未来投資会議
平成30年6月4日、安倍総理は、総理大臣官邸で第17回未来投資会議を開催しました。
会議では、未来投資戦略2018(素案)及びエネルギー・環境投資を通じた成長の実現について議論が行われました。
総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。
「本日は、環境と経済をめぐる最新のトレンドについてお話しいただきました。2012年と比べて、ESG投資は1,000兆円以上増加。グリーンボンド発行量は50倍に拡大するなど、世界の資金の流れが大きく変わりつつあります。
もはや温暖化対策は、企業にとってコストではない。競争力の源泉であります。環境問題への対応に積極的な企業に、世界中から資金が集まり、次なる成長と更なる対策が可能となる。正に環境と成長の好循環とも呼ぶべき変化が、この5年余りの間に、世界規模で、ものすごいスピードで進んでいます。
これまで温暖化対策と言えば、国が主導して義務的な対応を求めるものでした。しかし、2050年を視野に脱炭素化を牽引(けんいん)していくためには、こうしたやり方では対応できない。環境と成長の好循環をどんどん回転させ、ビジネス主導の技術革新を促す形へと、パラダイム転換が求められています。
第一に、従来型の規制でなく、情報開示・見える化を進めることで、グリーン・ファイナンスを活性化する。
第二に、途上国などでも、公的資金中心の支援から、民間ファイナンスによるビジネス主導に転換することで、地球規模の対策を推進する。
第三に、革新的なイノベーションに向かって、野心的な目標を掲げ、官も民も、さらには、日・米・欧、世界中の叡智(えいち)を結集する。
こうした方向性の下、パリ協定に基づく長期戦略策定に向け、金融界、経済界、学界など各界の有識者にお集まりいただき、これまでの常識にとらわれない新たなビジョン策定のため、有識者会議を設置するとともに、その下で、関係省庁は連携して検討作業を加速してください。
また、本日は、未来投資戦略2018の素案の検討を行いました。
デジタル革命が急速に進展する中で、価値を生み出すデータや人材をめぐる熾烈(しれつ)な争奪戦が世界で繰り広げられています。このまま手をこまねいていてはならない。Society 5.0に向かって、我が国こそが、世界をリードしていかなければなりません。
正に、この数年が我が国にとって勝負です。本年を第四次産業革命元年とする。生産性革命の実現に向けて、あらゆる分野で、その社会実装を進めていきます。
そのために、自動運転、ヘルスケア、デジタルガバメントなどの重点分野について、産官協議会を設けて官民の叡智を結集し、変革の牽引力となるフラッグシップ・プロジェクトを推進します。
加えて、こうした社会変革を実現するための基盤となる、大胆な規制改革に挑戦するとともに、AI人材の育成を始めとした教育システムの改革、大学改革などイノベーションを生み出すエコシステムづくりを進めます。
Society 5.0の実現を目指し、経済社会システムの大改革に挑戦する。そのような野心的な、新しい成長戦略を取りまとめてください。よろしくお願いします。」