パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略策定に向けた懇談会
平成30年8月3日、安倍総理は、総理大臣官邸で第1回パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略策定に向けた懇談会を開催しました。
総理は、冒頭の挨拶で次のように述べました。
「環境と経済をめぐる情勢は、ここ数年で一変しています。ESG(環境、社会、企業統治)投資は、この5年で1,000兆円以上増加し、グリーンボンドの発行量も50倍に拡大するなど、世界の資金の流れが大きく変わりつつあります。
もはや温暖化対策は、企業にとってコストではありません。競争力の源泉であります。環境問題への対応に積極的な企業に、世界中から資金が集まり、次なる成長と更なる対策が可能となる。正に環境と成長の好循環とも呼ぶべき変化が、この5年余りの間で、世界規模で、ものすごいスピードで進んでいます。
この好循環をどんどん回転させることで、ビジネス主導の技術革新を促していく。これまで温暖化対策といえば、国が主導して義務的な対応を求めるものでしたが、こうした時代の変化を捉えた大きなパラダイム転換が求められています。我が国も日本企業の強みをいかしながら従来の延長線上にないイノベーションを創出し、我が国経済の力強い成長につなげていく発想が必要であります。
こうした観点から、パリ協定に基づく長期戦略の策定に向けてこれまでの常識にとらわれない新しい政策の方向性を御提言いただきたい。今回は従来からの議論の枠を超えて、大所高所から御議論いただける皆様にお集まりいただきました。
ファイナンスの動向やビジネスの実態、特に世界の動きを大きく俯瞰(ふかん)しながら、今後の国際的な潮流を牽引(けんいん)できるような、新たなビジョンを示していただきたいと考えています。
我が国は、来年、G20の議長国となります。国際社会全体が、この気候変動の問題に足並みをそろえて立ち向かうべく、日本として、しっかりとリーダーシップを発揮していきたいと考えておりますので、委員の皆様には、是非、忌憚(きたん)のない活発な御議論をお願いしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。」