸びており、中国に次いで第2位となっています。また、日本における韓国文化への関心の高まりを受け、最近では韓国を訪れる日本人も増えており、本年の往来者数は1,000万人を超えるものと予想されています。昨今は日本で、チーズ・タッカルビが大流行し、K−POPの歌手が人気を博すなど、第三次韓流(はんりゅう)ブームと言われる現象が起こっております。このような活発な人的往来や緊密な経済関係、そして文化の交流は、正に98年の小渕総理と金大中大統領が日韓パートナーシップ宣言で謳(うた)った国民交流と文化交流、そして金大中大統領による日本文化開放の決断の成果と言えるものであります。
20年前のこの両首脳の決意は、現在を生きる私たちにも引き継がれています。先月ニューヨークで私は文在寅(ムン・ジェイン)大統領と日韓首脳会談を行い、日韓パートナーシップ宣言20周年を祝うとともに、未来志向の日韓関係を発展させていくことを改めて確認いたしました。
正に日韓両国は、隣国であるがゆえに、先ほど申し上げましたように様々な難しい課題があるわけであります。その課題を乗り越えていく上においては、政治のリーダーシップによる大きな決断がやはり必要なんだろうと、こう思っているところであります。正にこの金大中大統領が小渕総理と首脳会談を行うために来日される際、当時、今日この後講演をされる高村先生は、外務大臣であったと記憶しておりますが、当時私はまだ若手の、当時はもっと初々しい議員だったんですが、若手の議員でございまして、言わば政権に対してプレッシャーをかける側にいたわけでありまして、高村大臣にいろんなことを言いに行ったことを今急に思い出したところでございますが、しかし、そういうものを、そういう様々な世論等と圧力を乗り越えて、大所高所から責任者は決断していくことによって初めて両国の関係は未来志向となり、前進していくのではないかと、こう思う次第でございまして、当時大変、高村、当時の外務大臣に失礼なことを申し上げたことを改めておわびを申し上げたいと、こう思う次第でございます。正に大所高所から、我々もこれから判断すべきことは判断していきたいとこう思う次第でございます。
日本と韓国の若者が、相互に交流し合うことで友情を育み、未来に向かって夢を紡ぎ合っていくことができるよう、未来志向の関係を築き上げていきたいと、私もそう強く願っているところでございます。今後とも、小渕総理と金大中大統領に思いを致しながら、日韓関係の発展のため、文在寅大統領と共に努力していきたいと思います。
最後に、このシンポジウムの開催に尽力されました実行委員会、経団連、国際問題研究所、そして日韓文化交流基金を始めとする全ての関係者の皆様に心から敬意を表します。本日御出席の皆様の御健勝と、そして日韓両国の関係がますます発展していくことを祈念いたしまして、総理大臣としての御挨拶とさせていただきたいと思います。本日はおめでとうございました。」