岸田総理カンボジア訪問寄稿文
カンボジアの皆様、こんにちは。日本の総理大臣の岸田文雄です。
本日、私は、カンボジアを訪問します。今回の訪問は、2014年に外務大臣としてカンボジアを訪問し、カンボジアの更なる発展をこの目で見るのを楽しみにしてきました。
カンボジアは、和平達成以降、力強い経済発展を遂げてきました。この機会に、改めてカンボジアの皆様に敬意を表します。この間、両国の協力関係も、あらゆる分野で深化しました。一方で、両国を取り巻く世界の情勢は複雑さを増しています。安定した世界の中で日本とカンボジアが共に発展していくために、今回の私の訪問では次の2つを目的としています。
第1に、日本・カンボジア関係の更なる強化です。本年は、日本初のPKO(国連平和維持活動)要員をカンボジアに派遣して30周年という節目の年です。日本は、カンボジアの和平から復興と経済発展の道のりをカンボジアと共に歩んできました。
例えば、日本は、機材供与や専門家の派遣等を通じた地雷除去のための支援や、プノンペンにおける安定的な給水サービスを実現した上水道分野での支援等を長年実施しています。また、直近のコロナ禍では、これまでに約130万回分のワクチンの供与や、カンボジア政府による新型コロナ対策を後押しするための計450億円の財政支援借款を供与しています。さらに、カンボジアの経済発展の中核となるシハヌークビル港の整備を支援しています。こうした協力の結果、両国政府及び国民の間には深い信頼関係があると信じています。この信頼関係を基に、両国関係を更に発展させるため、本日、経済や安全保障分野等での協力について具体的な議論を行います。
第2に、ウクライナ、ミャンマーをはじめとする地域・国際情勢における連携の強化です。今回、国際社会は、国際秩序の根幹を揺るがす事態に直面しています。ロシアによるウクライナ侵略は明確な国際法違反で断じて認めることはできません。日本とカンボジアは、国連総会の緊急特別会合で採択された「ウクライナに対する侵略」決議の共同提案国となり、ロシアによる力による一方的な現状変更、国際法や国連憲章に反した暴挙に対して、共に明確な反対を示しました。また、フン・セン首相からは、ASEAN(東南アジア諸国連合)議長国として、ミャンマー情勢などの課題も前進させたいという決意を伺っています。また、カンボジアの皆様は内戦の経験から、平和には特別な思いがあると承知しています。だからこそ、カンボジア政府と共に、地域と世界の平和と安定のために協力していきたいと考えます。
2023年は、日カンボジア外交関係樹立70周年の年です。カンボジアの皆様、私たちと一緒に日本・カンボジア協力の新たなページを開きましょう。