第3回日中企業家及び元政府高官対話(日中CEO等サミット)歓迎レセプション
平成29年12月4日、安倍総理は、都内で開催された第3回日中企業家及び元政府高官対話(日中CEO等サミット)歓迎レセプションに出席しました。
総理は、挨拶の中で次のように述べました。
「まず、曽培炎(ソ・バイエン)中国経済国際交流センター理事長を始め、中国経済界の皆様の来日を心から歓迎申し上げます。日中両国のそうそうたる企業幹部が一堂に会するこの日中CEO等サミットも、はや3回目となります。桃栗3年、柿8年という言葉がありますが、福田元総理と曽理事長の御尽力によってまかれた種が大きな実を結びつつあることを感じております。
私はよく申し上げるのですが、日本と中国は切っても切れない関係であります。日本でしかつくれない素材や半製品を中国に輸出し、中国で最終製品に組み立てられて世界中に輸出されています。しかし日中の互恵的な経済関係は単に2国間の貿易にとどまりません。もっと大きな可能性に満ちています。
アジア開発銀行のレポートによれば、アジアでは2030年まで毎年1.7兆ドルものインフラ需要が見込まれています。ただ、実際には9000億ドル程度しか投資は行われていない。需要に投資が追い付いていません。
このアジアの旺盛なインフラ需要に日本と中国が協力して応えていく。これは両国の経済発展にとどまらず、アジアの人々の繁栄に大きく貢献するものです。
当然、プロジェクトの経済性が確保され、インフラを整備する国の財政の健全性が損なわれてはならない。そうでなければ持続的な成長を実現することはできません。
そしてそれは万人が利用できる誰にでも開かれたものであって、透明、公正なプロセスの下で整備が進められなければならない。オープンな経済活動こそが、新しいイノベーションを生み出す力になると確信しています。
私は太平洋からインド洋に至る地域を公正なルールに基づく自由で開かれたものとしていきたい。この広大な海を将来にわたって、全ての人に分け隔てなく平和と繁栄をもたらす国際公共財とすべきであると考えています。
我が国は、この自由で開かれたインド太平洋戦略の下、一帯一路の構想を掲げる中国とも大いに協力できると考えています。
先日の日中首脳会談においても、今後、2国間の貿易・投資促進にとどまらず、第三国において、日中が協力してビジネスを展開していくことを私から提案し、習近平主席、李克強首相と認識を一致することができました。
そうした意味で、今回の日中CEO等サミットが日中の経済界の協力関係において新たなスタートとなることを心から期待しております。
ちょうど45年前、当時の田中総理も、当時の毛沢東主席や周恩来首相と歯に衣着せぬ本音の話合いを重ねることで、日中国交正常化を成し遂げることができました。腹を割って何でも話そうと思った理由について、田中総理はこの首脳会談は単なる外交交渉ではなく、将来にわたって長い日中関係の基礎となる会談だからだ、と後に述べられております。
先月の首脳会談においても、習近平主席とは北朝鮮情勢を始め、様々な課題について率直で非常に突っ込んだやりとりを行いました。習近平主席の言葉を借りれば、正に日中関係の新たなスタートとなる会談となりました。私も全く同感であります。
早期に日中韓サミットを開催し、李克強首相を日本にお迎えしたいと考えています。そして来年の日中平和友好条約締結40周年という大きな節目に当たり、私が適切な時期に訪中し、習主席にもできるだけ早期に日本を訪問していただきたい。ハイレベルな往来を通じて、日中関係を新たな段階へと押し上げていきたいと考えています。
本日御出席の榊原会長も御出席をされました、2週間前の日中経済協会合同訪中代表団は大成功であったと伺っております。過去最大の250名に及ぶ訪中団に、李克強首相も過去最長の1時間の会談で応えてくださったそうです。そう伺いましたので、本日の私のスピーチも中国経済界の皆さんへの歓迎の気持ちを込めて、前回を上回る過去最長のものとさせていただきました。とは言っても、そろそろ食事も冷めてしまいますから締めくくりたいと思います。
日中平和友好条約の締結に当たって、本日いらっしゃる福田元総理のお父様である福田赳夫総理は、国民各界各層の皆様の御理解と御協力を得て初めて可能になったと述べておられます。田中角栄先生と福田赳夫先生は、当時の自民党で時には激しく争った関係にあったわけでありますが、その2人とも、日中の関係を拓いていくことは日本や地域のためになると、そう確信していたわけであります。
今日も福田赳夫先生の系譜につながる私がここに立っていて、田中角栄先生の系譜につながる二階先生が一緒に協力をしていただいています。
日中両国民の交流、協力をあらゆるレベルで広げていくことが、次の時代の日中関係を切り拓く原動力となる、そう確信しております。2020年、そして22年、東京、北京オリンピック・パラリンピックが立て続けに開催されます。このチャンスをいかし、私は次世代を担う青少年交流を大いに強化したい。経済、文化、スポーツなど日中両国民の交流を飛躍的に拡大していきたいと考えています。
こうした意味でも、この日中CEO等サミットの役割は、ますます大きくなっていると思います。皆さんの深いつながりが日中関係改善の大きな力となることを祈念いたしまして、私の御挨拶とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。」